うたたねの姫 後編~太地~

あむぁいおかし製作所様での投稿(http://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-26287.html)と同内容です。イラストは春瀬めいお様に描いていただきました。

「ったく、変なことになったな……」

太地は足の遅い学を置いて、家に帰っていた。汗をシャワーで流し、部屋着を着て自室に入ると、自分のかばんが目に入った。

「ちっ、宿題やんねぇと補習だったか……」

スマホで時間を潰そうと思っていた太地だったが、ため息をついて教科書とノート、筆記用具をかばんから取り出し、机の上に投げた。

「あーあ、あいつに勉強教えてる余裕なんてないんだよ、何してんだ俺は」

そして何気なく自分の胸を触る。図書室での出来事を思い出し、そこに確かにあった乳房を触ろうとするかのように。

「……って、ホントなにやってんだ」

太地は顔をパンパンと両手で叩き、椅子に座る。そして教科書を開くが、顔をのぞかせた文字の羅列に頭を抱える。

「……これどうやって解くんだよ、女になった俺ならわかるのかねぇ!」

問題を見ても、何を書いているのかさっぱりな部分すらある。それをぼーっと眺めてるうち、太地はうとうととしはじめた。

「……くっ……補習……が……」

そして、太地は眠りに落ちてしまった。が、頭をくすぐる感覚に、目が覚める。

「寝てたのか、俺」

妙にチクチクする頭を掻く太地だったが、その手に感じたのは長く柔らかい繊維の感触。

「なんだってんだよ……ま、まさか!また女になってる!?」

その手を股間に持っていくと、そこにあるはずの男の象徴が跡形もなく消えている。よく見ると、その腕も細く短くなって、部屋着がぶかぶかになっている。

「ってことは、……んぅっ!」

胸が内側から押し上げられる感触がすると、服に小さな二つの膨らみが現れた。

「ち、ちくしょ、戻ったらそのままじゃないのかよっ!」

膨らみはグググッと大きくなり、服の上からでも明らかにわかるほどのバストサイズになる。

「んあっ!」

さらにボンッと一回り大きくなって、部屋着がギチッと音を立てた。それで、変化は収まった。

「はぁ、はぁ……声まで女に……」

太地は、視界に入ったスマホを手に持って、カメラアプリを起動した。

「今の俺って、どんな感じになってんだ……?っ!!」

画面表側のカメラに切り替えると、そこにはとびきりの美少女が映っていた。その端麗さへの驚きと、その少女が自分であることをにわかに信じられないことからくる違和感に、太地の体は固まった。

「これが……俺……?」

その時、腕時計の時報がピピッと鳴って、午後6時になったことを告げた。太地はハッと我に返った。

「くっ、こんなことしてる場合じゃ……」

教科書とノートに向き直り、時間との戦いとばかりに打ち込んでいく。太地は、自分が女になったことを忘れようと、必死に宿題を進めていった。

「え、もう終わった……?」

もとの太地なら頭をフル回転させてもわからない問題も、今の太地には赤子の手をひねるような簡単さになっていた。その上で本気を出したのだ、宿題は10分もしないうちに片付いてしまった。

「嘘だろ……」

太地は戸惑い、胸に手を置こうとした。しかしその手は、部屋着の胸の膨らみの上にあるぷくっとした突起……乳首に触れた。

「ひゃぁっ!?」

太地は、思いもしない刺激に小さな叫びをあげた。できたばかりの乳頭は敏感だった。ジーンとしびれるような感覚に、椅子に座っていられなくなった太地は、思わず床に崩れ落ちてしまった。ブルンブルンと揺れる胸は、服と擦れてさらなる刺激を生み出す。

「んひゅっ……や……っ!」

意識が飛びそうになる太地だが、刺激から逃げようとなんとか服をめくりあげた。太地の目に飛び込んできたのは、透き通るような白い肌に包まれた、柔らかく、丸みを帯びた膨らみ。その先端は、ピンク色にその存在を主張している。

「女の、胸……」

肌色の膨らみに触れると、むにゅっと形を変える。

「んっ……すごくやわらかい……」

高くなった声に合わせるように、太地の口調もやわらかくなる。

「そうだ、足の方は……」

部屋着のズボンに手をかけ、下げる太地。中からは、プルンと震えるヒップと、すべすべとした太ももがお目見えし、健康的な脚が姿を現した。

「本当に、俺が女の子に……」
「太地?帰ってるんでしょ、夕飯できたよ」

股の間に手を伸ばそうとした太地だったが、部屋の外からの声に、その動きを止めた。

「か、母さん……あっ」

高いアルトの声で答えてしまいそうになった太地は、口を覆った。

「太地?女の子でも連れ込んでるの?」

部屋の外から、足音が近づいてくる。太地は、なんとか体を起こすと、クローゼットの中に飛び込んで、扉を閉めた。同時に、部屋のドアがガチャッと開いた。

「あら?誰もいないの?……また服を散らかして……何、この長い髪、あの子と同じ色してる?」

なにかの拍子に抜け落ちた、太地の髪の毛だった。ドキドキと鼓動が響く。太地は息を殺して母親が去るのを待った。時間の流れが遅く感じるほどの緊張だったが、やがて母親は部屋から出ていった。

