『洞窟の物の怪』(若返り急成長画像掲示板より)

ここは、ある廃坑の入り口。そこに、二人の大柄なゴロツキが見張っていた。

「こう何もねえとつまんねぇなあ…」
「まあそう言うなって…」

二人はぼやいていた。だが、急に声がかかった。

「おじちゃんたち、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
「あぁ?」

そこには、革の服を着た小さな少女が涙目な顔をゴロツキに向けて立っていた。栗色のおかっぱ頭で、弱々しく見える少女だった。

「どうした、嬢ちゃん、何か用か?」
「私、道に、迷っちゃって…」

二人は互いに向き合い、相談する。

「おい、どうする?」
「ボスへの貢物にしようぜ、まだ体は小さいが一級品だ、見てみろよ。ん?」
「なんだ?あれ、アイツどこに行きやがった!?」

少女の姿は消えていた。

「逃げられたかな…?」

その次の瞬間、一人の首が何かにガシッと掴まれる。

「逃げたと思った?違うよ。それに、逃げられないのはアンタだよ!」

先ほどの少女が、首に後ろから腕を巻き付け、動きを封じていた。

「はぁっ!?おい、お前一人でなにができるってんだ?」
「確かにボク一人じゃ無理だけど…今だよ!エリーナ!」

すると、急に電撃がゴロツキに向かって放れた。当たる寸前に少女はもう一人に向かって飛びのいた。

「うぎゃああああっ!」
「おい、お前!ぐはっ!」

一人が倒れると、空中から繰り出された少女の拳が急所に命中して、他の一人もその場に倒れた。

「ラッキーだったね!ボクたちが人殺しが嫌いな賞金狩りで!」
「こら、そんなにはしゃがないの!マリー!」

先ほど電撃が放たれた方から、青いローブを着た女性が近寄ってきた。フードを外した頭からはポニーテールに纏めた長い金髪が伸び、その上からでも分かる大きな胸を携えている、大柄な女性。

「はーい、エリーナ」
「いい?この洞窟には人さらいが一杯いて、これまでの敵とは比較にならないほど強いモンスターも飼っているかもしれないんだから」
「山賊やモンスターなんて、ボク達にかかればイチコロだよ!」
「その油断がいけないの。こいつら、なにか裏があるわ。村や街の人から聞いた犯行が、計画的すぎるもの…」
「そーお?とりあえず、中に入ろうよ!ここで喋ってたら日が暮れちゃうよ」
「そうね」

そして、エリーナとマリーは、洞窟の中に入っていった。

——————–

エリーナの予想に反して、掃討は順調に進んでいった。そして、ついに最後の部屋に辿り着いた。

「あなたが、ここのボスね」

そこにあった豪華に装飾された大きな椅子に座っていたのは、これまでの野蛮で凶暴な男、ではなかった。エリーナと同じように、黒いローブを着た、一人の男性。

「その通り、よくぞ、ここまで参られた。エリーナ殿、そして、マリー。お噂はかねがねお聞きしておりましたぞ」
「…?なぜ、ボクたちのことを?エリーナ、心当たりある?」
「…あるわ…この国で最も恐れられているネクロマンサー、リーフロット…」
「またまた正解。まあ、我輩の趣味は少し変わりましてな。今かお見せする生物を創りだしたのもそのため。いでよ、マナ・サッカー!」

リーフロットが叫ぶと、部屋の中に巨大な肉塊のようなものが姿を現した。あらぬ所にギョロッとした目があり、体から伸びる管のような口があらゆる所に付いている。

「マナ・サッカー?」
「安直な名前でしょう?魔力を吸い出すから、マナ(魔法)・サッカー(吸引するもの)。さあ、君達も我が下僕の餌食になるのだ…」

怪物がのそのそと動き始めた。

「エリーナ、どうする?」
「逃げるわよ!テレポート!」

そして、二人の姿はふっと消えた。だが、エリーナだけは怪物の目の前にテレポートしてしまった。

「おっと、残念、残念。この空間では、全てが我輩の思い通り。テレポートの目標地点もずらしてやったぞ」
「な、なんてこと…んっ!」

肉塊から触手が伸び、エリーナの体に触れ、巻き付いていく。触手にローブが抑えられたせいで、大きな胸が強調される。

「こんなやつ、私の魔法で!ファイアバースト…あ、あれ…魔力が…」
「はは、無駄、無駄」

エリーナが呪文を唱えても、何も起きる気配がない。その魔力は、触手を通じて魔物に吸われていたのだ。ついに、触手に体が持ち上げられ、肉塊の口がエリーナの口に合わさった。

「むむぅ!」
「さあ、この女の魔法を吸い尽くせ!」
「(いやぁっ!)」

魔物の口に、エリーナから何かが出て行っていた。

「(やめて、私から魔法を奪わないで…)」

それにともなって、なんとローブを押し上げていた胸が縮み始めた。

「(いや、私の体小さくなってる!)」

長く伸びた髪も短くなり、身長も縮んで、ローブの中に体が埋もれ始めた。

「(子供に戻ってる!?)」

5年前の姿、10年前の姿、15年前、とどんどん遡っていく。

「ふむ…ここ辺りで止めにしますか」

リーフロットの命令にしたがって、肉塊は口を離した。だが、その時にはもうエリーナの体は3歳児程度に若返り、触手が離れても、ローブの中でじたばたともがいていた。

「私の服、大きくて動けない!」
「ふふ…おや、エリーナさんのお仲間が、助太刀してくれるそうだぞ?」
「マリーが?ダメ!」

マリーは洞窟の入り口に飛ばされ、エリーナを助けに最深部まで走ってきたのだった。

「エリーナ、今助けるからね!」

そして、魔物の方にに刃物を向け、飛びかかる…が、ヒット直前に触手にガシッと体を掴まれてしまった。

「うぐっ…離せ!離せったら!」
「そうだな、我が下僕に魔力が過度にたまっているゆえ、君にそれを分けてやる。その後なら」

そう言う間にも、魔物の口がマリーの口に合わさった。

「むうっ!むうっ!」
「では、注入開始…」
「(ボクの中に、何か入ってきてる!!?)」

そして、エリーナの時とは逆に、マリーの体が膨らみ始めた。

「(ボクの体、あついよぉ…)」

革の服の中で、平だった胸が盛り上がり始めた。すぐに乳房となった胸は服に圧迫され、形を歪ませた。

「(服に潰されちゃうぅ…!)」

手足も何かを詰め込まれるかのように伸び、服の中からニョキニョキと出てくる。

「(お…お尻が…ぁ!)」

ズボンの中でもギュウギュウと脂肪が詰まり、膨張する尻。結び目から、肉がはみ出る。

「(やめてぇぇっ!)」

栗色の髪がざわざわと伸びて、腰に届いた。

「(ああああっ!)」

革の服の縫い目がバスッと破れ、メロンサイズの乳房がブルンッと飛び出た。

「ふむ、中々のべっぴんだな…あの無鉄砲でやんちゃな子が、こんな成長の仕方をするとはね。そろそろ、やめにするか」

肉塊の口が離れると共に、魔物は姿を消した。そこには、体の大きさが逆転したエリーナとマリーが残された。二人とも服のサイズが全くあっておらず、戦うことも出来ずに、恥ずかしさに顔を真赤にしながら、涙目になっている。マリーの方も今回は流石に演技ではないようだ。

