「実は俺の血筋には、封建制時代の奴隷の血が……」
「ちょっと、この子の前で奴隷とか言わないで」
美佐は泣き顔のまま、大きくなった体に合う椅子もなく、床に座り込んで父親の話を聞いている。「奴隷」という単語を聞いたのは初めてらしく、少しキョトンとしている。
「……召使いの血が混ざってて、それはたいそう頭のおかしな主人に仕えていたらしい」
「それで、その人を喜ばせようと……こういう体質にしたのね」
「まあ、飲み水に薬を混ぜられて、本人も望まない形でこうなったらしいがな」
その主人とは実のところ、大きな街の神父であったのだが、豊満な女性の体に魅入られていたのだが、体面を気にしていたらしい。普段は貧相な体つきの人物だけを仕えさせ、その当時は手に入れにくかった牛乳を引き金に、成長する体質にしたそうだ。それを利用して、夜だけの性奴隷を作り出していた。
もはや錬金術の域だが、実際に錬金術師が作った薬でその所業を行ったためだった。
「遠い昔、その子孫が日本にやってきて、根を下ろしたらしい。そのころには、主人の家が没落して、牛乳も飲める環境ではなくなって、体質も忘れ去られ、一個の書物としてだけしか記録に残っていなかった」
「ちょっとまって、それならあなたはどうなのよ?」
「俺の場合も、牛乳を飲むと……」
そのまま牛乳に手を伸ばしかけた父親の手を、母親が止める。
「い、いいわ……分かったから……今日は仕事もあるんだし。確かにあなた、牛乳飲まないものね……」
「うむ。ただし、一人の『体質持ち』に子供が複数人生まれた場合、ほとんどは一人だけに体質が遺伝するらしい」
「じゃあ、和佐(かずさ)は大丈夫ってこと?」
和佐は美佐の弟だ。歳は近く、もう少しで幼稚園に入園する時期だ。
「そう……あっ、もうこんな時間だっ!美佐は数時間経てば治るだろうから、今日は幼稚園は休ませて!くれぐれも病院とかには連れて行くなよ!じゃあ行ってくる!」
「あ、あなた、お弁当……!!行っちゃったわ」
母親は、たぷんたぷんと揺れる豊かに育った自分の乳房を、憮然として見つめている美佐を見て、どうしていいものか途方に暮れた。
その間にも、和佐が大きな音に目を覚ましたのか、リビングに姿を現した。
「んー……」
寝ぼけ眼のまま机に向かう少年は、見る影もなくなっている姉の前も素通りして、乾き始めてもいない白い水たまり――美佐の母乳が溜まったもの――に足を踏み入れた。
「ああっ!!」
「カズちゃんっ!」
そして、漫画のごとくズルっと足を滑らせ、顔をビチャッと水たまりに突っ込ませた。
「うぷっ……これ、なに……?」
和佐の顔いっぱいに、美佐の母乳が付いて、まるで白い仮面をかぶっているようになった。
「大丈夫?カズちゃ……」
「おなか、熱いよっ……」
和佐は、急に体を抱えて苦しみだす。その小さな体がブルブルと震えだし、そして……
ビリビリッ……
服が破れる音がし始める。和佐の体が、急激に大きくなっているのだ。しかも、男であるはずの和佐の胸がビクビクと震えながら確実に膨らんでいた。小学生の体になる頃には、リンゴ大に膨らんだ乳房が服をパンパンに張り詰めさせ、乳頭もかなり大きくなっていた。
「カズ……ちゃん……?」
「う、なんか、出てきちゃうぅっ」
じわりじわりと成長を続ける乳房は、膨張する速度を上げ、プクーッと存在感が増していく。
「だ、だめぇっ!!」
和佐は、自分の胸から飛び出そうとする何か――美佐と同じく、母乳であった――を、抑えようとするように思いっきり手を胸に押し付けた。しかし、それは、乳腺の中で、勢いを溜め込んでいた噴出を抑制するどころか、その引き金となってしまうのだった。
ブシャアアッ!!
