夕焼けに赤く染まる街。その裏路地を、スマートフォンを触りながら歩く一人の人影。突然立ち止まる彼女は、近くの大学に通う生徒のようだ。カジュアルに決めた服には、近頃では太めではあるが、若々しさが滲み出るような健康的な体が包まれていた。
「あれ?私、いつの間にこんな所に?さっきまで駅に続く道にいたのに」
「私めが呼び寄せたのですよ、かわいい子羊さん」
「え?」
その女子大生の目の前にはローブをかぶった、声から察するに30代ほどの男が立っていた。のぞき見える口は微笑みをたたえている。
「ハロウィンの仮装ですか?」
「似合ってるでしょう?トリックオアトリート、お菓子をくれなければ…」
「ちょっと待って、あれって大人が子供にお菓子をあげるイベントでしょ?何で私が大人のあなたにあげなくちゃいけないんですか?」
それを聞いて、落胆するでもなく、はたまた怒るわけでもなく、ニヤリ、と歪む男の口の形。
「交渉決裂ですね。では、あなたにお菓子になってもらいましょう…」
「な、なにを…」
身構える女子大生。男はおもむろにローブから筒のようなものを取り出し、彼女に向けてフッと筒の中に入った何かを飛ばし、それは右腕に突き刺さった。
「いたっ!?ふ、吹き矢?」
「ふふふ、魔法薬入りのね」
「ま、魔法…?あなた、どんな時代錯誤してるんですか……っ!?」
女子大生は、矢の刺さった腕を見た。すると、服に茶色のシミが広がっている。
「何してくれるんですか!?服を弁償してください!」
「服?それだけでいいんですか?ちゃんと見てみてくださいよ」
「え……なにこれ!?」
そのシミは、どんどんまわりに広がっている。それに、袖から出ている手のひらも、茶色に染まっていく。
「きゃあ!!な……体が動かなくなってく……!?」
その茶色に染まった部分は全身を食い尽くすように拡大し、染まった所は固まって動かなくなり、表面がすべすべで、まるで……
「チョコレート……みたい……?いや、やだぁあ!!」
「ふふ、やっと気がつきましたか」
腕から広がり始めたそれは、体や足にもどんどん広がり、女子大生の体を固めていく。体の芯はもはや完全にチョコレートになり、彼女が逃げようとしても、もはや遅すぎた。
「おいしそうですねー、私めは食べませんがね」
髪も根元から固まり、一房一房がまとまっていく。
「わ……わたし……こんな所で……しに……た……」
顔にも侵食が広がり、口も動かなくなってしまった。そして、最後に残った目の輝きが消えたとき、彼女は完全に、チョコレートでできた彫像となった。
「さて、と……このままずっと見ているのもいいんですが……《砕けろ》」
ローブ男が、日本語ではない何かの言語を口走ると、人型チョコレートの至る所に亀裂が入る。
「おっと、入れ物を用意しておかないと……」
男はピキピキと音を立てて壊れ始めたチョコレートを、どこからともなく現れた大きな釜に、ヒョイッと投げ入れた。元々女子大生だったそれは、その衝撃でバラバラに崩れ落ちてしまい、鍋の中にゴロゴロと転がった。
「ふむ、いい材料になりそうですね……ほぼ完璧だ」
満足げな声を出す男。釜は独りでに熱くなり、中のものに熱を加え始めた。そしてあっというまにチョコレートは溶け、釜の中でぐつぐつと泡を立てる。
「ううむ、これまでにないいい香り……あとはこれを加えれば」
これも、何もないところから現れた瓶の中身を液状のチョコにふりかける男。見た目は変わらないようだが、香りが一層濃くなったようで、むせ返ってしまった。
「げほっ……これで配る準備はできましたね……《分かれ、固まれ》」
男の呪文で、釜の中の液体が小分けになって飛び出し、瞬時に固まって、男が持っていたいくつもの袋に、それぞれ10個ほど飛び込んだ。
「ふむ……よし……」
「おじさん、トリックオアトリート!」
「と、トリート!」
「おや?」
男に声がかかり、振り返る。二人の1年生くらいの男子小学生が、かごを男の方に差し出して立っていた。一人はやんちゃそうで、元気がその笑顔から溢れているが、もう一人は連れ合いに寄り添うように、もじもじとして、髪も男子としては長く、その服がなければ男と分からないくらいの中性的な体格と顔立ちだ。
「お菓子をくれなきゃ……ほら、荘治(そうじ)……」
「あ……い、いたずりゃしちゃう……ぞ!」
二人のあまり足の揃わないコンビネーションに、考える素振りを見せる男。
「ふむ……いたずらされるのは困りますね。ですから、これをあげましょう」
そして、先ほどのチョコレートが入った袋を1つだけ渡す。
「一袋だけ!?」