「私達を、どうしようっていうの?奴隷にでもするの?」
「ボク、奴隷はやだよぅ!」
「いや、これまでさらった女達と同様、記憶を改ざんして村に送り返すだけゆえ、安心しろ。二人は母娘として生きるのだ。もちろん、マリーが母親、エリーナが娘だ」
「そんな、やめて!」
「無駄口を叩くな。村で平和な生活をおくるんだな」

リーフロットの指から魔法の光が飛び出し、二人に当たった。

「きゃああああっ!」
「うわあああっ!」

——————–

その次の日、村に二人の女が現れた。一人はつぎはぎの革の服を着た金髪の少女、もう一人はローブを着た栗色の髪の女性だった。

「よくいらっしゃった。ここあたりでは、人さらいが出るから、ここまで無事で来ることができたアンタ達はラッキーだったな」

村の村長が出迎えた。すると、ローブの女性のほうが言った。

「そうですね…それより、私達、住む家がなくて…ここに少しの間泊めて頂けませんか?踊り子でもなんでもしますので…」
「すまんな、踊り子は一杯いるんだ。なぜか女子供がうちの村にはよく来るんでな。どうやら、アンタは良い物持ってるみたいだが…」

村長はローブを大きく押し上げる二つの膨らみを見て言った。

「とりあえず一晩泊まって、隣の村まで行ってくれ。護衛を出すから。あ、そうだ。名前を聞こうか」
「私がマリー、この子がエリーナです…ほら、エリーナ、ご挨拶を」

金髪の少女は、ニコニコしながらいった。

「村長さん、よろしくお願いします!」

こうして、2人の賞金稼ぎが存在を消したのだった。

環境呼応症候群 速度の子 その後

気まずい。なぜか非常に空気が重い。高校の修学旅行の帰り、広島始発ののぞみ号車内で、友達がいない僕は、ある知らない女の子と隣に座っていた。いつもは周りの女の子とわいわいしゃべってるのに、低体温症で毛布を膝にかけた僕が隣りに座ったせいかだんまりしている小さい女の子。速見(はやみ)さん、だったかな。

窓側に座っている速見さんはむすっとした顔をしながら外をじっと見ている……とおもいきや、こちらのこともチラチラ見ている。なにか話をすれば、東京までの3時間この空気のまま行くこともなくなるんだろうか?よし!

「あ、あの……」
「なに……?」

怖っ!?速見さんは鬼の形相を浮かべている。小学生くらい小さく幼い体から、ものすごい強さの負のオーラを感じる。

「な、なんでも……」
「はぁ……ねぇ、これから何が起こってもびっくりしないでよね?って言ってもムリだろうけど」
「え?」
「加奈子達と席を離してもらったのにも理由があるんだから」

加奈子……っていうのは、いつも帰る時に一緒にいるあの子のことかな?速見さんはというと体が小さくて目立ってて、クラスで知らない人は誰もいないけど……

『17:04発、のぞみ138号東京行きです。途中、岡山、新神戸、新大阪、京都、名古屋、新横浜、品川に停車します。間もなく発車いたします』

車内放送が流れると、速見さんは深呼吸をした。

「ふぅ……あと1分くらいかな」
「速見さん、新幹線が怖いの?」
「んなわけ……!……でもある意味怖い……かな」

速見さんの言葉の意味がはっきりしない。ある意味怖いって?いつもすごく元気な子が、かなり不安そうな顔を見せると、それを見ているこっちまで不安になってくる。と、外から発車ベルが聞こえてきて、程なくしてドアが閉まり、電車が動き始めた。といっても、最初はのろのろとホームを出て、あまり速度は上がらない。

「も、もう……早く速くなりなさいよ」
「そんなこと言ってもどうしようもないよ。……?」

速見さんを見たとき、とても強い違和感を覚えた。何かがおかしい。速見さんが近めに見える。と、電車がホームから完全に出たのか、加速が強くなった。

「来た……わね……!服がきつく……」

服がきつく?どういうことなんだろう、と思っていると、さっきの違和感がさらに大きくなってきた。というより、速見さんの体が、大きくなっている。

「えっ!?」

思わず声を上げてしまうと、速見さんに口をふさがれた。その手は最初僕の口を押さえきれてなかったけど、だんだん長く、それでいて細く、手の甲も指も大きくなって、そのうち完全に覆われてしまった。その間にも、速見さんが着ていた学生服は、パンパンになって持ち上がり、ヘソが見えるようになっていた。背丈は、中学生位になったと思ったら、いつの間にか僕を抜かしている。

「く、くるし……」

速見さんの声、いつもと全然違う。大人のような深い響きが感じられる。ど、どういうことなんだ!?僕の目の前で、速見さんが大人になろうとしているのか!?胸もペッタンコだったのに、今はDカップくらいなんだろうか、かなり大きくなっていて、それが学生服の中で押しつぶされて、お饅頭のようになっている。お饅頭は、どんどん横に縦にと大きくなり、必死に抑えている服からは、ギチッギチッと破れる音がし始め、今にも弾けそうなボタンと、無理矢理こじ開けられた真ん中の部分から、ムチッとした肌色の膨らみと谷間が露出されている。

「ん……んんぅっ!!」

速見さんが力を解放するかのように小さく叫ぶと、ついにボタンがはじけ飛び、バインッ!!と2つの膨らみが飛び出してきた。

「ふぅ……ふぅ……死ぬかと……思った……」

その一言ごとに、ムクッ、ムクッと大きくなっていくように見える……おっぱい。速見さんの胸に、タプンタプンとゆれるおっぱいがついている!?これまで、いや、数十秒前までは考えられないことだった。僕の隣には小学生くらいの小さい速見さんが座っていたはずなのに、今そこにいるのは、メロンサイズになってもまだ成長を続ける、信じられないほど大きな胸を持った、美しさと可愛さが混じりあったような僕と同じかそれ以上の年代の女の人がいる。まるで、グラビア雑誌からおっぱい特盛りで飛び出してきたかのような。

「ま、まだ……速くなるの……?」

確かに新幹線は加速をやめていなかったし、記憶が正しければ今の1.5倍くらいには速く走るはずだ。でも、それとこれとは何の関係があるんだろう?といって、口をふさがれているままなのできくこともできない。速見さんの手は、僕の手より大きくなっていて、僕の力では剥がせそうにもない。身長も今は180㌢はあるんじゃないだろうか?学生服は完全にサイズが合わず、スカートからはムチッとした太ももが見える。しかも、僕の足にモロにあたって、包み込むような弾力が感じられる。それに、その弾力はどんどん強くなっている。

