魔のアクセサリ

時は夜も更け、皆が寝静まった頃。場所はとある日本家屋の一部屋。普通の大きさ、普通の畳敷きのその和室のふすまには、普通では考えられないほどの札が貼られていた。その中に一人、その家の主の孫である少年がたたずんでいた。その視線の先には、台に載せられた首輪のようなもの……チョーカーが置かれていた。

「これなんだろ……こんな変なところに置かれてるんだから、すごいものだよね……?」

子供ならではの好奇心で、チョーカーを手に取る。小学生になったばかりの少年には少し大きめの、革製のチョーカーを、少年はそのまま首に巻いた。

「えっと、この金具をとめるんだよね」

テレビで見たことのあるアクセサリの身につけ方を真似て、少年がチョーカーを締めたその時だった。

「な、なにこれ!?」

チョーカーが赤い光を発し始め、少年の頭の中に何かが入り込んでくる感覚がした。その流れは全身に及び、少年の体全体に赤い光が行き渡った。

「えっ、えっ」
「(あらまぁ、男の子?)」
「ひぃっ!?」

いきなり、聞いたことがない女性の声が聞こえ、少年は腰を抜かして尻もちをついた。

「(そんなに驚かれるのも心外だわ。私の力を求めてチョーカーを付けたんじゃないのね)」
「ち、力……?」

声の主を見つけようと、周りを見渡す。だが、お札まみれの襖があるだけで、部屋には少年以外誰もいなかった。

「(一体誰を探してるの?私はあなたの中にいるのよ)」
「ぼくの中!?」

今度はシャツを脱ぎ、おなかの様子を確認する少年。女性のため息が聞こえた。

「(はぁ……まぁいいわ。こんなにか弱い子なら、体を乗っ取ることもできるはずだし。えいっ!)」

少年の体が、彼の意思に反して勝手に動き始めた。

「や、やだっ」
「(やっぱりね。何十年も封印されてたから退屈だし、ちょっとあなたの体で遊ばせてよ)」
「おばさんはだれなの!?」
「(おばさんですって。確かに数百年はこの世に存在しているけど、この時代で女性に向かってその呼び方はいけないことなのよね。罰として、私がいいって言うまで喋っちゃだめ)」
「む、むぅっ!」

口が閉じて開かなくなる。その代わり、少年に体のコントロールが戻った。足が動かない以外は。

「(さぁ、こんな窮屈な体、さっさと作り変えちゃいましょ。まずは腕からにしようかしら)」

少年の左腕が、ベキベキと長くなる。小さな手のひらが長く、細く成長する。男性であるはずの彼の腕は、女性の大人のものになっていた。

「(こんなんでいいわね。じゃあ右腕も)」

右腕も左腕に続くように成長した。次に背骨や肋骨が成長し、上半身が大きくなる。少年の小さな下半身に、大人の上半身が付き、その上にはまた子供の顔がついているといういびつな状態になっていた。

「(ちょっと体を支えにくいかもしれないけど、一つ一ついじくるから仕方ないわよね)」

骨盤がメキメキと横に広がり、相対的にウエストが絞られていく。左足がパジャマからにょきにょきと伸びて、2倍ほどの長さになる。

「(あ、服を着たまま大きくしちゃった……脱ぐのも難しいだろうから……)」

太ももにムチムチと脂肪がつき、パジャマがビリビリと破け始める。裾が思い切り食い込み、少年は痛みを感じた。

「(もうちょっとだから……えいっ!)」

勢いを付けてバンッと太くなる左足。パジャマがひとたまりもなく破れると、太い木の枝のような太ももがお目見えした。

「(じゃあ右足も……)」

右足は、長くなると同時に急激に太くなっていった。パジャマは、腰のゴム部分を残して破れてしまった。

「(お尻も大きくしましょうね)」

少年の尻が、左、右、左、右と一回りずつ大きくなる。梁のある女性のヒップが、パジャマのゴムを押し広げながら、着実に成長していった。

「(このゴムが切れるまで大きくしてみましょうか。えいっ、えいっ!)」

左の尻がバインっと膨らみ、それに続いて右がムギュッと張り出す。それが続いて、過剰なまでのサイズになったところで、ようやくゴムがビチッと切れた。

「(私の力ってやっぱりすごいわね……こんなことに使ったことなかったけど)」

少年の下半身は、男にのしかかれば潰せてしまえそうなほどムッチリと成熟し、先程とは逆に、貧相な上半身とのバランスが取れなくなっていた。
声を出すことのできない少年は、柔らかくも垂れず、張りを持った太ももとヒップに見とれていた。

「(じゃあお胸も……)」

少年の左胸がムギュッ!っと膨らみ、大きくなった上半身のせいですでにサイズが合わないパジャマの胸の部分が大きく押し上げられた。その先端には、突起のような形状が浮き上がっている。

