肌の漂白剤

「黒ずんだ肌におすすめ!1日3錠飲めば、10日目に効果が出ます!」

というのが、三郎(さぶろう)が10日飲んできた薬の宣伝文句だった。40代に入ろうとしていた彼の肌は、長年嗜んできたタバコの煙が染み付いたように黒ずんでいた。
現場仕事の彼にとっては、そこまで気になっていなかったことではあったが、テレビで「きれいな肌の男性の方がモテる」というのを見て、一つ薬を試してみることにしたのだった。

「しかし、全然効き目がない……もったいないから飲んでたが、偽物だったか」

残り1錠で、全部の薬を飲み終わる。夕食の片付けをしながら、相変わらず浅黒い色の自分の肌を見た。

「やっぱ、そんなに気にするもんでもなかったか」

バツイチだが、まだ時間の余裕はある。肌が汚かろうが、どこかでまた新しい伴侶を見つけられるだろう。彼は、最後に残った薬を袋からだし、水で飲み干した。

「だが、ちょっとくらいきれいになっても良かったんじゃないか?」

その時、彼の右腕からベリッと何かが剥がれる音がするとともに、激痛が走った。

「いっつ……な、なんだってんだよっ!」

彼は、いつの間にか付いていたシールか何かが剥がれたのだろうと思って、右腕を見た。

「な……な、なんだこりゃぁっ!」

その手首が、脈動するように膨れたり、しぼんだりしている。そして、その膨れる範囲が、どんどん広がっていた。

「俺の、俺の腕がぁっ!」

やがて腕全体が風船のように、パンパンに膨れ上がった。

「な、んだよ……これ……」

三郎は、恐る恐る膨れた右腕を触る。だが、自分の腕を触っているはずなのに、右腕には触れられている感覚がない。それは腫れ物と言うより本当に風船のようで、中が透けて見えるようだった。

「気持ちわりいなぁ……うわっ!?」

パァンッ!!と、ただの膜と化した三郎の右腕の皮膚が、破裂した。だが、変わらず痛みはない。三郎の左腕のひどい日焼けの後の剥がれたもののように、右腕から半透明に垂れ下がった。

「ったく……なんだってんだよ」

三郎はその皮膚を剥がす。そこには、現場で酷使された筋肉質の腕ではなく、きめ細やかな白い皮膚に包まれた、細い腕があった。

「……は?ん、こ、こんどは手がっ」

右の手指が、ドクンドクンと脈打ちながら膨らんでいく。ベリベリと皮膚が剥がされる音が聞こえ、やがて膨らみは手のひら全体に広がる。

「ま、まさかっ」

三郎は膨らんだ右手を、左手で引っ張った。すると、右手の皮膚は手袋を外すようにスルッと抜け、中には細くて長い、右腕と同じように透き通った肌の手指があった。

「あの薬のせいで、皮膚が剥がれていっているのか!?」

しかし、変わったのは皮膚の色だけではない。明らかに、新たに現れた右腕は、元の三郎よりほっそりとしたものだ。輪郭も柔らかく、どこか女性らしささえ感じる。

「まさか、女になってる?はは、そんなわけねーか」

その言葉に答えるがごとく、今度は股間から激痛がした。

「いぎっ……う、嘘だろ、おいっ!」

三郎は、トイレに駆け込み、便座の上にどんと腰かけて、ズボンを下ろした。そこには、異常に盛り上がったトランクスがあった。

「や、やめろ、やめろっ!!」

トランクスも下ろすと、先端だけが異様に膨張と萎縮を繰り返すペニスがあった。そして、メリメリとペニスの皮が剥がれていく音がしている。そこで三郎は、その膨張と収縮が、自分の呼吸に連動していることに気づいた。息を吸えば膨らみ、吐けば縮む。

「じゃ、じゃあ、息を止めれば……!」

三郎は息を止めようとしたが、本能的に、水に潜る前のように、一気に息を吸い込んでしまった。三郎のペニスはそれに呼応してありえないくらいに膨張してしまった。トイレに、皮が剥がれる音が響いた。

「ひぎいいっ!!」

あまりの痛さに、荒い息になる。睾丸までも大きく膨れ上がってしまい、ついに……

パァンッ!と、三郎の股間は破裂した。

「うわああぁぁっ!!」

その皮は、トイレの中に垂れ下がり、水に引っ張られるように自然に落ちてしまった。

「まさかまさかまさか……っ!」

そこには、毛一本ない、スッと入った一本のスジしか残っていない、寂しい股間が残るだけだった。

「俺、やっぱり、女にっ……!あ、あたまがっ!」

顔を焼かれるような痛みが走る。たまらず、顔をかきむしると、ボロボロと皮膚が取れ、中からは別人のような、端正な顔が現れる。髪もサラサラと伸び、三郎の手にかかった。

「の、喉が苦し……ぁ……ぁあっ!声が!」

三重顎のように、首まわりがブクゥッっと膨れる。喉仏がなくなったせいで、三郎の声のトーンがグイグイあがり、アルトくらいの女性のものになってしまった。プシュッと空気が抜けると、首の皮はダラッと垂れ下がった。

「ま、また皮膚がっ!洗い流さないと!」

パニックに陥りかけていた三郎は服を脱ぎ捨て、浴室に飛び込み、蛇口を捻った。しかし、首にシャワーを当てた瞬間、乳首に激烈な刺激が走った。

「ぎゃぁっ!」

腰が抜けた三郎はシャワーを投げ捨て、壁に背を当てて床に座り込んでしまった。その呼吸ごとに、ビリッビリッと胸の突起に電撃のような痛みが走っていた。

「胸、胸がっ」

ビクン、ビクンと乳首が振動し、胸筋がムギュ、ムギュと形を変えていく。乳首の周りに小さな山が、空気入れで空気を入れられるように形成され、その周りも丸く膨らむ。

「くっ、今度こそっ……」

三郎は息を止め、女性の象徴とも言える胸の膨らみの成長を抑えようとした。思惑通り、胸の成長は止まったが、その頃には胸の筋肉はすっかり鳴りを潜め、元々とはかけ離れたものになってしまっている。

そして、1分くらいして、息止めにも限界が来た。

「ん……ぐ……はぁっ、はぁっ」

そして、大きく息をしてしまう三郎。口から入った空気を受け止めるかのように、ギュゥギュゥと乳房が膨れ上がり、元々の三郎の皮膚の中で、深い谷間ができていく。そして、ピリッ、ピリッと皮でできた乳袋に亀裂が生じ始めると、浅黒い被覆の中から、色白な肌が覗いた。

「だ、だめ……っ」

だが、内部からの膨張に対して、あまり弾力のない皮膚は耐えるすべを持たず、ビリビリと破れて中身の女体をさらけ出し、大きく育った胸がブルンッと飛び出した。

胸に気を取られていた三郎だったが、体全体の皮膚がボロボロと取れ、中に形成された女性の生肌に取って代わられていた。腰の部分もピンピンに肌が張ったと思えば、中からプリッと弾力のある尻肉が飛び出す。脚の皮はタイツのように脱げ、左腕もブカブカの長手袋をしているような状態になった。

もう事態を受け入れるほかなくなった三郎は、立ち上がって風呂場の鏡を見た。薬の効能は完璧で、全身の肌がすべすべとした白い物になっていた。ところどころに残っている元々の皮膚の黒さのせいで、全身が輝いているようにすら見えた。

「一体、俺が何をしたっていうんだよ……」

鈴の音を鳴らすような声と、柔らかい輪郭、出るところは出ている良いスタイル。鏡の中に映るのはグラビアに出てきそうな女性だ。三郎は無意識に自分の体を触り、その女性が自分であるという事を確認していた。

「し、しかし、結構、好みの女になっているな……」

胸を持ち上げると、そこそこの重さと弾力を感じる。多少肉がついた腹と太ももに手を押し込み、その肌の張りを確かめる。

魔のアクセサリ

時は夜も更け、皆が寝静まった頃。場所はとある日本家屋の一部屋。普通の大きさ、普通の畳敷きのその和室のふすまには、普通では考えられないほどの札が貼られていた。その中に一人、その家の主の孫である少年がたたずんでいた。その視線の先には、台に載せられた首輪のようなもの……チョーカーが置かれていた。

「これなんだろ……こんな変なところに置かれてるんだから、すごいものだよね……?」

子供ならではの好奇心で、チョーカーを手に取る。小学生になったばかりの少年には少し大きめの、革製のチョーカーを、少年はそのまま首に巻いた。

「えっと、この金具をとめるんだよね」

テレビで見たことのあるアクセサリの身につけ方を真似て、少年がチョーカーを締めたその時だった。

「な、なにこれ!?」

チョーカーが赤い光を発し始め、少年の頭の中に何かが入り込んでくる感覚がした。その流れは全身に及び、少年の体全体に赤い光が行き渡った。

「えっ、えっ」
「(あらまぁ、男の子?)」
「ひぃっ!?」

いきなり、聞いたことがない女性の声が聞こえ、少年は腰を抜かして尻もちをついた。

「(そんなに驚かれるのも心外だわ。私の力を求めてチョーカーを付けたんじゃないのね)」
「ち、力……?」

声の主を見つけようと、周りを見渡す。だが、お札まみれの襖があるだけで、部屋には少年以外誰もいなかった。

「(一体誰を探してるの?私はあなたの中にいるのよ)」
「ぼくの中!?」

今度はシャツを脱ぎ、おなかの様子を確認する少年。女性のため息が聞こえた。

「(はぁ……まぁいいわ。こんなにか弱い子なら、体を乗っ取ることもできるはずだし。えいっ!)」

少年の体が、彼の意思に反して勝手に動き始めた。

「や、やだっ」
「(やっぱりね。何十年も封印されてたから退屈だし、ちょっとあなたの体で遊ばせてよ)」
「おばさんはだれなの!?」
「(おばさんですって。確かに数百年はこの世に存在しているけど、この時代で女性に向かってその呼び方はいけないことなのよね。罰として、私がいいって言うまで喋っちゃだめ)」
「む、むぅっ!」

