環境呼応症候群 眠気の子

人にとって睡眠とは日常に欠かせない行為の一つである。睡眠が足りなければ、日常の判断力に大きな影響が出てしまう。

「おはよー!」

しかし、この中一の少女の場合その影響は判断力に収まらない。

「おはよ。あ、また睡眠不足だな?」
「えへへ、私、ちょっと大きくなってるー?」

擦陽 あや(すりひ あや)というこの少女は、メタモルフォーゼ症候群にかかっている。周りや自分の状態に応じて体の形が変わるこの病気だが、彼女の場合、眠気に応じて成長したり小さくなったりというもので、常に変わり続けるこのパラメータのせいで、彼女の体が一定のサイズであることはない。

小学校からの幼馴染の安下 留子(やすした りゅうこ)は、いつもは自分より小さいあやが、自分と同じくらいの大きさに成長しているのを見てニヤニヤしている。

「バレバレだよ、セーラー服、一番起きてる時はいっつもぶかぶかじゃん。今日は違うもん」
「実は、漫画を読み始めたら止まんなくて。大丈夫、宿題はやってきてあるから!」

あやは、買ったばかりのカバンを机の上にどさっと置くと、中から宿題の紙を取り出し、ドヤ顔で友達に見せる。

「ほら!」
「はいはい、前は忘れてきたのに、いい子ですねー」
「こ、こら、バカにしないでよ!あんただって忘れてきたことあったでしょ!?」
「あやほどじゃないよ」

頬を膨らませ、むすっとするあやを見て、留子は口元を緩ませた。

「ほらほら、朝礼始まっちゃうよ」
「あ、そうだね」

あやがカバンから教科書を取り出し、椅子に腰掛けて、カバンを机の側に置くと、中年の男性教諭が入ってきた。

「朝礼を始めます。擦陽は……今日は大丈夫そうだな」
「もう、先生!どういう意味ですか!」

名指しで確認され、手を挙げて反論するあやだが、その途端少し背が縮んだのを、教諭は見逃さなかなかった。

「寝不足、ですね。そういうことです」
「む、むぅ……」

この体質のせいで、少しでも眠いようならバレてしまう。朝なのだから眠いのは当然であるのだが、今日は成長度合いが基準を超えていたらしい。だが、このあやという少女はかなり天然ボケが入っていて、この手の隠し事が出来ないことはあまり気にならない。

「では、出席を取ります」

そんな、少し普通とはずれているが日常と同じ朝礼が始まり、今日の授業へと続いていった。

だが、一つ落とし穴があった。1時間目の体育が、その落とし穴だった。

「新入生のみんな、

学期が始まって初めての体育は、1000m走という、女性にとってはハードな種目だった。

「はぁ……疲れたぁ」

体育の授業を終えたあやは息を切らしている。

「あや、よく3本も走れたね」
「私、走るのだけは得意なんだ」

留子のほうはというと、一回走っただけで体力を使い果たしてしまい、元気よく走り続けるあやをトラックの外からぼーっとながめていたのだ。

あやは、息を整えるとすぐに後者に向かって走り始める。

「次の授業すぐあるから、さっさと着替えないとね!」
「そ、そうだね!って、ちょっとまってー!」

留子は小さい体なのにかなり速く走っていくあやに、なんとかついて行った。

次の時間。授業の支度をして、席についた留子は、早速横に座っている小柄なあやを見る。すると、ペッタンコなセーラー服の胸の部分が、グググと前にせり出しているところだった。

「ちょ、ちょっと、あや……」
「うーん、なにぃ?」

留子に顔を向け、眠そうに答えるあや。胸の盛り上がりはさらに大きくなって、リボンで見えないセーラー服のボタンがだんだん張り詰めている。

「大丈夫なの?」
「だいじょうぶだってー、宿題ちゃんと……やって……」

運動で疲れたことからあやを眠気が襲っているようだ。体がメキメキいう音を立てると、あやの体が勢い良く縦に伸び、140cmの身長が165cmまでになった。スカートの下から足がニョキィと出てくると同時に皮下脂肪が付いて丸みを帯びる。

「おきて……られない……」

体を前に傾け、居眠りする体勢になると、いよいよセーラー服の限界が訪れたようで、ボタンがブチブチと取れ、中からプルンと蒸れたGカップの双丘が机の上に飛び出し、寝ようとする頭にちょうど良くクッションになった。

「あや……?」
「むにゃむにゃ……」

さらに机の上で大きくなる乳房は、スイカサイズにも達している。周りの生徒も気づいているらしく、ざわついている。教諭も気を取られて授業が思うように進まなくなっている。それでも注意しにこないのは、その中学生に見合わないスタイルの良さを目の当たりにして、もう少し見ていたいという欲望が現れた結果だろうか。だが、その姿を見慣れていた留子は、少しため息をついて、すやすやと寝息を立てているあやを見守るだけだった。留子にとって問題なのは、この後だった。

