「雨の日のお前ってさぁ……」
「ん?なんだよ」
夏に入りかけの高校の教室から、外を眺める二人の男子高校生。今日の天気は昼から雨だ。
「おっぱいでかいよな……」
「やめろよ」
普通の男子高校生であれば、意味不明な会話。だが、この二人……翔(しょう)と大輝(だいき)……にとっては、普通の会話だった。というのも、翔は雨が降り始めると体が女性のものに変化するのだ。「メタモルフォーゼ症候群」というものの一種らしく、治す方法はなかった。
「今日も女子用の制服持ってきてるんだろ、雨が降ったら着替えるやつ」
「うっせーな、天気が昼間に変わるのめんどいな……」
「居眠りしてるときに雨が降ったら面白そうだな」
「ぜってー寝るもんかよ!」
と言っていた翔は、外が一層暗くなり、遠くでは雨が降っているようなときになって、居眠りしていた。
「……まいっか。みんなこいつの女の姿は知ってるわけだし」
大輝は、窓に水滴が付き始めたのを見て、翔の体を見始めた。授業中ではあるが、翔の席は大輝の前だ。
そのうち、コキコキと骨が軋む音がし始めると、翔の体の表面がだんだんと波打つように変化を始めた。シャツの上から分かるくらいに、筋肉が痙攣している。
「(そういえば、こいつが女になってる最中の様子は見たことなかったな)」
いくら体がメキメキ音を立てても起きない翔を大輝が眺めていると、急に翔の両腕がギュイッと細くなり、シャツがぶかぶかになってしまった。と同時に、シャツの背中の部分が引っ張られる。
「ん……うわぁっ!」
翔が飛び起き、周りの生徒も翔の方に振り向いた。その胸がムクムクと膨らんでいた。
「き、き、着替え……ないと!」
翔は、パニックに陥ったのか、その場でシャツを脱ぎ始めた。
「お、おい、翔!」
「な、なんだよ、うぐぁっ!」
ボタンを外し終わるころに大輝が翔の露出行為を止めようとする。翔が大輝の方を振り返った瞬間、腹筋が消え、ウエストがギュッと絞られた。逆に人並みまで成長していたバストがバインっと大きくなり、それを見せつけられた大輝は股間が苦しくなるのを感じた。
「こ、こんなところで服を脱がない、ほうが……」
「あ、ああ、お、俺と……したことが……」
子宮ができていくのか、下腹部が少しだけ膨らむ。肌は木目細やかになり、へそは縦にスッと伸びた形になる。翔は体の中が女性に変えられていく刺激に必死に堪えている。いつの間にか伸びていた髪は肩にかかるほどになる。
「う、うぅ……っ」
ズボンの尻の部分がギチギチと音を立てる。逆に、他の部分はぶかぶかになり、ズボンがずり落ちてヒップのラインが見える。
「お、俺……わ、たし……?」
精神が女性版の翔に変わっていくとともに、顔の作りも柔らかいものになる。
「恥ずかしい、やだぁっ!!」
変身が終わったのか、かばんを持って飛び出していく翔を、呆けた顔で見届ける大輝だった。
その日の帰り、二人は一つの傘の下、一緒に歩いていた。
「ったく、お前制服は忘れなかったのに、傘忘れるとか」
「仕方ないでしょ、この制服用意してたら時間なくなっちゃったんだもん」
大輝はため息をつく。
「お前、これは結構大きい貸しだぞ」
「え?そう?それじゃあ」
翔は、巨大に育った胸を大輝の腕と体に押し付けた。大輝にとってはいつものことになりかけていたが、それでも顔を赤らめるほどには、柔らかい感触に興奮した。
「私のこの体、好きにしていいよ」
「ば、馬鹿野郎……!」