「んあああっ!!!」
和佐はその刺激のあまりのけぞってしまう。美佐のときよりは勢いが弱かったが、白い液体が服越しに撒き散らされ、さらに悪い事に……
「んっ」
ぼーっと見ていた美佐に、容赦なく液体が降り掛かったのだ。
「また、大きくなっちゃうよぅぅっ……!!」
すでに180cm近い身長になっていた美佐は、言葉の通りに、母乳の力で体を押し広げられ始めた。
「とまっ……て……」
胸をきつく抱きしめ、自らの成長を止めようとする美佐……だが、その表情が困惑から変化し始める。
「う、う……」
「美佐……?」
突如、顔が赤くなり、まるで上気したかのような、快感につつまれた淫らな表情を浮かべる美佐。これまでの無垢な美佐がどこかに消えてしまったようだった。
「あ、あはは……アハハハハッ」
「おねえ……ちゃん……?」
特異体質のもう一つの特徴、発情とも言える性欲の爆発が起こり始めていたのだ。いくら体が大きくても、行為をしなくては意味がない、そう考えた過去の主人が仕込んだ媚薬の効果が現れ始めていた。
「おっぱい大きくなるの、気持ちいいよぉ……」
特大スイカサイズに達し、なお大きくなる胸をもみしだき、恍惚の表情を浮かべる美佐。その視線の先に、母乳を出し終わったものの、豹変した姉に腰を抜かしている弟の姿が映った。
「あは……かずちゃん、私のおっぱい、飲んで?」
またも母乳がたまり始め、張りが強くなりつつある巨大な乳房を垂らし、四つん這いになって和佐に近づく美佐。その姿は、獲物を追い詰めるネコのようでもあった。
「や……やだ……っ」
「つーかまーえたっ♥」
そして、和佐の肩をガシッとつかみ、強く張った双球の一つを、口に押し付けた。
「たーんと、めしあがれ!」
口で押さえられていなかった方の先端から、白い液体が噴き出し、床にポロポロとこぼれおちる。同時に、和佐の中にも同じ液体が流れ込む。
「んんっ!んんんん~っ!」
和佐は、姉の拘束から逃れようと必死になるが、大きな体格差には勝てない。その間にもさらなる変化が始まる。濃厚な母乳に反応して、強烈なまでの成長ホルモン、そして女性ホルモンが和佐の体中を駆け巡り始めた。
すでに大きくなっていた乳頭がビクンッビクンッと動き、その体に不釣り合いなほどに乳房が成長していく。母乳が体に染み込んでいき、体中がドクンッ、ドクンッと長くなり、太くなっていく。そして巨大な姉に負けずとも劣らない、莫大な体積を、和佐の体が占めていく。リンゴ大だった乳房は、中に生成された母乳を蓄えながら、ムリムリと膨張し、いつしか美佐のものに追いつき、追い越して、地面につきそうなくらいの途方もない大きさとなる。髪もさらさらと伸び、腰まで伸びるロングヘアになった。
「かずちゃんもすごい……」
その先からぴゅるぴゅると白い液体を出し始めたそれを眺めて恍惚の表情を浮かべる美佐。そして、乳房を和佐の口から離した。
「うふふ、おいしそう❤」
「おねえちゃん、かず、どうなって……うあっ、ああっ!」
美佐と同じく、和佐の意識もピンク色に上塗りされていく。
「おっぱい……おねえちゃんよりおっきくなっちゃった」
ちょうどそこに、弁当を忘れたことに気づいた父親が玄関の扉を開ける音が聞こえてきた。
「おーい、弁当取ってきてくれないか!」父親が呼ぶ声がするが、二人とも何かに操られるかのように息を潜めた。「誰も居ないのか?」父親の足音が近づいてくる。
「かずちゃん、おっぱいまだ出る?」足音を聞いて立ち上がった美佐は、和佐の腕を引っ張って立ち上がらせた。