「(さすがに息が苦しいのはやめましょうか、胸を押さえられたら息ができないでしょ。ほら、服を脱いで)」

脱いでと言った割には、また少年の体の主導権を奪い、無理やり脱がせる女性。そこには、左胸は巨乳、右胸はまな板という釣り合いの取れない少年の上半身があった。

「(じゃあ、続きをしましょ)」

今度は、右胸がバインッ!っと膨らみ、さらにゆっくり膨らんで左胸にサイズが合うようにした。

「(そろそろ顔も整えて……と)」

少年の髪が、腰までバサッと伸び、赤色に染まった。顔も無邪気な子供のものから、魅惑的な女性のものに変わり、瞳は真紅に色を変える。

「(もう少し、胸は小さくしておきましょうか)」

左胸がプシュッと縮む。

「(いや、やっぱり大きく……)」

右胸がブルンと膨らむ。

「(うーん、どうしよう……)」

少年の胸が暴れ始め、膨らんだり縮んだりを繰り返す。

「(これは服が合わないし、こんなんじゃ格好がつかないし……)」

まな板に戻ったかと思えば、頭が入ってしまいそうなほどの爆乳に育ち、人並な乳房まで縮んだ次の瞬間には床に付きそうなほどの巨大な肌色の塊に成長する。

1分ほどそれが続いて、やっと少年の胸のサイズは落ち着いた。

「(よし、これを覚えて……と。元に戻っていいわよ)」
「えっ」

やっと声を出せた少年の体は、元のちいさな男児に戻った。それきり、女性の言葉は聞こえなくなった。

「な、なんだったんだろ……」

いつの間にか、パジャマも元に戻っている。少年は、両親のいる部屋に戻って、自分の布団に潜って、目を閉じた。

だがすぐに、勝手に目が開いた。勝手に手足が動き、布団から出て、父親が寝ている布団に潜り込む。

「ん……どうした?」

父親が気づいて目を覚ました。

「怖い夢みちゃって……」

勝手に、声が出る。

「よし、よし……」

父親に撫でられる少年の頭から、赤い髪が伸びた。

「パパ……」

父親に抱きつく少年の体が、メキメキと大きくなる。その成長する胸が、ビリビリと服を破りつつ、父親の体に押し付けられていく。

「な、なにが起こって……!?」
「パパも、チョーカーの力、楽しんでね」

変身描写だけ書きたい!(TS/AP2)

「だめっ、こんなところでっ」

それは小学校への登校中。少年には、秘められた力……そして、少年にはコントロールの効かない力があった。

「薬が、きれちゃ……んんっ……!!」

突如として、彼の服を突き破らんばかりに、胸がぶくっと膨れ上がった。それは筋肉ではなく、脂肪と乳腺のかたまり、乳房だった。小学校の男子生徒には似つかわしくない、頭ほどの爆乳が、できあがり……そして消えていく。

同じ登校班の生徒、すなわち近所の小学校生徒の前で、少年の体から、液体がぐちゃぐちゃ言う音が聞こえる。それは、彼の細胞が爆発的に増殖したり、脂肪細胞ができあがったり、逆に壊れていく音だった。

「ん、んあっっ!!」

脚や手が、バラバラに太くなったり、細くなる。尻が爆発的に膨張し、ズボンを引っ張ったと思うと、さっきの胸と同じようにしぼんでいく。

「ど、どうしたんだよっ」

周りの生徒は、人間からするものとは思えない、少年の体が作り変えられていく激しい音に腰を抜かしつつ、声をかける。だが、その音に、今度は骨がゴキゴキと作られ、壊されていく軋むような音が加わる。

「う、うでがぁっ」

少年の左腕がガクガクと震え始めると、ブクブクと膨らむ。震えが最高潮になると、ギュインッっと二倍ほどの長さに伸びた。右腕もそれに続く。

「ぐ、ぐぅっ!!」

次に左足、右足と少年の体は長くなる。そして、5倍ほどの太さにムチッと肉がついて、ズボンを突き破ったと思うと、元の太さに戻る。その太さが少年の腹にグギュギュと溜め込まれ、臨月くらいに膨らんだお腹は、そのきめ細やかな皮膚を空中にさらけ出した。

大きく、グキグキと音がすると、少年の背骨が伸び、手足の長さに合わせて上半身が伸びた。髪が肩まで伸び、顔も小学生男子から大人の女性へと変貌を遂げた。腹部の膨らみは、何かに絞られるようにグチュグチュといびつにしぼんでいく。ウエストは過剰なまでにくびれ、長くなった腕も先端から絞られガリガリになる。

「ひゃぁっ!!」

その分が、胸に押し込まれ、それを受けた乳房が再度、左、右とボワンッ!ボインッ!と前に飛び出るように形成された。水風船をふくらませるような音がすると、腕はもとに戻り、腹がまた膨らんでいく。

「うああっ!!」

その腕が、またギュイッと絞られ、腹部も一気にしぼんで、また胸に脂肪を押し込んだ。乳房はシャツをビリビリとやぶき、ムチィッ!!と球体状に成長する。と、今度は乳房がギュイッと体の中に飛び込むようにしぼみ、脚がムチッと膨らんだ。そのまま肉付きがどんどん良くなる脚を、彼は不安の表情で凝視する。

「く、くる、きちゃうぅっ!」

少年の声と同時に、信じられないほどに太くなった脚がブシュッと音を立てて細くなった。

「ああんっ!!」

ヒップがとんでもない大きさになり、またしぼむ。

「どんどんのぼってくるぅっ!!」

ウエストがボコッと膨らんで、それもまた絞られる。

「おっぱいがっ!」

平らに戻っていた胸板に、巨大な乳房が形成される。一つ一つが頭が入るくらいの爆乳サイズになったと思うと、少し大きめな巨乳サイズに戻っていく。

最後に、骨と皮だけの細さになっていた腕にムチッと肉がついた。

「みんなの前では成長したくなかったのにぃっ!!」

タプタプと揺れる胸を、度し難いほどの激しい音と、体の変形で呆けてしまった周りの生徒からなんとか隠して、泣き出してしまう少年だった。

種族チェンジャー~牛娘~

『食べてすぐ寝ると牛になる』

これをやってみよう、とおやつを食べてからすぐソファで横になって漫画を読んでいる妹、香希(かき)を見て思った。気付かれないようにタブレットのカメラで捕捉すると、種族を「乳牛娘」、年齢感覚は人間と変わらないようなので「10歳」を「20歳」に変えて「変更」ボタンを押した。

「んっ」

その途端、香希はすこし声を出したが、漫画に夢中なのか、そのまま読み続けている。だが、変化は間違いなく始まっていた。薄着の香希の手足が、伸びている。少しづつ、体は縦にも横にも大きくなっている。身長が伸びつつ、サイズが合わずにむき出しになった脚にムチムチと肉がついている。