「量が少ないんです、二人で分けてもらえませんか?」
「ふ、二人で……英太(えいた)くんとなら……」
「もう、仕方ないな……」
英太と呼ばれた少年が男からチョコを受け取ると、荘治と呼ばれたもう一人はペコリと頭を下げた。
「ありがとう、ございました」
「あ、ありがとうございました」
英太もそれに渋々続くのをみて、男は微笑んだ。
「行儀のいい子たちですね、きっといい大人に成長できますよ」
「えへへ……」
ニコニコと笑う荘治だが、英太は待ちきれないようだ。
「ほら、荘治行くぞ!まだ二つしか集まってないんだから!」
「あ、まって!」
その二人の背中を見る男の微笑みは、一瞬で歪みに歪んだ。
「そう、いい大人に……ふふふ……」
それから1時間後。英太の家でジュースを飲む二人は、あまり多くのお菓子を集められなかったようだ。特に英太はものすごく不満そうな顔をしている。
「もっと集まると思ったんだけどな……」
「でも、どれもおいしそうだよ?それに、このチョコレートなんか、すごくいい香りがするよ?」
「あ、おい!!勝手に食べるなよ!」
荘治は袋を開けて一つ頬張るのを見て、英太の不満が爆発したようだ。
「んー、おいしい……んぎゅっ」
「何個入ってるかわかんないんだから!」
荘治の首根っこをつかむ英太だが、ある異変に気がついた。荘治の顔が、ありえないほど紅潮しているのだ。
「え……荘治、どうしたんだ……?」
「ああ……英太くん……大好き……!」
荘治は突然、英太を床に押し倒した。
「あいったっ!なにす……るんだ……よ?」
「英太くんの……おちんちん……」
顔が真っ赤になっている華奢な少年は、もう一人のズボンのジッパーを下ろし、中のブリーフから、まだ小さい男の象徴を取り出し、そして……
「ペロ……」
「ひゃあっ!?」
なんと、コーンに乗ったアイスを少しずつ食べるときのように、舐め始めたのだ。英太は、その未知の快感のようなものに襲われ、体がガクガクとふるえてしまう。
「や……やめ……ろ……!!」
「英太くんは……かっこいいのに……ペロ……」
「んんっ……!」
「こっちは……小さくて、かわいいんだね……」
英太は、また別の事にも衝撃を受けた。足に当たる荘治の胸の部分に、自分の母親のそれと同じような柔らかさが生まれていたのだ。
「おまえ……まさか……!」
「え……なに……?」
「その、胸!」
「僕の……胸?」
男根に近づけていた顔を離し、座りなおる荘治。そして、おもむろに着ていた服を脱いだ。その胸には、大きく膨らんだ乳頭と、それと比較すると小さな盛り上がりがついている。
「女の子……みたい……」
「おかしいよ、きっとあのチョコの……」
「それだったら……ちょうどいいよね……」
「は……?」
「僕が女の子で、英太くんが男の子。ちょうどいい……ふぷ……」
「ふにゃ!」
今度は、荘治はソレを舐めるどころではなく、完全にくわえてしまった。
「ぼきゅが……えいたくんのこと……きもちよくさせて……あげるんだから……」
「や、やめろぉ……!気持ちよくなんか……ないって……!」
英太は、胸に当たっている柔らかい何かの厚みが、徐々に増してきているのを感じていた。自分のモノを咥えているその口も、時が立つごとに大きさを増し、顔立ちも幼さをだんだんと失っている。それに、荘治が自分にしていることが、自分に快感を与えていることを否定できなくなってきていた。逃げようとしても、自分の本能がそれを許さないのだ。彼は、最後の理性を振り絞って、言葉を発した。
「そろそろやめないと……ひどいぞ」
だが、それを聞いて荘治が口を離し、胸をなでおろしたのもつかの間、荘治は英太が思いもかけないことを口走った。
「英太くんも、僕のこと気持ちよくしてくれるの……?」
「は?」
「僕だけにやらせるのが、ひどいんでしょ……?」
その一言一言に、妖艶さが混じる。もはや、そこに元々の荘治はなかった。胸がぷっくりと成長して、Aカップはありそうなくらいの膨らみがついたその体からは、フェロモンのようなものが発せられ、目つきも、餌を求めている獣のそれになっている。
「これ、食べて」
「むぐっ!?」
その容姿に愕然としていた英太の不意をつくように、チョコレートが口に突っ込まれた。思わず英太は、飲み込んでしまう。と同時に、彼の体が異常なほどの熱を帯びはじめ、感覚が麻痺していく。
「あ……あ……」
「僕の……おちんちん……気持ちよくして……ね?」
「うん……荘治の……舐める……」
今の英太には、目の前にいる荘治を、愛でることしか頭に浮かばなくなっていた。