「はぁ……よかった……」

クローゼットから出た太地の体は、元の男のものに戻っていた。太地は、安心するとともに少しの物足りなさを感じていた。

「おい、学!」
「な、なんだよ、太地……」

次の日、学校で太地は学に詰め寄っていた。周りの、待望の女子がいなくなってがっかりしたような、元の日常に戻って安心したような視線を無視しつつ、太地はものすごい剣幕で学に怒鳴った。

「昨日の薬、瓶捨てちゃいねぇだろうな!?」
「……な、なな、なんで捨てちゃいけないんだよ」
「いいから!!持ってるなら出せ!!」

太地の怒りは、まるで何かから目をそらすような焦りのようでもあった。

「はい、これ……」
「おう!!つべこべ言わず最初っから出しやがれ!」

瓶の上のラベルを読んでいく、太地の目に一つの文章が飛び込んできた。

「『睡眠時に成長ホルモンを分泌させ、脳を活性化させます。同時に、女性ホルモンを出させることでその効果を高めます』……って、寝るたび女にならなきゃいけないってことかよ!」

周りがざわついた。太地はクラスメイトたちを睨みつけた。

「お前ら、俺は金輪際、ぜってぇ居眠りなんてしねぇからな!」

小さく「フラグかよ……」という声が聞こえ、太地はそちらに目を向けたが、ついに誰がその声を上げたかは分からなかった。

その日は、クラスメイトたちの期待むなしく、太地は居眠りすることなく授業を受け続けた。

「ふん!俺だってこんなことになっちゃ居眠りなんかしねぇよ」
「あ、あの……」

帰り支度をする太地に、弱々しい声がかけられる。疑いもなく、学の声だった。

「また、勉強教えてほしいんだけど……」
「あん!?」

学に向き直った太地は、もちろん断るつもりだった。太地の成績は、むしろ誰かに教えてほしいくらいのもので、こんな厄介事に巻き込んだのは学の持ってきた薬だった。

「……おう、わかった」

太地は自分でも口にした言葉が信じられなかった。だが、前の日に経験したいろいろな事が、太地の心を動かしたのは、なんとなく分かった。

「じゃあ、僕の家に来てよ。今日は誰もいないから」

学の家に着いた二人は、黙々と勉強の支度をした。太地は、勉強中に居眠りすることで女になることを、潜在的に理解していた。

「ほら、勉強するんだろ」
「あ、うん」

太地は、目の前に広げた教科書を読んでいく。やはり、内容は半分わからない。そして、そのまま寝てしまった。

「太地、太地!」

学の呼ぶ声に目をさます頃には、髪は伸び切り、手足は短くなり、胸がムクムクと膨らんできていた。

「き、来たよ……」
「あ、あ……お、おんなに、女になるぅっ……!」

太地は喘ぎ声をあげ、体をくねらせる。不思議なことに、焦りは感じない。むしろ、この変身が気持ちのいいもののようにも感じる。

「ふぅっ……!」
「じゃあ、いろいろ教えてよ」

変身が終わった太地を見て、鉛筆を置いて太地に近づく学だったが、太地はその口に人差し指を当てた。

「だめ、まずは学校の勉強からね」

体に引っ張られるように、太地の口調が柔らかくなっていた。太地は、今の自分の容姿の女子が使いそうな口調を、無意識に使っていた。

「うっ、分かったよ……」

太地は、ムンムンと色気を漂わせつつ、学に勉強を教え始めた。数十分もそれが続いて、学はやっとのことで最初に決めていたノルマを達成した。

「じゃあ、今度こそいいよね」
「もう、せっかちなんだから」
「えへへ」

太地は立ち上がって、学の後ろに回り込む。そしてその背中に、ムニュッと胸を押し当てた。

「(あれ……俺はこんなことしたくなんてなかったはず……)」

太地の考えとは裏腹に、その腕は学をギュッと抱く。

「きもちいい……」
「でしょ?」
「太地っ!」

学はバッと立ち上がり、前の日と同じように、太地の肩を掴んでベッドに押し倒した。

「きゃっ!」
「すごく、かわいいよ……」

顔を赤らめる太地。男にかわいいと言われて喜ぶ趣味は、太地には無いはずだった。しかし先程から演じ続けている「女の子」には、効果テキメンなのだった。

「本当に?」
「ホントだよ……おっぱいもおおきいし、すごいよ……」
「じゃあ……」

ボタンを外していく少女。その体の動きは、太地の制御が効かなくなっているように思えた。すべてのボタンを外すと、胸の間にできた深い谷間と、へそが顔を出した。

「(今の俺は、俺じゃない、俺じゃないんだ……)ほら、触っていいよ……女の子のカラダ、勉強して……?」
「じゃあ、ここから……」

学は、すべすべとしたおなかを撫でる。

「(ちくしょ、何でこんなこと、俺が……)ん、んっ……おっぱい、じゃないの……?」
「こ、ここもキレイだし……」

少女は、恥じらいつつも学を受け入れ、大人しくしている。学はそのままベルトに手をかけ、外し始めた。

「(おま……)ちょ、ちょっと……」
「いっぱい勉強、させてよ……」