「ん?」

やっと違和感に気づいたのか、漫画から手を離して、自分の体をみる妹。すこしサイズが大きいはずの服は、もはやピチピチになっている。太っているわけではないが、健康的に成長したへそあたりが、服の間から覗いている。

「え?なんだこれ?」

成長したとは言え、まだ成人としては低身長である香希の体のその胸には、すでに片手で収まらないほどの膨らみができていた。それは、段々と成長のスピードを上げて、水風船のようにタプタプと揺れながら膨らんでいく。

「ちょ、ちょっと、なんでこんな……おっぱいが……!」

ソファから立ち上がる香希。その上半身には、巨乳の域はとうに超え、爆乳といっても大きいほどの乳が生成されていく。身長も伸びているのだが、その変化に気づけないほど、妹の胸は巨大なものになっていた。

「お、重い……!」

頭には小さめに角が生え、尻からは尻尾がぴょこんと飛び出てきた。その尻も、オーバーなくらいにムチムチなものになり、かろうじて服の中に収まっている。そこから生える脚は、抱きつきたくなるくらいの太いものだ。

ムグググと膨らむ胸の方は、ついに服の拘束力に打ち勝ち、布地が破れて中身のおっぱいが見え始めた。

「や、やだ……な、何かおっぱいの中に溜まってるっ」

人間であれば到底及ばないサイズになった胸は、ブチブチと服を破りながら、更に巨大化していた。妹はそれを手で抑えようとしているが、胸は全く影響を受けず膨らんでいく。かなりパンパンに張っているようだ。

「で、出ちゃうぅ、こんなところで……!!」

おっと、ここで牛乳を出されては掃除が大変だ、と元の妹の設定に戻して「変更」ボタンを押したときには……もう遅かった。妹の乳からは大量の白い液体が飛び出し、あたりに撒き散らされた。同時に体が小さく、元に戻るせいで香希の体全体から牛乳が絞り出されているかのようだった。

元に戻った香希はボロボロの布切れをまとい、牛乳まみれになった漫画をボーッと眺めるだけだった。濃い牛乳の匂いに両親が部屋に入って来たときには、大声で泣き始めていた。そこからなだめるのは、2リットルくらい噴霧された牛乳をすべて拭き取るのと同じくらい、かなり大変だった。

ふしぎなオーラ

ダイマックス。それは、ポケットモンスター、略してポケモンと呼ばれる、不思議な生き物、その中でも特定の個体だけが行える身体強化技能だ。

あるオーラをまとった特定のエリアでしか発揮できないそれは、まさに「巨大化」。巨大な体で、莫大な体力と攻撃力をもって、敵を破壊し尽くすのだった。

10歳の女ポケモントレーナーであるユウリは、まさに今ダイマックス化したポケモンの巣穴に入り込んでいた。普通のポケモンの巣穴など、人が通れる大きさのものは少ないが、巨大化したポケモンなら話は別だった。

ユウリは、腕につけたダイマックスバンドに、パワーがだんだんたまりつつあるのを感じつつ、奥に進んでいく。この巣穴のオーラは、ユウリが足を踏み入れた他のダイマックスポケモンの巣穴のどれよりも数段強かった。

やがて、広い空間に出た。ポケモンの寝床だろうが、そこには何もいない。ユウリが捕まえようとしていたダイマックスポケモンは、影も形もなかった。彼女は肩を落として、来た道を帰ろうとした。だが、ユウリが思っても見なかったことが起こった。

オーラが彼女の方に向かって凝縮され、ダイマックスバンドが強い光を発し始めたのだ。ユウリのこれまでのダイマックスポケモンとの戦いでも、巣穴のオーラを利用して自分のポケモンを巨大化させて使うことがあり、その時でもバンドは光っていた。だが、今回の光は目もくらむほどの強さであり、いつもよりも激しいものだった。ユウリが恐怖を感じ、バンドを取り外そうと手を当てた、その時だった。

バァァン!!

バンドが爆発したかのような音が響き渡るとともに、溜め込まれていた光がユウリの全身に注ぎ込むように流れたのだ。途端、ユウリは少し大きめのはずの服がきつくなっているように感じた。

光が収まって、ユウリは服を確認した。するとなぜか、全部の服のサイズが小さくなり、ユウリの体に合わなくなっていた。すぐにベルトがブチッと切れ、手持ちポケモンが入っているモンスターボールが床に落ちた。

衝撃で、中のポケモンが飛び出してくる。鳴き声を上げて主人を見たそれは、非常に驚いたような表情をした。驚いたのは、ユウリも同じだった。服と同じように、ポケモンのサイズも小さくなっていたのだ。

しかも服もポケモンも、さらに小さくなり始めていた。そこで、彼女は何が起きているのか悟った。自分が巨大化しているのだ。

だが、半ばパニックに陥ったユウリの体は、大きくなっているだけではなかった。破れている服から出ている腕や足は、そのサイズからしても明らかに長くなっていた。すでに膨らみ始めていた胸も、段々と服を大きく押し上げるように成長し、そして服を引きちぎってさらけ出された。

彼女は、目の前にいるポケモンから隠すように、自分の体を抱きながら、あることを思い出した。非常に限られたポケモンがダイマックスを超えた巨大化であるキョダイマックスをすることが可能だと聞いていたのだ。キョダイマックスをしたポケモンは、巨大化するだけでなく、見かけにも別のポケモンになったかのような変化が出る。

ユウリにも、それと同じ現象が起きていたのだ。彼女の体は、子供から大人のものへと変貌を遂げようとしていた。ズボンをビリビリとやぶいていく腰回りにも、大きなヒップが生み出され、オーラの光に薄暗く照らされる彼女のシルエットはどんどん女性的になっていく。

