環境呼応症候群 リツイートの子

「今日のネタツイートも反応ないなぁ……」

パソコンの画面をまじまじと見つめる少女がいた。

「フォロワーの数もだいぶ増えてきたのに、なんでかなぁ……」

目を落とし、ぺったんこの胸を触る少女、円谷 律(つぶらや りつ)のその行動は、一見脈絡のないものに思える。しかし、彼女がわずらっているメタモルフォーゼ症候群のことを考えると、SNSサイトでの自分の投稿があまり拡散されないことと、彼女の小学生のような体型が関連づけられる。つまり、彼女の場合、投稿がどれだけシェアされるかで、身体の大きさが変わるのだ。

「ああん、もう!」ショートヘアに、前髪に髪留めを2つ並べて付けたその頭を、引っ掻き回す。「どうしてよ!」

少女は、パソコンの画面の左上に貼りつけられた写真を睨む。そこには、前途有望なスタイルをした中学生が映っている。何を隠そう、この中学生こそが律なのだ。発症前の彼女は、今よりも頭一つ大きく、Bカップのバストを持つ普通の女子中学生だった。それがある日、突然ピリッと電流が走ったかと思うと身体が小さくなり始め、それ以降少し成長したり若返ったりを繰り返し、2ヶ月くらい前にやっと症状が何に依っているかが分かったばかりだ。

元々得意だった絵の技術を磨いて人気が取れるイラストを描き、拡散されやすい投稿はどういうものか研究し、とにかく自分の身体が元に戻るように努力を惜しまなかったが、今のところ効果は見られず、彼女は小さいまま学校での不便な生活を強いられていた。

パソコンの電源を付けたまま、律は布団に飛び込んだ。「もう、どうしろっていうのよ!!」考えても考えても、これ以上の方策が思いつかなかった。何もかも考えたつもりでいた彼女は、自分の症状に気づいている者が律自身だけではない可能性にまでは考えが及んでいなかった。

次の日。いつものようにブカブカの昔の制服を着て登校し、自分の席についた律。ぼーっとしながらケータイを眺めていると、彼女の机の前に、発症する前からずっと想いつづけていた男子生徒が近づいてきた。

その少年は、ぎょっとした律をまじまじと見た。「え、なに……?」律はなにが起こっているかわからず、男子に尋ねる。彼の名前は日下部 太一(くさかべ たいち)。サッカー部のエースである太一は、律に限らず多くの女子生徒に好意を持たれている。鍛え上げられた恰幅のいい身体は、律の小さなそれとは対照的ですらある。

「あ、あの……」律は、ずっと自分を恥ずかしくなるほどじっと見つめている太一に、もう一度声をかけた。すると、やっと気づいたのか、太一はなぜか震えた声を出した。

「円谷、だっけ……メタモルフォーゼ症候群の……」

律は、話したこともなかった太一に自分の名前を覚えられていることにドキッとした。なにしろ、律はこれまで教室の端から彼に見とれていることしか出来なかった。それくらいは、クラスの女子の誰もがやっていたことであって、律が特別視されるほどのことでもない。

「なんで、私の名前を……」律は、なおもじっと自分を注視している太一に問いかける。そのときだった。

《ブーッ》

「んっ……」ケータイのバイブが作動すると同時に、律の体にトクンッと小さくも普通とは違う鼓動が響いた。律は、そのバイブが、自分の投稿がシェアされた通知であることに気づいて、自分の手をじっと見た。案の定、手指が合わせて5mmくらい伸び、それで終わる……はずだった。

《ブーッ……ブーッブッブブブブブブ》

手から目を離した途端、ケータイのバイブが、ものすごい早さで繰り返され始めたのだ。

「え、何っ!?」律がケータイをポケットから取り出すと、通知欄がすさまじいスピードでスクロールされ、10回、20回、いや30回と、シェアが非常に早いペースで何回も行われていることを示した。

「ちょ、ちょっと待って……ってことは」

《ドクンッ!!》

これまでないほどに強い衝撃が、律の体を襲った。「ひゃうん!」

《ニョキッ!!》

律の奇声とともに、右腕が伸びた。長さが一気に2倍くらいになって、袖口から飛びだしてきたようにも見えた。左腕もピクッ、ピクピクッと震えたと思うと、バァン!と伸び、右腕と同じ長さになった。