ズボンが降ろされ、皮下脂肪で少しふっくらとした脚が引きずり出された。

「しかたないなぁ……(しかたないよな……)」
「女の子の脚って、こんなにきれいなんだね……」

少女は学にされるがままになっていた。

「あっ……」

だがその時、時間切れが近づき、巨大な胸が縮小を始めた。少女は太地に戻ろうとしていた。学は、一瞬残念そうな顔をしたが、何かをひらめいて、大声で言った。

「世界で一番大きな大陸は!」
「え、な、なに?」

少女は度肝を抜かれて驚く。

「答えて!」
「えっ、ユーラシア大陸……?……んぁっ!!」

半分の大きさまで縮んでいたおっぱいが、一気にその大きさを取り戻した。

「な、なにこれ……もしかして、勉強しつづければもとに戻らなくていいの……?」

自分が発した『もとに戻らなくていい』という言葉に、太地は違和感を覚えたが、それはごく小さなものだった。

「べ、勉強中は男に戻らなかったけど、それをやめたら5分くらいで戻ってたよね……」
「なるほど……でも、二回しか見てないのに、よく気づいたね、学」

少女はニッコリと笑みを浮かべた。

「えへへ……じゃあ、こんな世界一高い山みたいなおっぱい、触らせてね……」
「んっ……エベレストね、私の胸はそんなに大きくないよ……」

学は、その深い谷間に顔をうずめた。

「ま、学……」
「やわらかくて、あったかい……」

顔を離した学は、恍惚の表情を浮かべている。だが逆に、少女は物足りなさそうにした。そして、赤面しながら、下着を指差して聞いた。

「学、ここはいいの……?」
「えっ……いいの?子供ができちゃう穴じゃないの?」
「大丈夫、保健で勉強したでしょ、一ヶ月に一回、危ない日を避ければいいの」
「いや、そういうことじゃなくて……」

学は下を向いてもじもじし始めた。その腕を、少女は優しく掴んだ。

「どうせ、こんなことできるの、私くらいしかいないでしょ?」
「う、うぅ……じゃあ……」

学は、自分のズボンから短めの得物を出した。

「うふっ、かわいい」
「い、いくよ……」

おそるおそる、少女の股に、それを挿し込んでいく。

「うっ、思ってたより気持ちいい……」
「学のモノが、中で大きくなってる……」

初体験の感覚をもっと得ようと、学は腰を前後し始める。

「あんっ、すごい、くるよ、くるよっ」

太地の意識は、もはや少女のものとなりきり、当然のように学を受け入れていた。

「学っ、もっと問題出して!私を女の子にし続けて……っ!」
「ん、ん、そんなことっ……言われてもっ!」
「出してぇっ!」

少女の胸は、またもや縮み始めていたのだった。

「ふ、フランスの首都はっ!」
「パリだよぉ……っ」

ムチっと膨らむおっぱい。学は、それを鷲掴みにした。

「んひゃっ!学はやっぱり、そこが好きなのね……!!」
「だ、だってっ……こんなに、大きいの、他にない……!」

上下左右に揉みしだかれる巨大な胸。学の速度も、どんどんペースアップしていく。

「だ、だめっ、そんなに激しくっ、イッちゃうぅっ!!」
「う、うぅっ、出るっ!」

初心者二人の絶頂は早く、ほぼ同時だった。学は、フラフラとしながらも怒張しきった自分の息子を引っ張りだした。少女の方は、疲れたのか、快感で意識が飛んでしまったのか、そのまま目を閉じて動かなくなってしまった。
学はぬめぬめとした液体まみれのまま、「勉強相手」に寄り添って眠りに落ちた。

「……もとに戻らないんだけど……」
「ど、どうしちゃったのかな」

二人が目を覚ますと、夜も8時を回っていた。太地の体はもとに戻っておらず、学がシーツの匂いを取るために20分以上かけたあとも、それは変わっていなかった。

「もしかして、イッちゃうと戻れない的な……?」
「そう、みたい?」

太地はハァとため息をついて、学に向き直った。

「な、なに、太地?」
「……責任、とってね……?」

その照れた顔に、学はうなずいた。

学が変身するパターンへ

うたたねの姫 後編~学~

あむぁいおかし製作所様での投稿(http://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-26245.html)と同内容です。イラストは春瀬めいお様に描いていただきました。

「はぁ……はぁ……なんとか、なったか……」
「ごめん、僕の家まで来てもらって……」

二人は、学の家の一人部屋にいた。学が、逃げる途中で疲れ切って荷物も持てないほどになり、仕方なく太地がついてきたのだった。

「……ってお前、まだこの薬あるのか」

学の机の上には、ついこの朝見た薬の瓶が何本か並べられていた。

「薬……?あぁ、だって、すぐに効くなんて思ってなかったし、サプリみたいに何回も飲むものだって言われたから……」
「お前ってホント騙されやすいのな……まぁ、こんなにすぐにもとに戻るようじゃ、本当に成績伸ばすには何本も必要だろうよ……もうこの教科書も半分わかんねぇし」