巨大化も続いていた。元の何十倍も大きくなると、空間の天井に頭がガツンとあたり、体育座りにならざるをえなかった。足と体で、膨らんだ胸がムニュッと潰され、巨大ながらも弾力感を醸し出していた。しかも、莫大な大きさとなった今でも、それはむぎゅぎゅと膨らむことをやめなかった。これまでダイマックスさせたどんなポケモンよりも大きくなり、慣れない大人の体に、どうすることもできないユウリの前で、頭と同じくらいの体積になってやっと巨大化は止まった。

そこで、彼女はやっと、空間の隅に、ひときわ強く輝く宝石のようなものがあるのに気づいた。巣穴から出ることもできず、他にできることのないユウリは、その宝石に手を伸ばし、触れた。

途端、宝石が光を発し、収まっていた巨大化が再開した。しかも、今度はかなり急速だった。ググググと大きくなるユウリの体は一瞬で空間を埋め尽くした。

だが、巣穴の壁に潰されると思ったユウリが、やけくそで全身の力を込めて立ち上がろうとすると、あっけなく巣穴は崩壊し、ユウリの豊満となった体は地上へとさらけ出された。地上にいたポケモンは撒き散らされ、トレーニングやポケモンをゲットするために周りにいたトレーナーは、突如現れた、一つの街よりも大きい女性トレーナーの全裸を見せつけられることになった。

その地方の最も高い建物よりも高くなった体だけでなく、すべての湖を足しても負けそうなくらいの体積を持った胸も、島のどこからでも見ることができるくらい巨大なものだった。

とある世界~化学~

人の体が急成長するとか、巨大化するとか、そういうことは普通起こりえない。人間の体も化学物質でできている。細胞の分裂だってたくさんの複雑な化学反応の結果であって、37兆個の細胞を、綺麗な人体の形を、いや、生物の機能を保ったまま分裂させることは不可能だ。

そこで、この手の性癖では、最初に物理法則を否定しなければいけない。『こんなことはあり得ない』とか、『現実だったらこんなことにならない』とか、そういうツッコミは無粋なわけだ。

といっても、あまりにも現実味がないのも面白くない。そんなわけで、『どうして変身するのか』という理由は、それなりに重要になってくる。

まずは化学的な理由から行こう。ここからは、キーボードで作った世界の話だ。

ここは薄暗い地下室。真ん中に金属製の作業台のような机が置かれている。重そうな扉が開くと、大男が入ってきた。腕には、身寄りがないのだろう、ボロボロの服を着た痩せた小さな女の子が抱えられている。その後ろからは、意地悪そうな顔をした小男が続いてきた。
大男は、乱暴に女の子をおろした。

「何するんだよっ!いきなりこんな地下室に……」
「うるせえ!つべこべ言うと犬の餌にしてやるぞ!」

大男に女の子が気圧されている間に、小男は液体の薬が入った瓶を、いくつか机の上に並べた。
「旦那、準備ができましたぜ」

大男は、女の子を天井から吊るされた鎖につなぎ、逃げられないようにした。

「はなせ!はなせよ!」
「黙れ!うまく行けばお前はこれから俺たちの商品になるんだよ!サダル、さっさと薬をよこせ!」
「言われなくても、ほれ、ニデルの旦那」

サダルと呼ばれた小男は、大男、ニデルに赤い薬の瓶を渡した。
「なんだよそれ!」
「いいから、飲め!」

ニデルは女の子の鼻をつまむと、薬の瓶の口を、女の子の口に突っ込んで中身を流し入れた。
「よし、飲んだな」
「間違いがなければ、成長ホルモンが分泌され、体の成長が起こるはず!」
「な、なに言って……体が、熱いっ」

少女の体全体が、ゴキゴキ、グキグキと音を立てる。そして、皮膚が波が立ったように変形する。そして、サダルの言ったとおり、少女の手足はゆっくりと伸び始めた。
「おおっ!最初の実験は成功だ!」

短くなった服の下から、グッ、グッと足が飛び出し、色白な肌が露出される。20cmくらい身長が伸びたところで、薬の効果は終わる。

「サダル、お前と同じくらいの背まで成長したが……物足りねえなぁ」少女の体は、全体的にスラッと伸びたものの、痩せ気味なのは変わらなかった。胸の膨らみなどは少ししかない。

「心配なさらず。この薬を飲ませてみてくだせえ」
「おう」ニデルは、サダルから受け取った緑の薬を、少女に無理やり飲ませる。

「これは女性ホルモンの分泌を促す薬。つまり……」
「む、胸が痛いぃっ……!!」もがき苦しむ少女の胸が、風船に空気をいれるように、むく、むく、と膨らんだ。むき出しになった足も、ムギュッ、ムギュッと太くなる。
「ホルモンを受け取った乳腺や、皮下脂肪が発達して、女の体らしくなる……んですが……うむ、効果が薄い……」

まだ、学生のそれにも及ばないような痩せ型の少女。

「経口摂取ではだめか……ならば血管に直接……」サダルは、注射器を取り出して緑の薬を中に入れた。そして少女の腕を取ると、一気に注射した。

「やだぁぁっ!!!」途端に、少女の体が痙攣し始める。そして、今度は先程よりも確実に大きく、どくどくと脈を打つように、乳房が成長をしていく。一回り、また一回りと大きくなるそれは、服を引っ張り、元々あった裂け目から引き裂いていく。足の方もムチ、ムチと震えながら太さを増す。少し見えていたあばらも、皮下脂肪に覆われて見えづらくなっていく。

「おお、これは上物だぜ」ニデルが、ふるふると揺れる豊かな膨らみを揉む。柔らかい感触の奥に、心臓の鼓動がドクンドクンと伝わってくる。大男のニデルでも、両手で覆えなくなるほどの大きさになって、成長はやっと止んだ。
「この身長にしては少し、でかすぎるかもしれねえが……これはこれでいいものになりそうだな。どれ、最初に俺が使ってみるか……」
「すまねえ、旦那。副作用で、この薬を飲んだあと一時間は、ヤッた相手が女になるんだよ。ほら、新しい給仕の女がいただろ、あれがそうだ」
「なんだと、仕方ねえな……しかし、お前もすげえもの作るなぁ、この胸だけで連れ込んできたときのこいつの全身より重い感じがするぜ」