「や、やっぱり、円谷って……」「あ、あぁああっ!!」太一の言葉を遮るように律が叫ぶ。

《ムギュギュギュッ!!》

と、そのスカートから伸びる脚が形をゆがませる。「噂通りだ……」太一は、その脚を机をどけて確認しようとするが、律は恥ずかしさから伸びた腕で隠そうとする。その間にも脚は伸長をはじめ、最初は地についていなかったのが、地面に押し付けられるように成長する。

「円谷、元の姿に戻るんだな」「たいち、くん……なんで、わたし、のこと……」上半身の成長と共に、律の目線がクックッと上がり、太一のそれに近づいて行く。「オレ、実は円谷のこと気になってたんだ……だが見ろ、あんなに小さくなってしまって……告白しづらくなってたんだよ」

変身を終えたらしい律の体は中学生の平均的なものに戻っていた。ブカブカだった制服はちょうど良くなり、突然の憧れの人からの告白にドキドキする心臓の動きが、制服の上からも分かった。「太一くん、そうだったの?本当に?」

信じられないという顔をしている律に、太一は顔を赤らめながら頷いた。律は、喜びのあまり席から跳ぶように立ち上がり、太一に抱きついた。「ちょ、ちょっと円谷……」「太一くん!私も、ずっと、あなたのこと……っ!!??」彼女の返答は、途中で止まってしまった。

《ブブブブブブブーッ!》

スカートの中にいれていたスマホが、再び狂ったようにバイブを作動させはじめたのだ。彼女の投稿が、さらにシェアされている……つまり、律がさらに成長することを示唆していた。

「う、うそ……でも、私、元に戻ったから、もうこれ以上は……ひゃああっ!!」

《ムクムクッ!ムギュッ!》

ぴったりになった制服の胸の部分が、今度は異常なまでに盛り上がった。襟口から、むぎゅ、むぎゅ、と脈動しながらおっぱいがこぼれ出してきて、左右に引っ張られた服には先端の突起の形も含めてくっきりと律の成長して行く乳房の形が浮き上がっていた。Dカップだったそれは今やメロンサイズで、それでもなお膨張をやめようとしない。

「私、もっと、大きくなっちゃうぅ!」

体の成長からくる慣れない感覚に、体をのけぞらせる律。そのせいで、巨大化し続ける胸の膨らみがさらに強調され、胸は上に向かって、ブルン、ブルンン!!と突き上げるように成長する形になっている。それを支える体の方も大きくなり、最初は140cmもなかった身長が、1回目の成長で160cmになったのもつかの間、もう170cmに達しようとしている。

膨れ上がる律の体を包んでいる制服にも限界が近づいているようで、律の頭が軽く入る程度になった乳房が、服の上からも下からもはみ出し、縫い目がブチブチとほつれていく。

足もムチムチと成熟し、ソックスが太ももに食い込んでその柔らかさを強調していた。

《ムギュッムギュッ!》

「ひゃんっ」尻は胸と同じく、周期的に体積を増し、パンティが引きちぎれる音がスカートの中から聞こえてくる。

「ん、んんっ……」「す、すごい……」太一の目の前にいる少女は、この10分にも満たない時間の間に、幼い少女からグラビアアイドルも顔負けの長身爆乳女性に育ち上がっていた。最初は、座っていたせいもあるが、見下ろす状態だったのが、今は自分より頭一つ大きく、激しい変化を見せつけられた少年は、大きな興奮を覚えていた。

「太一、くん……」幼さがすっかり抜け、色気すら感じさせる声で尋ねる律。「教えて、なんで、私の病気のこと、知ってるの?」

だが、太一の方は放心状態で、応答するのに少しかかった。「病気のこと?あ、いや、俺も今日聞かされたんだよ。円谷のこと観察していたやつがいてな。一週間くらいで気づいたらしい」

たどたどしい言葉だったが、律は何とか理解した。どうやら、毎日変わる律の体の大きさと、SNS上での律のシェアのされ具合を両方とも観察していた者がいるらしい。律はそこでハッとした。その人物が、知り合い全員、いや学年全員、いや、学校全員に投稿をシェアをするように仕向けたら……

「ところでさ、円谷……」鼻息が荒い太一が、しどろもどろに言葉を発した。「その……おっぱい触ってもいいか……?」

初めて話す女子に聞くことでは到底ないその質問への答えはしかし、与えられることはなかった。スマホが、これでもかとばかりにバイブを作動させていた。律は、再び自分を襲い始めた体が爆発しそうになる感覚に耐え、SNSアプリを起動し、通知欄を見た。