「おっぱい……大きすぎるよぉ……」

もう、ネット上でも見たことがないような大きさになっているおっぱい。赤ちゃんが2人くらい入っててもおかしくないような2つの球は、張りを失うこと無く、それでいてかなり柔らかい。僕の腕にムニムニと押し付けられていて、その成長する感覚がじかに伝わってきている。速見さんの体温と鼓動が、胸越しに伝わってきて、鼓動ごとに、ムギュ、ムギュと押し付けられる力が強くなっているけれど、同時に、太ももと同じように包み込まれるような……そう、気持ちよさを感じるのだ。僕のアソコが、固く、ズボンを持ち上げている感触が伝わってきた。

「ちょ、ちょっと……何、勃ててるのよ」
「むぐぐ」

今や僕より頭ひとつくらい上にある速見さんの顔。かなり恥ずかしそうだ。そりゃ、僕という男子生徒の目の前でバランスボール並みのおっぱいを晒していれば、恥ずかしくはなるだろうし、学生服も、ほぼただの布切れと化している。その上で太ももに僕のアソコの感覚が伝わってきては、もうどうしようもないほど恥ずかしいのだろう。仕方ないけど……

「えっ……この毛布……」

僕にできること、それはほぼ裸体の速見さんに毛布をかけて、おっぱいを隠すことくらいだった。おっぱいのプルプルとした揺れは、毛布でも抑えきれていないようだけど。

「もう、速見さんの体温のお陰で僕の体が冷えることもなさそうだし……」
「むむっ」

速見さんが素っ頓狂な声を出して、巨大な胸が僕の体にあたっていることを手で確認した。成長する前の速見さんからは考えられないほど落ち着いた声だったし、大きな手だった。

「まぁ、いいわ。ありがとう」
「どういたしまして」
「私、『メタモルフォーゼ症候群』なの」
「え?」

『メタモルフォーゼ症候群』。聞いたことがないなぁ。

「聞いたことがないっていう顔ね」
「うっ」
「図星か。まぁいいわ、私は速度が上がると体がこんな風に大きくなっちゃうの。逆に、小学生の時それが発症して以来、自然な成長は完全に止まっちゃったの」

だから、普通は小学生サイズなのか。確かに、小さすぎるとは思っていたけど。

「クラスのみんなには内緒にしてたんだけど……バレたのがあなたでよかった」

速見さんは初めて微笑んだ。そう言われるとこちらも嬉しくなる。

「でも、こんなに大きなおっぱい、見たことないでしょ?」
「え、うん……」
「中学生のときも新幹線で修学旅行に行ったんだけど、その時は先生に隣りに座ってもらったのね。そしたら……倒れちゃった。でも、あなたは大丈夫みたいだから……」

正直言うと、体に伝わってくる訳の分からない重さと快感でどうにかなりそうだったけど、なんとか理性を保っていたのだった。次の岡山で速見さんは1回元に戻った。風船から空気が抜けていくように、ゆっくりと戻っていくのを見るのは、なんというか安心感があった。しかし、発車するとまた成長をはじめて、今度は僕も耐え切れずに理性をかなぐり捨て、周りからは見えないように巨大な胸をもみしだいたのだった。速見さんはというと、すこし喘ぎながら何故か楽しんでいるようだった。

あっと言う間に東京に着き、僕はおっぱいを名残惜しみながら、荷物をまとめて席を立とうとした。すると、元に戻って、僕が貸した学生服の上着を何とか羽織った速見さんからトントンと肩を叩かれた。

「ねぇねぇ、実はハワイ旅行当てちゃって……一緒に、行く?」

速見さんと乗る飛行機が楽しみだ。

転がる性

ボクは、れっきとした男なのに、はたから見れば女にしか見えない。いわゆる「男の娘」だ。これまで幾度と無く女子と間違えられ、男子だと解ってる奴らからも女子扱いされることも数えきれないほど。力が弱いわけでも、背が特別低いわけでもないけど、ふっくらとした体つきや、一向に声変わりしないことがコンプレックスになっていた。それでボクはこれまで、髪も短く切って、部活のサッカーもたくさん練習して、できるだけ男らしく生きようとしてきた。

その日もそうだった。だけど、中学校から帰る途中立ち寄ったコンビニで、ボクは「それ」に出会ってしまった。

「こ、これは……」

女性向け雑誌の表紙に、可愛い服を着たモデルの写真が載っていた。そこまでは普通だった。問題は、そのモデルの顔つきがボクとそっくりだったことだ。少しドキッとした後に、ボクがそのモデルの格好をしているところを無意識に想像した。

「(ボクがこんな可愛い服を着たら、どうなるんだろう……周りからちやほやされたりするのかな)」

想像上のボクの周りに、いっぱいのカッコイイ男の人が、ボクの目標、憧れの男らしい人が集まってくる。いつもなら、少し考えるのだけでも拒否反応を起こしていたのに、その時のボクはなぜか充足感を感じていた。

「(そしたら、私、人気者になれるかな。え、私?)」

どこからともなく出てきた『私』という一人称。頭の中の女装したボクが使いそうな感じ。それを、思わず使ってしまったのだった。

「(わた……し。え、あれ……?私じゃなくて!)」

ボクは『私』を振り切ろうとしたけど、頭の中で反響するこだまのように、『私』で満たされていく。同時に、全身がピリピリと痺れを感じてきた。

「う、うぅ……!」

しびれが、ボクを作り変えていくような奇妙な感覚に、思わずうめき声を出してしまった。だけど、それはすぐに収まった。

「な、なんだったの?」

胸に手を当てて、落ち着こうとした。でも、それは逆効果だった。なぜなら、手にムニュッと柔らかい、慣れない感覚が伝わってきたからだ。

「え?」

下に目を向けると、心なしか胸のあたりが盛り上がっている。

「ま、まさかそんなこと……」

ボクは服を脱いで嫌な予感を否定したくなったが、その場で全裸になるわけにも行かず、コンビニのトイレを借りて……嫌な予感が確信に変わってしまった。

「これ、おっぱい……?私に何でおっぱいが?って、ってことは!」

トランクスの中に手を突っ込む。小さくても、確かにそこにあったボクの男の象徴が無い。ハッと鏡を見ると、髪も肩まで伸びていた。

「わ、私、女の子になってるぅ!!」

そんなの、嫌だった。これまでコツコツと作り上げてきた日常を全部否定されるようなものだったから。ボクは、その悪夢のような現実を、否定し返すしか無かった。

「わ、私は……ボクは男なんだ!そんなに簡単に女になってたまるかぁっ!」

そしたら、またしびれのような感覚が襲ってきて、数秒もしないうちに胸は胸筋を残して平らに戻り、髪も元に戻った。股からムギュッと圧縮された感覚が伝わってきて、ボクは男に戻れたことが分かって、やっと一息つけたのだった。