「そろそろ、アイツが出てくるかな」

留子がつぶやくと、寝ているはずのあやの口から、色っぽい声が発せられた。

「だれが、アイツ、ですって?」

あやはパチッと目をさます。しかし体つきは全く変わらない。それどころか、足を組み、体のメリハリを強調するような姿勢になったおかげで、さらに扇情的になっている。

「ふふ、留子ちゃん、お久しぶり」
「お久しぶり、あやさん」

天真爛漫なあやとは一線を画す、もう一人のあやがそこにいた。

「1週間ぶりだっけ?あ、今授業中ぅ?」
「そうだよ」
「もう、この子ったら、居眠りしちゃてるのね」

メタモルフォーゼ症候群を発症してから、あやの中に居座るようになったもう一つの人格。「元」のあやが眠ると、表に出てくる「裏」のあやだ。

「体育の授業があってね。それよりも……」

その「あや」に、留子はニヤニヤしながら喋っている。

「はやく、私にご褒美、ちょうだい?」
「はいはい。もう留子ちゃんったらせっかちね❤」

あやは席から立ち上がり、乳首を留子の口に近づける。

「ほら、後はあなたの好きにしていいわよ、私のかわいいかわいい留子ちゃん」
「ありがたき幸せ……!」

留子は、顔を前に突き出し、あやから母乳を吸うように、その豊満な果実の先をくわえた。

「留子ちゃんは、もう完全に私のトリコね。ほら、周りのみんなもどう?❤」

あやの周りに、生徒たちが男女問わずぞろぞろと集まってきた。症候群によって形成されたあり得ないほどグラマラスな体に、幻術でも掛けられたかのようだ。全員があやに頬ずりし、さわり、撫でた。異様な空間が、そこには形成されていた。

授業時間の半ばになってやっと、あやの言葉でそれは終わりを迎えた。

「あ、あの子起きちゃう❤みんな、席に戻って?」

何も答えずに、生徒たちは自分の席に帰っていく。今までずっとおっぱいを吸い続けていた留子もぱっとそれをやめた。それを見たあやは自分も席に戻り、目を閉じて机の上に突っ伏した。

数秒の沈黙の後、教諭があやに指名をする。

「それでは刷陽さん。ここ読んでください」
「はっ……!?私、寝てた!?」

あやの体が、風船が割れたときのような勢いで元に戻った。

「あやちゃん、ここ、ここ」
「あっ、そこね!私、練習してきたから大丈夫!」

留子は何事もなかったかのように振る舞う。それは留子だけではなく、教諭も含めて周り全員も同じだった。

「わかりましたから、読んでください」
「はーい!えーと、『あいあむ……』」

そして、「日常」はいつものように続いていくのである。症候群のせいで何かが狂った「日常」が。

逆転の日~兄の場合~

あむぁいおかし製作所(http://okashi.blog6.fc2.com/)に掲載させていただいたものです。
挿絵はシガハナコ様(http://l-wing.amaretto.jp/)に描いていただいたものを、あむぁいおかし製作所管理者のあむぁい様に許可をとって転載しています。

この世には、様々な人間がいる。

「いひ、いひひ……」

その中には当然、倫理観が狂っている者、頭がいい者、そして金を持っている者も、いる。

「うふふふ……」

しかし、今泡を立てている丸底フラスコに入った薬品を、恍惚とした表情で見つめるこの男女2人は、そのどれもに当てはまる。

「あいつら、どんな顔するかな……」
「楽しみだねぇ……」

顔立ちがうり二つの二人は、邪悪な笑みを惜しげもなく顔に出していた。

兄の場合

同じ建物の中。

「う……ふあーっ……よく寝た……」

あくびをかき、伸びをする男子高校生。黒い髪と、年相応の体格をした青年の名前は、高町祐輔(たかまち ゆうすけ)。

「ん?なんだろう、この手紙」

自分の部屋から出ようとして、扉に画鋲で封筒が留められているのに気づく。黒く、なにか禍々しい雰囲気を発しているその封筒を、ため息混じりに扉から外し、開ける。中には万年筆のようなもので文字が書かれた紙が入っている。

「どうせ、あのろくでなし達、もとい、兄さんと姉さんだろ……」

祐輔の予感は的中する。手紙の筆跡の特徴は、これまで幾度と無く見てきたものと完全に等しい。

【今日は実験に参加してもらう】
「あぁ、もう……今日は学校があるってのに……」

手紙の内容に、呆れ果てる青年だが、その次の文に少し驚かされる。

【内容は秘密だ。普通に生活を送ればよい。 KとA】
「実験なのに、普通に生活だって?どういうことだ……」

手紙をゴミ箱にポイッと捨て、扉を開けてリビングに向かう。そのままキッチンに入り、トースターをセットして、卵を割り、ベーコンを敷いたフライパンに入れる。両親がほぼ家にいない彼にとっては、これが日常だった。兄妹たちの家事を一気に背負うのには、それなりの理由があった。

