壁ドンしてみた1

体育館の倉庫で、俺と、恋人の菜美は壁のそばに近寄りこそこそと話していた。

「孝康、本当に、やるの……?」
「ああ、俺らの愛が禁忌になんて負けないってことを、みんなに分からせるんだ」

この学校には禁忌、タブーがある。本当に馬鹿馬鹿しいが、その馬鹿馬鹿しさと同じくらい恐ろしい……ものらしい。それは……

「壁ドン、するぞ……!」
「うんっ……!」

壁ドン。昔はこの行為には別の名前があったようだが、今の流行語の意味と同じで、男が壁に背中で寄りかかっている女と話している最中に、壁を叩いて女に格好よくみせる行為だ。それが、この学校では禁止されている。風紀を重んじるため、とは言われているが本当は呪いとか何からしい。まあ、今のは一回くらいなら何も起こらないだろうという余裕を、格好良く言って見せただけだ。

「じゃあ……」

ドンッと壁を叩くと、菜美は小さな叫び声を上げた。

「きゃっ」
「俺のこと、見てくれ……」
「孝康、かっこいい……」

恐れを出さなかった俺の顔を見て、菜美が讃えてくれる。ああ、上目遣いのその可愛い顔をなでて、そのまま……

「ん?」
「ど、どしたの……?」
「いや、なんか……」

俺を大きな違和感が襲った。まるで、俺が立っている場所が下にしずんで行くような……逆に菜美は上がっているような、菜美をまえにたたせてエスカレーターで上がり始めたときと同じ感覚がする。

「ん……っ!体が……熱くなってるよう……」
「菜美っ……!?」

菜美が急に苦しみだし、喘ぐ。すると、突然シャツがギチギチと言い出した。見ると、それなりの大きさだった菜美の胸の膨らみが、数倍の大きさになって、シャツの中をいっぱいにし、それでも足りないらしくボタンを破って突き出してこようとしていた。

「んあっ……!!」

ボタンはその勢いに数秒しか耐えることができなかった。ブツブツというより、バババッ!!という音を出して飛んでいってしまい、中にあった豊満なおっぱいが、ぶるんと飛び出してきた。その下半分を抑えている下着のせいで、少し歪な形になっているそれは、紛れもなく本物だ。空気で膨らましたとかではなく、みっちりと脂肪がつまったものだ。しかも、ムクリムクリと菜美の心臓の鼓動に合わせるようにさらに大きくなっていく。

「あぅ……!!」

それは、だんだんと俺の顔に近づいてきた。大きくなると同時に、上昇してきているのだ。俺は、自分の体にも違和感を感じて、その胸よりもさらに視線を下に向けた。

「な、なんだ……これ!?」

地面がものすごく近くなっている。それが最初に思ったことだ。つぎに気づいたのは、ズボンがぶかぶかでいまにもずり落ちそうなこと。ここから出した結論。

「俺が、小さくなってる……?」
「あぁんっ……!」
「えっ……?」

いままで聞いたこともないような淫らな喘ぎ声が聞こえて、頭を上に向け直した。すこし華奢で背は女子としては普通だった菜美が、大きくなっている。元の俺よりも背が高く、いまや胸の部分だけでなく、全身の服がぴっちりと輪郭がそのまま出てしまうほど体に密着している。ついさっき可愛らしいと思った顔には、艶やかさがついてきて、口の緩み具合はその成長を楽しんでいるようだ。

「お尻……あつい……大きくなるぅっ!」

菜美の様子を確認している間に、俺の背の高さは菜美の腰のあたりまでのものとなってしまった。スカートは腰からビリビリと破け始めていたが、その菜美の声と同時に裂け目が急拡大し、尻の部分ががムクッと太くなった。服の丈が合わず出ているウエストが、同時にグギュッと絞られるようにくびれて、一層の女性らしさを醸し出した。

「な、菜美……?」
「たかやすくぅん……?もうちょっとまっててね……?んっ……!」

尻に対して少し細すぎる足に、ムチッと脂肪がついた。

「この体、最高ね……!」

菜美は自分の体を愛でる、撫でる。元の純粋な菜美からは考えつきもしない、妖艶なその表情は誘惑的どころか、俺に恐怖を与えるほどのものだ。

「ど、どうしたんだ菜美」

俺は、自分の小学生並みの高さになった幼い声は気にせず、恋人に問いかける。すると、菜美の瞳が、じっと俺が何かの獲物であるかのように見つめてきた。

「孝康くん……かわいい子ね……食べちゃおうかなぁ」
「ひっ!?」

逃げる。その一言が、頭の中に浮かんだ。しかしそれを行動にうつそうとしたときには、もう遅かった。菜美の手のひらは、俺の腕をつかんでいた。いつもなら、菜美の手のひらは小さく俺の腕は自分で言うのも何だがたくましい。腕を掴まれることも、戯れの一つだ。しかし今は違う。それは、もはや束縛、捕獲だ。

「逃げちゃダメよ……?うふふっ……」
「や、やめてぇ!」

俺は食われる餌、もてあばれる獲物だ。口で抵抗はできても、行動は菜美の言う通りにしか許されなくなっていた。

「もぷぅっ」

俺はもう一方の手で体を持ち上げられ、顔をおっぱいに突っ込まれてしまった。その顔いっぱいに、何とも言えない柔らかさと、暖かさと、プルプルした触感が伝わってくる。

「私のおっぱいで、いっちゃいなさい……」
「は、はぅ」

小学生程度の小さな体の中で、俺の精神は最後の抵抗をした。無駄で、短い最後の抵抗を。

「菜美さん……俺……あそんでください……」
「なぁに……?もう一回言って……?」
「俺の体を、もうどうにでもしちゃって……!!」
「ぼ、く。でしょ?それに、私のことはお姉ちゃんって呼びなさい」

そのとき、菜美の調教は始まろうとしていた。

「おねえ……ちゃん!」
「うふふ、よぉくできました……かわいいかわいいたかひろちゃん……」

9 (拍手)

投稿者: tefnen

pixiv上にAPまたはTSFの小説をアップロードしている者です。