口が閉じて開かなくなる。その代わり、少年に体のコントロールが戻った。足が動かない以外は。

「(さぁ、こんな窮屈な体、さっさと作り変えちゃいましょ。まずは腕からにしようかしら)」

少年の左腕が、ベキベキと長くなる。小さな手のひらが長く、細く成長する。男性であるはずの彼の腕は、女性の大人のものになっていた。

「(こんなんでいいわね。じゃあ右腕も)」

右腕も左腕に続くように成長した。次に背骨や肋骨が成長し、上半身が大きくなる。少年の小さな下半身に、大人の上半身が付き、その上にはまた子供の顔がついているといういびつな状態になっていた。

「(ちょっと体を支えにくいかもしれないけど、一つ一ついじくるから仕方ないわよね)」

骨盤がメキメキと横に広がり、相対的にウエストが絞られていく。左足がパジャマからにょきにょきと伸びて、2倍ほどの長さになる。

「(あ、服を着たまま大きくしちゃった……脱ぐのも難しいだろうから……)」

太ももにムチムチと脂肪がつき、パジャマがビリビリと破け始める。裾が思い切り食い込み、少年は痛みを感じた。

「(もうちょっとだから……えいっ!)」

勢いを付けてバンッと太くなる左足。パジャマがひとたまりもなく破れると、太い木の枝のような太ももがお目見えした。

「(じゃあ右足も……)」

右足は、長くなると同時に急激に太くなっていった。パジャマは、腰のゴム部分を残して破れてしまった。

「(お尻も大きくしましょうね)」

少年の尻が、左、右、左、右と一回りずつ大きくなる。梁のある女性のヒップが、パジャマのゴムを押し広げながら、着実に成長していった。

「(このゴムが切れるまで大きくしてみましょうか。えいっ、えいっ!)」

左の尻がバインっと膨らみ、それに続いて右がムギュッと張り出す。それが続いて、過剰なまでのサイズになったところで、ようやくゴムがビチッと切れた。

「(私の力ってやっぱりすごいわね……こんなことに使ったことなかったけど)」

少年の下半身は、男にのしかかれば潰せてしまえそうなほどムッチリと成熟し、先程とは逆に、貧相な上半身とのバランスが取れなくなっていた。
声を出すことのできない少年は、柔らかくも垂れず、張りを持った太ももとヒップに見とれていた。

「(じゃあお胸も……)」

少年の左胸がムギュッ!っと膨らみ、大きくなった上半身のせいですでにサイズが合わないパジャマの胸の部分が大きく押し上げられた。その先端には、突起のような形状が浮き上がっている。

「(さすがに息が苦しいのはやめましょうか、胸を押さえられたら息ができないでしょ。ほら、服を脱いで)」

脱いでと言った割には、また少年の体の主導権を奪い、無理やり脱がせる女性。そこには、左胸は巨乳、右胸はまな板という釣り合いの取れない少年の上半身があった。

「(じゃあ、続きをしましょ)」

今度は、右胸がバインッ!っと膨らみ、さらにゆっくり膨らんで左胸にサイズが合うようにした。

「(そろそろ顔も整えて……と)」

少年の髪が、腰までバサッと伸び、赤色に染まった。顔も無邪気な子供のものから、魅惑的な女性のものに変わり、瞳は真紅に色を変える。

「(もう少し、胸は小さくしておきましょうか)」

左胸がプシュッと縮む。

「(いや、やっぱり大きく……)」

右胸がブルンと膨らむ。

「(うーん、どうしよう……)」

少年の胸が暴れ始め、膨らんだり縮んだりを繰り返す。

「(これは服が合わないし、こんなんじゃ格好がつかないし……)」

まな板に戻ったかと思えば、頭が入ってしまいそうなほどの爆乳に育ち、人並な乳房まで縮んだ次の瞬間には床に付きそうなほどの巨大な肌色の塊に成長する。

1分ほどそれが続いて、やっと少年の胸のサイズは落ち着いた。

「(よし、これを覚えて……と。元に戻っていいわよ)」
「えっ」

やっと声を出せた少年の体は、元のちいさな男児に戻った。それきり、女性の言葉は聞こえなくなった。

「な、なんだったんだろ……」

いつの間にか、パジャマも元に戻っている。少年は、両親のいる部屋に戻って、自分の布団に潜って、目を閉じた。

だがすぐに、勝手に目が開いた。勝手に手足が動き、布団から出て、父親が寝ている布団に潜り込む。

「ん……どうした?」

父親が気づいて目を覚ました。

「怖い夢みちゃって……」

勝手に、声が出る。

「よし、よし……」

父親に撫でられる少年の頭から、赤い髪が伸びた。

「パパ……」

父親に抱きつく少年の体が、メキメキと大きくなる。その成長する胸が、ビリビリと服を破りつつ、父親の体に押し付けられていく。

「な、なにが起こって……!?」
「パパも、チョーカーの力、楽しんでね」

雨の日

「雨の日のお前ってさぁ……」
「ん?なんだよ」

夏に入りかけの高校の教室から、外を眺める二人の男子高校生。今日の天気は昼から雨だ。

「おっぱいでかいよな……」
「やめろよ」

普通の男子高校生であれば、意味不明な会話。だが、この二人……翔(しょう)と大輝(だいき)……にとっては、普通の会話だった。というのも、翔は雨が降り始めると体が女性のものに変化するのだ。「メタモルフォーゼ症候群」というものの一種らしく、治す方法はなかった。

「今日も女子用の制服持ってきてるんだろ、雨が降ったら着替えるやつ」
「うっせーな、天気が昼間に変わるのめんどいな……」
「居眠りしてるときに雨が降ったら面白そうだな」
「ぜってー寝るもんかよ!」

と言っていた翔は、外が一層暗くなり、遠くでは雨が降っているようなときになって、居眠りしていた。

「……まいっか。みんなこいつの女の姿は知ってるわけだし」

大輝は、窓に水滴が付き始めたのを見て、翔の体を見始めた。授業中ではあるが、翔の席は大輝の前だ。

そのうち、コキコキと骨が軋む音がし始めると、翔の体の表面がだんだんと波打つように変化を始めた。シャツの上から分かるくらいに、筋肉が痙攣している。

「(そういえば、こいつが女になってる最中の様子は見たことなかったな)」

いくら体がメキメキ音を立てても起きない翔を大輝が眺めていると、急に翔の両腕がギュイッと細くなり、シャツがぶかぶかになってしまった。と同時に、シャツの背中の部分が引っ張られる。

「ん……うわぁっ!」

翔が飛び起き、周りの生徒も翔の方に振り向いた。その胸がムクムクと膨らんでいた。

「き、き、着替え……ないと!」

翔は、パニックに陥ったのか、その場でシャツを脱ぎ始めた。

「お、おい、翔!」
「な、なんだよ、うぐぁっ!」

ボタンを外し終わるころに大輝が翔の露出行為を止めようとする。翔が大輝の方を振り返った瞬間、腹筋が消え、ウエストがギュッと絞られた。逆に人並みまで成長していたバストがバインっと大きくなり、それを見せつけられた大輝は股間が苦しくなるのを感じた。

「こ、こんなところで服を脱がない、ほうが……」
「あ、ああ、お、俺と……したことが……」

子宮ができていくのか、下腹部が少しだけ膨らむ。肌は木目細やかになり、へそは縦にスッと伸びた形になる。翔は体の中が女性に変えられていく刺激に必死に堪えている。いつの間にか伸びていた髪は肩にかかるほどになる。

「う、うぅ……っ」

ズボンの尻の部分がギチギチと音を立てる。逆に、他の部分はぶかぶかになり、ズボンがずり落ちてヒップのラインが見える。

「お、俺……わ、たし……?」

精神が女性版の翔に変わっていくとともに、顔の作りも柔らかいものになる。

「恥ずかしい、やだぁっ!!」

変身が終わったのか、かばんを持って飛び出していく翔を、呆けた顔で見届ける大輝だった。

その日の帰り、二人は一つの傘の下、一緒に歩いていた。

「ったく、お前制服は忘れなかったのに、傘忘れるとか」
「仕方ないでしょ、この制服用意してたら時間なくなっちゃったんだもん」

大輝はため息をつく。

「お前、これは結構大きい貸しだぞ」
「え?そう?それじゃあ」

翔は、巨大に育った胸を大輝の腕と体に押し付けた。大輝にとってはいつものことになりかけていたが、それでも顔を赤らめるほどには、柔らかい感触に興奮した。

「私のこの体、好きにしていいよ」
「ば、馬鹿野郎……!」

増産体制

アメリカの片田舎に、一つの街があった。大きな工場の周りに、数百人が住んでいるその街には、ある特産品がある。

それは、オレンジジュース。街の工場から生産され、その街でしか売られないそのジュースは、アメリカ全土でも随一の美味しさで知られていた。しかし、不思議なことがあった。ジュース工場には、誰も勤務していないのだ。入っていくのも、出てくるのも、ジュースを積むためのトラックだけ。違いは、入っていくときは空き瓶だけが積まれたトラックが、出てくるときにはジュースの瓶で満杯になっていることだ。