「へへ、ま、あとで楽しんでくだせえ。俺は片付けをしてくる」サデルは、部屋を出ていった。

「ご、ご主人様……そろそろ下ろしてください……」
「お、おう、そうだな……」口調が変わり、従順になった少女を見て、ニデルは鎖を解いた。「性格まで変わるたあ、とんでもねえな」

「ふふ、ニデルさま……」少女は降ろされると、ニデルにすり寄った。「私と遊びませんか……?」
「へへ、いいぜ……少しだけなら副作用とやらも大丈夫だよな」

ニデルは、少女を床に寝かせ、その上に覆いかぶさった。
「じゃあ、いくぞ……」
「ニデル……さま……」

だが、その行為に達した瞬間、少女の体がまたグキグキと言い始めた。
「まだ大きくなるのかよ……お、おい……うそだろ……」
ニデルの体も、同じように音を立て始めたのだった。そして、少女の体がさらに大きくなり始めたと同時に、ニデルの体は小さくなり始めた。

「あっははは、かかったな、マヌケ野郎!セーエキに触れると、また大きくなるとは思ってなかったけどな!」
「や、やめろぉっ!」

サデルが言っていた通り、ニデルは女になっていた。少女の身長はさらに伸び、胸も尻もググッと膨らむ。まるで、少女がニデルから力を吸い取るように、少女とニデルの力関係は逆転していった。

「この体があれば、この街、いや国一番の娼婦になれる……」
「なに、言って……」
「ニデル、だったよな……いや、だったかしら……?あなたは私の子分よ」

ニデルはもはや、多少胸が大きいくらいの若い女になっていた。少女は、緑の薬を注射器に入れると、ニヤッと笑って扉の前に行った。

「あのサデルとかいうのも、私の子分……それも、特大サイズの子にしてあげる……」

「おーい、戻ったぞ……」
扉が開いた瞬間、サデルの右腕に薬が注射された。

「うぎゃあああああ!!!」
夜の街に、男の叫び声が響いた。

……とばかりに、化学薬品を使うと、大体はホルモンとか、人体の仕組みを使うことになる。まあ、そんな説明抜きに薬を使ったから成長した、だけでもいいのだが。
成長や、変化が起こるタイミングは、薬を飲んだ直後として、分かりやすくなっていることもあれば、遅効性で、『今更になって、なんで……?』という風に、薬を飲むタイミングと無関係にもできる。
変身させたあとでもう一回飲ませることで、同じような効果がもう一回起きることを期待できたりもする。あと、『副作用』という言葉で何が起こるか予測不能にすることも、また可能だ。

変身描写だけ書きたい!(AP)

魔法がありふれた世界の学校。魔法使い同士の決闘……ではなく、変身術の講義の実践をしている男女の生徒のペア。

「くらえ!スタイル抜群のお姉さんになる魔法!!」
「そんな魔法ないわよ、ふざけてんの!?アタシの体型馬鹿にしてるでしょ!!」

確かに、呪文でも何でもない言葉と魔法の杖を向けられた女子生徒の体型はそのクラスの中でも華奢で、身長も低かった。そして、教科書にはそのような魔法は存在せず、女子生徒が正しいはず……だったが。

「へへへ……お、おい、なんか変な魔法が……」

杖の先は光りはじめ、明らかに何らかの魔法を少女に向かって放とうとしていた。

「え、えっ?そんなはずがあるわけ……」

少女が言葉を終える前に、少年の杖から魔法が発射され、彼女の体に吸い込まれるように飛び込んでいった。少女はあまりの衝撃にうずくまってしまった。

「お、おい、大丈夫か!?」
「う、ぐぐ……体が、熱いっ……あんた、魔力の量だけは半端ないんだから……!うぅっ!?」

少女の体から、ドンッ!ドンッ!と小さな爆発のような音が聞こえ始める。

「な、なによこの魔法っ!?」

その小さな手が、爆発音と同時に大きくなり、すぐにもとに戻る。足も、ミチッ、ミチッと音を立てて大きく脈動していた。

「なにをやっているのだ、そこの二人!」

少女から発せられる音に、周りの視線が集まっていた。それに気づいた教師が、二人に近づいてきていた。

「せ、せんせ……!こいつが、変な魔法をあたしにっ!」
「なに!?どれ……」

教師は、少女の腕を取った。腕の太さが、脈拍とともにドクンドクンと大きく変動していた。それは、変身術の教師ですら見たことのないたぐいの魔法であった。

「なんだこの魔法は……まあいい……全術式解除!」

教師が杖を振ると、その先から光が溢れ出し、少女を包んだ。

「これでもとに戻るだろう……ん?」
「せ、先生……?」

教師の想像とは裏腹に、その細い腕は脈動をやめず、さらに大きくなりだした。ドクンッ、ドクンッと、彼女の体全体が成長を始めたのだ。骨がメキメキと軋み、関節がポキポキという生々しい音が、あたりに響き渡る。そのたび、手足が伸び、少女のシルエットが大きくなる。

「なっ、なんだこれはっ!?お前、一体どんな魔法をかけたのだ!」
「は、はい!『スタイル抜群のお姉さんになる魔法』ですが……」
「ふざけるな!そんな簡単な魔法が術式解除で無効化されないはずがないだろう!?」

口論を始める二人の横で、どんどん大きくなる少女。服はパンパンになり、いたるところで糸がほつれていく。足はさらけだされ、ほっそりとしていたそれに、段々と肉が付き始めていた。

「む、むねがっ……」

その平らだった胸にも、小さなポンプで空気が入れられるように膨らみが付き、一回り、さらに一回りと大きくなる。服をビリッ、ビリッと少しずつ破り、肌色の柔らかい塊が外気にさらけ出されていく。その深い谷間が、すでに手で覆いきれないほど大きくなった胸の大きさを物語っていた。

