侵食するカラダ その3

「あいつの手術、あれは要するに、体を一定間隔で変形するようにするだけなの。大方、『女の子になれる』とか言われたんだろうけど」校医は、淡々と説明した。「体がどう変形するかはその人の意思によるから、その場でなりたい体型を想像していれば、その通りになるのよ」

「……ってことは」俺の脳裏を不安がよぎった。「俺は、女になりたいって、そう思っていたことになるのか?」俺のあの時の結論は、そんなに女になることに傾いていたのか?

「いえ、そうとは限らない」

校医は、目を細めて俺を見た。「あいつの理論の場合、成長ホルモンに加えて、異性のホルモンを大量に分泌させることで変身を起こしてる。つまり、異性になるような変身しか引き起こせないから、君はどっちにしろ女になっていた。それにしても、深い考えなしであいつのところに行ったの、君は?」

「う……だって本当に女になると思ってなかったし……」正直、これ以外に返す言葉が見つからない。校医はそんな俺を見てため息をついた。

「君ね、世の中を甘く見てると、今に痛い目をみるわよ」いや、すでに痛い目を見ている気もするが。「手足を切断されて見世物にされたりとか」うむ、それは確かにイヤだな。「実験生物に洗脳されて子供をうまされたりとか」待て、なんだって?「その子供に栄養を供給するためのミルクタンクにされたり……」

「ちょ、ちょっと!いくらなんでもそれはないだろ!?」どこのマッドサイエンティストがそういうことをできるんだ!?

「いえ、今の、全部兄がやったことよ。この目で見てきたから、間違いない」そう言う校医の目は、真面目そのものだ。冗談ではないのだろう。「君が、女の子になったり、元に戻ったりするようになっただけだったのは、実は幸運なんだから。ただ、私は兄が施した手術の理論は知っていても、もとに戻す方法は分からない。さっきも言ったとおり、慣れることが肝要よ」

「慣れろって!?この体に!?」こんなおとぎ話のような説得で、納得が行くはずがない。これまでがおとぎ話じみていたのは否定出来ないが、それでもだ。

「できないっていうの?これまで、同じような境遇の人がたくさんいて、ほとんどの人が順応してきたのよ。君ができないはずがない」

「俺と同じような奴がたくさんいるって、そこが嘘かもしれないからだ」大体、俺は一回も他の人間が変身するのを見ていない。実際、変身させられたのは俺一人だけなのかもしれないのだ。

「証拠が欲しいのね。じゃあ、今日の放課後ここに来なさい。あと、変な気を起こして、女になった自分なんか想像しないでね」校医はため息混じりだった。というか、そういうこと言うから想像してしまうわけだが。まあ頑張ってみるか。

放課後。

「あらあら……また立派に育っちゃって」

「はぁ……はぁ……余計な……お世話だ」俺の体は、また爆乳美少女に変わっていた。だってまあ、仕方ないだろ。授業が終わってすぐに、委員長にまた話しかけられて、どでかい胸を見せつけられたんだから。俺はタプンタプンと揺れる胸を押さえながら、やっとのことで保健室に戻ってきたのだった。

「それで、この子なのよ、見せたかったのは」

「先生?あれを、この人に見せればいいの?」ベッドに横たわっているのは、小さな女の子だった。肩まで伸びる黒いふわふわの髪。ぷっくりとしたほっぺと、なぜか上半身を脱いでいるその体はぷにぷにしてぽっこり……

「ってぇ!?なんで裸なんだよ!俺はロリコンじゃないぞ!」

小学生の裸を見て、思わず興奮してしまった。でもなぜかその子も校医も俺の大声に驚く様子もなく、むしろニヤニヤしている。「な、なんだよ……」

「ねえ、わたしの事見て、何か思い出さない?」

「え?」女の子に言われた俺は、こんな子がこの学校にいたか、と考えると、すぐに思い出した。同じ学年に、今年、チビな女子が転校してきたっていう噂が流れていなかったか?それに、同時期に突然学校を出てった奴もいたと。

「まさか、お前も女になって、女として学校に通ってるのか?」

俺の言葉を聞いて、女の子はニコッと笑った。まぶしい笑顔に、少し胸がドキッとする。「じゃあ、本当に、あなたもなのね。そう。私は女の子になっちゃう身体になった。そこまでは合ってる」

少女はおもむろにスカートの留め具に手を掛け、その股間を露出させた。

《ポロ……》

そこには、想像していなかったものが、ついていた。「実は、今も男なの。小さいけど、ちゃんとあるでしょ?」ある。確かにある。親指くらいの、小さなナニが、確かにある。

「紹介が遅れたけど、この子の名前は、佐藤 沙耶香(さとう さやか)」固まってしまった俺を見て、校医が補足した。「でも、本当の名前は佐藤 昌也(さとう まさや)。どっちでも、好きに呼んでいいと思うわ、ね、佐藤さん」

