あむぁいおかし製作所様での投稿(http://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-26245.html)と同内容です。イラストは春瀬めいお様に描いていただきました。
「はぁ……はぁ……なんとか、なったか……」
「ごめん、僕の家まで来てもらって……」
二人は、学の家の一人部屋にいた。学が、逃げる途中で疲れ切って荷物も持てないほどになり、仕方なく太地がついてきたのだった。
「……ってお前、まだこの薬あるのか」
学の机の上には、ついこの朝見た薬の瓶が何本か並べられていた。
「薬……?あぁ、だって、すぐに効くなんて思ってなかったし、サプリみたいに何回も飲むものだって言われたから……」
「お前ってホント騙されやすいのな……まぁ、こんなにすぐにもとに戻るようじゃ、本当に成績伸ばすには何本も必要だろうよ……もうこの教科書も半分わかんねぇし」
さきほど図書室で学にスラスラ教えていた数学の教科書を見ながら、太地はため息をついた。
「つまり、頭が良くなるためにはあのボインボインのままでいろってことか」
「……ま、また薬飲んで勉強教えてくれる……?」
太地は、若干鼻の下を伸ばしている学の顔を見て、寒気が走った。
「で、発情したお前に襲われろってか……」太地は、薬の瓶を一本取って、蓋を開けた。そしてその瓶を、学の口に突っ込んだ。
「ふざけんな、自分で勉強しやがれ!」
太地が学の鼻をつまむと、学は薬の中身を飲み込んでしまった。
「……げほっ、げほっ!の、飲んじゃった……」
「さーって、今度はお前が女になる番だ、せいぜい楽しませてくれよな……」
「や、やだぁ……」
太地は、学の体が変化し始めるのをいまか、いまかと待った。だが、何も起きない。それは、1分たっても、2分たっても同じだった。壁掛け時計がカチカチと鳴る音が部屋に虚しく響いた。
「……あー、なんか冷めちまったな……」
「……はぁ……」
太地はじーっと目を凝らして見続けていた学から目を離した。学も安堵したのか、ため息をついた。
「ま、そろそろ帰るか……ん?」
「今度は何?」
太地は、本棚にあった一冊の本に目を奪われていた。
「おっ!本屋で売り切れてた最新刊じゃん!学、これ読んでいってもいいよな!」
「えっ……」
「あん?」
「あ、うん……」
一旦断りかけた学だが、太地の苛立ちの目に圧倒されてしまった。
「よし。読み終わったら帰るからよ」
「う、うん……僕は勉強してるから……」
「お、いい心意気だなー」
学は教科書と宿題をかばんから取り出して机で勉強し、太地は本棚から漫画本を取り出してベッドで読み始めた。
「……しっかし、なんで俺は女の子になってお前はならないんだろうな……って、寝てるし……」
勉強し始めて何分も立たないうちに、学は疲れ切ったのか寝てしまっていた。
「しかたねぇやつだなぁ……。ん?おっ?」
そして、その短く切った髪の毛が、伸び始めていた。太地は漫画本を投げ捨て、ベッドから立ち上がって学に近づいた。確かに、その髪がシュルシュルと伸びている。
「おい、学、起きろ……って……?」
「ん……」と声を出した学は、元々から小柄だった体がさらに小柄になっていく……のではなく、大きくなり始めていた。肩は段々と丸くなっているのだが、広くなっていく。そのせいで、着たままだった制服のシャツが引っ張られている。
「僕の腕、長くなってる……?」そういう学の腕は確かに長くなっていた。変身のときに明らかに元より小さくなっていた太地とは逆に、学は平均的な女性の身長、いや、太地の背にも近づいていくようだった。
「足、キツい……っ」目は覚めつつも、まだ寝ぼけている学のズボンがパンパンになり、ビリビリと糸がほつれる音がしている。そして、「んんんっ……!」という学の喘ぎとともに、縫い目からバリッっとズボンが破れてしまった。
「学、お前……」ズボンの中から現れたのは、長くてムチムチの太ももだった。そして学が立ち上がると、シャツのボタンもバチバチと飛び、女性のものとなった学の体があらわになった。しかも、その身長は太地と同じくらいになっていた。
