変身描写だけ描きたい!(TS/AP/TF)

「ま、待ちなさい!お前にはまだ!!」
「見ててください……俺の変身!」

俺は師匠に叩き込まれた気功術を発動させた。怪人が一般市民を襲っているのに、俺自身の安全を考えてなどいられない。それに、修行の成果を見せるには絶好のチャンスだ。

「ふんっ!!」

気合をこめると、俺の体がぐにぐにと縮み始める。逆に、髪は長く伸び始め、黒かったものが根本からピンク色に染まっていく。

「く、くぅっ!!」

とどのつまり、俺は魔法少女に変身しようとしていたのだ。なぜ少女に変身しなければならないかと言うと、話せば長くなるが、体に一定量ある魔法を凝縮させるのが一番の目的だ。

「だ、ダメです!!やはりまだ早い!!」

師匠は必死に止めてくるが、その言葉とは裏腹に、俺は思ったとおりの少女の体に近づきつつあった。手足は短く細くなり、筋肉も鳴りを潜めていく。そして、ぶかぶかになった服が変形を始める。変身中に少し発散される魔力が、普段着をフリルたっぷりのコスチュームに変えていくのだ。

「ふふっ、師匠……ちゃんと、俺、変身できましたよ」
「お前……!」

いつもより視線が低い。近くにある窓ガラスに映る俺の姿は、魔法少女そのもの。体は小学生くらいの大きさで、顔も幼くかわいらしく、もともとの面影などどこにもない。体の中は、濃度の高まった魔法で少しぽかぽかする。準備運動にと、体を少し浮かせ、魔法の命中度を高めるためのステッキを作り出す。

「じゃあ、俺、アイツを倒してきま……っ……!?」

怪人に敵意を向けた瞬間だった。いきなり体が熱くなって、心臓がバクバクと激しく鼓動した。

「だから、言ったのに!お前の体は、まだ戦闘向きの魔力に付いていけるようなものではないのだ!」
「じゃあ、元に……!!」

元に戻る気功術を発動させようとするが、体中を駆け回る熱、いや、魔力のせいで集中できない。

《ギュウッ……!!》

なにかに、胸が締め付けられている。いつの間にか怪人に襲われたかと思ったが、違う。服の、胸の部分が前に押し出されていた。そしてそれは俺の見ている前でどんどん大きくなる。

「こ、これって!?」

俺の疑問は、すぐに解決された。その盛り上がりは爆発的に大きくなり、服を破り捨てて飛び出てきた。肌色の、やわらかくすべすべとしたカタマリ。おっぱいだ。それも、子供の胸には釣り合わない、手に余るくらいの大きさだ。

「な、なんで!俺、男なのに!」
「今は、魔法少女でしょう。もう、手遅れです。あなたは、怪人になるのです」
「か、怪人!?この俺が!?うぐぅっ!?」

脚に、急に空気が送り込まれたかのような圧迫感が走り、目線がグイッと上がる。大きな胸で視界が邪魔されて脚はよく見えない。

「お前は木属性の魔法が得意だった……だから……」

ピンク色の髪が、緑色に染まり始め、更に伸びて腰に掛かってくる。背骨がグキグキと伸ばされ、骨盤が広がる。

「だから、植物の怪人になると……?」

指に痛みが走ったと思うと、一本一本が長く細く伸びる。そして、腕が引き伸ばされるように長くなる。

「ええ……」

服はもはやビリビリに破け、俺の体はほとんどが外気にさらされている。さっき幼い少女を映していた窓ガラスには、緑髪の女性が写っている。ほどよく健康的なその体は、こんな危機的状況でなければ、いつまでも眺めていたいくらいだ。

「なんだ、普通の女じゃないか」
「ここで終わると思ったのですか?
「え……うっ、ぐぅっ!!??」

脚に、強烈な痛みが走る。骨が、皮が溶けていく。そして、皮膚は茶色にただれて、形が崩れていく。ささくれだらけの乾いたそれはまるで木の幹のようだ。

「ドリアード、樹の怪物になるようですね……」
「そんな……!!」

その脚は、地面に突き刺さり、その下の土から、養分を吸い出す。俺の目では見えないが、体でそうわかった。そして、ドクン、ドクン、と吸い上げた養分が上半身に蓄えられ始める。

「おいしい……」

無意識にそう声を発していた。大地の恵みは、とても美味だった。こんな街の中でも、地中深い所では自然が残っているのだろう。その恵みで、俺の体は育ち始めた。

「いい、いい……」

肌が、微妙に緑色を帯び始める。巨乳だった胸が、更に大きくなっていく。脚からツルが伸び、体に巻き付いて服のようになる。そして、豊かに育った乳房も、包み込んでいく。

腰には飾りのように花が咲いた。地面に根を張った脚は、いつの間にか人の身長くらいに長くなり、人間と変わらない大きさの上半身と不釣り合いになっていた。師匠の顔が、下の方に見える。

