私の家に突然訪れた女性。唐突に尋ねられた。
「あなたが、私をグラマラスでボンキュッボンな身体にしてくれるお医者さん?」
「……ようこそ、我が手術室へ」
確かに、私は密かに身体を成長させる手立てがあると吹聴していたが、医者までとは言っていない。だが、まぁいいだろう。このうら若きお嬢さんは喜んで私の実験台、もとい患者になってくれるようだ。
「で、どういう手術をするの?シリコンを埋め込むの?それだけじゃないわよね?骨を移植したりとか……それに、よく考えてみたらすごく高いでしょ?」
「いいえ、非常に簡単な手術ですし、無償でやって差し上げますよ」
「ほんとう!?ラッキー!」
むしろ、こういう状況でないと、いくら金を払っても私の毒の被験体になる人間など一人も出てこないだろう。この頭の悪そうなティーンエージャーは奇跡のような存在だ。それに、手術が楽なのはこちらの方で、被験体には考えられないほどの痛みが走るはずである。まあ、私の知ったことではないが。
「あの、お名前は……」
「アリサでーす!」
「では、地下室の方へどうぞ」
「はーい」
ここまで何も疑わずに実験室に入った人物は弟を除けば誰もいない。服を脱いで手術台の上に横たわり、毒を注入するチューブがつながった鎖をかける時にも少し恥ずかしがったぐらいで、何の抵抗も示さなかった。
「んー、やっぱり私の身体って貧相ね」
背が低く寸胴で、尻はそれなりにあるが、驚くほど胸の膨らみが小さい。これで授乳の機能があると思えない。
「じっけ……手術を始める前に聞いておきますが、どこで私の事を聞いたんですか?」
こう聞いたのは、好奇心が少しと、私の噂の広がり方を確認するためだった。すでに噂が広まっている所で同じことを吹き込んだって、骨折り損だからな。
「私、これまで色々なサプリメントや運動を試してきたの。でも何の効果もなくて……それで学校の友達にあなたの事を聞いたの」
「なるほど……」
騙されやすいタイプなんだろうか、友達の話を真に受けて来たというわけだ。まあいい、余興はこれくらいにして、実験を始めるとしよう。
「それでは、始めます」
私は彼女に毒を送り込むスイッチに手を掛けた。
「ちょっと待って……それって」
私はアリサが何か言おうとするのを無視して、毒をスイッチをガチッと入れた。
《ゴボゴボゴボッ!!!》
「きゃあああっ!!!」
今回は実験的に100ml程度入れた所で止めてみることにした。アリサの痛覚は異物を感知して激しい刺激を脳に送っているようだ。彼女には済まないが、これは成長が終わるまで続く痛みだ。あっと言う間に100mlが入り終わったが、彼女は痛みに悶えているだけで、身体に変化は見られなかった。だが、私がスイッチを切った時だった。
《ボンッ!!!》
「うああああっ!!!!」
胸が急に隆起したのだ。平らな胸板に、スイカ大の球体が急に現れ、それに押しのけられた空気が私に吹き付けてくるのを感じるほどだった。それは、これまでの実験台と同じく、萎縮していく。そして、その分が他に行くように、手足が長く成長し、アリサは他の学生と変わらない体格になった。縮んだ胸はBカップといったところか。
「はぁ……これ、が……私!?やったぁ……」
「まだ終わってませんよ」
「え、いいです!これでお、終わりでいいです!!」
「あなたに決める権利はありませんよ」
再度スイッチに手をかけると、アリサの顔から血の気が引いた。
「や、やめて……」
「そうですね……いま緩やかな成長を見させていただいたので……」
スイッチの隣にある、「注入速度」と無駄に大きく書かれたつまみを、これまた派手に回した。もちろん「最大速度」だ。
「もっと、激しく……」
「いや、やだ……」
「成長してもらいます!!」
映画の悪役のように、パフォーマンスでもやるかのようにスイッチを入れた。
「ああああっ!!!!」
彼女は痛みで身体をこわばらせた。毒は容赦なく彼女の中に入っていき、侵された体細胞は一気に不安定になり、彼女の全身の皮膚がグニグニと波打った。死にはしないだろうかと我ながら不安になるほどだ。
《ビクンビクンッ!!》
「んあああっ!!」
乳首が異様に勃起し……というよりは他の部分と同じだろう、サイズが一定で無くなり、親指ほどに膨らんだり、逆に赤ん坊のそれと同じほどに縮んだりしている。Bカップに落ち着いていた胸のサイズも、左右バラバラに膨張収縮を繰り返している。
《ボワンッ!!》
「んぐぁぁああっっ!!!」
一瞬、彼女の体全体が爆発するように膨らんだが、いつもように体が抵抗しているのか、ギュギュギュッと痙攣しながら元に戻る。
「んんんんっっ!!!っ!!」
筋肉が不規則に痙攣し、手術台の上で彼女の体は暴れた。よく見ると、右腕が最初のサイズを下回って、小学生のようなサイズに落ち込んでいるのが分かる。逆に左腕はかなり大きくなって、大きく発達した筋肉で鎖を引っ張るせいで拘束具が悲鳴を上げている。