「たっくさんでるよ?」姿勢を整えた和佐は、両腕で胸を揉みしだいた。先端から出る母乳の一部は、美佐にもかかり、またも美佐の乳房はそれに反応して母乳を蓄えていった。
「じゃあ、お父さんに飲ませよう」いよいよ部屋に入る扉の裏に足音が近づいてきたのを聞いて、パンパンに張ってきたおっぱいを両腕で抱えた美佐。和佐も、ニヤニヤしながら頷いた。
「おい、誰か……」
扉を開けた父親に迫ってきたのは4つのおっぱいだった。
「「せーのっ!」」
そのうちの二つが、巨大な質量で父親を押し倒した。
「な、なんだっ、ぶふぅっ!」
倒れた父親の顔の上に乳房が押し付けられ、容赦なく吹き付けられる二人の母乳。息をしようものなら、沢山の量が口の中に入ってくる。
「たーんと召し上がれ、お父さん❤」
「おいしいよ?」
その二人の下で、父親の体にも変化が始まった。メタボ気味の盛り上がった腹がグイグイと中に引き込まれ、逆にズボンの中ではムチムチと肉が付いていく。つかの間にズボンはパンパンになり、更に大きく膨れていく尻の部分はビリッと破れた。
「ん、ぶ、んぅっ!」
父親は必死に抵抗するが、それも二人の下で胸が膨らみ始め、髪が黒から赤に変わると流れが変わっていく。父親はできるだけ閉じていた口を大きく開けて、苦しい顔は快楽に溺れる顔に変わっていく。顔は魅惑的な女性のものになり、白く透き通ったものになっていた手は二人の子供の乳房を撫で回す。
「おとうさん、もっと欲しいの?でも、もう終わりだよ」
吹き出し続けていた母乳は、美佐が言うとおり勢いを弱め、数秒後にはほぼ止まった。
「あら?そうなのぉ?」元の性格の欠片もない、色欲にまみれた女性の声で答えた父親は、唇を舌で舐め、最後の数滴を味わった。「でも、おいしかったわよ」
二人の『子供』が立ち上がると、胸の大きさでは負けるものの、仕草は格段に艶めかしい『父親』もそれに続いた。180cmの身長もさることながら、ゆるいカールがかかった赤く長い髪は日本人離れしていて、体にまとわりつきながらボロボロになっていた地味なスーツが完全に浮いていた。
「この姿になったのも久しぶりね……」Gカップ並の胸の柔らかさを確かめるように持ち上げる父親。「でも、変身した後の若さは、いつまでも変わらないわ……あなたたちも若いけど、そんなにおっぱい大きいと、変よ」
美佐の、頭二つくらい入りそうな乳房をつつく。「これじゃ、お牛さんだわ」
「慣れたら、もっとちゃんとできるの?」つつかれた胸を守りながら、美佐は尋ねた。
「ふふ、あと2回変身したら大丈夫よ。……そっちの……和佐は、美佐のおっぱいを飲んじゃったのね?」父親は、仕草が美佐よりも子供に近いもう一人に、赤い瞳を向ける。
「そうだよ、ボク、おっきくなるの気持ちよかった……」
「普通の牛乳なら大丈夫だけど、血が繋がったあなたに美佐の母乳が入り込むと、体質まで感染っちゃうのよね……そっか、こうなったらぁ……」
いつの間にか、大きな女性三人に唖然として立ち尽くしていた母親に、父親はギロッと視線を向ける。
「みんなで、楽しみましょ……?」
「や、やだ、そんな体になんてっ!」
母親は逃げようとするが、その肩をガシッと掴んだのは美佐だった。
「大丈夫だよ、おかあさん。変身したら、絶対に楽しいから……」
「み、美佐……!!放して、そんなの、いいから!!」
その後ろから、牛乳パックから直接牛乳を飲んで母乳を溜め込んでいく和佐が近づいてきた。
「ボクのおっぱい、いっぱい飲んでね」
そのパンパンに張った乳房の先端を口に当てられた母親は、全てを諦めた。
かくして、一家四人は全員、牛乳を飲むと悪魔のような女性に変身するようになってしまったのだった。