「……思ったとおりの、結果になりましたね……」

その表情は、これまで見たことがないほどに曇っていた。その悲しげな顔が、俺の胸に突き刺さった。

「お、俺は……アイツを倒して……」
「だめです、だめですよ!怪人になっても、心を奪われなければ……!!」

師匠が、必死に俺を止めている。だが俺のプライドが、人間を襲っている怪人を倒せと言っていた。……今思えば、それはドリアードの本性が誘いかけていたのかもしれないが。

どっちにしろ、俺は無我夢中でそいつを攻撃し始めた。脚からつながったツルや樹の根、ありとあらゆる攻撃手段で、狩りをした。殺す、ころす、コロス。それ以外、考えなかった。

そして、怪人が粉々になった頃には、師匠の姿はなかった。もう、魔法少女なんかどうでもよくなっていた。それよりも……

「この大地は、ワタシのモノ……醜い人間の街など、この地から消してしまおう」

そんなワタシの前に、立ちはだかるものなど、なかった。

同化 後編

「お兄ちゃん……❤」
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幼馴染はトロンとした目で少年を見つめながら、四つん這いになって近づいてくる。元の面影を残した童顔と、その下でたぷんたぷんと揺れる二つの豊満な果実は、少年の目覚めかけの男性としての性欲をかきたてた。だが、少年の理性はそれ以上に強く、恐怖で少年は後ろに逃げて行く。

「つ~かまえたっ」

しかし、体格の差に勝つことはできず、すぐに腕を押さえられ、少年は上から覆いかぶされ、地面に押し倒されてしまった。

「いつもみたいに、あそぼ~?」
「や、やめて……っ!」

幼馴染はその巨大な乳房を少年の胸板に押し付け、上体を前後左右に揺らして、むにゅむにゅと変形させる。少年は自分の胸を包み込む柔らかい感覚に、身を任せずにはいられなくなり、全身の力が抜けてしまった。ただでさえ体重も力も劣る肉感的な女性に完全に屈してしまったのだ。

幼馴染はその様子をみると少年の腕を放し、その下半身の上へと移動する。そして、未だ小さなペニスを挟むように、乳房を少年の上にタポンと落とした。

「うっ……」
「お兄ちゃん、やっぱりここがいいんだね……❤」

体を上下に動かし、性器にかかる乳圧を周期的に変化させる。腰にコリコリと当たってくる乳首の感覚も相まって少年は絶頂へと近づいて行く。

「だめ……こんなこと……しちゃ……」
「なんで~?とっても、気持ちいいでしょぉ?」

幼稚園児とは思えないテクニックと小悪魔の誘惑のような声で、服をいつの間にか全て脱がし、幼馴染はどんどん攻めたててくる。少年はつい昨日まで一緒に遊んでいた年下の女の子が、今のように至上の快楽を与える存在になっていることが受け入れられず、どうするべきか判断する間も与えられず、最後に残っていたわずかな理性も風前の灯火となっていた。そして……

ドピュゥ!

出してしまった。自分でも正体のわからない白濁液が少年から放たれ、幼馴染の顔にかかった。

「あ……あっ……」

少年の頭がパンクしたようだった。

「ふふっ……お兄ちゃんも、おっぱいほしい?」

姿勢を直した幼馴染が、胸をむぎゅっと掴み、少年の目の前で強調してくる。さっきまでなら目をつぶって意識することを避けられたが、今はそれをただ見つめ、意識してしまう。途端に、胸が熱くなってきた。

「えっ……」

胸板を見ると、少年の鼓動と同期して、乳首がムクッムクッと大きくなってきていた。手でそれを押さえつけ、その成長を抑えようとするが、逆に、触覚でもその成長を感じてしまい、余計に意識してしまう。

「んんっ……」

胸全体の熱がさらに強くなると、少年の手の下で乳腺が発達し始め、乳首の周りがムリッムリッと盛り上がっていく。

「いやだ、やめて……」
「お兄ちゃん❤️」
「えっ」

幼馴染の声に思わず上を向くとたわわな乳房がやはりそこにあって、緊急時にも関わらずドキッとしてしまう。その瞬間、少年自身の胸の膨らみが、一気にリンゴサイズになり、激しい鼓動に合わせて、ムギュムギュッと成長を止めなくなった。

「だめ、だめっ……!」

再び、両腕でその膨らみを押さえつけるが、その腕の上下から、肌色がはみ出し、段々抑えていられなくなってしまう。

「ねえねえ、私の体、どう?」
「……!」

幼馴染は、大きな体と、そのウエストからヒップにかけての曲線を強調する。少年は、それを意識せざるをえない。背骨や骨盤のあたりに痛みが走ると、腰が横に引っ張られるように広がり、上半身は縦に引き伸ばされ、同時にムチムチとした皮下脂肪がついて、尻がボンッと膨らんだ。そして、ついさっきの幼馴染と同じように、自分の手足では動くことができなくなっていた。