トラックの運転席はよろい戸で中が見えず、そこに入るための扉すらない。商店の店主たちは、店の前に止まったトラックの中に代金を置いて自分の分のジュースを降ろし、トラックが出ていくのをただ見送るだけ。工場の従業員を見たものは、誰もいなかった。

夏の日に、それは起こった。

「ママー!ジュース一本飲むわよー!」

ブロンドヘアーの少女が、冷蔵庫にいっぱい入っているジュースの瓶から、一本を選んで取り出した。水よりも安いジュースは、住民の水分補給の基本手段だ。一つの家に数十本のジュースが保管されているのは、当然のことだった。

自分の部屋にジュースを持ち帰り、ゲームをしながらジュースを開けようとするその少女の名前はジェシー。高校生になり、次の秋からは隣町の高校に通うことになっていた。オレンジジュースで育った彼女の体は、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるメリハリのあるものだ。

「ん、ちょっと開けづらいわね……あれ?フタが金色だ」

ジュースの瓶は、普通は銀色のフタで栓をされている。それが、この一本だけは金色だった。これまでに飲んできた数百本のうち一本でも、金色のフタで閉められたジュースなど見たことがなかった。

「もしかして、これはとっても美味しいジュースなのかも!えいっ!」

親指でフタをグイッと押すと、フタは勢いよく飛んで行った。

「うわ、本当に美味しいわ!私ったらラッキーね!」

そのあまりの美味しさに、ジェシーは瓶一本分を一気に飲み干してしまった。他にも無いかと、冷蔵庫を開け放って、金色のフタを探す。だが、一本も金色のものはなかった。

「ほしい、ほしい、あのジュースがほしい……」

家から飛び出して、街中の店を探す。それでも、同じ金色のフタは見つけられない。

「な、なんで……?あ、そうだ、工場に行けばあるかも……」

もはやジェシーの体が、金色のフタのジュースを求めているようだった。足が勝手に動き、いつの間にか、固く閉ざされた工場の門の前まで来ていた。

「どうにかして工場に入る方法はないかしら?あれ?」

壁に大きな穴が空いている。車が突っ込んだあとのように、壁がボロボロになっていたのだ。ジェシーは、躊躇することなくその穴から工場の敷地に入り、目についた建物の扉を開けて中に入った。

「すごいオレンジジュースの匂い……」

中は狭い廊下になっていた。明かりが少ないため薄暗く、生産設備の音がゴウン、ゴウンと低く、周期的に響いている。ただ、人の姿はどこにも見られない。ジェシーを監視するようなカメラもない。あるのは無数の扉だけだ。

「どこにいけばジュースが……あれかな?」

一つの扉が、少しだけ開いていた。中から光が漏れている。ジェシーが扉を開けて中に入ると、2階の高さまで吹き抜けとなっている大きな部屋だった。壁や天井は真っ平らの鉄板でできていて、床は排水溝で囲われている。そして、その中央に、小さな机と、ジェシーがここに入ってきた理由である、金色のフタのジュースが置いてあった。

「やっぱりあった!私の勘、冴えてるわ!」

ジェシーはジュースに飛びつき、迷うことなくフタを開けて、中身を飲み干した。

「くーっ、全身に染み渡る!ん?」

ついさっき体験したような無上の快感とともに、違和感があった。ジュースが、本当に全身に染み渡っていくような、体が侵食されていくような感覚。そして、それとともにグジュグジュと液体の音が手足から聞こえてくる。

「ちょ、ちょっと、何よ、これ!」

そして、全身が絞られるような感覚と、何かが胸に集まる感覚。下を見ると、もともと大きく膨らんでいるジェシーのバストが、さらに成長していた。

「ひっ、に、逃げなきゃ……足が動かない!?」

絞られた足がペラペラの皮だけのような状態になり、力を入れても動かない。気づくと、手も、お腹もペラペラになり、ジェシーは床に倒れて動けなくなった。逆に胸は特大サイズに膨れ上がり、床の上でタプンタプンと揺れた。体の中身すべてが、胸に集められたかのようだった。

「あ、胸、なにか、でるぅっ」

その胸の先端から液体が出てくる。それは、オレンジ色の甘い液体、まさにオレンジジュースだった。液体の勢いは段々と増し、床がオレンジジュースまみれになった。そしてそのジュースの分、胸は縮んでいき、最後にはジェシーは空気の抜けた風船人形として床に横たわった。

「……!」

喋ることすらできず、ただ涙を流すだけだったジェシーの下半身を、何かが持ち上げた。その股間に、ゴム製の管が刺されると、何かの液体が流し込まれ始めた。

すると、ジェシーの体に厚みが戻り始める。ある程度戻ると、やっとのことで立ち上がり、声を発することができた。

「死んじゃうかと思ったわ……体も元に戻ってきたし、これを外して……」

股に刺さりっぱなしの管を引っ張りぬこうとする。だがそれは外れず、液体は流し込まれ続ける。

「え、えっ、ちょっと待ってよ!」

力いっぱいやっても、無駄だった。その間にも、液体はどんどんジェシーの体積を増やしていく。腹はフルフルと揺れながら、アドバルーンのように膨らみ、手足も中身を詰められるソーセージのように、パンパンに膨れ上がっていく。重くなりすぎた体を支えられず、ジェシーはまた動けなくなった。尻もムギュギュギュと大きくなり、ジェシーの頭の数十倍の体積まで成長していく。服はビリビリに破け、ほとんど裸同然となっていた。

「私が、なんで、こんなこと……」

腹の大きさが高い天井に届くほどに大きくなると、その天井がガコンと音をたてて下に動き出した。

「えっ!?」

容赦なく液体はジェシーを膨張させていたが、部屋の方はジェシーを潰しにかかっていた。ジュースを絞り出される果実のように。

「や、やだっ!ふがぁっ!」

部屋を埋め尽くすほどのおなかが潰されると同時に、胸がブクゥッと膨らんだ。腹部に入り切らなくなった何かが、乳房へ、その乳腺へと溜め込まれていく。そして、ジェシーの胸は残った空間を埋め尽くしていく。

「お、おっぱいが、でちゃうぅっ!」

そして、部屋がジェシーの体でいっぱいになったところで、胸の先端からブシュゥッ!!とオレンジジュースが飛び出してきた。天井の降りる速度が速くなり、その勢いが増していく。

「あああああっ!!潰される!絞られちゃうぅぅっ!!」

部屋はオレンジジュースの海となり、その一部はジェシーの口にも入ってきた。ジェシーは自分の体から出るジュースが、あの金色のフタのジュースと同じであることに気づいた。

「私のジュース、おいしい、おいしいぃぃっ!」

ごくごくと飲み始めるジェシーは、そのまま完全に潰されるまで自分のジュースに酔いしれた。

液体が止まり、部屋がもとの高さまで戻ると、部屋一面に、平面化し、伸び切ったジェシーだけが残った。

時間が立って、ジェシーの目が覚めると、彼女は元のサイズまで戻っていた。その股間に、またもや液体が流し込まれ始めるが、今度は喋れるほどに膨らみ直したところで、液体は止められた。

「もしかして、私、出してもらえるの……?」
「いや、それは無理ですね」
「ひっ!?」

そこには、外套を着た、初老の男性が立っていた。整えられたオレンジ色の髪と金色の瞳は、その男性が人ではないことを匂わせていた。

「だ、誰よアンタ!」
「おっと、これは失敬。私はこの工場を管理しているものです。名前はありません。工場長とでもお呼びを……」
「こ、工場長?名前がない?」

男性は深くお辞儀して、続けた。

「とにかく、ジェシー様はこの工場の増産計画に欠かせない存在なのです。試しに絞らせてもらいましたが、最高品質のジュースが出ますね。素晴らしい」
「す、すばらしいって……!んぁっ!」

また、ジェシーの胸が膨らんで、逆に全身がしぼみ始めた。

「そう、ジェシー様の体は、ジュース製造器となったのです。水を与えると、全身からオレンジの果汁が出て、胸で味付けをできるものですよ」

乳首から、オレンジジュースがしたたり始める。

「じょ、冗談じゃない……ん!」

今度は、股間に液体……水が供給され、全身へと分配されて、しぼみかけていたジェシーは元に戻った。

「さすがは我が工場のジュースを飲み続けて成長されただけはある。体がその味を覚えているのですよ。それに、その体はもう元には戻せない。工場に不法侵入した罰としても、ジュースの増産に尽力ください」
「ま、まって」