「実験……かぁ。今日は何なんだろう。あいつらマッドサイエンティストの実験なんか毎回ろくなことがないが……」

そう言いながらトースターを見つめる。前に、トースターが兄姉が開発したものにすり替わっていた。祐輔はそれに気づかず、トーストをいつものようにセットした。すると、一瞬のうちに消し炭となってしまい、トースターが爆発してキッチン中に炭になったトーストと、トースターの破片が飛び散り、掃除するのに丸一日かかってしまったのだ。

「まあ、命にかかわることじゃないだろ、いくらなんでも」

トースターとフライパンから、いい匂いがし始めると、リビングの方から声が聞こえてきた。

「おはよー、お兄ちゃん」
「ああ、鈴音、おはよう」

寝ぼけ眼でキッチンに入ってくる、黒髪セミロングの、中学生くらいの女の子。祐輔の妹、鈴音(すずね)だ。彼女は食パンがトースターから飛び出したのを見て、皿を取り出し、自分と兄の分をスッと載せ、フライパンの蓋を開けて目玉焼きをパンの上に滑り出させた。

「あれ、浩輔(こうすけ)お兄ちゃんと彩音(あやね)お姉ちゃんの分は?」
「うーん、昨日夜遅くまでなにかやっていたみたいだし、昼まで起きてこないから大丈夫なはずだ」
「そう」

一番上の兄と姉の食事について確認した鈴音は、小さなあくびをした後皿をリビングの方に運ぶ。祐輔は、流しに残っていたコップを軽く洗うと、牛乳を入れ、冷蔵庫からマーガリンを取り出して鈴音に続く。朝食の支度が整うと、二人は椅子に座り、手を合わせた。

「「いただきまーす」」

二人同時に、トーストをカリッとかじる。その一かけらを咀嚼し、飲み込むと、鈴音が切り出した。

「あ、そういえば……またお姉ちゃん達がお手紙をね」
「うん。俺も」

祐輔でなく鈴音も、実験の通知をされていたのだった。それもまた、いつものことなのだ。

「どういうことなんだろうね、いつも通りにしていいって」
「さぁ……」

朝食を黙々と進める二人は、ほどなく牛乳を残して全てを食べ終わった。

「「ごくごく……」」

最後に残った牛乳を、一気に飲み干す二人。そこまでは、文字通り普通の朝だった。そう、そこまでは。

「じゃあ、一緒に片付け……うぐっ!!??」

体全体に、息を止めた時のような苦しさを感じる祐輔。

「な、なんだよ……これっ……ぐふぅっ!!」

胸にパンチを食らったような痛みが加わり、思わず胸に手を伸ばす祐輔。すると……

《ムニュッ》

「なに……これ?」

手が柔らかい何かに当たる。同時に、胸の方にも押さえつけられた感触が走る。祐輔の目線の下で、自分の胸が着ていたパジャマを大きく押し上げていたのだ。

「もしかして……これって……ふぐぁっ!!」

その膨らみを手で揉んでみようとした矢先、さらなる衝撃が加わる。その瞬間、パジャマが破れそうになるくらい盛り上がりが前につきだし、祐輔は肩と胸に重いものがくっついている感覚を覚えた。

「や、やっぱり……」

左右に引っ張られたパジャマのボタンの隙間から見える肌色と、中心に走る線は、紛れも無く乳房と、その間にできた谷間だった。普通の男子高校生である祐輔の胸に、Eカップほどの乳房がいきなり現れたのだ。

「……こ、これが、実験……か……ぐはっ!!」

次の衝撃で、乳房は完全にパジャマを突き破り、祐輔の目の前でバインッ!!と外に飛び出した。メロンくらいの二つの果実は、寄せるものが無くとも互いにくっつき、自然に谷間ができている。ぷっくりとした突起は、男の時からは考えられないほど大きくなっている。

「……もしかして、俺は……っ、女に……!?」

腹筋を触ると、メキメキといいながら萎縮していく。さらに脂肪が皮膚の下を移動するかのように波打ち、ウエストにくびれがついていくのが分かる。視界にも、短かったはずの髪が、垂れて入ってくる。

「……んはぁっ……こ、声までっ……くそぉっ……」

首が押しつぶされるような痛みとともに、祐輔の声が高くなる。左手で首を触ると、喉仏が消え去っていた。顔も、全体が見えない手に潰されたり引っ張られたりするように、頭蓋の形が変化していく激痛が走る。