「あれ……?太地の背が低くなってる……?」
「お前の背が高くなってるんだよ!」
寝ぼけまなこで太地の顔を見てキョトンとする学にツッコミを入れる太地。
「えへへ、そっかぁ……じゃあ……」
「うわぁっ!?」
太地は、またもや学に押し倒された。今度は、ベッドの上に。
「また太地と遊べるんだね」
恍惚とした学の顔に、寒気を覚える太地。
「べ、勉強しろよ……それに……」
「ん?」
「こんな胸じゃ俺をコーフンさせられないぜ!」
ぺったんこのままだった学の両乳首をつまんでニヤッとする太地。先程の図書室での仕返しのつもりでもあった。
「んぅっ……!」そして、太地の思ったとおり、学はその刺激に悶絶して仰け反った。だが、同時にムクッと膨らんだ胸に度肝を抜かれた。
「んへへ……変身、まだ終わってない……みたい……っ!」
控えめに膨らんだ胸が、ブルンッと爆発的に膨らむ。一気に、さきほどの太地と同じサイズの乳房が出来上がってしまった。
「お、お前……」
「とまんないよぉっ……まだ、おっきくなるよ……っ!」
ムグググと膨らむおっぱい。それを、学は自分の両手で持ち上げる。
「やわらかぁい……でも、もう……ちょっと……!」
そして、最後の仕上げとばかりに、頭ほどに大きくなってしまった。太地は、今度は寒気というより恐怖を覚えて、ベッドから逃げようとした……が、遅かった。
「……んふふ、お姉さんと、あそぼ……?なんちゃって」
図書室でのセリフを返した学が、胸から先に太地にのしかかったのだ。張りのある、だがこの上のなく柔らかくて温かいものが体を包む感覚が、太地の動きを鈍らせる。
「や、やめ……」
「えへへ、僕、薬で頭が良くなったせいでいろんなこと分かっちゃうんだ……太地が、年上のお姉さんが好きなこと、それに……」
学は、太地の顔をなでた。
「攻めに弱いってこと」
「そ、そんなこと……」
学は、太地のズボンのジッパーを、ゆっくりと開けていく。
「じゃあ、どうしてこんなに勃たせてるのかな……?」
「それは、おっぱいが気持ちよくて……」
そうだね、と学は体を起こし、その豊満な胸を太地から離した。そして少し考えたあと、今度は太地の横に寝そべった。
「じゃあ、『お姉さん』の言葉責めはどう……?」
「ゴクリ……はっ、俺は何を考えて……」
太地は、「言葉責め」を想像しただけでも興奮している自分に気づいた。完全に、学に弱みを握られている自分に。
「あはは、やっぱりね」
「どうして、俺の時はそんなことまで気づかなかったのに……」
「そりゃ、太地は僕のことなんかあまり気にしてないみたいだからね。僕は、唯一の話し相手の君しか、気にするものがなかったんだ」
「お前……」
ニコッと微笑む学。
「だから君の目に止まりたくてあんな薬を買ったんだけど……」
学の胸が縮み始める。
「あ、もう時間切れみたいだ」
「はぁ、どうなるかと思った……」
太地は、小さく、もとに戻っていく学を見て、胸をなでおろした。
「あ、あはは、楽しかった……」
「今度やったらただじゃおかないからな」
太地は、もとの気弱な少年に戻った学に、脅し文句を言った。
「え?ほんとに?」
だが、いつもどおりとは行かなかった。オドオドしているが、学はニヤリとほくそ笑んでいた。
「な、なんだよ」
「太地の好みの『お姉さん』、また見たいでしょ……?君こそ、僕をいじめないほうがいいよ」
「……ば、バーカ!!」
太地は、その場から逃げるように立ち去った。
—
その数週間後。
教室でこそこそと離す二人の生徒。
「太地って、丸くなったよな……?学に対しては特に、だけど」
「この間……太地が変なことになったあと……だよな」
「あれ、仲良くとなったというか、なんか別モンのような気もする」
その視線の先では、昼ごはんのパンを同じ机で食べる太地と学の姿があった。
「太地くん……あ、いや、太地、あとでまた勉強教えてくれるかな……?」
「あぁ、分かった……この頃は必死に授業受けてんだ、だから……」
太地は急に頭を下げた。
「ん?」
「今夜も、アレ、やってくれ……」
学は、微笑んだ。
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