段々とムチムチとした体つきになり始めていたジェシーは、部屋から出ていこうとした工場長を引き止めた。

「ジュースの原料って、私のような人間なの……?」
「いいえ、これは工場の従業員から絞り出したものですよ。我々は、人間では到底想像が及ばない生物なのです」

段々と水の流量が増え、パンパンに膨らんだお腹に立ち上がれなくなったジェシーをみて、ふふっと笑う工場長。

「我々の食料は、人間の出す体液すべてと、それが蒸発したもの。ジュースは、人間をおびき寄せるための餌です。では、これで」
「え、な、置いてかないでよーっ!!」

少女は、力なく膨らんでいく。その悲鳴は工場の外へと漏れることはなかった。その街は発展を続け、大都市となり、ジュースは今だに名産品として売り続けられているという。

白い恒星

「いただきます」

とある日本家屋で、朝食の食卓を囲む3人の姿があった。父親の名前は天彦、いたって普通の人間……なのだが、他の二人が違った。妻の白扇と娘の九音には、狐のような耳と、九尾の尻尾が生えている。白扇は狐の神であり、銀白に光る長い髪と、その男性でもかなわないような高身長と、これでもかというくらいムッチリとした体型は、神々しいほどのものだった。九音のほうは、顔立ちは母親譲りの美人だが、耳と尻尾以外は普通の子供だった。薄い桃色の髪の毛を揺らしながら、もぐもぐと美味しそうに母親の作ったご飯を食べている。

「あなた、そんな残念そうな顔しないでも……」

若干ブカブカになっている和服の胸の部分を、天彦は少し不満そうに見ていた。今の白扇の胸はGカップほどの巨乳なのだが、本来はもっと、というかかなり、というか比べ物にならないほど大きいものなのだ。それをいつも堪能している天彦にとっては、今の白扇は完全に大きさが不足している。

「あ、すみません……そんなに顔に出ていましたか……」
「はい……ご飯をいただくときは、こうしないと食事に手が届かないのですから……」

テレビからは、ニュースの音声が聞こえてくる。『太陽風が近づいており、電磁ノイズなどの障害が見込まれます』……と、太陽から吹き出される大量のエネルギーを電磁波で、地磁気が乱されるらしいことを報道していた。

その瞬間だった。ドカンッ!!と、机が肌色の球体で潰されていた。紛れもない、白扇の乳だった。

「えっ!?なんで、いきなり……!」

白扇自身が一番驚いていたが、それはどんどん大きくなっていた。

「かーさま、どうしたの!?」

九音はせまりくる胸肉から逃げつつ、母親を不安に思って声をかける。

「私の体が、力で満たされて……!止められないっ!」

部屋が、白扇で満たされていく。神通力を使っているのか、和服もサイズアップしてなんとか局部を隠している。

家の壁や柱がギシギシと軋み、変形して、ついにはバァンッと崩れ落ちた。

「白扇さん!」

そこにあるのは、家より大きな白扇の乳房と、それに隠れそうになりつつも、これも巨大化している白扇の体があった。天彦の目の前にある脚も、これまで以上にムッチリと膨らんでいる。

「太陽からの力が、いつもよりもすごくて……っ!抑えきれませんっっ!!!」

その声は街中に響いていた。巨大化は止まらず、むしろスピードアップしていく。九尾の狐神は地面をえぐり、周りの建物を倒し、その豊満な体つきを近所の住人に見せつけながら、大きくなっていった。

さっきまで小さすぎると思っていた白扇の胸は、街の一角を占拠し、さらに隣の街区へ侵食していく。ボリュームたっぷりの尻は、電柱を倒し、通りかかった車を潰し、ムチムチと音を立てて、体積を増やしていく。
見る人を惹いてやまない紫色の目は、身長が伸びるにつれ、どんどん高いところへと上がっていく。

「このままでは、街が潰されて……よい、しょっ!!」

自分の体で壊滅していく街を見て、白扇が立ち上がった。その曲線的なシルエットが、太陽光との逆光で強調される。上を飛んでいたヘリにぶつかりそうになるくらい大きくなった体と、胸にはバルンバルンと数十メートルの振幅で揺れる巨大な球体が付き、腰は暴力的なほどの肉付きで、しかもさらにスケールアップしていく。

「まだ、速度がさがらないなんて!」

白扇の大きさは、一歩で狭めの公園が潰れるほどのものだったのが、次の一歩では小さめの駅が脚の下にすっぽり入ってしまい、さらに次の一歩ではスーパーが跡形もなくなった。

天彦からは次第に遠ざかっていっているようだったが、それでも、白扇の焦ったような、恥ずかしがっているような顔が見える角度は変わらない。超高層ビルと同じくらいの高さで、その数十倍の体積を持った乳房を振り回し、それで起こった気流で雲の形が変わるほどになっていく。

「天彦さん、私、どうすればっ!」

遠ざかっていくときは少し時間がかかったのに、どうしようもなくなったのか戻ってくるのは早かった。そして、白扇が、天彦に顔を近づけようとすると、小惑星のような大きさの肌色の柔肉が地面に激突し、大きなクレーターができた。すべすべでぷるんぷるんとゆれる、数kmの高さがある断崖絶壁の上から、白扇の涙顔が覗いていた。

「ここまできたら、限界まで大きくなってみたらどうでしょう?溜め込んだ力で、なんとかできるかも」
「は、はぁ、なるほど……」

実はこんなことになるのは今日が初めてではない。これまでも街一つだけではなく、地球や他の惑星まで壊してしまったことがあった。白扇は、そのたびに神通力で世界をもとに戻していたのだ。

「でも、毎回恥ずかしいです……」

地面がゴゴゴゴと揺れる。まだまだ白扇の巨大化は止まっていない。地平線の彼方で、白扇の足が高山を押し崩していた。

「それよりも……白扇さん……」
「えっ?あ、はい、只今」

天彦の姿がフッと消えた。それを確認して、白扇は乳房を持ち上げて、勢いよく、仰向けに寝転んだ。その衝撃で地殻が割れ、マントルが吹き出し始めるが、白扇の体はそのエネルギーすら吸収して、巨大化のスピードはドンッと上がった。

「……これ、白扇さんの胸……だよな……?」

その胸の上にワープさせられた天彦は、プルンプルンと揺れる大地に顔をうずめた。いつものような、いい香りと体温が伝わってくる。九音も、その感触を楽しんでいるようだった。

「もう、二人で楽しまないでください!」
「……白扇さん、なのか?」

そこには普通サイズの……といっても、胸は男一人を包み込めそうなくらい大きいが……白扇が立っていた。

「分身ですよ、今は大きさが違いすぎてしゃべることもできませんから……」

三人を、半透明のシャボン玉のような球体が包むと、高速移動を始めた。すると、永久に続くかと思われた肌色の大地の地平線に、本物の白扇の顔が見えてきた。先程とは違って、優しい微笑みを見せている。

「やはり綺麗な方だ……また、地球をすごい高さから拝めるのかな?」
「いえ、もう地球は力として吸収してしまいました……ちょっと離れてみましょう」

今度は、ワープといえる速度で白扇から離れた。すると、太陽がすぐ近くにあった。いくら巨大化しているとは言え、太陽のほうが100倍以上大きかった。しかしすぐに、そのエネルギーを吸収する白扇の胸……もとい体が追い越し、太陽は白扇の口にすっぽり入るサイズになってしまう。白扇は、天彦に向かって少し微笑むと、火の球体を口の中に入れてしまった。

「また、やっちゃいましたね」
「これを復元する前に、三人だけの時間を楽しみましょう?」

再び、本物の白扇の胸の上に降り立つ。普通サイズだった白扇の分身も2倍くらいに大きくなり、天彦は超々巨大な白扇と、分身の白扇の二人に挟まれ、至高の時間を過ごした。

変身描写だけ書きたい!(TS/AP2)

「だめっ、こんなところでっ」

それは小学校への登校中。少年には、秘められた力……そして、少年にはコントロールの効かない力があった。

「薬が、きれちゃ……んんっ……!!」

突如として、彼の服を突き破らんばかりに、胸がぶくっと膨れ上がった。それは筋肉ではなく、脂肪と乳腺のかたまり、乳房だった。小学校の男子生徒には似つかわしくない、頭ほどの爆乳が、できあがり……そして消えていく。

同じ登校班の生徒、すなわち近所の小学校生徒の前で、少年の体から、液体がぐちゃぐちゃ言う音が聞こえる。それは、彼の細胞が爆発的に増殖したり、脂肪細胞ができあがったり、逆に壊れていく音だった。

「ん、んあっっ!!」

脚や手が、バラバラに太くなったり、細くなる。尻が爆発的に膨張し、ズボンを引っ張ったと思うと、さっきの胸と同じようにしぼんでいく。

「ど、どうしたんだよっ」

周りの生徒は、人間からするものとは思えない、少年の体が作り変えられていく激しい音に腰を抜かしつつ、声をかける。だが、その音に、今度は骨がゴキゴキと作られ、壊されていく軋むような音が加わる。

「う、うでがぁっ」

少年の左腕がガクガクと震え始めると、ブクブクと膨らむ。震えが最高潮になると、ギュインッっと二倍ほどの長さに伸びた。右腕もそれに続く。

「ぐ、ぐぅっ!!」

次に左足、右足と少年の体は長くなる。そして、5倍ほどの太さにムチッと肉がついて、ズボンを突き破ったと思うと、元の太さに戻る。その太さが少年の腹にグギュギュと溜め込まれ、臨月くらいに膨らんだお腹は、そのきめ細やかな皮膚を空中にさらけ出した。

大きく、グキグキと音がすると、少年の背骨が伸び、手足の長さに合わせて上半身が伸びた。髪が肩まで伸び、顔も小学生男子から大人の女性へと変貌を遂げた。腹部の膨らみは、何かに絞られるようにグチュグチュといびつにしぼんでいく。ウエストは過剰なまでにくびれ、長くなった腕も先端から絞られガリガリになる。