さきほど図書室で学にスラスラ教えていた数学の教科書を見ながら、太地はため息をついた。

「つまり、頭が良くなるためにはあのボインボインのままでいろってことか」
「……ま、また薬飲んで勉強教えてくれる……?」

太地は、若干鼻の下を伸ばしている学の顔を見て、寒気が走った。

「で、発情したお前に襲われろってか……」太地は、薬の瓶を一本取って、蓋を開けた。そしてその瓶を、学の口に突っ込んだ。

「ふざけんな、自分で勉強しやがれ!」

太地が学の鼻をつまむと、学は薬の中身を飲み込んでしまった。

「……げほっ、げほっ!の、飲んじゃった……」
「さーって、今度はお前が女になる番だ、せいぜい楽しませてくれよな……」
「や、やだぁ……」

太地は、学の体が変化し始めるのをいまか、いまかと待った。だが、何も起きない。それは、1分たっても、2分たっても同じだった。壁掛け時計がカチカチと鳴る音が部屋に虚しく響いた。

「……あー、なんか冷めちまったな……」
「……はぁ……」

太地はじーっと目を凝らして見続けていた学から目を離した。学も安堵したのか、ため息をついた。

「ま、そろそろ帰るか……ん?」
「今度は何?」

太地は、本棚にあった一冊の本に目を奪われていた。

「おっ!本屋で売り切れてた最新刊じゃん!学、これ読んでいってもいいよな!」
「えっ……」
「あん?」
「あ、うん……」

一旦断りかけた学だが、太地の苛立ちの目に圧倒されてしまった。

「よし。読み終わったら帰るからよ」
「う、うん……僕は勉強してるから……」
「お、いい心意気だなー」

学は教科書と宿題をかばんから取り出して机で勉強し、太地は本棚から漫画本を取り出してベッドで読み始めた。

「……しっかし、なんで俺は女の子になってお前はならないんだろうな……って、寝てるし……」

勉強し始めて何分も立たないうちに、学は疲れ切ったのか寝てしまっていた。

「しかたねぇやつだなぁ……。ん?おっ?」

そして、その短く切った髪の毛が、伸び始めていた。太地は漫画本を投げ捨て、ベッドから立ち上がって学に近づいた。確かに、その髪がシュルシュルと伸びている。

「おい、学、起きろ……って……?」
「ん……」と声を出した学は、元々から小柄だった体がさらに小柄になっていく……のではなく、大きくなり始めていた。肩は段々と丸くなっているのだが、広くなっていく。そのせいで、着たままだった制服のシャツが引っ張られている。

「僕の腕、長くなってる……?」そういう学の腕は確かに長くなっていた。変身のときに明らかに元より小さくなっていた太地とは逆に、学は平均的な女性の身長、いや、太地の背にも近づいていくようだった。

「足、キツい……っ」目は覚めつつも、まだ寝ぼけている学のズボンがパンパンになり、ビリビリと糸がほつれる音がしている。そして、「んんんっ……!」という学の喘ぎとともに、縫い目からバリッっとズボンが破れてしまった。

「学、お前……」ズボンの中から現れたのは、長くてムチムチの太ももだった。そして学が立ち上がると、シャツのボタンもバチバチと飛び、女性のものとなった学の体があらわになった。しかも、その身長は太地と同じくらいになっていた。

