「お兄ちゃん……❤」
幼馴染はトロンとした目で少年を見つめながら、四つん這いになって近づいてくる。元の面影を残した童顔と、その下でたぷんたぷんと揺れる二つの豊満な果実は、少年の目覚めかけの男性としての性欲をかきたてた。だが、少年の理性はそれ以上に強く、恐怖で少年は後ろに逃げて行く。
「つ~かまえたっ」
しかし、体格の差に勝つことはできず、すぐに腕を押さえられ、少年は上から覆いかぶされ、地面に押し倒されてしまった。
「いつもみたいに、あそぼ~?」
「や、やめて……っ!」
幼馴染はその巨大な乳房を少年の胸板に押し付け、上体を前後左右に揺らして、むにゅむにゅと変形させる。少年は自分の胸を包み込む柔らかい感覚に、身を任せずにはいられなくなり、全身の力が抜けてしまった。ただでさえ体重も力も劣る肉感的な女性に完全に屈してしまったのだ。
幼馴染はその様子をみると少年の腕を放し、その下半身の上へと移動する。そして、未だ小さなペニスを挟むように、乳房を少年の上にタポンと落とした。
「うっ……」
「お兄ちゃん、やっぱりここがいいんだね……❤」
体を上下に動かし、性器にかかる乳圧を周期的に変化させる。腰にコリコリと当たってくる乳首の感覚も相まって少年は絶頂へと近づいて行く。
「だめ……こんなこと……しちゃ……」
「なんで~?とっても、気持ちいいでしょぉ?」
幼稚園児とは思えないテクニックと小悪魔の誘惑のような声で、服をいつの間にか全て脱がし、幼馴染はどんどん攻めたててくる。少年はつい昨日まで一緒に遊んでいた年下の女の子が、今のように至上の快楽を与える存在になっていることが受け入れられず、どうするべきか判断する間も与えられず、最後に残っていたわずかな理性も風前の灯火となっていた。そして……
ドピュゥ!
出してしまった。自分でも正体のわからない白濁液が少年から放たれ、幼馴染の顔にかかった。
「あ……あっ……」
少年の頭がパンクしたようだった。
「ふふっ……お兄ちゃんも、おっぱいほしい?」
姿勢を直した幼馴染が、胸をむぎゅっと掴み、少年の目の前で強調してくる。さっきまでなら目をつぶって意識することを避けられたが、今はそれをただ見つめ、意識してしまう。途端に、胸が熱くなってきた。
「えっ……」
胸板を見ると、少年の鼓動と同期して、乳首がムクッムクッと大きくなってきていた。手でそれを押さえつけ、その成長を抑えようとするが、逆に、触覚でもその成長を感じてしまい、余計に意識してしまう。
「んんっ……」
胸全体の熱がさらに強くなると、少年の手の下で乳腺が発達し始め、乳首の周りがムリッムリッと盛り上がっていく。
「いやだ、やめて……」
「お兄ちゃん❤️」
「えっ」
幼馴染の声に思わず上を向くとたわわな乳房がやはりそこにあって、緊急時にも関わらずドキッとしてしまう。その瞬間、少年自身の胸の膨らみが、一気にリンゴサイズになり、激しい鼓動に合わせて、ムギュムギュッと成長を止めなくなった。
「だめ、だめっ……!」
再び、両腕でその膨らみを押さえつけるが、その腕の上下から、肌色がはみ出し、段々抑えていられなくなってしまう。
「ねえねえ、私の体、どう?」
「……!」
幼馴染は、大きな体と、そのウエストからヒップにかけての曲線を強調する。少年は、それを意識せざるをえない。背骨や骨盤のあたりに痛みが走ると、腰が横に引っ張られるように広がり、上半身は縦に引き伸ばされ、同時にムチムチとした皮下脂肪がついて、尻がボンッと膨らんだ。そして、ついさっきの幼馴染と同じように、自分の手足では動くことができなくなっていた。
「少年、幼馴染の体はもういいから、鏡見てみなさい?」
人形のような少女が言うと、幼馴染はいきなり気絶した。その体から空気が抜けていくように、手足は細く短く、乳房は元の胸板に戻り、髪も肩まで戻った。その代わりという感じで、仰向けに倒れている少年の真上に、大きな鏡が出現した。
「なに、これ……」
少年が自分の体を見ると、胸には頭と同じくらいの乳房がつき、ウエストはくびれ、腰が大きく横に広げられ、胴体だけは豊満な女性になっている自分自身の姿が映った。逆に言えば、手足と頭が、元のままの女性に、少年はなっていたのだ。そして、股に付いている小さい男の象徴が、目につく。
「ねえ、気持ち悪いでしょ?女の人になっちゃえば、楽よ。意識するだけでいいから、ね?……って、あなたそれ最初に意識しちゃう?」
「うっ……」
その瞬間、少年のペニスが脈打ち始め、膨らみ始めるが、ある程度膨らむと、いきなり潰されるような痛みが生じた。
「あぐっ……くぅっ!!!」
筆舌に尽くしがたい痛みとともに、ソレは少年の腹部に向かって沈み込むように縮み始めたのだ。少年は必死になって耐えるが、数秒後にはソレはスッと入った溝に沈没してしまい、完全に姿を消してしまった。
「ふぅ……っ、おなか、中が、ぐるぐるする……」