「……い、痛い……っ!!?」

しかし、それをも上回る鋭痛が、股間を襲う。嫌な予感を感じ、とっさに手でイチモツを触ると、もはや昨日までの大きさの数分の一になっている。目で確認しようとしても、胸が邪魔で直接見ることができない。せいぜい、筋肉がふっくらとした脂肪に置き換わり、むっちりとした太ももが見えるだけだ。

「ま、まって……これだけは……っ!!」

手で守るかのように自分の息子を掴む祐輔だったが、その手の中でペニスは萎縮を続け、ついに股間にできた溝の中に埋もれていってしまった。

「んくっ……ひゃあっ……おなかっ……なかがぁー!!」

たった今沈み込んでいったモノが、今度は腹部を掘削していくかのような痛みが走る。女性器が形成されているのだった。

「……はぁっ、はぁ……はぁ、ふぅ……」

痛みが落ち着き、祐輔は、多少小柄になった自分の胸に実っている、たわわすぎる果実を手で触る。

「にせもの、だよな……?」

現実から逃げたい祐輔の最後の希望を蹴落とすかのように、手で触ったのと同時に、胸からピリッと電流が感じられる。

「んっ……」

自分の口から思わず漏れた喘ぎ声が信じられず、固まってしまう。

「そ、そんな……俺がこんな……」
「うおっ……」
「えっ!!?」

祐輔が聞いたことのない、少しだけではあるが元の自分よりも低い男の声に飛び上がりそうになって驚く。恐る恐る声のした方を向く祐輔。すると、さっきまで妹がいた所に、ビリビリに破けた布切れを身にまとった、金髪の大学生が座っている。

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「だ、誰だっ!?」
「え……え?お姉さんこそ、だれ!?……まさか、祐輔お兄ちゃん?」
「はっ……?」

自分の名前を知っている妙な口調の男に祐輔は困惑しつつも、朝起きてからこれまでの記憶をつなぎあわせて一つの答えを出した。

「鈴音……なのか?」
「う、うん……」
「もしや、これが……」

祐輔の言葉を遮って、リビングの扉がバァンと勢い良く開けられる。

「そう!それが……」
「私たちの実験だ」

ドヤ顔で台詞を言いながら現れたのは、白衣を身にまとった男女。男の方はかなり体格がよく、女の方はかなり大きくなった祐輔の胸に負けないほど前に張り出した胸と、惜しげも無く晒されているムチムチとしたグラマラスな足を持っている。そして、二人の顔は男性と女性としての違いを差し引けば、全くと言っていいほど同じだった。

「どういうこと、ですか……!兄さん、姉さん」

両親がいない間の実質的な一家の稼ぎ頭である二人に、あまり反抗できない祐輔。その負い目につけ込まれて参加を強制された実験は数知れずだ。

「祐輔と鈴音の性別を入れ替え、鈴音を大きくすることで立場を逆転させる……」
「そして、日常生活を行ってもらうことで、どのような反応を祐輔達が示すか、また、周りの社会が示すか、観察するのだ!」

全く悪びれる様子もなく、大きな声で弟と妹に告げる兄と姉。

「こ、こんな状況で日常生活なんて……」
「それは問題ない!たった今、周りの記憶をいじって、性転換したことを認知させたからな!」
「兄さん……それって、普通に元から性別が逆だったことにしたほうが……」
「それだとこの実験をする意味が無いだろう!性転換したものに対する反応が見たいのだからな!それにほら!服だって用意したし、鈴音に関しては元から高校生だったことにしてあるぞ!さあ、さっさと高校にいけ!」

祐輔が反論する前に、リビングの至るところからロボットアームが伸び、神業じみた操作で破れかけのパジャマを引きちぎり、二人に制服を着せた。同じ学校の、今の性別にあったもので、祐輔に至っては、胸のサイズもピッタリのブラまで付けられ、押し上げられた乳房がさらに大きくなったように強調されていた。

そして、歯磨きや、長くなった祐輔の髪のセットも次の一瞬で施され、家から放り出された祐輔と鈴音だった。

「「いってらっしゃい!!」」
「「い、いってきます……」」

玄関についたスピーカーから聞こえる兄と姉の声を聞き、二人は仕方なく歩き出す。すぐに祐輔の、爆乳、という言葉でも足りないほど大きな祐輔の胸が歩行で生み出される振動を大きく増幅してブルンブルンと揺れ、二人とも目が釘付けになる。