「あれ……?太地の背が低くなってる……?」
「お前の背が高くなってるんだよ!」

寝ぼけまなこで太地の顔を見てキョトンとする学にツッコミを入れる太地。

「えへへ、そっかぁ……じゃあ……」
「うわぁっ!?」

太地は、またもや学に押し倒された。今度は、ベッドの上に。

「また太地と遊べるんだね」

恍惚とした学の顔に、寒気を覚える太地。

「べ、勉強しろよ……それに……」
「ん?」
「こんな胸じゃ俺をコーフンさせられないぜ!」

ぺったんこのままだった学の両乳首をつまんでニヤッとする太地。先程の図書室での仕返しのつもりでもあった。

「んぅっ……!」そして、太地の思ったとおり、学はその刺激に悶絶して仰け反った。だが、同時にムクッと膨らんだ胸に度肝を抜かれた。

「んへへ……変身、まだ終わってない……みたい……っ!」

控えめに膨らんだ胸が、ブルンッと爆発的に膨らむ。一気に、さきほどの太地と同じサイズの乳房が出来上がってしまった。

「お、お前……」
「とまんないよぉっ……まだ、おっきくなるよ……っ!」

ムグググと膨らむおっぱい。それを、学は自分の両手で持ち上げる。

「やわらかぁい……でも、もう……ちょっと……!」

そして、最後の仕上げとばかりに、頭ほどに大きくなってしまった。太地は、今度は寒気というより恐怖を覚えて、ベッドから逃げようとした……が、遅かった。

「……んふふ、お姉さんと、あそぼ……?なんちゃって」

図書室でのセリフを返した学が、胸から先に太地にのしかかったのだ。張りのある、だがこの上のなく柔らかくて温かいものが体を包む感覚が、太地の動きを鈍らせる。

「や、やめ……」
「えへへ、僕、薬で頭が良くなったせいでいろんなこと分かっちゃうんだ……太地が、年上のお姉さんが好きなこと、それに……」

学は、太地の顔をなでた。

「攻めに弱いってこと」
「そ、そんなこと……」

学は、太地のズボンのジッパーを、ゆっくりと開けていく。

「じゃあ、どうしてこんなに勃たせてるのかな……?」
「それは、おっぱいが気持ちよくて……」

そうだね、と学は体を起こし、その豊満な胸を太地から離した。そして少し考えたあと、今度は太地の横に寝そべった。

「じゃあ、『お姉さん』の言葉責めはどう……?」
「ゴクリ……はっ、俺は何を考えて……」

太地は、「言葉責め」を想像しただけでも興奮している自分に気づいた。完全に、学に弱みを握られている自分に。

「あはは、やっぱりね」
「どうして、俺の時はそんなことまで気づかなかったのに……」
「そりゃ、太地は僕のことなんかあまり気にしてないみたいだからね。僕は、唯一の話し相手の君しか、気にするものがなかったんだ」
「お前……」

ニコッと微笑む学。

「だから君の目に止まりたくてあんな薬を買ったんだけど……」

学の胸が縮み始める。

「あ、もう時間切れみたいだ」
「はぁ、どうなるかと思った……」

太地は、小さく、もとに戻っていく学を見て、胸をなでおろした。

「あ、あはは、楽しかった……」
「今度やったらただじゃおかないからな」

太地は、もとの気弱な少年に戻った学に、脅し文句を言った。

「え?ほんとに?」

だが、いつもどおりとは行かなかった。オドオドしているが、学はニヤリとほくそ笑んでいた。

「な、なんだよ」
「太地の好みの『お姉さん』、また見たいでしょ……?君こそ、僕をいじめないほうがいいよ」
「……ば、バーカ!!」

太地は、その場から逃げるように立ち去った。

その数週間後。

教室でこそこそと離す二人の生徒。

「太地って、丸くなったよな……?学に対しては特に、だけど」
「この間……太地が変なことになったあと……だよな」
「あれ、仲良くとなったというか、なんか別モンのような気もする」

その視線の先では、昼ごはんのパンを同じ机で食べる太地と学の姿があった。

「太地くん……あ、いや、太地、あとでまた勉強教えてくれるかな……?」
「あぁ、分かった……この頃は必死に授業受けてんだ、だから……」

太地は急に頭を下げた。

「ん?」
「今夜も、アレ、やってくれ……」

学は、微笑んだ。

太地が変身するパターンへ

うたたねの姫 前編

あむぁいおかし製作所様での投稿(http://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-26218.html)と同内容です。イラストは春瀬めいお様に描いていただきました。

ここはとある男子校の教室。昼休み中も終わりに近づいている中、二人の生徒が話し合っていた、というより、椅子に座った気弱な生徒を、その前にドンと立つもう一人がいじっていた。

「で、学(まなぶ)、その薬がなんだって?」
「な……なんでもないよ、太地(たいち)……。そ、それより、そろそろ授業始まるよ……?」
「うっせぇな、ちゃんと答えろよ!」

気弱な方ーー学と呼ばれた生徒は、渋々と机の中に隠していた小瓶を出して、目の前に立つ太地に見せた。

「……成績が上がって、目立つようになれる、薬……だよ……」
「はっ?お前、そんなもん信じてるのか?そんな薬だけでいきなり成績がよくなったら、この世に学校はいらねぇよ」
「だ、だって、これを買った店でそう書いてあったんだ」
「そんなんにダマされるから、お前はいつまでも馬鹿なんだよ、ほらっ!」

太地は、学から薬瓶を取り上げると、中身をぐいっと飲み干してしまった。

「あっ、何するんだっ!」
「……味もただのエネルギードリンクじゃねぇか、やっぱりお前ダマされてたんだよ!」
「そ、そんな……」

周りの生徒にも二人の声が聞こえていたのか、教室中からクスクスと笑う声がする。学が赤面し下を向いてしまったところで、授業の始まりを知らせるチャイムが鳴った。

「……ったく、バカバカしくてやってらんねぇ。それに成績上がったところで急に目立つわけないだろ」

太地はそう言い捨てると、自分の席に戻った。

そして、老先生のつまらない授業が始まる。古文の教科書を淡々と読み上げ、その意味を書いていく先生の背中を、太地はシャーペンを回しながらボーッと眺めていた。

「(……ちくしょ、眠くなってきやがった。体が熱い……あのエネルギードリンクのせい……か……)」

その日の陽気もあってか、太地は教科書を枕にうたたねを始めてしまった。そのクラスの誰しもが夢にも見なかったことが、始まろうとしているとも知らずに。

「では、ここ、読んでみなさい……おい、君、居眠りしてるのか?」

老先生が居眠りしている太地に気がついたのは、それから5分が経ったあとだった。

「お、おい……太地……ん?」

太地を起こそうとした隣の生徒は、異変に気づいた。その髪の毛が、しゅるしゅると伸びて、肩までかかろうとしていたのだ。そして、その髪はさらに伸び続けていた。

「君!起きた……まえ……うむ?私の目がおかしいのか……?」

やがて、サラサラとした髪が腰まで覆うような長さになったところで、目の悪い教諭も変化に気がつき、メガネを直して太地を凝視した。それを見て、隣の生徒だけでなく周りの生徒も太地の方を見た。