それが、数週間前。それからも、何回か女の子になる現象が起きていた。ボク自身が女装している場面を想像する度、実際に女の子になってしまうのだ。やめればいいのにと思われるかもしれないが、なぜか無意識に想像してしまう。最近は男に戻れないで、女のままクラスに出たこともある。体つきはほとんど変わらないけど、髪は長くなって目立つから、はさみで切ってはいたけど。

そのボクが今いるのは、ウィメンズの洋服屋さんの前だ。安めだけど、流行に乗ってそうなスタイリッシュなものから、子供用のかわいいものまで売っている。見た瞬間にまたドキッとしてしまって、私が着たらどうなるのかなって。あ、またしびれが全身にかかってきた。こんなに簡単に体が変化してしまうから、この女の子の体も楽しもうかな。

私が着てたのが男子学生用の服だったから、店員さんはかなり困惑してたみたい。コスプレで通したら半分納得してくれて、そこから服選びを手伝ってもらって、結局30分くらい吟味してたかな。こんなに長く洋服屋さんにいたのは初めてだけど、すごく楽しかった。ようやく試着室に入った時は、もう私が女の子の服を着ることは当然のことのように思えた。

でも、すごくドキドキする。本当にこの服に袖を通していいんだろうか。私は道を踏み外すことはないんだろうか。

「ううん、大丈夫」

私は自分にそう言い聞かせた。まずは学生服を脱いで、下着をつける。すごい、完全にフィットする。スポブラのホックをつけると、胸のふっくらとした膨らみがすこし上に持ち上げられて、錯覚で大きくなったようにも見えた。店員さんに選んでもらった服を全部着ると、私はどこからどうみても女の子で、元が男だとは全然わからないほどだった。

「私、すごく綺麗……もう、このままでもいいかも」

そんな言葉が自然に口からこぼれた。その瞬間、ビリビリッといういつものしびれがもっと強烈になったものが、全身の感覚を支配した。

「ん……んぅっ……」

しびれに何とか耐え、私は鏡を見続けた。肩まで伸びていた髪が、背中の半分まで伸びる。少し中性的とも言える顔つきも、輪郭が丸くなり、鼻が小さくなっていわゆる「女顔」に変化する。胸に圧迫感がかかると、鏡の中の自分の胸の部分が服越しでも分かるくらいに盛り上がった。やっとしびれから開放されると、私にはもう後戻りができないことが何となく分かった。でも、それでもうよかった。

「ふふっ……お母さんにどう説明しようかな」

ちょっと困ったように微笑んでいる鏡の中の女性は、とても魅力的だった。

状態変化を書いてみたかっただけ1

1日目。不死身の種族であるという妖精族の女性を捕らえた。我々の畑や、商店を荒らす厄介者の種族だ。見た目は人間とほとんど変わらない。ただ白い髪と、背中から生えている葉のような羽根が特徴的だ。同じように白い毛皮のような衣服で、最低限の部分が覆われている。幸い数は少ないが、捕まえたからにはこれからタップリと楽しませてもらおう。開発した魔法薬を試させてもらいたいしな。もう夜遅いが……そうだ、子宮が異常に膨れ上がる薬を一滴飲ませよう。何で開発したかって?まぁ、そういう趣味の人もいるってことだ。スポイトに取って、それを瓶に入れたままの妖精の口に近づける。

「や、やめて……許して」

妖精はがくがくと震えているが、お構いなしだ。スポイトから魔法薬を垂らすと、うまく口の中に入っていった。

「んぐ……かはぁっ」

のたうち回る妖精。露出された、キュッと絞られていたウエストがぷっくりと膨れているのが目に見えて分かった。瓶の中で確実に大きくなっていく腹部は、パンパンに貼っていてほぼ真球に近くなっている。そして、ついには瓶一杯に膨れ上がってしまい、ガラスの壁に腹が押し付けられ逆側では羽根が無理に曲げられて、痛みでギャーギャー騒ぐ。不死身でも痛がるんだなぁ。そんなことを考えていると、瓶にヒビが入り始めた。これはまずいな。よし。

「いや、いや!もう飲みたくないぃっ!」

別の薬が腹でつっかえて動かなくなった自分の顔に近づいてきてるのを見て、けたたましい叫びをあげる妖精。だが、それで躊躇することもなく薬を注ぎ込む。すると、妖精の体が灰色のもので覆われ始めた。石化の薬を飲ませたのだ。灰色の部分はあっと言う間に全身に広がる。

「え、何が起きて……か、体……が…………」

妖精はなすすべもなく完全に灰色になると動かなくなり、腹の膨張も収まったようだ。それを確認したところで楔をあてる。そして、ゆっくりコツンっと金槌を打った。カシャアンッ!という音を立て、瓶の中で綺麗なほどに粉々になる妖精。明日になれば元に戻るはずだ。割れかけている瓶から、もっと大きめの丸底フラスコに移し替えた。明日はどんな薬を使おうか。

谷間トンネル

夏のうだるような暑さの中、少年は住宅街の中を歩いていた。隣には、長い青髪を二つに束ねた女の子が付いている。

「こんな所であうなんて、嬉しい偶然だね、お兄ちゃん」
「あぁ……何でこんな所にいるんだ?」

少年は学校の帰りで、中学生の妹であるシホにばったり出くわしたのだった。シホは年齢不相応なスタイルをしていて、巨大な胸を、夏の暑さの中、汗で濡れた薄着の下でタユンタユンと震わせながら歩いていた。肌にくっついている生地のせいでその双丘の輪郭がいつもよりも大きく見え、襟からも谷間が見えている。といっても、本人に他人に見せつけようなどという意思はないのだが。しかも兄である少年はもう慣れっこで、別段驚くこともない。ただ、男として全く気にならないということでもないが。

「えへへ、先輩とちょっとお菓子屋さんに行っててね……あれ?あんな陸橋、この近くにあったっけ?」
「シホはここに来たことがないんだな」

二人の前に忽然と現れるコンクリートの橋桁。それは、住宅街に不自然に存在している新幹線の高架線路だった。都市どうしを無理矢理直線で結ぼうと、通る土地をいとわなかったせいで、こんな奇妙なことになっている。家はその向こうにあって、兄妹はその方向に歩いてきたのだった。