「おおきいね……私はぺったんこだったのに」
「おおきすぎるぞ……姉さんたち、本当に悪趣味だなぁ」

胸の大きさを際立たせる、逆にキュッとしまったウエストは、祐輔の目からは胸に遮られて完全に見えない。背の高くなった鈴音に若干圧迫感を感じながら、道を進んでいく。

「(なんというか、今の鈴音、頼れそうだなぁ……いや、体が大きいだけで精神は女子中学生なんだから、俺が守ってやらないと)」

家から離れ、多くの生徒が集まり始める学校近くになって、周りの視線を感じる回数が増えていく。昨日まで同じ部活動をしていた友人も多くいたが、みな祐輔を好奇の目で見ていた。男になった鈴音にも若干目が向けられているようだったが、胸のせいで圧倒的に動きの多い祐輔が注目の的になっているのだった。

「(は、はずかしい……)」

注目されている状態を脱しようと、腕で胸を押さえつけようとするが、腕の上下から胸肉が溢れだし、ムギュッと寄せられた二つの丘の間に深い谷間ができてしまい、むしろさらに注目されてしまう祐輔。

「(いやだ……やめてくれ……)な、なぁ、鈴音、もうちょっと速く行こうか」
「え、うん……」

羞恥心から足を早め、一刻も早く教室にたどり着くことにした祐輔だったが、誤算があった。

「んっ……ひゃっ……やめっ……きゅっ……!」

激しく揺れるようになった胸の先端と、ブラが擦れ始めてしまい、祐輔の体に電撃が走るようになってしまったのだ。思わず喘ぎ声を出してしまう祐輔。

「お、お兄ちゃん、大丈夫?」
「男の声で、あんっ……!お兄ちゃんは、ふゅっ……よしてくれ!」

電撃が加えられ続けるのに何とか耐えていたがしかし、祐輔が体験したことのないような感覚が下腹部に溜まり始める。

「(おなかがあつい……なんだこれっ……)」
「じゃあ、に、兄さんで、いい?」
「あ、あぁ……」

やっとのことで教室に飛び込み、そのまま自分の席にドサッと座り込み、突っ伏そうとする祐輔。それを、胸についた大きなクッションが邪魔をする。

「あぁんっ!」

あまりに強い衝撃が胸に伝わり、大きな奇声を発してしまう祐輔。ハッと気が付くと、周りからムラムラとした色欲とピリピリとした嫉妬が突き刺さってくる。

「お、おはよう、みんな……」

気まずくなった祐輔が声をかけても、誰も返答しない。少しの沈黙の後、一人のポニーテールの女子が近づいてくる。彼女は、祐輔の後ろに棒立ちになっている鈴音を一瞥し、祐輔に質問した。

「高町だよね?」
「は、はい……」

ほぼ殺気に近い女子の気迫に、たじろぐ祐輔。女子は祐輔の顔の下、自らのものとは正反対に、大きく自らを主張する爆乳をジッと見る。

「こんな……大きな……おっぱいしちゃって」
「あ、あの……?」

女子は、手を伸ばして、その盛り上がりに触れようとする。

「こんなもの……こうしてっ!!」

《キーンコーンカーンコーン!》
手が服の表面に達する前に、始業時間を知らせるチャイムが鳴り響いた。

「チッ!ほら、鈴音、あんたの席はそこでしょ?なにぼーっとしてるの」
「は、はい!」

女子は祐輔の隣の席を指さす。元女性の鈴音には若干甘いようで、少なくとも殺気は向けていないようだった。鈴音はビクッとしながら言われた席に座った。

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兄達が言った通り、鈴音は、転校生ではなく、本当にそのクラスに元からいたような扱いを受け、なぜか鈴音のことが気になっていたかなにかで、鈴音の方を見ながらこの世が終わったような顔をしている男子が一人いるくらいだった。鈴音は、大きくなった体にすぐに慣れたようで、意味の分からない授業を、板書だけは書き写しながら、ボーッと受けていた。

問題は、祐輔だった。板書を取ろうとしても手元が胸で見えず、あまり前かがみになると長い黒髪が視線の中になだれ込んでくる。何度も何度も、手で髪を肩の後ろに回そうとする必要があり、その度、重い胸が邪魔をした。授業が一時限終わる頃には、ものすごい肩こりになってしまっていた。

「ふぅ……疲れたぁ……」
「ねぇ、ね、おにいちゃ……兄さん……」
「なんだ、鈴音」

授業が終わった途端、鈴音がソワソワしながら祐輔に尋ねた。

「あのね、トイレに行きたいんだけど……教えて?」
「ああ、わかった……えっ!?ちょ、ま、まて!今、俺は女なんだぞ!?」

思わぬ妹の依頼にうろたえる祐輔。

「でも……」

困り果てる二人の元に、さっきの女子が近づいてきた。

「トイレ?なら……富士根、あんたついてってやって」

女子は、鈴音の泣きそうな顔を見て、その前に座っていた男子生徒に声をかけた。メガネを掛けた清純そうなその生徒は、二つ返事で了承し、鈴音も不安そうではあったがついていった。