かき回されるような感覚の原因は、少年には知るすべもないが、子宮ができあがっていくものだった。それに繋がる卵巣が、今まであった精巣を置き換え、女性としての生殖機能を与えていくものに他ならなかった。少年は不安な表情で下腹部がうごめいているのを鏡で見ていることしかできない。
「あなたも、これで立派な人間のメスね」
うごめきが止まると、少女が満足そうな声で変身の成果を確認した。
「な、なんでこんなことするの」
素朴な疑問だった。こんなに大掛かりな魔法じみたことで自分が苦しめられるのには、何か理由があるはずだと思うのは、当然だ。
「そうね……あなた、ちやほやされるの、好きよね。人に褒められるのとか、撫でられるのとか」
「えっ……?」
「あら?小さい子は全員そうって思ってたけど、そうじゃないのかしら?とにかく、私はその目的のために生まれてきたんだけどね、あなたにもそれを体験してもらおうと思って」
大人の女性になれば、ちやほやされるのだろうか?少年は、テレビで綺麗な女性が褒められたり、羨ましがられていたりしていたのを思い出した。すらっと伸びた脚のこととか……
「あら、意識したわね」
「ふぎゅっ……!」
少年の足が、胴体から何かが送り込まれるかのように、膨らんでいく。ももにはムッチリとした肉がつき、二倍の太さに膨れ上がる。長さの方も、ググッググッと大きくなり、思い浮かべた女性ーーグラビアアイドルだったのだがーーと同じような、健康的な女性の足に育った。
「ボーイッシュもいいけれど、今のあなたの顔じゃ、ただの子供ね」
「僕は女の人になんか……!」
鏡の中の自分は、容赦なくその意思を潰してきた。むしろ、頭と手だけが少年のままとなった体は、全て女性であるべきであるもののようにも見えてしまう。
「(腕が、ほそい、ちっちゃい……)」
「はぁい、意識したー」
「うぐぁっ!」
腕はニョキニョキと伸び、女性になった体に合わせるように、適度に脂肪を蓄え、筋肉は控えめについたものになった。
「さあ、どうするの?女の人になるの、ならないの?」
「ぼ、僕は……」
少年は抗おうとするが、「女性になった状態」と「元に戻った状態」を、両方とも思い浮かべてしまった。選択を迫られた時には、人間はそのあとの結末を想像してしまうものである。そう、少年は想像したのだ。
「はい、時間切れっと。あなた、ちょろいわね」
「う、うわぁあああっ!!」
叫んだときにはもう遅く、少年の顔は少し童顔ではあるが色気のある女性のものに変わり、髪もサラサラと伸びて背中にかかるほどまでになった。
「僕は、これで、もう……」
「なっちゃったわね、完全に、女の人に。だけど……」
「今度は何?もう終わったでしょ?」
少女は、ニンマリとした。
「これからが、本番よ」
少年の掌から、ベキッという音がした。
「えっ」
少年が目を動かして手を見ると、そこには人間の肌ではなく、ゴムやプラスチックのようなもので覆われた掌があった。指を動かそうとすると、ギシギシと言うだけで、あまり自由がきかない。もっと注意深く見ると、指の関節の周りに色々な割れ目が付き、フィギュアの可動関節のようになっていた。
「あらあら?見るのは、おててだけでいいのかしら?」
少年が肘に目をやると、指と同じような溝が彫り込まれていくところだった。それはまるで皮膚が沈みこんでいくようで、中にある骨や血管は無視したような動きだ。そして、数秒後には、その現象は肩に伝わり、球体関節が、体の中でベキベキと形作られていく。これだけの変化が起きているのに、少年には全く痛みが伝わってこない。
「ぼく、どうなって……」
「いったでしょ?ちやほやされるようにしてあげるって。フィギュアとしてだけどね」
少年は、少女、いや、周りの風景全てが巨大化しているのに気づいた。フィギュアになっていくとともに、サイズが縮んでいるのだった。
「やだ、やめて!!こんなとこで死にたくないよぉ!!」
「死ぬ?失礼ね。全ての人形には魂が宿っているのよ?この私にだって、魂があるんだからね」
「わけわかんないよ!お姉さんも……人間……でしょ!?」
「私?私はたくさん、すごくたくさんの人形の魂のかたまりよ。あなたたち人間に愛してもらえなかった人形たちのね」
「なに……いってる……の……?」
少年の言葉の自由が奪われていく。足や、腰の中にも溝が彫られ、人形としての関節が出来上がっていく。そして、少し前は動かせた指や腕が全く動かなくなってしまった。
「そろそろ完成ね」
「や……だ……」
口もただの顔の表面に彫られた浅い穴となり、その瞳を残して、少年は完全に豊満美少女フィギュアとなってしまったのだった。少女は、変化が終わり、路上に倒れたまま動かなくなったフィギュアを拾い、まじまじと見つめる。
「ふふん、私のコレクションが、また一つ増えたわね。それにしても、人間から作る人形って最高!私みたいなつくりものじゃ、勝てないわ」
しかし、柔らかいゴムでできた胸をプニプニと触ると、多少不満そうになった。
「もうちょっと大きくしておけばよかった?まあいいわ、あとで付け足してあげれば。さぁて、どんなお服を着せてあげようかしら?」
少女はニコッと笑うと、フィギュアもろとも消え去った。