「とにかく、変身術に特化した術式解除を再度かけてみることとしよう……」
「先生、何か嫌な予感がするのですが……」
「うるさい!変身術式解除!」

少年の制止を振り切り教師が大声を上げる。再び教師の杖から光が放たれ、少女の体を包む。

「う、うぅぅっっ!!!」

だが、的中したのは少年の予感の方だった。少女がうめき声とも叫び声ともつかない声を上げるとともに、その胸がギュギュギュギュと急激に膨らみ、服を一気に破って飛び出してきた。ブルンブルンと大きく揺れるそれは、なおも大きくなり続けている。身長の方も、教師を超えるほどになってしまった。

「はぁっ、はぁっ……」

そしてそれは、少女が立ち上がったことでさらに顕著になった。

「……ふぅっ……みんなが、下に見える……?」
「き、君……」

少女は、教師を見下ろした。そして、視界の下半分を占拠する頭よりも大きくなってしまった乳房に気がついた。

「すごくおっきい……」
「ふ、服を着たまえっ!!」
「服……合うものがないです……」

どんな男性にも目の毒になるほどのスタイルを、目の前で見せつけられた教師は目を背ける。だが、大きくなりすぎた女性の体に合う服などない。

「そ、そうだな……では、魔法で作ることとしよう……」
「だ、だめですよ、また魔法を当てたらっ!!」

だがついに、服を作る魔法を少女に向かって放つのを、止めることはできなかった。杖から放たれた魔法を受けた少女の体は、また成長を始めたのだった。

「い、いやあああっ!!」

どんどん膨らんでいく胸をおさえ、そして自分に杖を向ける数人の同級生を見つめながら、少女は叫ぶほかなかった。

副作用3 (3/4)

「……?」
「やっと目が覚めたんだね」

そこは、中学の保健室。美緒はベッドの上に横たえられ、掛け布団をかけられていた。三浦は、美緒を背負ってなんとかここまで運んできた。小さいとはいえ、ここまで急いで運んでくるのは三浦にも荷が重かった。

美緒も美緒の方で、激しい成長の疲れからか、体を動かす力が湧いてこない。

「……それでさ、君のことなんだけど……君が倒れたあと……」
「私、倒れてたんだ……」

三浦は、美緒の体を乗っ取っていた何かの話をしようとしていた。だが、何かが彼を引き止めた。

「保健室まで運んできたんだ、でも先生いなくてさ、鍵も開いてなかったから、外から何とか鍵を開けて君を放り込んだんだ」
「えっ!?」
「すまない、女の子にひどいことをした」

美緒は一瞬考えたが、すぐにニコッと微笑んだ。

「でも、先輩は私のことを考えてくれたんですよね!問題ないですよ」
「そうか、それはよかった。……君は、僕のこと、よく思ってくれてるみたいだね、ありがとう」
“副作用3 (3/4)” の続きを読む

副作用3 (2/4)

美緒は、その日起こった出来事を反芻していた。怪しい薬を飲んだら、体が『オトナに』なった。写真を撮っていないのでどんな姿になっていたかは想像もつかないが、つい数分前に顔を合わせていた三浦が判別できなかったのだ。かなりの変貌を遂げていたはずだ。

「んー、でもなぁ……」

薬の効果は数分しか持たなかった。もしその度10錠飲んでいたら、瓶の中に残ったあと30錠ほどの錠剤は、体の成長を維持するなんて考えもつかないほど量が足りていない。とにかく、大きくなったときの『姉』の謝罪で、三浦に話を聞いてもらえる道筋は付けた。また会うときまで、薬は取っておこうと決めた美緒だった。

そして、その次の日。前の日と同じ時間、同じ部屋で薬をさらに10錠飲んだ美緒は、1時間後に来るであろう三浦を待ち始めた。……のだが。

ガラガラ……と、一分もしないうちに教室の扉が開き、三浦が入ってきた。

「えっ!?」
「うわっ!?また君か!」

美緒は時計を見た。やはり、三浦が帰ってくる時間まで一時間ある……が、秒針が動いていない。電池が切れているのに何故か気づくことができずに、この時間を迎えてしまったようだ。

「いえっ、あのっ、今日はちょっと他の用事があってっ」
「そ、そうなのか……」

こうなれば成長が始まるのは一時間後。しらを切ってこの場をやり過ごすしかないと思う美緒。

「あはっ、あははっ……うぅっ!!」

だが、昨日と同じ衝撃が、美緒を襲った。思わず胸を押さえるが、その手がプルプル震える。

「どうしたんだっ!大丈夫か!?」

急にうめき声を上げた美緒を心配して、三浦が近づいてくる。美緒は彼に助けを求めようと手を伸ばしたが、その瞬間脚が震えだし、バランスを崩して前のめりに倒れてしまった。

「おっと……」

三浦は倒れかけた後輩を何とか胸で受け止めた。その体が不自然なほどに震えている……いや、痙攣している。そして。

「うっ、ううっ!!」

さらに美緒がうめき声を上げると、小さな体がぎゅいぎゅいと縦に伸び始めた。背伸びをしているのかと思うが、違う。短かった脚が異様に伸びているのだ。ついには脚の成長だけで三浦の身長に追いついてしまった。

「き、君っ!!」
「また、大きくなっちゃうぅっ!!」

その腕にしても、可愛らしく子供らしかったものが妙に伸び、さらには上半身が成長し始めた。そのせいで身長差は逆転し、三浦は美緒に押し倒され、のしかかられてしまった。

「うぅっ!!いやぁっ!!」

これまで縦に伸びるだけの成長だった体が、今度は横方向に膨らんでいく。ブルブルと震えながら、全体に脂肪とそれを支える筋肉がついていく。そして、三浦に押し当てられた胸に、柔らかい膨らみが形成されていく。