今度は、がっしりとしていた体つきがなで肩になり、少ししぼむように小さくなっていく。ゴツゴツしていた腕は、ふっくらとした柔らかい輪郭に変わり、これも一回り短くなった。

「ん……んん……」

太地は、周辺の様子がおかしくなったことに気づいたのか、ゆっくりと目を覚ました。

「なんだよ、この……髪の毛……?」

視界を邪魔する自分の髪の毛を触る太地。その声も、普段より2オクターブほど高いアルトボイスに変わっていた。

「え、何だこの声!?これ、腕が細くなって!?」

驚愕から体をばっと起き上がらせると、長く伸びた髪がなびいた。

「俺、まさか、女に……!?んっ……、胸がっ……」

太地が上げた、男子校ではありえない女子の喘ぎに、数人の生徒が股間を押さえる。

「胸が、あついっ……んあっ……!」

体が小さくなったことでぶかぶかになっていたシャツの胸の部分が、ググッと押し上げられた。

「これ、おっぱい……?んんあぁっ……!!」

太地が声を上げるとその膨らみはリンゴサイズにまで膨らみ、シャツは胸でいっぱいになった。

「うそ、だろ……でも、まだ大きくなるっ!!」

シャツをギチギチと引っ張りながら、2つの果実はさらに成長していく。

「んひゃっ、どこまでおおきくなるんだっ……!」

そしてそれは、小ぶりなメロンほどのサイズまで、ムチムチと大きくなる。その先端にはぷっくりとした突起の形が、シャツに浮き上がってしまっている。胸に引っ張り上げられた服の下から、腹部の肌色が覗いた。

「はぁ……はぁ……やっと、落ち着いた……」

変化が終わった太地は、彼自身が見たことがないほどの美少女になっていた。しかも、これも見たことがないほどのサイズの乳房を持った美少女に。

色気が一切ない男子校には刺激の有りすぎる姿になった太地には自覚がないが、頭も冴え渡っていた。

「……で、では……授業の続きを……」

そして事もあろうに、老先生はそのまま授業を再開してしまった。頭が固い老人として、目の前で起こった普通ではありえないことを、完全に無視しようとしているのだろう。

「ほら、教科書を読みなさい」

そして、黒板の方を向いて、太地の方を震える指で指した。

「えっ……」
「いいから」

太地は、巨大な胸に邪魔されながらも教科書を読み始めた。すると、これまで分からなかったところも実にスラスラと読めてしまう。学が言っていた、薬の「成績が上がる」効果は嘘ではなかったらしい。「目立つようになる」効果は想像とは全く別の方向、つまり成績が上がることによる副次的なものではなく、美少女になることで物理的に目立つようになる効果だったが。

そして、突然出現した爆乳美少女に悶々としながらも、授業は進んでいった。

「……太地、だよね?」
「あ、ああ……そうらしい……」

放課後、学が太地の席まで来た。太地はというと、授業中はなんとか現実から目を背けられていたのだが、シャツをギチギチとひっぱるおっぱいを見て現実に引き戻されていた。

「まさか、こんなことになるなんて」
「……なあ、学。さっきはごめんな、こんなに効き目のある薬を無理やり飲んじまうなんて」
「え?」

太地は、薬の効果もあってか特に努力をしなくても授業の内容を完全に記憶できていた。テストの成績も保証されているだろう。

「だから、代わりに勉強教えてやる。図書室でな」
「……うん」

いつも太地に逆らえない学は、このときも逆らうことはできなかった。

場所は変わって、夕暮れの図書室。他の生徒は部活に励んだり、帰宅している時間、図書室で二人きりになるスペースを探すのには苦労しなかった。二人は、机に並んで座り、数学の教科書を開いていた。薬の効果は、これまで学んだ知識にも適用されるらしく、太地にはこれまでハードルとなっていた問題も当たり前のように解けるようになっていた。

「……だから、ここにこれを代用するんだよ」
「え、どこ……?」

学の方は要領を得ないため、一方的に教えられる側になっている。

「ここだって……」

太地は、学のノートを指さそうとして、無意識に学に体を近づけた。その拍子に、胸の先端が学の体に擦れてしまった。

「あぁっ……!」
「た、太地……!?」

いきなりの太地の喘ぎに、学はびくっと震えた。

「やっぱやりづれぇなこの体……。おっ、赤くなってんのか?」
「そ、そんなこと……」

学にとっては、ここ数年なかった、「女子」と二人きりの時間。しかも、口調は荒いがとびきりの美貌をもった女子が、体を触れてきているのだった。赤面するのもやむを得なかったのだ。