「少年、幼馴染の体はもういいから、鏡見てみなさい?」

人形のような少女が言うと、幼馴染はいきなり気絶した。その体から空気が抜けていくように、手足は細く短く、乳房は元の胸板に戻り、髪も肩まで戻った。その代わりという感じで、仰向けに倒れている少年の真上に、大きな鏡が出現した。

「なに、これ……」

少年が自分の体を見ると、胸には頭と同じくらいの乳房がつき、ウエストはくびれ、腰が大きく横に広げられ、胴体だけは豊満な女性になっている自分自身の姿が映った。逆に言えば、手足と頭が、元のままの女性に、少年はなっていたのだ。そして、股に付いている小さい男の象徴が、目につく。

「ねえ、気持ち悪いでしょ?女の人になっちゃえば、楽よ。意識するだけでいいから、ね?……って、あなたそれ最初に意識しちゃう?」
「うっ……」

その瞬間、少年のペニスが脈打ち始め、膨らみ始めるが、ある程度膨らむと、いきなり潰されるような痛みが生じた。

「あぐっ……くぅっ!!!」

筆舌に尽くしがたい痛みとともに、ソレは少年の腹部に向かって沈み込むように縮み始めたのだ。少年は必死になって耐えるが、数秒後にはソレはスッと入った溝に沈没してしまい、完全に姿を消してしまった。

「ふぅ……っ、おなか、中が、ぐるぐるする……」

かき回されるような感覚の原因は、少年には知るすべもないが、子宮ができあがっていくものだった。それに繋がる卵巣が、今まであった精巣を置き換え、女性としての生殖機能を与えていくものに他ならなかった。少年は不安な表情で下腹部がうごめいているのを鏡で見ていることしかできない。

「あなたも、これで立派な人間のメスね」

うごめきが止まると、少女が満足そうな声で変身の成果を確認した。

「な、なんでこんなことするの」

素朴な疑問だった。こんなに大掛かりな魔法じみたことで自分が苦しめられるのには、何か理由があるはずだと思うのは、当然だ。

「そうね……あなた、ちやほやされるの、好きよね。人に褒められるのとか、撫でられるのとか」
「えっ……?」
「あら?小さい子は全員そうって思ってたけど、そうじゃないのかしら?とにかく、私はその目的のために生まれてきたんだけどね、あなたにもそれを体験してもらおうと思って」

大人の女性になれば、ちやほやされるのだろうか?少年は、テレビで綺麗な女性が褒められたり、羨ましがられていたりしていたのを思い出した。すらっと伸びた脚のこととか……

「あら、意識したわね」
「ふぎゅっ……!」

少年の足が、胴体から何かが送り込まれるかのように、膨らんでいく。ももにはムッチリとした肉がつき、二倍の太さに膨れ上がる。長さの方も、ググッググッと大きくなり、思い浮かべた女性ーーグラビアアイドルだったのだがーーと同じような、健康的な女性の足に育った。

「ボーイッシュもいいけれど、今のあなたの顔じゃ、ただの子供ね」
「僕は女の人になんか……!」

鏡の中の自分は、容赦なくその意思を潰してきた。むしろ、頭と手だけが少年のままとなった体は、全て女性であるべきであるもののようにも見えてしまう。

「(腕が、ほそい、ちっちゃい……)」
「はぁい、意識したー」
「うぐぁっ!」

腕はニョキニョキと伸び、女性になった体に合わせるように、適度に脂肪を蓄え、筋肉は控えめについたものになった。

「さあ、どうするの?女の人になるの、ならないの?」
「ぼ、僕は……」

少年は抗おうとするが、「女性になった状態」と「元に戻った状態」を、両方とも思い浮かべてしまった。選択を迫られた時には、人間はそのあとの結末を想像してしまうものである。そう、少年は想像したのだ。

「はい、時間切れっと。あなた、ちょろいわね」
「う、うわぁあああっ!!」

叫んだときにはもう遅く、少年の顔は少し童顔ではあるが色気のある女性のものに変わり、髪もサラサラと伸びて背中にかかるほどまでになった。

「僕は、これで、もう……」
「なっちゃったわね、完全に、女の人に。だけど……」
「今度は何?もう終わったでしょ?」

少女は、ニンマリとした。

「これからが、本番よ」

少年の掌から、ベキッという音がした。

「えっ」

少年が目を動かして手を見ると、そこには人間の肌ではなく、ゴムやプラスチックのようなもので覆われた掌があった。指を動かそうとすると、ギシギシと言うだけで、あまり自由がきかない。もっと注意深く見ると、指の関節の周りに色々な割れ目が付き、フィギュアの可動関節のようになっていた。

「あらあら?見るのは、おててだけでいいのかしら?」

少年が肘に目をやると、指と同じような溝が彫り込まれていくところだった。それはまるで皮膚が沈みこんでいくようで、中にある骨や血管は無視したような動きだ。そして、数秒後には、その現象は肩に伝わり、球体関節が、体の中でベキベキと形作られていく。これだけの変化が起きているのに、少年には全く痛みが伝わってこない。