「さて、高町……」
「なんだよ馬橋、さっきから……」

ついさっきと同じように殺気を向ける、馬橋と呼ばれた女子だったが、微妙にやけくそになったように涙を流しながら胸を鷲掴みにした。

「私のことも考えずに、女になっちゃったのね!?このっ!!」
「ひゃぁっ!?」

祐輔の脳内に、刺激を越えた何かが溢れかえる。

「ま、まばしっ……ひゃ、そこ、やっ、やめてぇっ!!」
「うるさいっ!この、このっ!!」

馬橋の手が、双丘を上下左右にこねくり回す。祐輔はただただ嬌声を上げ、快感から逃げることすらままならない。

「き、きちゃうっ!あっ!!だめぇっっ……!」
「あらあら、体は正直なようよ?立派に勃てちゃって!」

胸の先端が、少し盛り上がっている。

「す、すずねに、見せられないよぉっ……!!」
「あっはは、それは大丈夫だから安心しなさい!あんなうぶな奴に、兄の痴態を見せるわけに行かないじゃない!あら?今は姉だったかな?」
「ふあっ!」

体中の筋肉が緩んでしまい、口がだらしなく開き、目は上を向いてしまう。

「(こ、これが女の快感なのか……!?いや、今はそんなことよりもぉっ!)すずね、もどってきちゃうぅ!!」
「まだ平気平気!あんたには痛い目見てもらわないと気がすまないからぁっ!あっ……」

理性を手放しそうになった瞬間、責苦が終わる。祐輔はなんとか我に返り、口がぽっかり開いた馬橋の視線の先を見る。

「な、なにぃ……?っ……!!!」
「高町、ごめん……」

その先には、唖然とした鈴音がいた。

「おにい、ちゃん?」
「すず……すずね?……鈴音!!?」

鈴音の顔は、驚愕から嫌悪へと変わっていく。

「す、鈴音、これは、違うんだ……!」

祐輔は、必死に説得しようとして、席から立ち上がる。その動きで、大きく揺れる乳房を見て、鈴音は急に走り去ってしまった。

「鈴音!!待って……くっ!」

馬橋をキッと睨み、鈴音を追って祐輔は走りだした。

「んひゃっ……!も、もうだめ……っ!」

祐輔は荒い息を立てて立ち止まった。汗だくで疲れきった爆乳美女に話しかける馬橋は、汗など一滴も出していない。

「ねぇ、どんだけ体力なくなってるの?」
「う、うるさいっ!体が敏感なんだよ!」

祐輔がいるのは、自分の隣の教室の前だった。その距離、約15mといったところか。

「無理に走ろうとするから……」
「こ、こんなに感じるなんて思ってなかった」

早歩きだけでもギリギリだった祐輔の精神は、走ることによる全身と服の擦れからくる刺激に耐えられるはずがなかったのだ。

「変身したばかりなんだから、皮膚が慣れてないんじゃない?」
「そうだな……なあ、女になってすまなかった」
「ふん……謝るのが遅い」

祐輔は、前から馬橋に間接的にアタックされているのに気づいていた。最初に責められた時は、恐怖とともに申し訳無さを感じ強く出ることができなかった。

「まぁ、鈴音のことについては、私も……」
「あぁ、そうだぞ。罰として……」
「うぅ……」
「俺の代わりに鈴音を探してくれないか。それでチャラだ」
「え、それだけ?」

馬橋に向かって、微笑む祐輔。馬橋は安堵したのか、大きく息を吐くと、答えた。

「分かった!」

馬橋が駆け出していくのを見送り、自分は教室に戻る。妹の嫌悪の顔が、頭の中にこびりついていた。うつむくと、歩くのと同期してプルンプルンと揺れる胸が目に入る。今日の朝まで夢でも見たことのないような大きさのそれは、今は確実に自分のものだ。

「はぁ……」

いつ戻るのかわからず、不安の溜め息をつきながら教室に入ると、先ほどに増して異様な雰囲気が漂っていた。

「なんだこの嫌な予感……」

男子生徒がガタガタと立ち上がり、ゾンビのようにヨロヨロと祐輔に近寄ってくる。

「お、お前らどうしたんだよ……」

祐輔が怖気づいて尋ねても、「たかまち……」「ゆう……すけ……」と、本当にゾンビのような理性のかけらもない答えしか返ってこない。クラスメートたちはゆっくりと歩いていたが、祐輔も恐怖に腰が抜けてしまい、体力が切れていたこともあってその場に崩れ落ちてしまう。

「な、なんだよ……やめろ……」

魔の手がじわじわと、祐輔に詰め寄る。手が触れそうになったその時、教室に大きな声が響いた。

「お兄ちゃん!」
「す、すずね……?」

教室に入ってきたらしい鈴音の低めな声に、心をなでおろす。ただ、男子生徒にはその声は届かなかったようで、さっき馬橋が下のと同じように、胸をまさぐりはじめ、足をなではじめ、腕を愛ではじめた。