「お?こういうのがいいのか?」
「や、やめて……」

それを面白がって、太地は立ち上がって学の後ろに行き、学の背中におっぱいを押し付ける。

「そんなこと言って……やっぱり、ここ大きくしてんじゃねぇか」
「うぅっ……」

学のズボンを押し上げる、いきり立った股間を見た太地はニヤッとして、シャツのボタンを外し始めた。

「太地、何を……」

第三ボタンまで外すと、巨大なおっぱいがブルンッと外に飛び出す。

「やっぱでっけぇな……」
「な、何やってるんだよ……」
「学くぅん……私のおっぱい、揉んでみるぅ……?なんつって」

もちろん、揉まれる気なんてサラサラなく、学が恥ずかしがって縮こまってしまうのを笑い物にしようとしていただけだ。だが、次の展開は太地が予想したものの斜め上のものだった。

「もうがまん、できないっ……!!」
「うわっ!?」

太地は、前からぐいっと押され、背中にドンッとなにかがぶつかる衝撃を感じた。気づくと、学に肩をつかまれ、壁に押し付けられていた。

「てめ、真に受けやがって……」

太地は押し戻そうとする……が、力が入らない。体の変化のせいで、学よりも筋力が弱くなっていたのだ。

「……太地が悪いんだよ」
「んなっ……ひゃぁっ……!」

学は、太地から右腕を離すと、そのまま右胸を揉み始めていた。

「すごくやわらかいよ……」
「ま、学、や、やめっ……ひゃんっ!」

太地は、胸からもたらされる刺激と快感に耐えられず、へなへなと床に崩れ落ちてしまう。

「お、男の胸だぞ……っ!そんなん揉んだって……!」
「こんなに柔らかそうなのに、そんなこと言って……」

長い髪が、床の上にくしゃくしゃと広がる。学は左腕も太地の肩から離し、左の胸を掴んだ。

「ひゃぅっ……」
「すごいよ、僕の手じゃおおえないほどおおきい……」

太地は、慣れない感覚にビクンビクンと体を震わせた。数時間前まで存在もしなかった自分の胸を、学に揉みしだかれている。学が与えてくれる快感に、その身を委ねてしまおうとしたその時だった。

「な、なにやってるんだ……?」

すぐ隣から、急に聞こえた二人以外の声に、二人はハッとした。図書室で、他の生徒の前で痴態をさらしていることに、気づいたのだ。非常にまずい事態だと。

そのとき、太地の胸がシュルシュルと縮み始めた。髪も短くなっていく。腕には筋肉が付き、体つきもがっしりとしたものに戻っていく。

「な、なに……?男に戻ってるのか……?」

太地の想像通り、数秒もすると、彼の体は薬を飲む前の、男の体に戻った。

「太地、逃げ、逃げなきゃ……」
「そ、そうだな!!」

太地が外していたボタンを戻す間に、学は大急ぎで教科書を鞄にしまい、呆気にとられているもうひとりの生徒を置き去りにして、図書室から逃げ出した。

エンディングは2パターンあります。好きな方のリンクをクリックして進んでください。

学が変身/太地が再度変身

種族チェンジャー~牛娘~

『食べてすぐ寝ると牛になる』

これをやってみよう、とおやつを食べてからすぐソファで横になって漫画を読んでいる妹、香希(かき)を見て思った。気付かれないようにタブレットのカメラで捕捉すると、種族を「乳牛娘」、年齢感覚は人間と変わらないようなので「10歳」を「20歳」に変えて「変更」ボタンを押した。

「んっ」

その途端、香希はすこし声を出したが、漫画に夢中なのか、そのまま読み続けている。だが、変化は間違いなく始まっていた。薄着の香希の手足が、伸びている。少しづつ、体は縦にも横にも大きくなっている。身長が伸びつつ、サイズが合わずにむき出しになった脚にムチムチと肉がついている。

「ん?」

やっと違和感に気づいたのか、漫画から手を離して、自分の体をみる妹。すこしサイズが大きいはずの服は、もはやピチピチになっている。太っているわけではないが、健康的に成長したへそあたりが、服の間から覗いている。

「え?なんだこれ?」

成長したとは言え、まだ成人としては低身長である香希の体のその胸には、すでに片手で収まらないほどの膨らみができていた。それは、段々と成長のスピードを上げて、水風船のようにタプタプと揺れながら膨らんでいく。

「ちょ、ちょっと、なんでこんな……おっぱいが……!」

ソファから立ち上がる香希。その上半身には、巨乳の域はとうに超え、爆乳といっても大きいほどの乳が生成されていく。身長も伸びているのだが、その変化に気づけないほど、妹の胸は巨大なものになっていた。

「お、重い……!」

頭には小さめに角が生え、尻からは尻尾がぴょこんと飛び出てきた。その尻も、オーバーなくらいにムチムチなものになり、かろうじて服の中に収まっている。そこから生える脚は、抱きつきたくなるくらいの太いものだ。