「ぼく、どうなって……」
「いったでしょ?ちやほやされるようにしてあげるって。フィギュアとしてだけどね」

少年は、少女、いや、周りの風景全てが巨大化しているのに気づいた。フィギュアになっていくとともに、サイズが縮んでいるのだった。

「やだ、やめて!!こんなとこで死にたくないよぉ!!」
「死ぬ?失礼ね。全ての人形には魂が宿っているのよ?この私にだって、魂があるんだからね」
「わけわかんないよ!お姉さんも……人間……でしょ!?」
「私?私はたくさん、すごくたくさんの人形の魂のかたまりよ。あなたたち人間に愛してもらえなかった人形たちのね」
「なに……いってる……の……?」

少年の言葉の自由が奪われていく。足や、腰の中にも溝が彫られ、人形としての関節が出来上がっていく。そして、少し前は動かせた指や腕が全く動かなくなってしまった。

「そろそろ完成ね」
「や……だ……」

口もただの顔の表面に彫られた浅い穴となり、その瞳を残して、少年は完全に豊満美少女フィギュアとなってしまったのだった。少女は、変化が終わり、路上に倒れたまま動かなくなったフィギュアを拾い、まじまじと見つめる。

「ふふん、私のコレクションが、また一つ増えたわね。それにしても、人間から作る人形って最高!私みたいなつくりものじゃ、勝てないわ」

しかし、柔らかいゴムでできた胸をプニプニと触ると、多少不満そうになった。

「もうちょっと大きくしておけばよかった?まあいいわ、あとで付け足してあげれば。さぁて、どんなお服を着せてあげようかしら?」

少女はニコッと笑うと、フィギュアもろとも消え去った。

トリック・アンド・トリート ~クッキー編~

「こ、ここはどこ……?」

一人の女子大生が、路地裏で迷っているようだ。日も暮れ、街灯がぽつりと一つ、彼女の上で光っている以外は、真っ暗だ。

「わ、私今まで大通りを歩いてたよね……?スマホ見ながら歩いてたっていっても、こんなところ、入ってくるわけ無いし……とりあえず地図を調べて……」
「おじょうさん」
「うわぁっ!?」

暗闇の中からいきなり男の声がして驚く女子大生。そこには、時代遅れのローブを着た、RPGに出てきそうな男が立っている。

「こんな所を一人で歩いていては、危険ですよ」
「……ご、ご心配ありがとうございます……」

彼女には、不気味なローブ姿の男から一刻も早く遠ざかりたい、という直感にもにた恐怖が湧き上がった。しかし、足を動かそうとする意思に、体が従わなかった。

「え、なんなのこれ、足が動かない……」
「それは、そうですよ。私の結界の中にいるんですから」
「結界……?」

女子大生は、真上から自分を照らす光に、熱のようなものが加わってきているのに気づいた。

「ちょ、これ、熱い……!」

光を遮ろうとして、手をかざす。だが、その手に、妙な感覚が伝わってくる。

「なんかすごくカサカサする……!」

手を目の前に動かすと、その感覚の正体が分かる。しかし、彼女は安堵するどころか、恐怖を感じざるを得なかった。彼女の手は砂をかぶったように白い粉で覆われていた。いや、彼女の手自体が、粉になっていたのだ。手は、彼女がじっと見ているその前で手首からポロッと取れ落ち、床にぶつかった衝撃で、粉々になってしまった。

「……え……っ」

手だけではない。光が差す体の表面、服の表面が色を失っていく。同時に、サラサラとした粉が、体から分離し床に積もり積もっていく。

「……!」

悲鳴を上げようとした彼女の口も、いつの間にか固まり、瞳から流れだした涙も、粉に吸い込まれ、顎まで流れることはなかった。ついに、手の指や髪の毛の先が欠けていたが、女子大生は人間の形を保ったまま、完全に白い粉の塊と化した。

「ふむ……なかなか形が残りましたね……しかし、像にするのが私の目的ではないですし……」

男がパチッと指を鳴らすと、粉の像にピキッと亀裂が入り、各部分がバラバラに落ち、床にあたって砕け散った。最後に残ったのは、白い粉の山だ。

「よし、これで人間小麦粉の完成といったところでしょうかね。これに砂糖とバターと卵黄と……私特製のスパイスを……」

男の言葉とともに、どこからともなく現れた、白い粉、黄色い固まりと液体、そして光の粒のようなものが山に加えられ、竜巻のように舞い上がって、混ぜられていく。材料は、これも忽然と現れた無数の型に流し込まれ、一瞬にしてふっくらと焼けた。あたりには、とろけてしまいそうな甘い香りが立ち込める。