「これはな、新幹線が……」

ゴゴゴゴ……

少年が説明しようとした矢先、新幹線が近づいてきたことを示す地響きがし始めた。そこでやっと、彼は妹の「秘密」を思い出した。しかし、もう遅かった。

ビュンビュンビュン!!!!
「ひぃっ!!??」

新幹線が風を切る轟音が辺り一帯に響いた。と同時に、それに驚いたシホの体が……大きくなり始めた。兄より頭ひとつ小さかったのが、あっと言う間に追い抜かされる。ググググ……と体全体が大きくなり、そのスタイルが強調されるように服がぴっちりとくっついたかと思うと、ビリビリと破かれていく。そして、5秒ほど経った時には5m上にある高架橋の高さに届いてしまった。もはや、伸縮性の高い下着だけがシホの体を包み、住宅街のど真ん中で肌の殆どを露出した巨人と化してしまった。少年には妹の心臓の鼓動が地面を伝って、ドクンドクンとハイペースで聞こえてきて、その驚きが収まってないことがわかった。

「ああ、これは困ったことになった……」
「おにいちゃぁん……」

大きくなった妹の声が遥か上の方から発せられる。シホは、驚くと体がサイズ的な意味で大きくなってしまう体質を持っているのだ。

巨大化はまだ止まっていなかった。10m、20m、40mとどんどん大きくなる少女は、汗が滴る胸や尻を惜しげも無くさらしていた。しかし20階建の中層ビルになったところで高架橋につまづいてしまい、バランスを崩して橋の方に倒れ始めてしまった。それに、次の列車が、意味もなく警笛を鳴らしながら近づいてきていた。

「きゃああああっ!!ダメぇっ!!」

高架橋を破壊する寸前になって、すでに考えられないほど巨大だった胸がブルンッ!!ムギュギュギュ!!!と大きくなり、それによってともに大きくなった谷間に、橋桁はスポッと挟まれた。尻もプリンっと空に向かって膨らみ、逆にウエストはキュッと絞られる。巨大化の体質の他に、他の人の危機を感じ取ると成長するという体質も持っている。自分が倒れこむことにより線路が破壊されるのを危惧し、その体質が現れたのだった。

列車は、突然現れた巨人の乳房の間を、スーッっと抜けて……行かなかった。非常ブレーキをかけた列車はシホの下で止まってしまった。

「は、恥ずかしいから早く行ってぇっ!!」

少し大人びた少女の叫びは、普段の騒音の何十倍にもなって、家々の窓を破壊し、新幹線の架線も至るところでプチプチと切れた。周りの異変に驚き、更に何倍にも巨大化していくシホ。真下で耳を押さえていた兄は、溜め息をつくしかなかった。
shiho

目 2話

「俺、女になってる」
「はぁ!?エイは男のはずでしょ!?何馬鹿なこと言って……よく見たら、顔つきも全然違うし、小学生みたいに小さい!さては別人!?」
「なんでそうなるんだよ!図書室にいたのは、俺と美代だけだっただろ!?」
「そ、そうだよね……でも信じられるわけ無いでしょ。ムサイ男が撫でたくなるような可愛い女の子に一瞬で変わるなんて」
「ムサイ言うな!」

図書室の司書がいれば、確実に怒鳴られるような大きな声で叫び合う二人。らちが明かないようにも見えたが、美代は諦めたかのようにため息をついた。

「はぁ……分かった。あんたは英二で、女になったと。それで、そうなる前に何かあったんでしょ?」
「あ、あぁ……それはだな……」

「あんたのおちんちんが爆発したって!あっはは!あんな小さいのが!」
「何で俺のアソコのサイズを知ってるんだよ!」
「いいじゃんそんなの。ねえねえ、お姉さんに見せてみい、爆発したアソコを」

英二はこれまで見たこともないわけでもない、美代の変態親父のようなにやけ顔に戦慄を覚えた。

「や、やめろ……」
「痛くないから!」
「うわぁ!」

美代の迫り来る魔の手から逃げようと、英二は走りだそうとしたが、

「……へぶっ!」
「だ、大丈夫!?」

あまりにも小さくなった体に服のサイズが全くあわず、それにつまづいて転んでしまった。

「……う……うう……」
「英二?……!」

かわいらしくなった顔に、涙が浮かんでいた。美代は何かに胸を貫かれたような表情を浮かべ、ぽかーんと口を開けてしまった。

「い、痛い……帰る……」
「ご、ごめん英二……おぶって帰ってあげるから」
「おぶって……?そっか、俺、そんなに小さくなったのか」

少ししゃくりあげながら、美代の背中に乗って家まで帰ったのだった。

「……というわけで、この可愛くてモフモフしたくなるような可愛い子が英二なんです……」
「モフモフ!?可愛い2回言った!?」
「信じられないわ……このちっちゃくて守りたくなるような女の子があのどら息子だなんて……」
「母さん……」

英二の自宅。当の本人を置いてきぼりにして、美代と英二の母親の佳代子(かよこ)の話は続いていた。大きく変貌した英二の説得だけでは、本人と認められなかったのだった。

「何か、英二を英二だって認められるものって無いんですか……」
「うーん、そんなこと言われてもねえ……」
「がふっ……こんなときにゲップが……」

その一言に、佳代子が驚いて英二の方を見た。

「がふっ……?まさか、あなた英二なの!?」
「そこ!?」
「そんなゲップの仕方、英二しかしないでしょ?」
「あ、確かに……よかったね、英二」

複雑な表情になる英二。

「もっと、家族の思い出とかで判別するとか、そっちのほうが……」
「あなたにはお似合いだと思うけど。美代ちゃん、息子がお世話になって、ありがとう。今度何か持って行くから」
「いえいえ、そんなお気遣いなさらず……私は帰りますから……英二、また明日ね」
「お、おう。ありがとな」
「どういたしまして。じゃあ」

美代は足早に出て行ってしまった。少しの沈黙の後、佳代子に言われて英二は風呂に向かった。

「この服で学校行けって言ってもなあ……でかすぎるって。いや、俺が小さいのか……」

洗濯カゴに何とか自分の服を入れ、風呂場に入ると、そのいたいけな姿が鏡に写ったのが、目に止まった。

「本当に、ちっさいな……」

腕や足は元の自分が力を掛ければ簡単に折れてしまいそうだ。おなかはプニプニとして、凹凸には乏しい。胸などは膨らみかけてすらいない。

「どうせ女になるならもっとスタイルいい方がよかった……へくちっ!あー、とっととシャワー浴びようか……」

腰掛けをシャワーの前において、キュッと蛇口をひねると、冷たい水が英二の体に襲いかかった。

「ひゃうう!!……ってなんだ今の声……」

自分の信じられないほど高い声にうろたえる英二。すぐに水は暖まったが、その刺激はしばらくのあいだジンジンと続いていたのだった。

「(俺、これからどうなるんだ……?)」

その夜だった。夢の中、英二は金色の砂の大地の中にいた。

「(ここは、エジプト……?)」

目の前にそびえ立つ、白く巨大な四角錐。そのふもとに、豪華な金色の宮殿が建っている。中には、これまた豪華絢爛な衣装を身にまとった神官が行き交う。

「(すげぇ……こんな光景、テレビでも見たことがないな)」

宮殿の内部に視点が動く。中心の大きな部屋には玉座が据えられ、王が座っている……が、英二が最も威圧感を感じたのはその隣に控えている一人の神官だ。その目は赤く光り、顔立ちは「彼女」の狡猾さ、知識がどれほどのものであるか物語っていた。そう、彼女。キッと釣り目の顔だけではなく、大きく盛り上がっている胸でも、神官が女であることが分かる。