「おっぱいがぁっ、おっぱいがあついよぉっ!!」

ムリムリムリッ……!!と急激に大きくなるそれは、三浦の上半身を覆っていく。美緒の激しい鼓動が、乳房を通じて三浦に伝わってくる。女子と付き合っていた彼にしても、早すぎる体験に三浦の理性は文字通り潰されそうになっていた。

「な、なんでぇっ……まだ一時間経ってないのにぃ……」

ヒップもプルプルと膨れ上がり、三浦にさらなる重りとしてのしかかる。だが、体の痙攣自体は弱まっていき、美緒の体は大きくなることをやめた。

「はぁっ、はぁっ……」
「……」

そこには、体格差が逆転し、荒い息を上げる後輩に、押しつぶされそうな先輩が残された。やわらかな双球は三浦の肺を圧迫していたが、呼吸はかろうじてできた。

「あ、あっ、ごめんなさいっ……!」

美緒は体勢を立て直し、三浦から離れるが、三浦は未知の感覚に放心状態になってしまい、あまり動くことができない。

「先輩の前で『オトナ』になりたくて、先輩に私を見てもらいたくて、でもこんなに迷惑かけちゃいました……」
「え……」
「これ、なんです……」

美緒は、薬の瓶を三浦に見せた。三浦はなんとか立ち上がり、そのラベルを読む。

「『オトナになる薬』……?」
「そう、です……こんな薬、飲むんじゃなかった……」

今にも泣き出しそうな美緒に、三浦はどうすることもできない。すると、美緒はその表情のまま、三浦に近づき始めた。

「えっ?あれっ?」

そして、三浦の肩を持つと、椅子に座らせた。だが、美緒は当惑の表情を浮かべている。

「私、こんなことしたいはずじゃ……えっ!?」

美緒の手は三浦のジッパーを下ろし、中のモノを取り出した。

「な、なんでっ!?」

三浦の方はというと、突如として痴態を晒し始めた後輩をなぜか受け入れてしまっていた。その間にも、美緒は服を脱ぎ、豊満な肢体をソレにこすりつけ始めた。

「うおっ……」
「は、はずかしいよぉ……」

三浦は思わず興奮し、美緒に抱きつく。すると、美緒の体にさらなる変化が訪れ始めた。

「んんぅっ……」

彼女の体が、さらに大きくなっていくのだ。大人の女性としても身長が高くなっていき、ムチムチとした肉付きがさらに強調されていく。だが、ウエストはキュッとしまったままだ。

「まだ大きくなるの!?……!」

今度は、巨乳の中でも大きめなその胸で、大きく怒張した三浦のペニスを挟み込む美緒の体。自分の意志とは関係なく、濃密なスキンシップをしてしまう体に、美緒は涙を流しながらついていくほかなかった。

しかも、その胸もさらに膨張し、男性器を包み込んでいく。

「う、うっ……こんなの、出さずにいられるかっ……」

最後に残っていた三浦の理性を振り切り、白濁液が美緒の顔にぶちまけられた。そこで、美緒は白目をむいて意識を失った……が、体は動くのをやめない。

「な、なんだこれ……!?」
「うふふ、こんなに気持ちがいいってことないわ……」
「えっ!?」

美緒の口から、これまでとは違う、落ち着いた大人の声が出、三浦は冷や汗をかいた。その次の瞬間、美緒の目が戻った……しかし、その瞳は美緒のものではなく、赤く光る、悪魔のようなものだった。

「先輩くぅん?楽しんでもらえたかなぁ?」
「へっ……!?」

美緒の顔にも、悪魔のような笑みが浮かぶ。

「今はすぐにもとに戻っちゃうけど、あと二回、あと二回成長すれば、あなたは私のものになれるわ……せいぜい、楽しみにしてなさい」

その言葉が終わると、美緒はガクッとうなだれ、体の動きも止まった。そのまま、シューッと音をたてるように、男性でも長身の部類に入るほど成長していた美緒の体は、元に戻っていった。

三浦は椅子に座ったまま、自分の膝の上で寝息を立てている美緒を呆然と眺めた。

副作用3 (1/4)

「はぁ、なんでこんなものに頼ろうとしてるんだろう、私……」

一人の少女が、中学校の教室で一人佇んでいた。彼女の名は平良 美緒(たいら みお)。この中学の二年生だ。その隣の机の上は、『オトナになる薬』とラベルのされている薬がおいてある。『10錠飲めば一時間で効果が出ますが、副作用については保証できません』とも、印字されていた。

そして、彼女は55分前に、薬を10錠飲んでいた。憧れの先輩である三浦の気を引きたいがために、彼が部活を終えて一回教室に戻ってくる時間を覚え、その1時間前に薬を飲んだのだった。

「ホントに、あのおっぱいでかい人みたいになれるのかな?」

街ですれ違った……というよりは正面衝突した女性に、あまりに育ちが悪い体を見られ、笑われ、お詫びにもらった薬。彼女が見たことないくらいの胸に圧倒され、怪しい薬を拒否することもできなかった。