「おいしいクッキーの完成ですね。本来ならティータイムにピッタリの」

一口サイズに焼けたクッキーは、あっと言う間に数個ずつプラスチックの袋に梱包され、ひとりでに夜空へと飛んで行く。

「こんな夜にお菓子を食べる子は、いないでしょうが……まあ、明日が楽しみといったところでしょうかね」

ローブの男は、女子大生を小麦粉にした照明に向かってパチッと指を鳴らした。すると明かりは消え、逆に周りの風景が見え始める。そこは、女子大生が歩いていた大通りそのものだった。彼女は、この男の、照明に見立てた結界の中に入ってしまったせいで、周りが見えなくなり、逃げ出せなくなってしまったのだ。

明かりが消えると同時に、男も姿を消し、大通りの喧騒は何事もなかったかのように夜を明かした。

その翌日。夏の暑さに耐えかね、二人の小学生の男子が、クーラーの効いたリビングでゲームに勤しんでいた。二人とも元気いっぱいの育ち盛りで、こんなに暑くなければ仲間と野球をするような外見をしている。

「いただき!」
「あっ、そこでくるかメテオ!」

対戦ゲームのようで、かなりヒートアップしている。それで、彼らの横にスッとクッキー入りの袋が飛んできたことにも気づかなかった。

「そろそろおやつ食べよっか!」
「そうだな建人(けんと)!あ、こんなところにクッキーが……」

少しおとなしめな子のほうが、クッキーの袋に気づき、建人と呼ばれたもう一人に見せる。

「クッキーよりポテイトゥ食べようぜ」
「あ、もう一つ食べちゃった……なんだこれ、変な……あ……っ」

クッキーを食べた子が、胸を抑えて苦しみだした。そして、床に仰向けに倒れ、手を床に付け、ぐっと痛みをこらえるように、歯を食いしばった。

「な、大智(たいち)どうし……」
「んああっ……!!!」

急に叫び声を上げる大智と呼ばれた子。すると、手足がググッと伸び、薄手のTシャツの胸の部分に、ピクッと突起が立った。股間も、異常なまでな勃起を見せている。建人は、いきなりの親友の変化に、腰を抜かし、倒れてしまう。

「た、たすけ……んぅああっ!!!」

さらに手足が伸びるが、それは普通の男のように筋肉や骨で角ばったものではなく、まるで女のように皮下脂肪に覆われ、柔らかな輪郭を持ったものであった。同時に腰がグキキッと何かに引っ張られるように横に拡大する。スポーツ刈りにしていた髪の毛も、サラサラと伸びて、周りの床に広がっていく。

「た、い……ち?」

夢にも見なかった事態を受け入れられず、ただただ大智が変わっていくのを見届けるしか無い建人。

「あ、おちんち……んんっ!!!」

股間の突起が、グチッ、ミヂッ、と音を立てて、体に潜り込むように萎縮し、ついに見えなくなってしまった。

「ふぅ……ふぅ……んっ!あぅっ!」

左胸がグイッと盛り上がり、薄手のシャツの襟から、どうみても乳房の膨らみにしか見えない、肌色の固まりがはみ出る。続いて、右胸も同じサイズまで膨れ上がり、女子高生の体格まで大きくなっている体の上に、大きな双子の山が出来上がった。

「ふあっ……もっと……んぁっ!!」

大智が声を上げるごとに、ムクッ、ムクッと体が一回りづつ大きくなる。その吐息は、小学生のものは到底思えない色っぽさを醸し出している。着ていたシャツはビリビリ破け、短パンは尻と太股に食い込み、その肉感をさらに強調している。

《ビリーッ!!》

ついにシャツが胸からの圧力に負けて大きく破れ、頭と同じくらいのサイズになった胸が解放されて、タプンタプンと大きく揺れた。同時に、大智は喘ぎ声を出すのをやめた。

「た、大智?大丈夫か?」

建人はやっと我に返り、数分前の姿の面影が全くなくなった大智に近づいていく。仰向けに寝そべったその体の上で、大智の呼吸とともに揺れる胸は、建人の幼い好奇心を誘う。

「(ゴクリ……)」

建人は、その力にあっさりと負け、腕を豊満な乳房へと伸ばした。その瞬間、大智の目がカッと見開き、建人の腕をガシっと掴んだ。

「ひゃっ!?ご、ごめ……!」

しかし、建人が想像したのとは逆に、大智は友人の腕を、自分の胸に押し付けたのだった。

「どう?私のおっぱい……。やわらかいでしょ……?」
「えっ、ええっ……うん、やわらかい……」

建人のなかで、さっきまで対戦ゲームで盛り上がっていた大智とは思えない発言に対する警戒と、手に伝わってくるなんとも言えない柔らかい感触への興奮がせめぎあい、幼い精神はパンク寸前になっていた。