「かわいい……荘治の……アレを……」
そして、荘治がしたと同じように、彼の小さなソレを引きずり出し、
「ペロ……」
「あんっ……」
舐めた。それだけで、英太の中の何かが満たされていくような感覚が湧き上がってきて、彼は、自分を止められなくなった。
「ペロ……ペロ……チュパ……」
「いいよ……いいよ、英太くん……」
英太は、体が内側から外側に押し出されるような感覚を覚えた。そして、自分の胸を触ると、そこに、荘治と同じようにふっくらとした膨らみができているのを感じた。
「俺も……女の子に……なるのかな……チュパ……」
「一緒になっちゃお……ほら……」
「ん……」
荘治は、袋から二つのチョコレートを取り出していた。そして、二人はそう命令されたかのように、何も言わずにパクリとそれを口にした。一瞬にして、チョコレートの甘味は口いっぱいどころか体全体に熱として広がり、二人の体を火照らせた。
「これで……もっと女の子に……」
「んぐ……もっと、気持ちよくなれる……」
控えめだったその胸が、ムクク……と脂肪を蓄え、水風船に水が入るときのようにフルフルとふるえながら、何倍にも大きくなる。それだけでなく、全身の皮下脂肪が発達して、輪郭から角がとれ、丸みを帯びていく。髪、特に短かった英太のものはファサッと伸びて肩を被う。ほぼ完全に、18歳ほどの女性の体になった二人の、男性器は逆に発達し、数倍にも膨れ上がった。
「すごい……おっきい……」
「僕のおっぱいも……大きいよ……ほら……」
荘治は、いきり立った英太のソレを、今できたばかりの胸の谷間で挟み込み、Fカップはあろうかという大きな胸全体を使って揉みしだいた。
「んあっ……すごいよ……んんっ!……俺……こんなの……初めてだ」
「僕……英太くんと……一緒にいられて……すごく幸せ」
二人のアルトの声は、チョコレートを食べる前の無垢な子供と同じ二人が出しているとは普通なら思えない、性欲と快感に満ちたものだ。
「ん……!何か……出ちゃう……!!ううっ!!」
「うぷっ……なんだろ……これ……?」
保健の授業をまだ受けていない小学生が知り得ない、白く濁った液体が英太のソレの先端から飛び出した。
「でも……熱くて……英太くんが……直接感じられる……みたい」
「それなら……もっと……」
「もっと……!!」
そして迎える二度めの射出。荘治の顔はドロドロとした液体まみれになってしまった。ペロリとソレを味わうように舐める彼は恍惚の表情を浮かべた。
「あのチョコレートと同じ……あったかい……」
「チョコレート……もっと食べよう……」
「うん……」
そして、二人は一つずつ、さらにチョコレートを摂取した。すると、すでに巨大になっていた乳房はそれほど成長することはなかったが、全身の皮下脂肪がさらに増殖して、肉感的なムチムチとした身体になった。そして……
「あ……俺のこれ……止まらなくなっちゃった……」
「僕も……」
怒張していた男性器からは、白濁液の放出が止まらなくなり、同時に、ソレは体積をどんどん減らしていく。しまいには、股の間に新しくできた溝の、小指よりも小さな突起になってしまった。
「俺たち……女の子に……」
「そんなことより……続き……しよ……?」
「ああ……」
英太は、本能にしたがって、荘治の巨大な双丘の先端をつまんで、コリッと動かす。
「ひゃうっ……もっと……もっとお願いぃ……」
「それなら……そうじも……」
「うん……」
二人はお互いの突起をつまみあい、快感と興奮を分かち合う。
「あん……はう……」
「やっ……んくぅ……」
いつしか、お互いの足を絡み合わせ、股を打ち付けあっている二人。
「えいた……くん……!……僕の……赤ちゃん……!……つくってぇ!!」
「それを……言うなら……っ!そうじが……!!」
その動きは激しさを増して、互いの肉体同士でパンパンと音が出るようになっていた。
「ふたりで……!つくろ……!!」
「うん……!これからも……!!!」
「ずっと……!いっしょにぃ……!!」
二人の息は荒く、熱くなりきった二人の身体からは、汗の湯気が出ている。
「ぼ、ぼく……!な、なにか……!くるぅぅ!!」
「お、おれも……!!」
「「いくぅぅぅうううう!!!!」」
ついに、絶頂に達したのだった。
二人が気がつくと、何もなかったかのように、身体は元に戻り、二人が大いに汚していたであろう絨毯や家具も元通りになっていた。しかし、体を交えた記憶だけは残っていて、互いの顔を見た瞬間、二人共顔が真っ赤になってしまい、うつむいた。
「でもまた……」
「またやりたい、かも……」