佐藤は、首を大きく縦に振る。「私と同じ境遇の人なら、どっちでもいいよ!でもみんなの前では、男の名前は出さないでね」

分からない。元々男で、女になるようになったのに、女に見える格好の男に変身して学校に通っている?わざわざそんな事をする意味が、全くわからない。

「説明して欲しいっていう顔してるわね」

相変わらず目を丸くして股間のナニを見つめ続ける俺だったが、やっとのことでゆっくりとうなずいた。

「この子はね、元々今よりすごく体格が良くて、そうね……元の君よりもかなり力があったんじゃないかしら?でも、あいつの言葉に乗せられて被験者になってしまった。それで、女性になる時はかなり体格が違ってしまって、周りも対応しきれなかったみたい。だから、これくらい小さな体になって、男の時でも女で通用するようにして、日々の生活をしているってわけ。これが、症状に対する対応の一つ、しかもこの子自分一人で考えた方法よ」

「いや、これだけじゃまだ信じられないぞ」

まだ、佐藤が変身するところを見ていない。校医は呆れ顔をしたが、佐藤はうんうんとうなずいた。

「要するに、私が本当に変身するか見たいんだね」「ああ、俺の目の前で、俺そっくりに変身してくれ」

ここで、佐藤まで固まった。「そ、そんなおっぱい大きくしたくないよ、絶対痛いし」確かに、俺の胸には特大スイカサイズのおっぱいが付いている。対して、佐藤はそのおっぱい二つと体積が同じくらいの体の大きさしかない。相当激しい変身になるだろう。

「できないのか?じゃあ、俺は信じないぞ」俺は意固地になる。今の状況が治らないなんて、まだ信じたくない。「君、いい加減に……」

「分かったよ。変身する。でも、最初にそのおっぱいで気持ち良くしてからね」

こいつ、いきなり何を言い出す……って、俺も同じくらいの無茶を言っているのか。じゃあ、仕方ない。

「ああ、いいよ。やってやる」あれ?本当に仕方ないか?まあいいか。

俺は、無意識のうちにパツパツになったシャツを脱ぎ捨て、佐藤がいるベッドの上に四つん這いになっていた。

体が勝手に動く。歯磨きをしたり、シャツのボタンを止めたり、そんな日常の動作みたいに、無意識のうちに体が動いて行く。今やろうとしていることは、こいつを俺のおっぱいでマッサージするという、人生はじめてのことなのに。

「じゃあ、いくぞ」俺は、奴の腰の上に、どたぷんっ!と胸を降ろす。すると、あいつの小さい息子が、俺の胸の表面にくっついているのが伝わってきた。

「あうっ……!気持ち、いいっ」

佐藤が可愛らしい声を上げる。食べてしまいたくなるほど……

「あのねぇ、二人とも、人の保健室のベッドでなにやろうとしてるの」

なに、やろうと、してる。本当だ、俺は何をやろうとしてるんだ!?姿勢を戻し、佐藤を見るとかなりびっくりしている。どうやら、さっきの願いは冗談だったらしい。男の俺に、マッサージを頼んだところで笑われるだけだと思っていたようだ。ところが、俺はノリノリで胸を載せてきた、そんなところだろう。

「もう……佐藤くん、ごめん、この人の言っている通りにしてあげて。……って、もうする気のようね」

佐藤からとんっ、とんっと音がする。体を見ると、トクン、トクンという脈動が、最初心臓の上だけ起こっていたのが、周りに広がって行っている。

「ひゃっ……んっ……!」

ついには、小さい体全体がドクンドクンと脈動し、ベッドの上で飛び跳ねた。腰に乗せたままの俺のおっぱいも、たゆんっ!たゆんっ!と揺れ、乳首が……

「あぅ……っ!ひゃんっ!やだっ!」

先っぽがこすれて、気持ち良くなっちゃうっ!……佐藤の体も、だんだん大きくなって、中学生くらいの体が俺のおっぱいに猛アタックしてくるぅっ!!おちんちんも、大きくなってきて、固くなってきてるっ!