《ムクムク!ブワンッ!ミチミチッ!!》
「んはっ!!ふぁああっ!!」
アリサがエビ反りになったと思うと、その上で胸がブルンブルンと揺れながら大きくなっていく。そのまま左右が均等なまま成長していくとおもいきや左乳房が爆発的にバレーボールくらいに成長し、右乳房がコンマ数秒遅れてバスケットボールほどになった。それは彼女の心拍と連動してムクッ!ムクッ!とさらに大きくなろうとするが、さらに時間を開けて始まった収縮に追いつかず、10秒も経つとただの胸板に戻った。
《プルン!ボンッ!!》
もとの仰向けに戻ると、今度は臀部が左右別に張りを持ったまま急激に膨張し、彼女の体が持ち上がった。
《バキバキバキッ!!!》
「ああああっ!!」
それに合わせるかのように骨盤が大きく広がったのか、骨がきしむような音がして腰が横に張った。その幅は手術台からはみ出すほどになり、今さっき膨らんだ尻は引き伸ばされて厚さを失った。
《メキメキッ!ポキッ》
「くぅっ!あぅ!!」
骨盤から毒が骨伝いに伝わっていくように両足が伸びる。脂肪は発達しないのか、引き伸ばされてかなりガリガリな足の形が出来上がった。
《ググググッ……ムチィッ!!》
左足が震え始め、地響きのような音がして、その後すぐに骨が爆発したかのように脂肪が付いた。ほんの1秒で直径80cmほどになったそれは、太さが10cmくらいしかない右足に比べてかなり太い。
《ガクガクガクッ……ビチッ!!》
右足も左足に続き、太くなる。その中で何かが蠢いているように、足の形は一定にならず、加えてますます太く、長くなっていくように見える。目に見えてブクブクと膨れ上がるそれは、あまり成長していない上半身にかなり不釣り合いだ。と思っていると、
《ムギュゥウウッ!!ボワンッ!!》
「うわああッ!!はじけちゃうううう!!!」
足が何かに絞られるように細くなり、その反動と言わんばかりに乳房が上に飛び出した。足は縮み終わったあと、すぐにまた太くなり始めた。無理矢理急成長した乳房はかなりの張力を持っているようで、破裂直前の状態になっている。よく皮膚が持つなと思う。
《ブニュッ!!グキィッ!!》
その乳房自体も、脚と同じように、上からおもりが落ちてきて潰されたかのように一気に萎縮した。その分は、今度は右腕に詰め込まれ、中から腕を押し広げ、小学生のようであったそれは、ソーセージのようにパンパンに膨れ上がった。
《ムギュワッ!!!ボワァン!!》
再度かなり膨れていた足が一気に縮み、乳房が飛び上がるように膨張した。乳首が信じられない程に巨大化したが、すぐに乳房に吸収され、釣り合いの取れた大きさとなった。といっても、その乳房も手術台から1mの高さまでそびえる2つの山とも言えるほどの巨大なものになっていたが。腕の方は、太さを失うとともに伸び始め、かなり長く、肉感的なものになった。そこで体の不安定さは収まった。
「はぁ……はぁ……ちょっ……大きすぎ……それに……」
《ムクッムクッ……》
「まだ大きくなってる……!!」
私はスイッチを切っていなかった。毒は彼女の体に流れ続けている。手術台の上で、アリサの体はどんどん膨らんでいく。ジェニファーが大きくなった時の2mの身長を超え、毒が細胞に回るタイミング、心臓が血液を送り出すタイミングで、一回り、また一回り、断続的に大きくなる。
「いや、いやぁ……」
乳房は張りを保ちながら、すでに天井につきそうなバストが1サイズずつ上がっていく。もし、この私の体でも入りそうなサイズに名前が割り当てられていればの話だが。足の豊かな太ももも、ムチッ、ムチッと空気を入れられるように膨らみ続ける。注入量を見ると、ジェニファーに注入した500mlに対して、もう4倍の2000mlは投入していることがわかった。実験は十分だろう。私はスイッチを切った。
「どうですか?」
「も、もうお嫁に行けない……」
「この薬を飲めば元に戻れますよ」
アリサを手術台から開放すると、私はいつも手渡す薬を一錠、彼女に飲ませた。すると、彼女の体はある程度戻ったのだが、元のチンマリとしたものには戻らず、身長180cmほどの爆乳ムチムチな、わがままボディで止まってしまった。
「ふむ……興味深い。ある程度までしか戻らないか」
「興味深い、じゃないわよ!……でも、ちょっとアグレッシブだけど、この体も良さそう……」
アリサは手術台に座り掛け直し、ギリギリ自分の手で持てるほどになった、Zカップほどの豊満な乳房を抱きしめた。元々深い谷間がもっと深くなった。そのムニュムニュと変形する様からも、その素晴らしい質感がうかがえる。これからも被験者を増やしていくべきかもしれない。おっと、あの少年のことを忘れていたな……明日で薬が切れる彼のことを。