「じゃあ……」

大智は、寝そべったまま建人の服を超人的なスピードで脱がせ、両手でヒョイッと持ち上げて自分の体の上に寝かせた。

「私の体、全身で堪能して……!」

そしてギュッと腕で建人を抱きしめ、乳房に建人の頭を押し付ける。

――おっぱいやわらかい……いや!こいつは大智で……で、でも……おなかもすごくスベスベしてる、そしてこの汗の匂い……

建人は、今起こっていることの不可解さに混乱しつつ、小学生でも持ち合わせている本能に、徐々に抗えなくなっていった。

「まだ何もしないの……?じゃあ私から……」

その時だった。

「建人お兄ちゃん?誰か来てるの?」
「真都(まと)!」

建人の、同じく小学生の妹、真都が、いつの間にやら部屋に入ってきたのだ。

「駄目だ、今は入ってきちゃ……っ……」
「だれなの、このおねえちゃん……えっ」

建人の中で、何かの線がプツッと切れていた。何かを考える前に、いたいけもない妹の口に、親友を女性にしたクッキーを、有無をいわさず突っ込んでいたのだ。

「お、おにいちゃ……んっ……!」

その効果はすぐに現れた。身長が伸びる前に、膨らみかけにも入っていない胸が、ムクッ、ムククッと、部屋着の薄いシャツを盛り上げ始めたのだ。その大きさは、30秒ほども経たないうちに特大メロンサイズまでになってシャツの下からはみ出し、真都の体では支えきれなくなってしまった。

「なんで、私におっぱいが……んああっ……!!!」

後ろに突き出す形になっていた尻がムギュギュッと膨らみ、同時に足がニョキニョキと伸びて、未だ胸以外成長していない上半身を、下から押し上げていく。足には、ムチムチと脂肪が付き、腰もゴキゴキと広がる。

「いや、私これ以上大きくっ……!!」

腕も伸び、部屋着を限界まで引っ張る。背骨が伸びて、相対的にウエストが絞られ、女性特有の美しい曲線が描き出されていく。

「わ……私……」

声も、子供っぽい高い声から、落ち着いた声に変わる。そこで変身が終わったのか、大きくなった腕をついて、何とか立ち上がった。

「こんなに、大きくなっちゃったのね……」

建人は、何も考えること無く、自分よりも格段に背の高くなった妹の胸に飛びついた。

「あら、おにいちゃん。そんなに私のおっぱい好きなの……?」

妹の問いに、ただただ頷く建人に、理性はほぼ残っていない。起き上がってきた大智は、真都に目配せし、建人を持ち上げて真都の胸に押し付け、自分の胸も同じように押し当てた。建人は、頭を二人の乳で挟まれ、そして考えることを完全にやめた。

「今回は効能を大きくしすぎましたかね……性格や思考が完全に変わってしまうとは……」

疲れ果て、死んだようにリビングの床で眠る3人の子供を、ローブ姿の男が眺めていた。

「次にお菓子を作る前に、少し検討する必要がありそうですね……まあ、このお三方にはこれからも楽しんでもらうことにしましょうかね。この際、クッキーは差し上げることにしましょう」

まだ、中に15個は残っている包みを、男はニヤニヤしながら確認し、そして部屋から姿を消した。

状態変化を書いてみたかっただけ1

1日目。不死身の種族であるという妖精族の女性を捕らえた。我々の畑や、商店を荒らす厄介者の種族だ。見た目は人間とほとんど変わらない。ただ白い髪と、背中から生えている葉のような羽根が特徴的だ。同じように白い毛皮のような衣服で、最低限の部分が覆われている。幸い数は少ないが、捕まえたからにはこれからタップリと楽しませてもらおう。開発した魔法薬を試させてもらいたいしな。もう夜遅いが……そうだ、子宮が異常に膨れ上がる薬を一滴飲ませよう。何で開発したかって?まぁ、そういう趣味の人もいるってことだ。スポイトに取って、それを瓶に入れたままの妖精の口に近づける。

「や、やめて……許して」

妖精はがくがくと震えているが、お構いなしだ。スポイトから魔法薬を垂らすと、うまく口の中に入っていった。

「んぐ……かはぁっ」

のたうち回る妖精。露出された、キュッと絞られていたウエストがぷっくりと膨れているのが目に見えて分かった。瓶の中で確実に大きくなっていく腹部は、パンパンに貼っていてほぼ真球に近くなっている。そして、ついには瓶一杯に膨れ上がってしまい、ガラスの壁に腹が押し付けられ逆側では羽根が無理に曲げられて、痛みでギャーギャー騒ぐ。不死身でも痛がるんだなぁ。そんなことを考えていると、瓶にヒビが入り始めた。これはまずいな。よし。

「いや、いや!もう飲みたくないぃっ!」

別の薬が腹でつっかえて動かなくなった自分の顔に近づいてきてるのを見て、けたたましい叫びをあげる妖精。だが、それで躊躇することもなく薬を注ぎ込む。すると、妖精の体が灰色のもので覆われ始めた。石化の薬を飲ませたのだ。灰色の部分はあっと言う間に全身に広がる。

「え、何が起きて……か、体……が…………」

妖精はなすすべもなく完全に灰色になると動かなくなり、腹の膨張も収まったようだ。それを確認したところで楔をあてる。そして、ゆっくりコツンっと金槌を打った。カシャアンッ!という音を立て、瓶の中で綺麗なほどに粉々になる妖精。明日になれば元に戻るはずだ。割れかけている瓶から、もっと大きめの丸底フラスコに移し替えた。明日はどんな薬を使おうか。

