あおり運転

「ったく、ちんたら走りやがって……」

山あいの道を、2台の車が前後並んで走っていた。カーブが多く追い抜くこともままならない道を、のろのろと走るハイ◯ースに遮られ、車間距離を狭めて走る若い男性。大きな車は小回りがきかずあまり速く走れないのだが、そんなことはお構いなしに煽り続ける。だが、『あおり運転撲滅協会・TS』と書かれているということに気づくには、観察力が足りなすぎたようだ。

前の車がブレーキランプを点滅させた。車間距離を空けろ、という注意のようだったが、そんな意図を汲み取ることもない。
「……ふざけやがって……」
前におどりでて止めてやろうか、とキレかかった男。だが、急に前の車からピンク色の煙がモクモクと出始め、真後ろにいた男の車に襲いかかった。男の車のエアコンは、もろにその煙を吸い込んでしまった。
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