「やめてぇっ!……~っ!!」

俺は、やっとの思いでおっぱいを持ち上げ、衝撃から逃れることができた。なんてことを考えてたんだ、それに、自分の声とは信じられない、喘ぎ声を出していた。校医を見ると神妙そうな顔をしている。

「あぁっ!!胸が、胸がぁっ!!」

佐藤が大声を出した。いや、今まで俺が変身した時と同じくらい、どたばたともがきながら、体が太くなったり細くなったり、「熱いよぉっ!」とかいろいろ叫んでたんだが、俺の意識の中に入ってこなかっただけで……

《ムリリリィッ……!!!》

何かが無理やり伸びにくい風船を押し広げて行くような音がして、同時に佐藤の平べったい胸から二つ、丘が大きく前に突き出てきた。Cカップというところだが、俺の胸にはまだまだ及ばない。

「うおぉ……」他の奴の胸が膨らむのなんて、初めて見たわけで、思わず胸の下に腕を組んで感心してしまった。プルンプルンと震えながら、ムリムリと膨らんでいく二つの膨らみは、やがてタユンタユンと大きく揺れるほどの、立派なおっぱいに成長していく。

「んふぅっ……くぅっ!」小さな子供の声が、少しだけ低くなり、深くなって、今の俺と同じような大人の女のものに変わっている。

《プシュゥッ》

と、ここまでかなり大きく膨らんでいたペニスが、ヌメヌメとした液体を噴き出し始めた。小便とは確実に違うソレは、精液に間違いない。ただ、普通の射精と違って、勃起していたソレがだんだん縮んでいっているのだ。

「私のおちんちん、中身がでちゃうよぉっ!」

佐藤は、その最期を見逃すまいとしているのか、それとも縮小を止めようとしているのか、すごく焦った顔で、ピュッピュと噴出を続け、もう元のサイズより小さくなったそれをじっと見る。が、ほどなく急拡大し、顔よりも一回り大きくなった胸に視界が遮られてしまったらしく、完全に股の中に埋もれてしまっても、見えなくなったそれを確認しようとしている。

「おっぱい、おっぱいじゃまぁっ!!」

佐藤の言葉に逆上したかのように、胸は《ボンッ!!》とさらに大きくなった。やっと、おれと同じくらいになったか?胸を当てて、確認してみよう。

《ムニュッ》

おっぱいと、おっぱいが重なりあう。と、佐藤の鼓動がおっぱい越しに伝わってくる。俺の胸も、ポヨ、ポヨと揺れて、何だか、体が、熱く、なって……

「いい感じ……」この子の体、すごく大きくなって……さっきとは違うかわいさ……一人で二つの魅力があるなんて、もう、食べちゃいたい……

もっと紗耶香ちゃんのこと、知りたい、味わいたい。そう思って、苦しそうな表情の顔に手を近づけていく。その時、紗耶香ちゃんの目がくわっと開いた。

「わ、わたし……こんなことに……」紗耶香ちゃんが私に話してくる。変身が終わったのかな?

「なぁに?私の体になってみて、どう?やっぱりすごいでしょ……?っ!!!」

俺は、俺は何を言ってるんだ!?俺の思考が体に蝕まれているというのか!?エロい体に、男を誘惑するこの体に、心が、持って行かれている!

「す、すまないっ!!佐藤!!」とっさに謝る。が、その必要はなかった。

佐藤は、淫らな笑顔を浮かべていた。体の触れ合いを通じてもっと快楽を得たい、そう言っている顔だ。「うふっ……」ぞっとするような含み笑いも、俺のことを咎めるどころか、さらに求めていることをあからさまに示していた。そして、それは実際の行動にも現れる。両手で、俺の両胸を挟み、上下左右にもみ始めた……

「ひゃんっ、さ、さとうっ、もむの、やめてっ!」快感が、快感が俺の脳を占拠する。理性が追いやられ、意識が朦朧として、目の前が見えなくなっていく。「うふっ、うふふっ……」佐藤の淫魔のような笑いだけが、耳に入ってくる。このままじゃ、俺……

「はい、そこまでっ!」という校医の声とともに、《パシッ!!》と何かが手で叩かれるような音がする。すると、俺は快楽の洪水から解放され、視界がはっきりした。校医が、少し引きつった顔で、佐藤の顔を平手打ちしていた。

「せ、先生……ごめんなさい、私こんなつもりじゃ……」佐藤の方は、悲壮な顔をして、校医に許しを請うていた。校医はすぐに優しい顔になり、佐藤を抱きしめた。

「いいの。君が悪いんじゃない。悪いのは、体なのよ」校医は俺にも優しそうな、でも申し訳無さそうな感じでもある顔を向けた。

ああ、そうなのか。俺が元に戻る方法はやっぱりないんだな。そして、いつか俺は今あるこの「俺」を失って、違う誰かに成り果てるんだ。俺は、校医の顔を見て、それを認めるほかなかった。

投稿者: tefnen

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