「ひゃぁっ!!」

その分が、胸に押し込まれ、それを受けた乳房が再度、左、右とボワンッ!ボインッ!と前に飛び出るように形成された。水風船をふくらませるような音がすると、腕はもとに戻り、腹がまた膨らんでいく。

「うああっ!!」

その腕が、またギュイッと絞られ、腹部も一気にしぼんで、また胸に脂肪を押し込んだ。乳房はシャツをビリビリとやぶき、ムチィッ!!と球体状に成長する。と、今度は乳房がギュイッと体の中に飛び込むようにしぼみ、脚がムチッと膨らんだ。そのまま肉付きがどんどん良くなる脚を、彼は不安の表情で凝視する。

「く、くる、きちゃうぅっ!」

少年の声と同時に、信じられないほどに太くなった脚がブシュッと音を立てて細くなった。

「ああんっ!!」

ヒップがとんでもない大きさになり、またしぼむ。

「どんどんのぼってくるぅっ!!」

ウエストがボコッと膨らんで、それもまた絞られる。

「おっぱいがっ!」

平らに戻っていた胸板に、巨大な乳房が形成される。一つ一つが頭が入るくらいの爆乳サイズになったと思うと、少し大きめな巨乳サイズに戻っていく。

最後に、骨と皮だけの細さになっていた腕にムチッと肉がついた。

「みんなの前では成長したくなかったのにぃっ!!」

タプタプと揺れる胸を、度し難いほどの激しい音と、体の変形で呆けてしまった周りの生徒からなんとか隠して、泣き出してしまう少年だった。

うたたねの姫 後編~太地~

あむぁいおかし製作所様での投稿(http://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-26287.html)と同内容です。イラストは春瀬めいお様に描いていただきました。

「ったく、変なことになったな……」

太地は足の遅い学を置いて、家に帰っていた。汗をシャワーで流し、部屋着を着て自室に入ると、自分のかばんが目に入った。

「ちっ、宿題やんねぇと補習だったか……」

スマホで時間を潰そうと思っていた太地だったが、ため息をついて教科書とノート、筆記用具をかばんから取り出し、机の上に投げた。

「あーあ、あいつに勉強教えてる余裕なんてないんだよ、何してんだ俺は」

そして何気なく自分の胸を触る。図書室での出来事を思い出し、そこに確かにあった乳房を触ろうとするかのように。

「……って、ホントなにやってんだ」

太地は顔をパンパンと両手で叩き、椅子に座る。そして教科書を開くが、顔をのぞかせた文字の羅列に頭を抱える。

「……これどうやって解くんだよ、女になった俺ならわかるのかねぇ!」

問題を見ても、何を書いているのかさっぱりな部分すらある。それをぼーっと眺めてるうち、太地はうとうととしはじめた。

「……くっ……補習……が……」

そして、太地は眠りに落ちてしまった。が、頭をくすぐる感覚に、目が覚める。

「寝てたのか、俺」

妙にチクチクする頭を掻く太地だったが、その手に感じたのは長く柔らかい繊維の感触。

「なんだってんだよ……ま、まさか!また女になってる!?」

その手を股間に持っていくと、そこにあるはずの男の象徴が跡形もなく消えている。よく見ると、その腕も細く短くなって、部屋着がぶかぶかになっている。

「ってことは、……んぅっ!」

胸が内側から押し上げられる感触がすると、服に小さな二つの膨らみが現れた。

「ち、ちくしょ、戻ったらそのままじゃないのかよっ!」

膨らみはグググッと大きくなり、服の上からでも明らかにわかるほどのバストサイズになる。

「んあっ!」

さらにボンッと一回り大きくなって、部屋着がギチッと音を立てた。それで、変化は収まった。

「はぁ、はぁ……声まで女に……」

太地は、視界に入ったスマホを手に持って、カメラアプリを起動した。

「今の俺って、どんな感じになってんだ……?っ!!」

画面表側のカメラに切り替えると、そこにはとびきりの美少女が映っていた。その端麗さへの驚きと、その少女が自分であることをにわかに信じられないことからくる違和感に、太地の体は固まった。

「これが……俺……?」

その時、腕時計の時報がピピッと鳴って、午後6時になったことを告げた。太地はハッと我に返った。

「くっ、こんなことしてる場合じゃ……」

教科書とノートに向き直り、時間との戦いとばかりに打ち込んでいく。太地は、自分が女になったことを忘れようと、必死に宿題を進めていった。

「え、もう終わった……?」

もとの太地なら頭をフル回転させてもわからない問題も、今の太地には赤子の手をひねるような簡単さになっていた。その上で本気を出したのだ、宿題は10分もしないうちに片付いてしまった。

「嘘だろ……」

太地は戸惑い、胸に手を置こうとした。しかしその手は、部屋着の胸の膨らみの上にあるぷくっとした突起……乳首に触れた。

「ひゃぁっ!?」

太地は、思いもしない刺激に小さな叫びをあげた。できたばかりの乳頭は敏感だった。ジーンとしびれるような感覚に、椅子に座っていられなくなった太地は、思わず床に崩れ落ちてしまった。ブルンブルンと揺れる胸は、服と擦れてさらなる刺激を生み出す。

「んひゅっ……や……っ!」

意識が飛びそうになる太地だが、刺激から逃げようとなんとか服をめくりあげた。太地の目に飛び込んできたのは、透き通るような白い肌に包まれた、柔らかく、丸みを帯びた膨らみ。その先端は、ピンク色にその存在を主張している。

「女の、胸……」

肌色の膨らみに触れると、むにゅっと形を変える。

「んっ……すごくやわらかい……」

高くなった声に合わせるように、太地の口調もやわらかくなる。

「そうだ、足の方は……」

部屋着のズボンに手をかけ、下げる太地。中からは、プルンと震えるヒップと、すべすべとした太ももがお目見えし、健康的な脚が姿を現した。

「本当に、俺が女の子に……」
「太地?帰ってるんでしょ、夕飯できたよ」

股の間に手を伸ばそうとした太地だったが、部屋の外からの声に、その動きを止めた。

「か、母さん……あっ」

高いアルトの声で答えてしまいそうになった太地は、口を覆った。

「太地?女の子でも連れ込んでるの?」

部屋の外から、足音が近づいてくる。太地は、なんとか体を起こすと、クローゼットの中に飛び込んで、扉を閉めた。同時に、部屋のドアがガチャッと開いた。

「あら?誰もいないの?……また服を散らかして……何、この長い髪、あの子と同じ色してる?」

なにかの拍子に抜け落ちた、太地の髪の毛だった。ドキドキと鼓動が響く。太地は息を殺して母親が去るのを待った。時間の流れが遅く感じるほどの緊張だったが、やがて母親は部屋から出ていった。

「はぁ……よかった……」

クローゼットから出た太地の体は、元の男のものに戻っていた。太地は、安心するとともに少しの物足りなさを感じていた。

「おい、学!」
「な、なんだよ、太地……」

次の日、学校で太地は学に詰め寄っていた。周りの、待望の女子がいなくなってがっかりしたような、元の日常に戻って安心したような視線を無視しつつ、太地はものすごい剣幕で学に怒鳴った。

「昨日の薬、瓶捨てちゃいねぇだろうな!?」
「……な、なな、なんで捨てちゃいけないんだよ」
「いいから!!持ってるなら出せ!!」

太地の怒りは、まるで何かから目をそらすような焦りのようでもあった。

「はい、これ……」
「おう!!つべこべ言わず最初っから出しやがれ!」

瓶の上のラベルを読んでいく、太地の目に一つの文章が飛び込んできた。

「『睡眠時に成長ホルモンを分泌させ、脳を活性化させます。同時に、女性ホルモンを出させることでその効果を高めます』……って、寝るたび女にならなきゃいけないってことかよ!」

