白い恒星

「いただきます」

とある日本家屋で、朝食の食卓を囲む3人の姿があった。父親の名前は天彦、いたって普通の人間……なのだが、他の二人が違った。妻の白扇と娘の九音には、狐のような耳と、九尾の尻尾が生えている。白扇は狐の神であり、銀白に光る長い髪と、その男性でもかなわないような高身長と、これでもかというくらいムッチリとした体型は、神々しいほどのものだった。九音のほうは、顔立ちは母親譲りの美人だが、耳と尻尾以外は普通の子供だった。薄い桃色の髪の毛を揺らしながら、もぐもぐと美味しそうに母親の作ったご飯を食べている。

「あなた、そんな残念そうな顔しないでも……」

若干ブカブカになっている和服の胸の部分を、天彦は少し不満そうに見ていた。今の白扇の胸はGカップほどの巨乳なのだが、本来はもっと、というかかなり、というか比べ物にならないほど大きいものなのだ。それをいつも堪能している天彦にとっては、今の白扇は完全に大きさが不足している。

「あ、すみません……そんなに顔に出ていましたか……」
「はい……ご飯をいただくときは、こうしないと食事に手が届かないのですから……」

テレビからは、ニュースの音声が聞こえてくる。『太陽風が近づいており、電磁ノイズなどの障害が見込まれます』……と、太陽から吹き出される大量のエネルギーを電磁波で、地磁気が乱されるらしいことを報道していた。

その瞬間だった。ドカンッ!!と、机が肌色の球体で潰されていた。紛れもない、白扇の乳だった。

「えっ!?なんで、いきなり……!」

白扇自身が一番驚いていたが、それはどんどん大きくなっていた。

「かーさま、どうしたの!?」

九音はせまりくる胸肉から逃げつつ、母親を不安に思って声をかける。

「私の体が、力で満たされて……!止められないっ!」

部屋が、白扇で満たされていく。神通力を使っているのか、和服もサイズアップしてなんとか局部を隠している。

家の壁や柱がギシギシと軋み、変形して、ついにはバァンッと崩れ落ちた。

「白扇さん!」

そこにあるのは、家より大きな白扇の乳房と、それに隠れそうになりつつも、これも巨大化している白扇の体があった。天彦の目の前にある脚も、これまで以上にムッチリと膨らんでいる。

「太陽からの力が、いつもよりもすごくて……っ!抑えきれませんっっ!!!」

その声は街中に響いていた。巨大化は止まらず、むしろスピードアップしていく。九尾の狐神は地面をえぐり、周りの建物を倒し、その豊満な体つきを近所の住人に見せつけながら、大きくなっていった。

さっきまで小さすぎると思っていた白扇の胸は、街の一角を占拠し、さらに隣の街区へ侵食していく。ボリュームたっぷりの尻は、電柱を倒し、通りかかった車を潰し、ムチムチと音を立てて、体積を増やしていく。
見る人を惹いてやまない紫色の目は、身長が伸びるにつれ、どんどん高いところへと上がっていく。

「このままでは、街が潰されて……よい、しょっ!!」

自分の体で壊滅していく街を見て、白扇が立ち上がった。その曲線的なシルエットが、太陽光との逆光で強調される。上を飛んでいたヘリにぶつかりそうになるくらい大きくなった体と、胸にはバルンバルンと数十メートルの振幅で揺れる巨大な球体が付き、腰は暴力的なほどの肉付きで、しかもさらにスケールアップしていく。

「まだ、速度がさがらないなんて!」

白扇の大きさは、一歩で狭めの公園が潰れるほどのものだったのが、次の一歩では小さめの駅が脚の下にすっぽり入ってしまい、さらに次の一歩ではスーパーが跡形もなくなった。

天彦からは次第に遠ざかっていっているようだったが、それでも、白扇の焦ったような、恥ずかしがっているような顔が見える角度は変わらない。超高層ビルと同じくらいの高さで、その数十倍の体積を持った乳房を振り回し、それで起こった気流で雲の形が変わるほどになっていく。

「天彦さん、私、どうすればっ!」

遠ざかっていくときは少し時間がかかったのに、どうしようもなくなったのか戻ってくるのは早かった。そして、白扇が、天彦に顔を近づけようとすると、小惑星のような大きさの肌色の柔肉が地面に激突し、大きなクレーターができた。すべすべでぷるんぷるんとゆれる、数kmの高さがある断崖絶壁の上から、白扇の涙顔が覗いていた。

「ここまできたら、限界まで大きくなってみたらどうでしょう?溜め込んだ力で、なんとかできるかも」
「は、はぁ、なるほど……」

実はこんなことになるのは今日が初めてではない。これまでも街一つだけではなく、地球や他の惑星まで壊してしまったことがあった。白扇は、そのたびに神通力で世界をもとに戻していたのだ。

「でも、毎回恥ずかしいです……」

地面がゴゴゴゴと揺れる。まだまだ白扇の巨大化は止まっていない。地平線の彼方で、白扇の足が高山を押し崩していた。

「それよりも……白扇さん……」
「えっ?あ、はい、只今」

天彦の姿がフッと消えた。それを確認して、白扇は乳房を持ち上げて、勢いよく、仰向けに寝転んだ。その衝撃で地殻が割れ、マントルが吹き出し始めるが、白扇の体はそのエネルギーすら吸収して、巨大化のスピードはドンッと上がった。

「……これ、白扇さんの胸……だよな……?」

その胸の上にワープさせられた天彦は、プルンプルンと揺れる大地に顔をうずめた。いつものような、いい香りと体温が伝わってくる。九音も、その感触を楽しんでいるようだった。

「もう、二人で楽しまないでください!」
「……白扇さん、なのか?」

そこには普通サイズの……といっても、胸は男一人を包み込めそうなくらい大きいが……白扇が立っていた。

「分身ですよ、今は大きさが違いすぎてしゃべることもできませんから……」

三人を、半透明のシャボン玉のような球体が包むと、高速移動を始めた。すると、永久に続くかと思われた肌色の大地の地平線に、本物の白扇の顔が見えてきた。先程とは違って、優しい微笑みを見せている。

「やはり綺麗な方だ……また、地球をすごい高さから拝めるのかな?」
「いえ、もう地球は力として吸収してしまいました……ちょっと離れてみましょう」

今度は、ワープといえる速度で白扇から離れた。すると、太陽がすぐ近くにあった。いくら巨大化しているとは言え、太陽のほうが100倍以上大きかった。しかしすぐに、そのエネルギーを吸収する白扇の胸……もとい体が追い越し、太陽は白扇の口にすっぽり入るサイズになってしまう。白扇は、天彦に向かって少し微笑むと、火の球体を口の中に入れてしまった。

「また、やっちゃいましたね」
「これを復元する前に、三人だけの時間を楽しみましょう?」

再び、本物の白扇の胸の上に降り立つ。普通サイズだった白扇の分身も2倍くらいに大きくなり、天彦は超々巨大な白扇と、分身の白扇の二人に挟まれ、至高の時間を過ごした。

投稿者: tefnen

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