「これを塗れば、私は……」
夕焼けに赤く染まるとある高校の教室の中、一人の少女がリップクリームを片手に立っていた。中学生のようにみえるほど小さく、度の強い眼鏡を掛けた彼女は、意を決したように唇にそのリップクリームを塗った。
「これで、後戻りは……んっ……!」
少女が喘ぎ声を上げると、ふわふわの栗毛がブワッとボリュームを増した。それだけでなく、体全体がググッと大きくなり始め、制服がきつくなっていく。
「私の体、大きくなってく……最初に塗った時と同じだ」
平だった胸にもほどよい膨らみが付き、制服を押し上げた。
「ちょっと、塗りすぎたかな……服がキツ……うわっ!」
元々ピチピチになっていた制服の第一ボタンがはじけ飛んでしまった。それに驚いた少女が急に頭を動かしたせいで、メガネが落ちてしまった。
「あ、私の眼鏡……!あ、あれ?リップクリームも無くなっちゃった!?探さないと……」
その時、教室の扉がガラッと開き、一人の生徒が入ってきた。
「あ、秋菜くん!?」
「静葉、何で驚くんだよ?俺を呼び出したのって、静葉だよな……って、なにか探してるのか?」
「あ、うん、眼鏡を……」
「あー、探してやる……ってなんだこれ?ちょうどいい、少し唇が乾いてたんだ」
静葉は、眼鏡を探すのに夢中で秋菜の言葉の意味に気が付かなかった。すぐに眼鏡を見つけて、秋菜の方を見た時には、秋菜はそれを塗り終えていた。
「あ、そ、それはダメ!!」
「あ、静葉のだったのか。ちょっとくらいいいだろ?」
「それを塗ったらどうなるか分からないの!」
「え、それってどういう……うおっ!?なんか体の中が……!」
静葉は、秋菜が自分の体を確かめるように見回し始めたのを見て、焦燥を感じるとともに、これからどうなるのか知りたい、という好奇の心が芽生えてきたのを感じた。
(大きくなった秋菜くん、もっと格好いいかもしれない……見てみたい)
しかし、事態は静葉が思っていたのとは別の方向に動き出した。秋菜の黒髪が、サラサラと伸び始めたのだ。
「はっ……」
「ど、どうしたんだよ!俺のどこかおかしいか……?って髪が!」
秋菜は驚愕と困惑の表情で自分の髪を眺める。そのうちにも、筋肉質な腕や足が一瞬に萎縮し、腰が横に張って曲線的なシルエットが出来上がっていく。
「俺の体、どうなって……!声まで変わってる!?」
高くなった秋菜の声を聞いて、静葉の中で何かがプツッと切れ、ぼんわりと霞んだ。
(秋菜くん……ううん……秋菜ちゃん、素敵な声……)
静葉は無意識のうちに秋菜に近寄り、恍惚の表情で想い人を見つめた。
「し、静葉!?お前の体、いつもよりちょっと大きいように……」
「そうだよ、そのリップクリームで大きくなったんだよ……でも、秋菜ちゃんのほうが、大きいよ。ほら、お胸だって」
静葉が秋菜のシャツを脱がせ、胸に手を触れると、その手の下で女性の乳房がプクーッと形成され、あっと言う間にリンゴ大の大きさになった。静葉は、その胸を揉みしだいた。
「んぁっ……やめろ、静葉……はぅっ……!」
「女の子がそんな言葉使っちゃダメだよ……」
静葉は、秋菜の2つの豊丘の間に顔をポフッと突っ込み、何かに取り憑かれたかのような目で秋菜を見た。
「おんな……のこ……?俺が……?」
「わ・た・しでしょ……?秋菜ちゃん……?」
静葉の吐息が秋菜の胸にかかると、それは不思議なほどの刺激を与えた。
「あぅっ……わたし……おんな……?」
「よくできました」
いつの間にか、秋菜を支配することに快感を得るようになった静葉。唐突にくちづけをすると、秋菜を床に押し倒した。
「いたっ!!な、なにする……」
「かわいいかわいい秋菜ちゃん……全部私のものにしたい……」
秋菜の方も、その流れに押されたのか、それとも何かの変化があったのか、静葉に従うようになっていた。
「静葉……ちゃん……」
「うふふ、今日は帰さないんだから……」