「(でっけぇ……)」

英二は幾重にも重ねられた服の上からでも分かるその胸の虜になっていた。だが、彼女の目がギロッと英二の方に向けられると、英二は向けられた目から視線をそらすことができなくなった。

「(なんだ、この感覚……あいつが、こっちに……)」

彼女の「目」が、英二に急接近してくる。そして、またあの声が聞こえてくる。今度は、英二でも意味がわかった。日本語でもないその言葉の意味が。

《汝……我の……器に……》
「(う、う……)」

「うわあああっ!!!」

目が覚めた英二だったが、心臓がバクバク言って止まらず、熱い血液が体中を駆け巡る感覚に襲われる。

「あ、あつい……!!あついい!!」

なんとか熱を逃がそうと、布団をはがし、胸をはだける。そこで英二が見たものは、風呂で見たものよりかなり大きくなった胸の突起の周りが、グググッと盛り上がってくるところだった。

「な、なんだよこれ!!うぐああ!!」

背骨がベキベキ音を立てて伸び、腹がギュッと絞られてくびれができる。手を見ると、幼く小さいそれが、長く細く成長していく。箪笥の奥から取り出した、子供の時の寝間着が、腕が太くなっていくのか、ギチギチと音をたてる。

「む、むねが……あつ……」

ある程度膨らんだ胸が、押し込まれるように縮む。英二は、その胸がゴゴゴゴとエネルギーを貯めこんで、とんでもない量の熱を発しているのを感じた。

「あついいいいいい!!!」

そして、胸が爆発した。ムクッでもバインッでもなく、ドッカーンッ!!という言葉が似合っていた。Aカップだった胸が一瞬のうちにLカップまで育ったのだ。それと同時に、全身にムチッと肉がついたのか、寝間着が至るところでビリビリと破け、ほとんど全裸と化してしまった。

「ふ、ふぅ……終わっ……た……」

変身の激しい感覚に精神をすり減らした英二は、そのまま眠りの世界へと戻っていった。

目 前編

とある高校。キーンコーンカーンコーン……と、授業終了の音が流れた。

「では、明日までにこの課題を……」

教諭が話しているのをそっちのけで生徒たちは帰り支度を始める。その中の一人、遠野 英二(とうの えいじ)は面倒くさそうな顔をしながらさっさと教室から出る。

「はぁ、やっとあのつまんねぇ授業が終わったか……」
「おー、一緒に帰る?」

廊下に出ると、そこに居合わせた女子生徒に声をかけられる。幼なじみの天台 美代(てんだい みよ)である。

「ああ、美代か。図書室で借りるものがあるから……」
「ふーん?英二がねぇ……じゃあ私も行く」
「はぁ?なんか借りるものでもあるのか?」

美代はニヒッと、いたずらっぽい笑みを浮かべた。

「ないけど!」
「じゃあなんで……」
「いいじゃん、一緒に行ったって」
「変な奴だな……ま、今に始まったことじゃないか……ぐふぅっ!?」

英二の腹に、肘鉄が決まっていた。その動きは誰にも見えない……というほどの衝撃が英二に走った。

「ゲホッ、ゲホッ!……は、腹はよせ……」
「うっさい!じゃ、いこー、いこー!」
「ま、まちやがれ……!」

すたすたと歩き出す美代に、英二は腹を押さえながら何とかついていった。

二人は、図書室につくとおのおの別の箇所を見始めた。

「うーん、どれがいいか」

英二は、多くの歴史書が整然と並べられているのをじっと見た。その冊数たるや、いち高校のものとは思えないほど大量だったが、漫画も置いていない図書室など、初めて訪れる英二にはそのことは分からなかった。今日も、遊んでいるゲームの中で絶世の美女が出てきたからそれが誰か調べたいという不純な動機でここを当たったのだった。

「えーと、主人公が占領してたのは確かカリア、いやゲルマニウム……?ちくしょ……カタカナは覚えづらくて仕方が……ん……?」

一冊の本が目にとまる。色あせた背表紙に、日本語でも英語でもない文字が綴られている。思わずそれを手に取る英二。その本は、光っているわけでも、文字が動いているわけでもないのに、不思議な魅力を放っていた。

「うーん、これは……エジプトの神聖文字……だったか。なんでこんなものが……」

授業で覚えた知識が初めて勉強以外で役立った瞬間であったが、英二は気にもとめず、ペラっと表紙を開けようとした。……開かない。

「古すぎて表紙がくっついてるのか……。ん、このページだけ開くぞ……」

英二は紙がこびりついていないのを確認しながらそーっとページを開く。そこには……

「うおっ……これは……目?」

A4サイズのページいっぱいに、黒く塗りつぶされた円を囲むように同心円が何個も描かれている。その隙間にも、背表紙と同じような文字がビッシリとつめ込まれ、禍々しい雰囲気を醸し出していた。

「これって、やばいんじゃ……あ、あれ?体が動かない!?」

金縛りにあったかのように、硬直状態になってしまう英二。その視線の先で、本の文字が赤く光り始め、同時に歌のような、呪詛のような声が英二の頭の中に流れてくる。

「き、気持ち悪……い……だれか、止めてくれ……うわあああ!!」

英二はその声に不快感を覚えつつも、本から目をそらすことが出来なかった。そして、本の黒い目が急に英二を飲み込み、英二は異世界の真っ暗闇に包み込まれた。

「こ、ここは……俺、なんで裸なんだよ」

闇の中で、英二は自分の体だけを見ることが出来た。周りは静まり返り、声から開放された英二は少し安心感を覚えていた。

「ここは、本の中なのか……?そしたらどうやって出れば……ん?」

闇の中に、ひとつの赤い光が現れた。最初は、かなり小さかったのが、急激に大きくなる。それとともに、ゴゴゴゴ……という轟音がし始めた。

「ま、まさか、あの赤いの、俺にぶつかる……うわああ、来るな、来るなぁ!」

英二が叫ぶのもむなしく、その大きく開いた口に、赤い光がぶつかり、自らを押し込んでいく。

「ぐご、ぐごがあ……!!」

声にならない叫びを上げる彼の体は、中から赤く照らされ、光り始める。すると、先ほどからだらしなく垂れ下がっていた彼のイチモツが、急激に膨らみ始め、前に突き出される。それだけではなかった。普段の運動で鍛えられた全身の筋肉が萎縮し、逆に脂肪が厚くなって、その赤く光る身体の輪郭が丸みを帯びていく。その体積が減った分だけ、股間の膨らみは加速し、異常なまでに大きくなっていく。