「でも……!」

ガラガラ……

教室の扉が開いた。予想通り、三浦が教室に戻ってきたのだった。筋肉質で大柄、顔はイケメンとは言い難いが、年に見合わず落ち着いたものだ。

「うわっ!?どうしたの、君……?」

人がいるとは思っていなかったようで、彼は一瞬うろたえたが、なんとか美緒に声をかけた。

「三浦先輩、あ、あの……!見てもらいたいものがあるんですっ!」

あと一分で薬を飲んでからちょうど一時間だった。その時間だけ待ってくれれば、美緒は『オトナ』になれるのだ。

「……いいけど、急いでね。あと二分でここを出ないと、最後のバスが出ちゃうから」
「は、はいっ!一分くらい、待ってくれるだけでいいです!」
「え?うん……」

二分。十分だ。美緒は、心臓が高鳴るのを感じた。時計の秒針を睨む。あと十秒、九秒、……、二秒、一秒……

「……あ、あれ?」
「どうしたの?」
「い、いえ……もうちょっとだけ……」

時間を過ぎた。そして、二十秒、三十秒と経過していく。焦りがつのっていく。そして……

「ごめん、これ以上待てない」
「あ、ご、ごめんなさい……っ!!」
「いや……だけど、いたずらならもうちょっと良いタイミングでやって。じゃあ」

三浦は踵を返し、扉を閉めて出ていった。美緒の中に絶望感が生まれた。三浦と話すのはこれが最初だった。第一印象は最悪、もう話しかけてくれないかもしれない。

「でも、なんで……」

薬の瓶の印刷を読み直す。そこには、『一時間で効果が出ます』と確かに書かれている。ため息をついて、瓶をおいた、その時だった。

ドクンッ!!

「ひゃいっ!?」と、あまりに突然に、全身に走った衝撃に奇声を上げてしまう。

ギュイッ!!

そして突然、美緒の腕が……伸びた。「なにっ!?なんなのっ!?」
美緒は無意識に、椅子に座って落ち着こうとした。しかし、腰をおいた瞬間。

ギュギュイッ!!

腕と同じように、脚が伸びる。その長さは、元の倍くらいになっていたが、太さは変わっていなかった。相対的にガリガリになった長い手足に呆然としていると……

ポコンッ!

美緒は左胸に衝撃を感じた。その発信源を見ると、なにかが大きく立って、服を押し上げている。場所から言うと、美緒の乳首だった。

「えっ、嘘でしょ……?」

服をたくし上げると、確かに左乳首が平らな胸に全然合わないくらい大きくなっていた。恐る恐る触ると、刺激が走る。

「ひゃんっ!」

すると、彼女の悲鳴に応じたかのように、右乳首もポコンッ!と巨大化する。そして休む間もなく、腰骨と背骨がメキメキッと成長し、美緒は『オトナ』というより、ガリガリの乳首が大きい女性らしき何かになってしまっていた。

「こんなの、やだぁっ!」

だが、『効果』はそれで終わらなかった。ドクン、ドクンと彼女の鼓動がだんだんと強くなり、そのたびに全身が痙攣するようになる。

「だんだん、太く、なってる……?」

美緒が理解したとおり、彼女の体は空気を入れられる風船のように、膨らんでいた。手足にはムチッムチッと皮下脂肪がつき、体を押し上げてくるのは尻が大きくなっているせいだろう。大きくなった乳首の根本にも、急速に膨らみがついていく。

「や、やった……これで、オトナにっ」

ガリガリだった美緒は、段々と健康的な体つきになっていく。着ていた服がギチギチといいはじめ、胸のボタンは左右に引っ張られていく。

「あっ、そろそろ、大きくなるの、やめてっ」

強い鼓動のたび、言葉を止めなければいけない。だが、美緒の思いが通じたかのように、その成長は服を引きちぎる前に終わった。といっても、くびれたウエストは丸出し、スカートもギリギリの丈になってしまっている。美緒は立ち上がって、自分の体を確認しようとしたが……

ガラガラ……

「ひぃっ!?」
「うわぁっ!?」

変身が終わって息をつく間もなく、教室の扉が開いた。入ってきたのは、帰ったはずの三浦だった。

「あの、どなた、ですか……?」

見知らぬ女性に、たどたどしく尋ねる三浦。なにしろ、巨乳のお姉さんがいると思わなかったところにいたのだ。しかも露出度は高く、三浦は目のやり場に困っているようだった。しかしそのおかげか、明らかに中学生と思えない体格の女性が、中学の制服を着ているのに気づいていない。

「あの……美緒……っていう子の姉です」
「あ……お姉さん、ですか……」

美緒は、自分のことを正直に話しても信じてもらえないだろうと、嘘をつくことにした。三浦はそれでも、目を背けたままだった。

「あの、俺、財布を置き忘れたので、取りに来たんですが……」
「ごめんなさいね、妹が変なことを……」
「いえ、いいんです……」

三浦は目を伏せながら、自分の机の中から財布を取り出し、そそくさと入口に戻っていく。

「では、これで……暗くなると変な人が多いから、気をつけてください」
「え、ええ……」

美緒はほっと胸をなでおろしたが、暗くなりつつある外を見て、急いで薬をカバンの中に入れ、教室をあとにした。あまりに急いでいたせいで自分の格好を忘れていたが、通学路の半ばで思い出したときには、美緒の体はもとに戻っていた。

副作用2(2/3)

次に少年が目を覚ますと、見覚えのない天井が見えた。きれいな白いベッドの上に寝かされていたが、古ぼけた部屋自体は馴染みのないものだ。

「いったい、僕は……」
「やっと、起きたんですね」

これも聞き覚えのない声。駅の窓口にいそうな制服姿の女性が、心配そうに少年を見ていた。

「あ、あの……ここは……」
「あなたの住んでるところから少し離れた駅だよ。駅の名前を言ってもわからないでしょうから……地図を見ればわかるかな?」

道案内用の少し細かな地図を、女性は持ってきた。付けているバッジは、少年が駅で目にするロゴが入っている。駅員のようだ。

地図には、大きな駅に赤い丸がしてあった。どうやら、そこが今いる場所のようだ。線路をなぞっていくと、5駅くらい先に少年の駅があった。

「5駅も……」
「うん、あなたの通学定期を見させてもらったけど、学校より遠い場所に来てるのよ。ごめんなさい、でもあなたが見つかった場所からは1駅だし、救護室がここにしかなかったものだから……」

学校には完全に遅刻だろうという考えと一緒に、この状況に陥る前の記憶が戻ってきた。電車の中でまた女の人になって、そして、落ち着けばもとに戻るという推測が外れて……そこから先の記憶がない。
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