周りがざわついた。太地はクラスメイトたちを睨みつけた。

「お前ら、俺は金輪際、ぜってぇ居眠りなんてしねぇからな!」

小さく「フラグかよ……」という声が聞こえ、太地はそちらに目を向けたが、ついに誰がその声を上げたかは分からなかった。

その日は、クラスメイトたちの期待むなしく、太地は居眠りすることなく授業を受け続けた。

「ふん!俺だってこんなことになっちゃ居眠りなんかしねぇよ」
「あ、あの……」

帰り支度をする太地に、弱々しい声がかけられる。疑いもなく、学の声だった。

「また、勉強教えてほしいんだけど……」
「あん!?」

学に向き直った太地は、もちろん断るつもりだった。太地の成績は、むしろ誰かに教えてほしいくらいのもので、こんな厄介事に巻き込んだのは学の持ってきた薬だった。

「……おう、わかった」

太地は自分でも口にした言葉が信じられなかった。だが、前の日に経験したいろいろな事が、太地の心を動かしたのは、なんとなく分かった。

「じゃあ、僕の家に来てよ。今日は誰もいないから」

学の家に着いた二人は、黙々と勉強の支度をした。太地は、勉強中に居眠りすることで女になることを、潜在的に理解していた。

「ほら、勉強するんだろ」
「あ、うん」

太地は、目の前に広げた教科書を読んでいく。やはり、内容は半分わからない。そして、そのまま寝てしまった。

「太地、太地!」

学の呼ぶ声に目をさます頃には、髪は伸び切り、手足は短くなり、胸がムクムクと膨らんできていた。

「き、来たよ……」
「あ、あ……お、おんなに、女になるぅっ……!」

太地は喘ぎ声をあげ、体をくねらせる。不思議なことに、焦りは感じない。むしろ、この変身が気持ちのいいもののようにも感じる。

「ふぅっ……!」
「じゃあ、いろいろ教えてよ」

変身が終わった太地を見て、鉛筆を置いて太地に近づく学だったが、太地はその口に人差し指を当てた。

「だめ、まずは学校の勉強からね」

体に引っ張られるように、太地の口調が柔らかくなっていた。太地は、今の自分の容姿の女子が使いそうな口調を、無意識に使っていた。

「うっ、分かったよ……」

太地は、ムンムンと色気を漂わせつつ、学に勉強を教え始めた。数十分もそれが続いて、学はやっとのことで最初に決めていたノルマを達成した。

「じゃあ、今度こそいいよね」
「もう、せっかちなんだから」
「えへへ」

太地は立ち上がって、学の後ろに回り込む。そしてその背中に、ムニュッと胸を押し当てた。

「(あれ……俺はこんなことしたくなんてなかったはず……)」

太地の考えとは裏腹に、その腕は学をギュッと抱く。

「きもちいい……」
「でしょ?」
「太地っ!」

学はバッと立ち上がり、前の日と同じように、太地の肩を掴んでベッドに押し倒した。

「きゃっ!」
「すごく、かわいいよ……」

顔を赤らめる太地。男にかわいいと言われて喜ぶ趣味は、太地には無いはずだった。しかし先程から演じ続けている「女の子」には、効果テキメンなのだった。

「本当に?」
「ホントだよ……おっぱいもおおきいし、すごいよ……」
「じゃあ……」

ボタンを外していく少女。その体の動きは、太地の制御が効かなくなっているように思えた。すべてのボタンを外すと、胸の間にできた深い谷間と、へそが顔を出した。

「(今の俺は、俺じゃない、俺じゃないんだ……)ほら、触っていいよ……女の子のカラダ、勉強して……?」
「じゃあ、ここから……」

学は、すべすべとしたおなかを撫でる。

「(ちくしょ、何でこんなこと、俺が……)ん、んっ……おっぱい、じゃないの……?」
「こ、ここもキレイだし……」

少女は、恥じらいつつも学を受け入れ、大人しくしている。学はそのままベルトに手をかけ、外し始めた。

「(おま……)ちょ、ちょっと……」
「いっぱい勉強、させてよ……」

ズボンが降ろされ、皮下脂肪で少しふっくらとした脚が引きずり出された。

「しかたないなぁ……(しかたないよな……)」
「女の子の脚って、こんなにきれいなんだね……」

少女は学にされるがままになっていた。

「あっ……」

だがその時、時間切れが近づき、巨大な胸が縮小を始めた。少女は太地に戻ろうとしていた。学は、一瞬残念そうな顔をしたが、何かをひらめいて、大声で言った。

「世界で一番大きな大陸は!」
「え、な、なに?」

少女は度肝を抜かれて驚く。

「答えて!」
「えっ、ユーラシア大陸……?……んぁっ!!」

半分の大きさまで縮んでいたおっぱいが、一気にその大きさを取り戻した。

「な、なにこれ……もしかして、勉強しつづければもとに戻らなくていいの……?」

自分が発した『もとに戻らなくていい』という言葉に、太地は違和感を覚えたが、それはごく小さなものだった。

「べ、勉強中は男に戻らなかったけど、それをやめたら5分くらいで戻ってたよね……」
「なるほど……でも、二回しか見てないのに、よく気づいたね、学」

少女はニッコリと笑みを浮かべた。

「えへへ……じゃあ、こんな世界一高い山みたいなおっぱい、触らせてね……」
「んっ……エベレストね、私の胸はそんなに大きくないよ……」

学は、その深い谷間に顔をうずめた。

「ま、学……」
「やわらかくて、あったかい……」

顔を離した学は、恍惚の表情を浮かべている。だが逆に、少女は物足りなさそうにした。そして、赤面しながら、下着を指差して聞いた。

「学、ここはいいの……?」
「えっ……いいの?子供ができちゃう穴じゃないの?」
「大丈夫、保健で勉強したでしょ、一ヶ月に一回、危ない日を避ければいいの」
「いや、そういうことじゃなくて……」

学は下を向いてもじもじし始めた。その腕を、少女は優しく掴んだ。

「どうせ、こんなことできるの、私くらいしかいないでしょ?」
「う、うぅ……じゃあ……」

学は、自分のズボンから短めの得物を出した。

「うふっ、かわいい」
「い、いくよ……」

おそるおそる、少女の股に、それを挿し込んでいく。

「うっ、思ってたより気持ちいい……」
「学のモノが、中で大きくなってる……」

初体験の感覚をもっと得ようと、学は腰を前後し始める。

「あんっ、すごい、くるよ、くるよっ」

太地の意識は、もはや少女のものとなりきり、当然のように学を受け入れていた。

「学っ、もっと問題出して!私を女の子にし続けて……っ!」
「ん、ん、そんなことっ……言われてもっ!」
「出してぇっ!」

少女の胸は、またもや縮み始めていたのだった。

「ふ、フランスの首都はっ!」
「パリだよぉ……っ」

ムチっと膨らむおっぱい。学は、それを鷲掴みにした。

「んひゃっ!学はやっぱり、そこが好きなのね……!!」
「だ、だってっ……こんなに、大きいの、他にない……!」

上下左右に揉みしだかれる巨大な胸。学の速度も、どんどんペースアップしていく。

「だ、だめっ、そんなに激しくっ、イッちゃうぅっ!!」
「う、うぅっ、出るっ!」

初心者二人の絶頂は早く、ほぼ同時だった。学は、フラフラとしながらも怒張しきった自分の息子を引っ張りだした。少女の方は、疲れたのか、快感で意識が飛んでしまったのか、そのまま目を閉じて動かなくなってしまった。
学はぬめぬめとした液体まみれのまま、「勉強相手」に寄り添って眠りに落ちた。

「……もとに戻らないんだけど……」
「ど、どうしちゃったのかな」

二人が目を覚ますと、夜も8時を回っていた。太地の体はもとに戻っておらず、学がシーツの匂いを取るために20分以上かけたあとも、それは変わっていなかった。

「もしかして、イッちゃうと戻れない的な……?」
「そう、みたい?」

太地はハァとため息をついて、学に向き直った。

「な、なに、太地?」
「……責任、とってね……?」

その照れた顔に、学はうなずいた。

学が変身するパターンへ

うたたねの姫 後編~学~

あむぁいおかし製作所様での投稿(http://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-26245.html)と同内容です。イラストは春瀬めいお様に描いていただきました。

「はぁ……はぁ……なんとか、なったか……」
「ごめん、僕の家まで来てもらって……」

二人は、学の家の一人部屋にいた。学が、逃げる途中で疲れ切って荷物も持てないほどになり、仕方なく太地がついてきたのだった。

「……ってお前、まだこの薬あるのか」

学の机の上には、ついこの朝見た薬の瓶が何本か並べられていた。

「薬……?あぁ、だって、すぐに効くなんて思ってなかったし、サプリみたいに何回も飲むものだって言われたから……」
「お前ってホント騙されやすいのな……まぁ、こんなにすぐにもとに戻るようじゃ、本当に成績伸ばすには何本も必要だろうよ……もうこの教科書も半分わかんねぇし」

さきほど図書室で学にスラスラ教えていた数学の教科書を見ながら、太地はため息をついた。

「つまり、頭が良くなるためにはあのボインボインのままでいろってことか」
「……ま、また薬飲んで勉強教えてくれる……?」

太地は、若干鼻の下を伸ばしている学の顔を見て、寒気が走った。

「で、発情したお前に襲われろってか……」太地は、薬の瓶を一本取って、蓋を開けた。そしてその瓶を、学の口に突っ込んだ。

「ふざけんな、自分で勉強しやがれ!」

太地が学の鼻をつまむと、学は薬の中身を飲み込んでしまった。

「……げほっ、げほっ!の、飲んじゃった……」
「さーって、今度はお前が女になる番だ、せいぜい楽しませてくれよな……」
「や、やだぁ……」

太地は、学の体が変化し始めるのをいまか、いまかと待った。だが、何も起きない。それは、1分たっても、2分たっても同じだった。壁掛け時計がカチカチと鳴る音が部屋に虚しく響いた。

「……あー、なんか冷めちまったな……」
「……はぁ……」

太地はじーっと目を凝らして見続けていた学から目を離した。学も安堵したのか、ため息をついた。

「ま、そろそろ帰るか……ん?」
「今度は何?」

太地は、本棚にあった一冊の本に目を奪われていた。

「おっ!本屋で売り切れてた最新刊じゃん!学、これ読んでいってもいいよな!」
「えっ……」
「あん?」
「あ、うん……」

一旦断りかけた学だが、太地の苛立ちの目に圧倒されてしまった。

「よし。読み終わったら帰るからよ」
「う、うん……僕は勉強してるから……」
「お、いい心意気だなー」

学は教科書と宿題をかばんから取り出して机で勉強し、太地は本棚から漫画本を取り出してベッドで読み始めた。

「……しっかし、なんで俺は女の子になってお前はならないんだろうな……って、寝てるし……」

勉強し始めて何分も立たないうちに、学は疲れ切ったのか寝てしまっていた。

「しかたねぇやつだなぁ……。ん?おっ?」

そして、その短く切った髪の毛が、伸び始めていた。太地は漫画本を投げ捨て、ベッドから立ち上がって学に近づいた。確かに、その髪がシュルシュルと伸びている。

「おい、学、起きろ……って……?」
「ん……」と声を出した学は、元々から小柄だった体がさらに小柄になっていく……のではなく、大きくなり始めていた。肩は段々と丸くなっているのだが、広くなっていく。そのせいで、着たままだった制服のシャツが引っ張られている。