「(ぐあああッ!!お、俺のアソコが、破裂するぅぅっ!!!)」

英二は全身、特にもはや棒の形状を保っていないソレからくる痛みに、もう耐えられなかった。そして、

《メコッ!バァァァアアンン!!》

「うわあああっっっ!!あ……?」
「何大声出してんの、迷惑でしょ」
「美代?」

英二は、もとの図書室に戻って、床に倒れこんでいた。

「はぁ、よかった……戻ってこれたのか……あれ?」

異世界に青年を引きずり込んだ本は、跡形もなく消え、本棚にもその姿はない。

「夢、だったのか……?」
「エイ、なんでそんな高い声だしてるの?発声練習とか?」
「え?声?」
「うん、声」

英二の血の気がスーッと引いていく。そして股間にすっと手を伸ばすと、大きな違和感と喪失感が広がった。

「お、俺のアソコ……ない」
「アソコ?頭のこと?」
「ちがう、俺、女になってる……!!」
「はぁ!?」

環境呼応症候群 恐怖心の子

「いってきまーす!」

俺は、いつもの様に忘れ物率10%のカバンをひっさげ、家を出た。遅刻も日常茶飯事だが、今日は遅れることはないはずだ。あの子の体質に、魔が差ささなければ……いや……

「おはよ……おにいちゃん……」

後ろから聞こえてきた小さく弱々しい女の子の声。隣の家に住んでいる中学生の小和田 チカ(こわだ ちか)。幼い頃から遊んでやっていたら、いつの間にか俺にくっつきっぱなしになっていた。小柄なせいで、かなり怖がりで、人見知りも激しいこともあったのだろう。

「おっ。おはようチカ」
「えへ……」

この笑顔も、見ることができるのは俺だけなんだろうか。でも、その奥には不安も混じっている。俺はその理由を知っていた。それだけではない。制服がない中学校に通うチカのチェック柄のダッフルコートがつぎはぎだらけなことも、「それ」の証拠だ。

「えっと……今日も中学校まで一緒に……」
「一緒に行ってやるよ」
「ひっ……」

ちょっと言葉を遮るだけでも驚く。どこかの小動物かと思うが、その驚きだけでも、「その」症状が出る。ショートに切ってある黒い髪が、肩までスッと伸びるのだ。チカは気づいてないみたいだけど……でも、今日くらい、遊んでやってもいいかな?

10分と少し歩いていくと、他の中学生やら高校生やらと段々と合流し、人通りが多くなってきた。チカは俺にひっついて歩いている。ここらへんで、始めるとするか。

「なぁ、チカ……」
「えっ?」

チカが俺の方に意識を向けた瞬間、俺は大声を出した。

「わぁっ!」
「きゃぁっ!」

チカも大声を出して俺を突き飛ばすように逃げた。そして同時に、そのコートの胸の部分ががムクムクっと盛り上がってパンパンになり、足もニョキニョキと伸びた。

「おにいちゃんの……いじわる」

それで恥ずかしがるだけでほとんど怒らないのはチカの気の弱さからかもしれない。チカは、「メタモルフォーゼ症候群」を患っていた。何かに怖がると、体が成長して出る所が異常なまでに出る。今だって、あのコートを脱がせたら高校生でも大きい胸が出てくるだろう。それに、なぜか俺と一緒の時にしか症状が出ない。なぜ、俺なのか。まあいいや。

チカはその体のまま、また体をくっつけてきた。さっきよりもその力が強く、腕に柔らかい感触が伝わってきて、まだ落ち着かない息が近くに聞こえてくる。

「わざと驚かさないって……言ったのに」
「ごめんごめん。もう今日はしないからさ」
「今日は……って、むぅ……ひぃっ!?」

チカの体がまた大きくなるのを、自分の触感で感じた。コートがブチブチと破け始めた音も聞こえる。あのコート、破けるの何回目なんだろう……しかし、今度は俺は何もしてないぞ?

「どうしたんだ?」
「あ……あそこにネコの死体が……ある……!」

チカはどんどん大きくなっているみたいで、その息がゆっくりと耳元の高さを通り過ぎ、俺にがっしりと抱きつく腕が長くなり力も強くなっている。そして、コートの糸がほつれる音が止まらない。

「あれって、ただのぬいぐるみじゃないか……?」
「そ、そう?」
「確かめてきてやるから……」
「お願い、おにいちゃん……!」
「あの、放して……」
「それはいや……!」

困ったぞ。完全にパニック状態だ。チカの髪が俺の顔に触れ、サラサラとした感触が伝わってくる。

「じゃあ一緒にいくか?」
「ひっ!?……そんなの絶対いやぁ……!」

俺に選択肢が何一つない。今や俺より頭ひとつ身長が高く、無理矢理首を動かしてコートの方を見てみると、もうキッツキツのギチギチで、スイカサイズに膨れ上がった胸しか覆っていない。そしてそれも……

《ビリビリーーーッ!!》
「いやぁっ!!」

ドッバーンッ!!……これが一番正しい音の表現だと思う。胸の洪水が、俺の背中と腕に襲いかかったのだ。柔らかいってもんじゃない。もう包み込まれる感覚しか無い。しかも、チカはもっと強く俺を抱きしめてくる。その感覚は、強くなる一方だ。

「ち、チカ……?」
「お、おにいちゃんっ……チカ……」

ああ、これが来たか。チカの吐息は荒くなる一方で、体がかなり熱くなっている。こうなると止められない。

「カラダが……熱くって……!おっぱいじんじんする……!だから……」

俺の体がヒョイッと持ち上げられ、180度回転する。さっきまで135cmくらいしか身長のなかった子がすることではない。実際、今目の前にみえているのは一瞬巨人かと思えるほどの体躯で、俺の目の高さには、巨大な2つの柔丘の上にピンク色の突起がそれぞれ1つずつ立っている。

「チカのこと……責任取って……?」

責任ってなんだ。しかしそんなことを今のチカに問いただしても答えは得られないだろう。恐怖に染まりながらも上気しているチカの目は虚ろで、何かに取り憑かれているかのようだ。

「じゃ、じゃあ……」
「ひゃぅ!」

まずは目に見えているものからだろう。両手で、一瞬にして育ったチカの豊かな2つの丘を、ゆっくりと揉み、上下左右に動かす。しっとりとした触感とともに、まだ、まるで空気が送り込まれるように中から押し広げられ続けているそれが、俺の手を押し返すような力を感じた。

「き、きもちいい……!」
「あはぁ……あぁん……!」

中学生が出す声だろうか。でも、今のチカを中学生と言ったら誰も信じないだろう。俺はそこが通学路であるのにもかかわらず、チカの身体の感触に徐々に夢中になっていった。次にチカに抱きつくと、チカのすべすべとした背中の肌触りが感じられ、その美しくかたどられた曲線にそって動かすと、腰のくびれ、そしてプリッとしたお尻に辿り着いた。そして、顔はチカの胸の谷間に押し付けられ、ムニュッとした柔感が頭を覆い尽くし、むしばんでいく。