ムグググと膨らむ胸の方は、ついに服の拘束力に打ち勝ち、布地が破れて中身のおっぱいが見え始めた。

「や、やだ……な、何かおっぱいの中に溜まってるっ」

人間であれば到底及ばないサイズになった胸は、ブチブチと服を破りながら、更に巨大化していた。妹はそれを手で抑えようとしているが、胸は全く影響を受けず膨らんでいく。かなりパンパンに張っているようだ。

「で、出ちゃうぅ、こんなところで……!!」

おっと、ここで牛乳を出されては掃除が大変だ、と元の妹の設定に戻して「変更」ボタンを押したときには……もう遅かった。妹の乳からは大量の白い液体が飛び出し、あたりに撒き散らされた。同時に体が小さく、元に戻るせいで香希の体全体から牛乳が絞り出されているかのようだった。

元に戻った香希はボロボロの布切れをまとい、牛乳まみれになった漫画をボーッと眺めるだけだった。濃い牛乳の匂いに両親が部屋に入って来たときには、大声で泣き始めていた。そこからなだめるのは、2リットルくらい噴霧された牛乳をすべて拭き取るのと同じくらい、かなり大変だった。

種族チェンジャー~序章~

『種族チェンジャー』なるアプリが僕のタブレットに現れたのは、ある日曜のことだった。動画アプリを開こうと、電源をつけた時、ゴシック体ででかでかと「異」の一文字だけが書かれたアイコンが、唐突に現れたのだ。

「なんだよこれ……」

ウィルスや迷惑アプリだと困る。すぐに削除しようとしたが、どうやってもアンインストール方法が見つからなかった。ネットで調べても、このアプリの情報は一切出てこない。興味本位で、アプリを開いてみることにした。

すると、またもデザイン性のかけらもない画面が出てきた。いろいろな選択項目と、ボタンの山。ただ、アプリの『種族チェンジャー』という名前の通り、種族を選択するところと、「変更」というボタンがある。その上には、「名前」の欄と「年齢」、「性別」の欄があった。ただ、どれもグレーアウト、つまり選択も入力もできない状態だった。

「……どういうことなんだ……」

更に良くみると、「対象を選ぶには、カメラで対象を捉えてください。写真は撮らなくても結構です」と小さく注意書きがあり、その下に「カメラ」のボタンがあった。ボタンを押して、カメラへのアクセスを許可すると、いつもどおりのカメラ画面が出てくる。試しに、自分を映してみることにした。

「おっ、本当に僕の情報がでてきた」

ピコンと音がして、画面はメニューに戻り、僕の名前、「野田 茂雄(のだ しげお)」と、年齢と、性別が出てきた。種族ももちろん「人間」と情報が出てきた。

「ん、全部選択できるようになった」

グレーアウトしていた選択欄が、操作できる。名前は何でも入れられる。年齢は、1から100を選べる。種族は「エルフ」「獣人(猫)」「ドワーフ」とか、ファンタジーに出てくる種族ばかりだ。どうやら、人型以外の種族はないらしい。

「性別は、と、あれ?」

アプリの設計ミスなのか、性別は「女性」しか選べないようだ。それに、他の欄を操作すると、強制的に選択が「女性」になる。最後に、アプリを閉じたり、「リセット」ボタンを押すと、情報がもとに戻る。

「こうなるとなにか試したくなるな……」

無論、僕自身の体ではない。本当に種族が変わったら、大変なことだ。それに、種族を変えるイコール僕が女になるということらしいから、ますます自分で試してはダメだ。

「うーん、何か試しやすい相手は……」

その時、窓の外を母と娘の親子連れが通った。とっさに、小学生くらいの娘の方をカメラで捉える。そして、「種族」を「エルフ」にして、「変更」ボタンを押した。

「しまった、勢いでやっちゃった……」

女の子が立ち止まり、母親はそれに気づいて声をかけている。窓の外なのであまり音は聞こえてこない。だが、女の子がだんだん小さくなっていくのが分かった。母親は腰を抜かして床に倒れ込んでしまった。その間にも、女の子は服の中に埋もれていった。

「どういうことなんだ……まさか」

年齢の欄を見ると、「8歳」となっていた。小学生の年齢としては妥当……だが、種族をエルフに変えたからか、年齢は0から500歳まで選べるようになっている。長寿の種族らしいエルフにとって、「8歳」は赤ん坊にほかならない。

僕は、年齢を「40歳」にあげて、もう一回変更ボタンを押した。すると、ブカブカになった服の中から、光り輝くような金髪の女の子が出てきた。すくすくと大きくなり、幼児体型だが、身長は前よりも高くなった、くらいのところで成長が止まった。

おどおどする「40歳」の娘を前に、30歳くらいであろう母親は気絶してしまっていた。僕は「リセット」ボタンで女の子を元に戻そうとした。

「あれ?」リセットボタンは、操作できなくなっていた。ただ、その他の選択項目は操作できる。僕は手動で、種族を「人間」に、年齢を「8歳」に設定して、「変更」ボタンを押した。女の子の髪は元の日本人らしい黒に、身長ももとに戻った。数分すれば意識を取り戻すだろう母親が、記憶を失っていることを願いつつ、カーテンを閉めた。

どうやら、このアプリは本物らしい。