スライムのレシピ

少女が気がついた時、彼女の四肢は理科室の机の上に束縛され、身動きが取れなくなっていた。

「なんなのよ、これ!」

気絶した時のスクール水着のまま拘束されている、アホ毛が一本ピンと立っているロングヘアの少女は、独りではなかった。

「ようこそ、我が居城へ」

それは、白衣を身につけた女性。その学校の理科の教諭だった。

「居城って…ここ理科しつ…んぐっ!」

ツッコミを入れようとする少女の口に、教諭はおもむろにマスクのようなものをつけた。ただしそれは透明で、付けた途端少女の顔にぴったりと張り付いた。それに、中には管が通っていて、少女の口の中まで伸びている。

「んん、んんんーっ」
「これからお前には私の実験台になってもらうのだ!えいっ!」
「んんんっ!!!」

少女は、口の中に空気が入ってくるのを感じた。しかし普通の空気なら肺にはいっていくのに、それは少女の体全体に行き渡って行くかのような感覚だった。少女がマスクについたホースの先の方を見ると、生物兵器についているような、危険を示すマークが張り付いたガスボンベに繋がっているのが見えた。しかし、それだけではなかった。スクール水着を押し上げる胸が、さらに成長しているのだ。

「おお、効果は出ているようだな!」

空気が詰まって行く感覚を得て腕をみてみると、すらっとしていた二の腕に脂肪がつき、太くなっている。いや、少女の皮膚は、まるでゴムのようにピンと張り詰めて行き、太っていると言うよりは膨らんでいた。手の指も、太さを増すだけでなく、微妙に長さが伸びていて、手の形をした風船に空気が入って行くようなそんな光景だった。

「んんーっ!」

それに、ガスが充満して行く感覚とともに、皮膚が伸ばされている感覚が全身に広がっていた。しかし、いくら胸が大きくなっても、スクール水着からくるはずの圧迫感は全く感じられない。よく見ると、水着はゴム風船のようになった少女の体に同化し、単なるボディペイントとか化していた。

「おおーどんどん膨らむな!」

彼女の体は徐々に球体に近づいていた。背骨があるのを無視するように、背中も腹も横へ縦へ、上へ下へと、丸々と膨れ上がり、机の上から大きくはみ出している。腕や足の関節は他の部分と見分けがつかなくなり、四肢は一個の丸くゆがんだ円錐形の膨らみになって、本来の機能を完全に失っている。顔も横へと膨らんで、首はかろうじて小さなくびれとして姿を残していた。

「さて、そろそろ…」

少女は、何かがゴトゴトと音を立てているのに気づいた。顔が動かせずその何かを見るのもままならなかった彼女の視界の中に、大きな木槌が入ってきた。少女に大きな悪寒が走った。

(もしかして、まさか…!)
「えいやっ!」

その木槌は、勢い良く振り落とされた。

バァァァアアン!!!

大きな音が部屋中に響いた。ただそれは、風船が破裂する音ではなく、まるで陶器が破壊された音のように、硬く鋭い音だった。少女の体は、さきほどまでの伸縮性の高い風船ではなく、硬くて脆い、焼き物のように粉々に砕け散った。机の上に残ったのは、細かい砂だけだ。

「ここからが面倒なのよねー」

教諭は箒とちりとりを使い、丁寧に砂を集めて、大きな鍋にまとめた。そしてその中に、試薬瓶に入っていた液体を流し込むと、蓋をして、給湯室まで持って行った。

「ふぅ、重たかったー。じゃあさっそく!」

コンロの上に少女の粉が入った鍋を置くと、カチッと火を付け、備品のヘラでかき混ぜはじめる。最初は、薬品を混ぜたにしろ、サラサラしていた中身は、みるみるうちにドロドロに溶ける。教諭は青みがかってくるのをみて、火を止めて、それに話しかけた。

「そろそろ喋れるでしょ?」

すると、鍋の中のドロドロの液体が、音を出した。

「う、うう…わ…たし…」

その音は、少女の声よりかなり高め、ソプラノの女性が裏声でやっと出せるような音階で、言葉の形をなしていた。そして、まるで液体が鍋から出たがるようにふよふよと表面が浮き立った。

「はいはい、出たいのね、それじゃあ、えいっ!」

教諭は勢い良く鍋の中身を床に放り出した。それはべちゃっと音を立てたが、飛び散ることはなく落ちたところで球体になった。ぷよぷよと震えながらその場にいとどまろうとするそれは、まるでファンタジーの世界に出てくる生きたスライムのようだ。

「痛っ!?それになにこれ!!」

また声が発せられた。今度は、音階こそ高いままだがはっきりとした日本語だった。

「私の体、どうなっちゃってるの!?」
「あなたは、スライムになったのよ」
「はぁ!?」
「でも、なりたいと思った姿になれるはずよ。試しに、元の自分の体を思い浮かべてみて」
「意味わかんない!いくらなんでも、私がスライムになんてなるわけがないじゃない!」