「僕の腕、長くなってる……?」そういう学の腕は確かに長くなっていた。変身のときに明らかに元より小さくなっていた太地とは逆に、学は平均的な女性の身長、いや、太地の背にも近づいていくようだった。

「足、キツい……っ」目は覚めつつも、まだ寝ぼけている学のズボンがパンパンになり、ビリビリと糸がほつれる音がしている。そして、「んんんっ……!」という学の喘ぎとともに、縫い目からバリッっとズボンが破れてしまった。

「学、お前……」ズボンの中から現れたのは、長くてムチムチの太ももだった。そして学が立ち上がると、シャツのボタンもバチバチと飛び、女性のものとなった学の体があらわになった。しかも、その身長は太地と同じくらいになっていた。

「あれ……?太地の背が低くなってる……?」
「お前の背が高くなってるんだよ!」

寝ぼけまなこで太地の顔を見てキョトンとする学にツッコミを入れる太地。

「えへへ、そっかぁ……じゃあ……」
「うわぁっ!?」

太地は、またもや学に押し倒された。今度は、ベッドの上に。

「また太地と遊べるんだね」

恍惚とした学の顔に、寒気を覚える太地。

「べ、勉強しろよ……それに……」
「ん?」
「こんな胸じゃ俺をコーフンさせられないぜ!」

ぺったんこのままだった学の両乳首をつまんでニヤッとする太地。先程の図書室での仕返しのつもりでもあった。

「んぅっ……!」そして、太地の思ったとおり、学はその刺激に悶絶して仰け反った。だが、同時にムクッと膨らんだ胸に度肝を抜かれた。

「んへへ……変身、まだ終わってない……みたい……っ!」

控えめに膨らんだ胸が、ブルンッと爆発的に膨らむ。一気に、さきほどの太地と同じサイズの乳房が出来上がってしまった。

「お、お前……」
「とまんないよぉっ……まだ、おっきくなるよ……っ!」

ムグググと膨らむおっぱい。それを、学は自分の両手で持ち上げる。

「やわらかぁい……でも、もう……ちょっと……!」

そして、最後の仕上げとばかりに、頭ほどに大きくなってしまった。太地は、今度は寒気というより恐怖を覚えて、ベッドから逃げようとした……が、遅かった。

「……んふふ、お姉さんと、あそぼ……?なんちゃって」

図書室でのセリフを返した学が、胸から先に太地にのしかかったのだ。張りのある、だがこの上のなく柔らかくて温かいものが体を包む感覚が、太地の動きを鈍らせる。

「や、やめ……」
「えへへ、僕、薬で頭が良くなったせいでいろんなこと分かっちゃうんだ……太地が、年上のお姉さんが好きなこと、それに……」

学は、太地の顔をなでた。

「攻めに弱いってこと」
「そ、そんなこと……」

学は、太地のズボンのジッパーを、ゆっくりと開けていく。

「じゃあ、どうしてこんなに勃たせてるのかな……?」
「それは、おっぱいが気持ちよくて……」

そうだね、と学は体を起こし、その豊満な胸を太地から離した。そして少し考えたあと、今度は太地の横に寝そべった。

「じゃあ、『お姉さん』の言葉責めはどう……?」
「ゴクリ……はっ、俺は何を考えて……」

太地は、「言葉責め」を想像しただけでも興奮している自分に気づいた。完全に、学に弱みを握られている自分に。

「あはは、やっぱりね」
「どうして、俺の時はそんなことまで気づかなかったのに……」
「そりゃ、太地は僕のことなんかあまり気にしてないみたいだからね。僕は、唯一の話し相手の君しか、気にするものがなかったんだ」
「お前……」

ニコッと微笑む学。

「だから君の目に止まりたくてあんな薬を買ったんだけど……」

学の胸が縮み始める。

「あ、もう時間切れみたいだ」
「はぁ、どうなるかと思った……」

太地は、小さく、もとに戻っていく学を見て、胸をなでおろした。

「あ、あはは、楽しかった……」
「今度やったらただじゃおかないからな」

太地は、もとの気弱な少年に戻った学に、脅し文句を言った。

「え?ほんとに?」

だが、いつもどおりとは行かなかった。オドオドしているが、学はニヤリとほくそ笑んでいた。

「な、なんだよ」
「太地の好みの『お姉さん』、また見たいでしょ……?君こそ、僕をいじめないほうがいいよ」
「……ば、バーカ!!」

太地は、その場から逃げるように立ち去った。

その数週間後。

教室でこそこそと離す二人の生徒。

「太地って、丸くなったよな……?学に対しては特に、だけど」
「この間……太地が変なことになったあと……だよな」
「あれ、仲良くとなったというか、なんか別モンのような気もする」

その視線の先では、昼ごはんのパンを同じ机で食べる太地と学の姿があった。

「太地くん……あ、いや、太地、あとでまた勉強教えてくれるかな……?」
「あぁ、分かった……この頃は必死に授業受けてんだ、だから……」

太地は急に頭を下げた。

「ん?」
「今夜も、アレ、やってくれ……」

学は、微笑んだ。

太地が変身するパターンへ

うたたねの姫 前編

あむぁいおかし製作所様での投稿(http://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-26218.html)と同内容です。イラストは春瀬めいお様に描いていただきました。

ここはとある男子校の教室。昼休み中も終わりに近づいている中、二人の生徒が話し合っていた、というより、椅子に座った気弱な生徒を、その前にドンと立つもう一人がいじっていた。

「で、学(まなぶ)、その薬がなんだって?」
「な……なんでもないよ、太地(たいち)……。そ、それより、そろそろ授業始まるよ……?」
「うっせぇな、ちゃんと答えろよ!」

気弱な方ーー学と呼ばれた生徒は、渋々と机の中に隠していた小瓶を出して、目の前に立つ太地に見せた。

「……成績が上がって、目立つようになれる、薬……だよ……」
「はっ?お前、そんなもん信じてるのか?そんな薬だけでいきなり成績がよくなったら、この世に学校はいらねぇよ」
「だ、だって、これを買った店でそう書いてあったんだ」
「そんなんにダマされるから、お前はいつまでも馬鹿なんだよ、ほらっ!」

太地は、学から薬瓶を取り上げると、中身をぐいっと飲み干してしまった。

「あっ、何するんだっ!」
「……味もただのエネルギードリンクじゃねぇか、やっぱりお前ダマされてたんだよ!」
「そ、そんな……」

周りの生徒にも二人の声が聞こえていたのか、教室中からクスクスと笑う声がする。学が赤面し下を向いてしまったところで、授業の始まりを知らせるチャイムが鳴った。

「……ったく、バカバカしくてやってらんねぇ。それに成績上がったところで急に目立つわけないだろ」

太地はそう言い捨てると、自分の席に戻った。

そして、老先生のつまらない授業が始まる。古文の教科書を淡々と読み上げ、その意味を書いていく先生の背中を、太地はシャーペンを回しながらボーッと眺めていた。

「(……ちくしょ、眠くなってきやがった。体が熱い……あのエネルギードリンクのせい……か……)」

その日の陽気もあってか、太地は教科書を枕にうたたねを始めてしまった。そのクラスの誰しもが夢にも見なかったことが、始まろうとしているとも知らずに。

「では、ここ、読んでみなさい……おい、君、居眠りしてるのか?」

老先生が居眠りしている太地に気がついたのは、それから5分が経ったあとだった。

「お、おい……太地……ん?」

太地を起こそうとした隣の生徒は、異変に気づいた。その髪の毛が、しゅるしゅると伸びて、肩までかかろうとしていたのだ。そして、その髪はさらに伸び続けていた。

「君!起きた……まえ……うむ?私の目がおかしいのか……?」

やがて、サラサラとした髪が腰まで覆うような長さになったところで、目の悪い教諭も変化に気がつき、メガネを直して太地を凝視した。それを見て、隣の生徒だけでなく周りの生徒も太地の方を見た。

今度は、がっしりとしていた体つきがなで肩になり、少ししぼむように小さくなっていく。ゴツゴツしていた腕は、ふっくらとした柔らかい輪郭に変わり、これも一回り短くなった。

「ん……んん……」

太地は、周辺の様子がおかしくなったことに気づいたのか、ゆっくりと目を覚ました。

「なんだよ、この……髪の毛……?」

視界を邪魔する自分の髪の毛を触る太地。その声も、普段より2オクターブほど高いアルトボイスに変わっていた。

「え、何だこの声!?これ、腕が細くなって!?」

驚愕から体をばっと起き上がらせると、長く伸びた髪がなびいた。

「俺、まさか、女に……!?んっ……、胸がっ……」

太地が上げた、男子校ではありえない女子の喘ぎに、数人の生徒が股間を押さえる。

「胸が、あついっ……んあっ……!」

体が小さくなったことでぶかぶかになっていたシャツの胸の部分が、ググッと押し上げられた。

「これ、おっぱい……?んんあぁっ……!!」

太地が声を上げるとその膨らみはリンゴサイズにまで膨らみ、シャツは胸でいっぱいになった。

「うそ、だろ……でも、まだ大きくなるっ!!」

シャツをギチギチと引っ張りながら、2つの果実はさらに成長していく。

「んひゃっ、どこまでおおきくなるんだっ……!」

そしてそれは、小ぶりなメロンほどのサイズまで、ムチムチと大きくなる。その先端にはぷっくりとした突起の形が、シャツに浮き上がってしまっている。胸に引っ張り上げられた服の下から、腹部の肌色が覗いた。