「嘘……でしょ?」

思ったとおり、シェアの数がうなぎのぼりになっていたが、その数は全校生徒の5分の1にも満たなかったのだ。

「これでこんなに大きくなるの……?そんな、私、どこまでおおきく……」スマホの振動とともに、体の中にバネのように溜め込まれていく力を感じる律。胸を触ると、細かく震えながら段々と張り詰めていく。制服は、強くなって行く胸の弾力にギチギチと悲鳴をあげ、生地自体が引きちぎられて肌色が露出しはじめた。そして……

《ドクンッ!!!!》

「ひゃああっ!!」強い心臓の拍動のような衝撃とともに、ついに成長が再開される。溜まっていた力が解放され、律の体はグワッ!グワワッ!と押し広げられる。

《バインッ!ボワンッ!》

胸も爆発するように何回も膨張し、制服はたまらず破れてしまった。

「いやんっ!」制服から拘束を解かれ、ブルンッ!と外に飛び出したそれは、一つ一つに赤ん坊が入りそうなほど巨大で、それでもまだまだ大きくなり続けている。スカートも腰の部分から破れ落ちてしまったが、律はデリケートゾーンを何とか隠した。胸は不釣り合いに大きくなっているものの、背も190cm、210cmとグイグイと伸び、そしてついに……

《ゴシャッ》

「あいたっ!」天井に頭がついてしまった。その頃には、たゆんたゆんと揺れる二つの果実はバランスボールくらいになり、元の小さい律が入ってしまいそうだった。

「これじゃ、教室に潰されちゃうっ!」律は、成長をやめない体がつっかえてしまわないように、前に両手をついて屈んだ。

「あっ……」

後先考えずに行ったその行動で、太一は巨大な乳房の下敷きになっていた。「重い、重いっ!」「太一くん!」律は急いで胸をどかそうとするが、太一の様子がおかしい。

「幸せ……」自分の体を包み込む柔らかさに堕ちてしまっているのだ。そんな太一をよそに、律は更なる成長を遂げようとしていた。

《ピクピクッ……ドワァン!!!!》

右胸が細かく揺れると、一気に二十、三十倍の大きさへと拡大し、周りにあった机や椅子や生徒を吹き飛ばした。衝撃波で、教室の窓という窓が割れ、黒板にヒビが入った。

《ムギュギュ……ドォンッッ!!!!!!》

左胸も、ゆっくり拡大を開始したかと思いきや、右よりも強い勢いで爆発し、教室の半分が律の胸でうめつくされていた。

《ドックン!!ドックン!!》

今や、胸の脈動は教室全体を振動させるほどに強くなり、鉄筋コンクリートの建物を崩壊させようとしている。教室の床に横たわる二つの大きな肌色の塊は、天井や床のタイルをえぐり取りながら侵食を続け、その度にドユンッ!!と振動する。律は、自分の乳房に寄りかかりながら必死で止めようとした。

「も、もう大きくなるのはいやぁ!」

結局、教室の全部が埋め尽くされるまで成長は続き、窓からはみ出したり、床と天井が乳房の弾力で大きく歪むほどに、律、いや、律の胸は成長したのだった。

それから幾日か経った後。

「太一くぅん!」
「お、律か。おはよう」

太一に手を振りながら駆け寄って行く律の体は、大きかった。中学生にしては大きすぎる170cmの体から突き出ている、Iカップくらいの胸の膨らみが暴力的に振動する。

なぜ律が成長したままになったかというと、校内全体に律の病気の特性がばれてからというもの、つまらない投稿でもシェアする生徒が激増したのだ。それでも、際限のないシェアはされず、律は常識的なサイズで、といってもかなり大きい方だが、生活することができていた。

「私、こんな写真撮っちゃったの」
「どれどれ……?ブフゥッ!」律から手渡されたスマホを見て、太一は吹き出してしまった。今の体のサイズで撮った、律のヌード写真だった。胸のサイズを強調するようなポーズを取り、その質感が伝わってくるかのようだ。

「ど、どうかな……?」律がはずかしそうに聞く。「つい嬉しくって、撮ってみたんだけど」「とうこう……してやる」

「え?」太一にあまりに小さい声で反応され、律は聞き取ることが出来なかった。

「もっと、大きくなってもらう!」太一は、素早くスマホを操作し、写真をSNSに載せてしまったのだ。

「えっ……」律は一瞬困惑したが、すぐに笑顔になった。「そうだよね、太一くんも、おっぱい好きだもんね」

律は自分でボタンを外し、外に飛び出し、膨らみ始めた乳房を太一に見せつけた。

「私で、いっぱい、楽しんでね!」

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投稿者: tefnen

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