スライムはそう叫んだが、少し静かになった後、モゴモゴと変形を始めた。ただの直径30cmくらいの球体だったのが、小さなクッキー人形のような、身長が50cm程度の簡単な人型になり、一応の目と口がついた。色はそのままで、青みがかった半透明だ。

「ん、納得したのね。あなたがスライムだって」
「だって…それ以外に説明つかないし…」
「じゃあ、もっとちゃんと思い浮かべてみて」
「その前に…」

人型は教諭の方に歩み寄り、突然右手でパンチした。

「なんてことしてくれるのよ!!」

だが、元々の体ならともかく、今の柔らかく小さすぎる腕でパンチをしても、教諭の表情は全く変わらない。それどころか、笑い出してしまった。

「あっはは、まあ分かるよ。私の事が憎いんだろう。だが、そのプヨプヨのからだじゃなあ。さっさと、元の形にもどってみたらどうなんだ?」
「くっ…」

スライムはさらに変形し始めた。指も手のひらも、関節すらない腕や足に細かい割れ目やシワが入り、人間の四肢が形成される。円柱形の胴体にはすっと2つの溝が入り、それぞれヘソと股になった。そして、ヘソ周りがキュッと絞られると胸の部分がムクッと盛り上がり、背中が平坦になり、溝ができると、頭部から細かい繊維、髪の毛がばさっと伸びた。顔は、元の少女のものの型にはめられたかのようにぐにゅっと形が変わった。かくして、少女は元の姿を取り戻した。身長は30cmで体は透き通ったままだが。

「小さくてかわいいな」
「ふざけんじゃない!あんたがやったことでしょ!?元に戻る方法とかないの!?」
「とりあえず、大きさだけは、それっ!」

教諭は、いつの間にか蛇口につながれていたゴムホースから、少女に水をかけた。

「わあ!?つ、冷た…くない…水が私の中に入って来てる」

少女の体は、プロポーションを保ちつつ、大きくなっていた。身長が150cmほどになったところで、教諭は水を止めた。

「ふぅ…大きさは、戻ったかな」

少女の声も、音が低くなり、元々の音階を取り戻していた。

「うむ。着色も自由にできるはずだぞ」
「着色?」
「お前の体の色だよ。今はほとんど透明だが、肌色だって変えられるんだ」
「んー」

少女は念じるように目を閉じた。すると、全身が人間の肌で覆われたように、ばっと色が出た。しかし髪や眉の色まで肌色になってしまった。

「どう!?」
「不合格」
「は!?あっ」

目を開いた少女はそれに気づいたらしく、髪が濃い茶色に染まった。

「これなら!」
「なんで、裸なんだ?私は一回も全裸の姿になれとはいってないぞ?」
「…うっさいわね!!服を着ろとも言ってないじゃないの!」
「服だって自由に形成できるぞ」
「ああもう、やればいいんでしょ!」
「よろしい」

少女の体が学生服の色になったと思うと、それは布の形になった。

「順応性高いなー」
「そんなことどうでもいい!で!元に戻る方法は!?」
「えー、そんな便利な体になったんだから楽しめば…むぐっ」

少女の右手が教諭の鼻と口を塞いでいた。部分的に形が崩れた手は完全に空気を遮断している。

「教えないと、殺す」

教諭が青ざめ、必死に頷いたのを見て、少女は手を離した。

「ゲホ、ゲホっ…今から見つけるから…」
「…ないのね。じゃあできるだけ早く…」
「仕返し!」

少女が反応できる前に、教諭は先ほどの木槌を勢い良く、上から頭にうち当てた。少女の体は、ぐにゅっと潰され、横に伸びて、顔は歪んで人の形を逸脱していた。力を受けなかった胸と尻は、逆に大きく膨らんでしまって、フルフルと揺れていた。

「何とも滑稽な姿だな!ん?」
「こ、この…」

少女の肌が赤くなった。赤味がかったという程度ではなく、本当の赤だ。そして、ブルブル揺れていた胸が一瞬で引っ込むと、右手がその体積を引き継いだかのように巨大化し、同じ勢いで教諭の下腹部をえぐるようにして殴った。

「馬鹿教師がああああ!!」
「うぐふぅうっ!!」

いくら柔らかくても、重さはあるその腕は、教諭の体を吹き飛ばした。少女は体の形と肌色を元に戻し、床に倒れた教諭を踏みつける。

「明日までに見つけなかったら窒息死させてやる!」
「そ、そんな…」
「分かったわね!!」
「はい」

少女は、大きな足音を立てながらその場を立ち去った。倒れていた教諭は、ニヤニヤと口を緩ませて立ち上がった。

「いい気になってるのもそこまでだ、私のかわいいスライムよ。明日になったらどうしてやるかな…?」