「はぁ……はぁ……やっと、落ち着いた……」

変化が終わった太地は、彼自身が見たことがないほどの美少女になっていた。しかも、これも見たことがないほどのサイズの乳房を持った美少女に。

色気が一切ない男子校には刺激の有りすぎる姿になった太地には自覚がないが、頭も冴え渡っていた。

「……で、では……授業の続きを……」

そして事もあろうに、老先生はそのまま授業を再開してしまった。頭が固い老人として、目の前で起こった普通ではありえないことを、完全に無視しようとしているのだろう。

「ほら、教科書を読みなさい」

そして、黒板の方を向いて、太地の方を震える指で指した。

「えっ……」
「いいから」

太地は、巨大な胸に邪魔されながらも教科書を読み始めた。すると、これまで分からなかったところも実にスラスラと読めてしまう。学が言っていた、薬の「成績が上がる」効果は嘘ではなかったらしい。「目立つようになる」効果は想像とは全く別の方向、つまり成績が上がることによる副次的なものではなく、美少女になることで物理的に目立つようになる効果だったが。

そして、突然出現した爆乳美少女に悶々としながらも、授業は進んでいった。

「……太地、だよね?」
「あ、ああ……そうらしい……」

放課後、学が太地の席まで来た。太地はというと、授業中はなんとか現実から目を背けられていたのだが、シャツをギチギチとひっぱるおっぱいを見て現実に引き戻されていた。

「まさか、こんなことになるなんて」
「……なあ、学。さっきはごめんな、こんなに効き目のある薬を無理やり飲んじまうなんて」
「え?」

太地は、薬の効果もあってか特に努力をしなくても授業の内容を完全に記憶できていた。テストの成績も保証されているだろう。

「だから、代わりに勉強教えてやる。図書室でな」
「……うん」

いつも太地に逆らえない学は、このときも逆らうことはできなかった。

場所は変わって、夕暮れの図書室。他の生徒は部活に励んだり、帰宅している時間、図書室で二人きりになるスペースを探すのには苦労しなかった。二人は、机に並んで座り、数学の教科書を開いていた。薬の効果は、これまで学んだ知識にも適用されるらしく、太地にはこれまでハードルとなっていた問題も当たり前のように解けるようになっていた。

「……だから、ここにこれを代用するんだよ」
「え、どこ……?」

学の方は要領を得ないため、一方的に教えられる側になっている。

「ここだって……」

太地は、学のノートを指さそうとして、無意識に学に体を近づけた。その拍子に、胸の先端が学の体に擦れてしまった。

「あぁっ……!」
「た、太地……!?」

いきなりの太地の喘ぎに、学はびくっと震えた。

「やっぱやりづれぇなこの体……。おっ、赤くなってんのか?」
「そ、そんなこと……」

学にとっては、ここ数年なかった、「女子」と二人きりの時間。しかも、口調は荒いがとびきりの美貌をもった女子が、体を触れてきているのだった。赤面するのもやむを得なかったのだ。

「お?こういうのがいいのか?」
「や、やめて……」

それを面白がって、太地は立ち上がって学の後ろに行き、学の背中におっぱいを押し付ける。

「そんなこと言って……やっぱり、ここ大きくしてんじゃねぇか」
「うぅっ……」

学のズボンを押し上げる、いきり立った股間を見た太地はニヤッとして、シャツのボタンを外し始めた。

「太地、何を……」

第三ボタンまで外すと、巨大なおっぱいがブルンッと外に飛び出す。

「やっぱでっけぇな……」
「な、何やってるんだよ……」
「学くぅん……私のおっぱい、揉んでみるぅ……?なんつって」

もちろん、揉まれる気なんてサラサラなく、学が恥ずかしがって縮こまってしまうのを笑い物にしようとしていただけだ。だが、次の展開は太地が予想したものの斜め上のものだった。

「もうがまん、できないっ……!!」
「うわっ!?」

太地は、前からぐいっと押され、背中にドンッとなにかがぶつかる衝撃を感じた。気づくと、学に肩をつかまれ、壁に押し付けられていた。

「てめ、真に受けやがって……」

太地は押し戻そうとする……が、力が入らない。体の変化のせいで、学よりも筋力が弱くなっていたのだ。

「……太地が悪いんだよ」
「んなっ……ひゃぁっ……!」

学は、太地から右腕を離すと、そのまま右胸を揉み始めていた。

「すごくやわらかいよ……」
「ま、学、や、やめっ……ひゃんっ!」

太地は、胸からもたらされる刺激と快感に耐えられず、へなへなと床に崩れ落ちてしまう。

「お、男の胸だぞ……っ!そんなん揉んだって……!」
「こんなに柔らかそうなのに、そんなこと言って……」

長い髪が、床の上にくしゃくしゃと広がる。学は左腕も太地の肩から離し、左の胸を掴んだ。

「ひゃぅっ……」
「すごいよ、僕の手じゃおおえないほどおおきい……」

太地は、慣れない感覚にビクンビクンと体を震わせた。数時間前まで存在もしなかった自分の胸を、学に揉みしだかれている。学が与えてくれる快感に、その身を委ねてしまおうとしたその時だった。

「な、なにやってるんだ……?」

すぐ隣から、急に聞こえた二人以外の声に、二人はハッとした。図書室で、他の生徒の前で痴態をさらしていることに、気づいたのだ。非常にまずい事態だと。

そのとき、太地の胸がシュルシュルと縮み始めた。髪も短くなっていく。腕には筋肉が付き、体つきもがっしりとしたものに戻っていく。

「な、なに……?男に戻ってるのか……?」

太地の想像通り、数秒もすると、彼の体は薬を飲む前の、男の体に戻った。

「太地、逃げ、逃げなきゃ……」
「そ、そうだな!!」

太地が外していたボタンを戻す間に、学は大急ぎで教科書を鞄にしまい、呆気にとられているもうひとりの生徒を置き去りにして、図書室から逃げ出した。

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学が変身/太地が再度変身

種族チェンジャー~牛娘~

『食べてすぐ寝ると牛になる』

これをやってみよう、とおやつを食べてからすぐソファで横になって漫画を読んでいる妹、香希(かき)を見て思った。気付かれないようにタブレットのカメラで捕捉すると、種族を「乳牛娘」、年齢感覚は人間と変わらないようなので「10歳」を「20歳」に変えて「変更」ボタンを押した。

「んっ」

その途端、香希はすこし声を出したが、漫画に夢中なのか、そのまま読み続けている。だが、変化は間違いなく始まっていた。薄着の香希の手足が、伸びている。少しづつ、体は縦にも横にも大きくなっている。身長が伸びつつ、サイズが合わずにむき出しになった脚にムチムチと肉がついている。

「ん?」

やっと違和感に気づいたのか、漫画から手を離して、自分の体をみる妹。すこしサイズが大きいはずの服は、もはやピチピチになっている。太っているわけではないが、健康的に成長したへそあたりが、服の間から覗いている。

「え?なんだこれ?」

成長したとは言え、まだ成人としては低身長である香希の体のその胸には、すでに片手で収まらないほどの膨らみができていた。それは、段々と成長のスピードを上げて、水風船のようにタプタプと揺れながら膨らんでいく。

「ちょ、ちょっと、なんでこんな……おっぱいが……!」

ソファから立ち上がる香希。その上半身には、巨乳の域はとうに超え、爆乳といっても大きいほどの乳が生成されていく。身長も伸びているのだが、その変化に気づけないほど、妹の胸は巨大なものになっていた。

「お、重い……!」

頭には小さめに角が生え、尻からは尻尾がぴょこんと飛び出てきた。その尻も、オーバーなくらいにムチムチなものになり、かろうじて服の中に収まっている。そこから生える脚は、抱きつきたくなるくらいの太いものだ。

ムグググと膨らむ胸の方は、ついに服の拘束力に打ち勝ち、布地が破れて中身のおっぱいが見え始めた。

「や、やだ……な、何かおっぱいの中に溜まってるっ」

人間であれば到底及ばないサイズになった胸は、ブチブチと服を破りながら、更に巨大化していた。妹はそれを手で抑えようとしているが、胸は全く影響を受けず膨らんでいく。かなりパンパンに張っているようだ。

「で、出ちゃうぅ、こんなところで……!!」

おっと、ここで牛乳を出されては掃除が大変だ、と元の妹の設定に戻して「変更」ボタンを押したときには……もう遅かった。妹の乳からは大量の白い液体が飛び出し、あたりに撒き散らされた。同時に体が小さく、元に戻るせいで香希の体全体から牛乳が絞り出されているかのようだった。

元に戻った香希はボロボロの布切れをまとい、牛乳まみれになった漫画をボーッと眺めるだけだった。濃い牛乳の匂いに両親が部屋に入って来たときには、大声で泣き始めていた。そこからなだめるのは、2リットルくらい噴霧された牛乳をすべて拭き取るのと同じくらい、かなり大変だった。