副作用2(2/3)

次に少年が目を覚ますと、見覚えのない天井が見えた。きれいな白いベッドの上に寝かされていたが、古ぼけた部屋自体は馴染みのないものだ。

「いったい、僕は……」
「やっと、起きたんですね」

これも聞き覚えのない声。駅の窓口にいそうな制服姿の女性が、心配そうに少年を見ていた。

「あ、あの……ここは……」
「あなたの住んでるところから少し離れた駅だよ。駅の名前を言ってもわからないでしょうから……地図を見ればわかるかな?」

道案内用の少し細かな地図を、女性は持ってきた。付けているバッジは、少年が駅で目にするロゴが入っている。駅員のようだ。

地図には、大きな駅に赤い丸がしてあった。どうやら、そこが今いる場所のようだ。線路をなぞっていくと、5駅くらい先に少年の駅があった。

「5駅も……」
「うん、あなたの通学定期を見させてもらったけど、学校より遠い場所に来てるのよ。ごめんなさい、でもあなたが見つかった場所からは1駅だし、救護室がここにしかなかったものだから……」

学校には完全に遅刻だろうという考えと一緒に、この状況に陥る前の記憶が戻ってきた。電車の中でまた女の人になって、そして、落ち着けばもとに戻るという推測が外れて……そこから先の記憶がない。
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