「ふゃっ……おまえら、あっ……そこ、そこはっ……!!」

鈴音に続いて、馬橋も入ってきた。

「高町、約束通り、鈴音を連れてきた……って何なのよこれ!」
「お兄ちゃん、逃げないと!」
「すずね……お願いっ!」

鈴音は、その大きな体格でクラスメートたちをなぎ倒し、床にへたり込んだ兄を、背中と膝を腕で持って支え、持ち上げた。

「おい、これって……」
「え?早く逃げようよ!」
「あ、あぁ……(お姫様だっこ、だよな、これ……)」

妹に「お姫様抱っこ」で担がれ教室から逃げ出し、嬉し恥ずかしの兄は窮地を脱したのだった。

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結局、保健室に逃げ込んだ二人と、馬橋。幸い保健室には誰も在室しておらず、何も聞かれること無くベッドを借りることができた。

「もう大丈夫だよね……」
「こ、こわかったよぉ……じゃなくって!ありがとう……はぁ、やっと落ち着いた……なんであいつら……」

クラスメートの変貌ぶりを思い出し、身震いする祐輔。馬橋は、それを見て額を手で押さえた。

「ごめん、クラスの中であんな痴態を見せられたら、みんな興奮しちゃうよね……さっきの祐輔、エロビデオの女優さながらだったし」
「……そうか」

祐輔の方に向き直る馬橋は、取り繕ったような笑顔を祐輔に向けた。

「私、教室に戻るよ。あいつらぶちのめしてこないと、収まりが付かないだろうから」
「……頼む」
「それから、鈴音」
「な、なんですか?」

鈴音は、高校生でも大柄な方の体をビクッと震わせる。

「ちょっと、そんなに怖がらないでよ。さっき、ちゃんとお話したでしょ」
「あ、そうでした。ごめんなさい……」
「ああもう、あんたと話してると調子狂うわー。まあ、お兄ちゃんを守ってあげてね。じゃ!」

馬橋はベッドのカーテンを閉めると、保健室から出て行ったようだ。

「(さっきのこと、説明しないとな……)鈴音……」
「お兄ちゃん、ごめん!」

祐輔の声は、もっと大きな鈴音の声に遮られた。

「鈴音?」
「私、お兄ちゃんに興奮しちゃったの……その、おちんちんが硬くなっちゃって」

目を逸らしながらしゃべる鈴音の声は一転、消え入りそうな弱々しい物になって、震えていた。

「え?」
「授業中も、さっきトイレに行った後も……それで、私自分のことが嫌になって逃げ出しちゃった」
「そうだったのか……(俺だって、こんな女の子がいたら少しくらいは興奮するんだろうな……)」
「こんな妹、いやだよね」

祐輔は、とっさに答える。

「いやじゃないぞ」
「え?」
「仕方ないだろ。それが男ってやつさ。むしろ、クラスのあいつらより、よっぽど理性的だと思うけどな」

祐輔は、そう言った後で、自分の中にそれ以外の理由があることを、かすかに感じていた。

「(鈴音と一緒にいると、すごく安心するし……)」

だが鈴音は、その言葉を素直に受け取ったようで、少し申し訳無さそうではあるが、うなづいた。

「うん……」
「だけど、お互い慣れたほうがいいと思うことは、確かだな」
「じゃあ……」

だが、次に鈴音がしたことは、祐輔にとっては信じがたいことだった。急に服を脱ぎ始めたのだ。

「鈴音?何、やって……」
「お互いを知るんでしょ?それなら、脱いじゃったほうが……」
「いやいやいや、それはおかしい」
「おかしくないよ。お兄ちゃんを守れるのは私だけなんだから。もう逃げ出したりしないよ」

急に攻めてきた鈴音に、祐輔はたじろいだ。ただ、その次に浮かんだのは恐怖感ではなく、淡い期待感だった。あっと言う間に服を脱ぎ終わると、鈴音は祐輔の服を左右から引っ張った。

「おい、ちょっと……」
「だから、ね」

そして、力を入れると、プツプツプツっとボタンが全てはねとび、中からバレーボールが入りそうなほど大きな乳房が飛び出てきた。

「ひゃんっ!鈴音、だめ、だめだぞ……」
「お兄ちゃんの、おっぱい……」

金髪の頭を、その谷間に突っ込む鈴音。祐輔は、妹に手荒なことができず、されるがままだ。鈴音は、少し赤らめてはいるが、真面目そのものの顔で、双丘の先端についた突起をつまみ、コリコリと揉む。

「あぁ……!ふあっ!そんなとこっ……!」
「女の人は、ここが弱いんだよ」
「そんなの……わかってるよぉっ……!あんっ!」

今度は、口を近づけてペロペロと舐める。

「やめ、やんっっ!!」
「どう?気持ちいい?」
「き、きもちいいよぉっ!」
「ふふ、よかった」

口を離すのを見て、これで一段落かと祐輔が思った次の瞬間、スカートを外され、ニーソックスを脱がされて、あらわになった足がツーッと指でなでられる。

「あぁぁんっ……」
「こーんなきれいな足、羨ましいなぁ……」
「ほめられても、うれしくない……」
「本当?」

祐輔は実際、自分が手に入れた体の魅力に気付かされ始めていた。鈴音から見を守ろうとして手で覆ったウエストは、その下につながっている足から想像もできないほどくびれていて、肌もすべすべしている。時折窓やスマホの画面の反射で目に映っていた自分の顔も、釣り目で凛々しく、人の性欲をそそるものだ。

「う、うぅ……」
「かわいいね」
「あ、ありがと……」

自分以外の誰もが、自分の姿を見ている。それでいて、自分自身は見ていない。その事実のせいで、もっと自分の外見が気になってしまう。

「ね、ねぇ……私って、綺麗……?(あ、あれ?今、自分のこと私って言ったか?)」

頭の中に浮かぶ自分の姿に合わせた言葉を、思わず紡いでしまう祐輔。鈴音も、すこし驚いたようだが、すぐニッコリして答える。

「うん、綺麗だよ」

妹の言葉に心躍らせる祐輔。自分が褒められたのは間違いない。何かが間違っている気がしたが、どうでもよかった。

「じゃ、僕は?かっこいい?」
「えっと……」

妹に聞かれ、これまであったことを思い出す。登校中の、鈴音の側にいた時や、教室に助けに来てくれた時の安心感。気づいてみれば授業中も、横にいてくれるだけで落ち着いていられたのだった。

「うん。かっこいい、かな」
「そっか」
「それより、もっと私を教えて?」

妹の瞳に映る自分の顔は、自分でも信じられないくらい扇情的だった。その姿にハッとする。

「(違う、俺は男、なんで妹を誘ってるんだよ)」

思考を元に戻そうとするが、もう遅かった。

「そうだね……すごく、髪が綺麗」

妹に褒められるときのときめきは、もう抑えられなかったのだ。

「それは、鈴音も一緒だよ」

シーツとカーテンに包まれた白い空間で、金髪が輝いている。その美しさと、包み込んでくれるような鈴音の優しい表情に、祐輔は心惹かれるのだった。

「ありがと……お姉ちゃんには敵わないけどね」
「うふふ、言ってくれるじゃないの」

どんどん、今までの自分とは別の人格が形成されていく。グラマラスな体にふさわしい、誘惑的な女性としての人格だ。

「(この体になったっていうのに、男だっていうことを固辞しても、仕方ないよな……)」
「あとね、おっぱいもすごく大きいし」
「そんなの、私が一番解ってる……誰にも負けないよ」

今度は、自分から乳房を寄せ、鈴音に見せつける。

「ふふ、またそんなに硬くしちゃって、いけない子ね」

鈴音のトランクスが盛り上がっているのを、もはや愛嬌のあるものとしてみている祐輔。鈴音は顔を赤くする。

「姉さんが悪いんだろ」
「はいはい、ごめんなさいね。それじゃ、そろそろ戻りましょっか。イケメンさんっ」
「また、見せてくれる?」
「じゃあ、鈴音が女の子に戻って、成長したときに、お返しに見せて?」
「わ、わかったよ」

こうして、その日一日、祐輔は、男性を演じる鈴音と一緒に、女性としての自分を演じることにしたのだった。

その数日後。二人は、戻れていなかった。いや実際は、戻っていなかった。元に戻る薬品を渡された時、二人の同意でもう一日だけ、男女逆転の生活をしてみようということになって、それが一日延長では終わらず、同じことが何日も繰り返されているのだ。

変身して以来、登校中は二人はいつも一緒だ。

「まって、鈴音!」
「ゆうねえが遅いんだ」
「もうっ、それなら……えいっ!」

祐輔は鈴音の背中に自分の胸を押し付けるように抱きついた。鈴音は赤面する。

「ね、姉さん……やめてったら」
「いいじゃないの、姉弟なんだからぁ」

祐輔が、最初は仮初めのものとして作り上げた女の性格が、元の性格、男としての祐輔に上書きしていた。

「鈴音の背中、大きくてほっとするなー」
「バカなこと言ってないで、行くよ!」
「はいはーい」

祐輔にとっては、もはや元に戻る理由などなくなっていた。

「(鈴音さえいれば、私は生きていける。たとえ、どんな体になっても!)」

鈴音に寄り添いながら、高校へ向かう祐輔だった。


 

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