「む、むふふ……!」
「おにい……ちゃん……!もっと、もっと……!!」

ムチムチとしたチカの身体を愛で、その火照った身体の熱を全身で受け取りながら、自分のアソコが硬くなっていくのを感じる。チカもそれに気づいたのか、ズボンのジッパーを勝手に下げてくる。変身した後のチカは、性格が豹変するけど、ここまでは初めてかもしれない。

「ね、ねえ……パイズリ……してみる?」
「ふぇっ!?」

体を離すと、チカが路上に仰向けに寝そべり、誘ってくるような表情で、胸をムニュッと左右から潰してアピールしていた。パイズリなどどこで覚えたのか、だけど今は関係ない。周りの視線をすごく感じるが、今は関係なかった。

「ち、チカが言うなら……」

いや、望むところだった。俺は遠慮なく、もう特大スイカになったチカの果実の間に、突っ込んだ。もう、想像以上の快感だった。

「おにいちゃんの……硬くて……大きい……!」

これまで他のものを見たことがないんだなと思いつつ、チカに身を任せた。

「う、こ、これが……夢にまで見た……」
「あはぁん……はふぅ……」

見てない。断じて見てない。が、夢でだってここまでのものは手に入らないだろう。ここまで柔らかく、大きく、質量感のあるものがこの世にあるだろうか。

「そ、そろそろ……出ちまう……」
「えっ……もう……?」
「う、うっ……」

俺は、チカのきれいな顔めがけて、射ってしまった。

「ふわぁ……!」

そこで、冷静になった。周りの視線が、一気に頭の中にぐさっと刺さり、そして、俺達が邪魔で止まっていた自動車のボンネットが急に目に入り、驚いて飛び上がった。

『うわぁすごい……』『露出狂か……?』

意識が明晰になり、周りからの言葉も段々と耳に飛び込んでくるようになった。

「ご、ごめんチカ……!」

俺はすぐに、いつの間にか元に戻ったチカに謝ったが、返ってきたのは意外というかなんというか、ある意味場違いではない答えだった。

「いいよ、おにいちゃん……でも、責任取って、お嫁さんにしてね……?」
「は、はい……」

だから責任ってなんだ。と、満更でもない俺は思うのだった。

トキシフィケーション BE編

私の家に突然訪れた女性。唐突に尋ねられた。

「あなたが、私をグラマラスでボンキュッボンな身体にしてくれるお医者さん?」
「……ようこそ、我が手術室へ」

確かに、私は密かに身体を成長させる手立てがあると吹聴していたが、医者までとは言っていない。だが、まぁいいだろう。このうら若きお嬢さんは喜んで私の実験台、もとい患者になってくれるようだ。

「で、どういう手術をするの?シリコンを埋め込むの?それだけじゃないわよね?骨を移植したりとか……それに、よく考えてみたらすごく高いでしょ?」
「いいえ、非常に簡単な手術ですし、無償でやって差し上げますよ」
「ほんとう!?ラッキー!」

むしろ、こういう状況でないと、いくら金を払っても私の毒の被験体になる人間など一人も出てこないだろう。この頭の悪そうなティーンエージャーは奇跡のような存在だ。それに、手術が楽なのはこちらの方で、被験体には考えられないほどの痛みが走るはずである。まあ、私の知ったことではないが。

「あの、お名前は……」
「アリサでーす!」
「では、地下室の方へどうぞ」
「はーい」

ここまで何も疑わずに実験室に入った人物は弟を除けば誰もいない。服を脱いで手術台の上に横たわり、毒を注入するチューブがつながった鎖をかける時にも少し恥ずかしがったぐらいで、何の抵抗も示さなかった。

「んー、やっぱり私の身体って貧相ね」

背が低く寸胴で、尻はそれなりにあるが、驚くほど胸の膨らみが小さい。これで授乳の機能があると思えない。

「じっけ……手術を始める前に聞いておきますが、どこで私の事を聞いたんですか?」

こう聞いたのは、好奇心が少しと、私の噂の広がり方を確認するためだった。すでに噂が広まっている所で同じことを吹き込んだって、骨折り損だからな。

「私、これまで色々なサプリメントや運動を試してきたの。でも何の効果もなくて……それで学校の友達にあなたの事を聞いたの」
「なるほど……」

騙されやすいタイプなんだろうか、友達の話を真に受けて来たというわけだ。まあいい、余興はこれくらいにして、実験を始めるとしよう。

「それでは、始めます」

私は彼女に毒を送り込むスイッチに手を掛けた。

「ちょっと待って……それって」

私はアリサが何か言おうとするのを無視して、毒をスイッチをガチッと入れた。

《ゴボゴボゴボッ!!!》
「きゃあああっ!!!」

今回は実験的に100ml程度入れた所で止めてみることにした。アリサの痛覚は異物を感知して激しい刺激を脳に送っているようだ。彼女には済まないが、これは成長が終わるまで続く痛みだ。あっと言う間に100mlが入り終わったが、彼女は痛みに悶えているだけで、身体に変化は見られなかった。だが、私がスイッチを切った時だった。

《ボンッ!!!》
「うああああっ!!!!」

胸が急に隆起したのだ。平らな胸板に、スイカ大の球体が急に現れ、それに押しのけられた空気が私に吹き付けてくるのを感じるほどだった。それは、これまでの実験台と同じく、萎縮していく。そして、その分が他に行くように、手足が長く成長し、アリサは他の学生と変わらない体格になった。縮んだ胸はBカップといったところか。

「はぁ……これ、が……私!?やったぁ……」
「まだ終わってませんよ」
「え、いいです!これでお、終わりでいいです!!」
「あなたに決める権利はありませんよ」

再度スイッチに手をかけると、アリサの顔から血の気が引いた。

「や、やめて……」
「そうですね……いま緩やかな成長を見させていただいたので……」

スイッチの隣にある、「注入速度」と無駄に大きく書かれたつまみを、これまた派手に回した。もちろん「最大速度」だ。

「もっと、激しく……」
「いや、やだ……」
「成長してもらいます!!」

映画の悪役のように、パフォーマンスでもやるかのようにスイッチを入れた。

「ああああっ!!!!」

彼女は痛みで身体をこわばらせた。毒は容赦なく彼女の中に入っていき、侵された体細胞は一気に不安定になり、彼女の全身の皮膚がグニグニと波打った。死にはしないだろうかと我ながら不安になるほどだ。

《ビクンビクンッ!!》
「んあああっ!!」

乳首が異様に勃起し……というよりは他の部分と同じだろう、サイズが一定で無くなり、親指ほどに膨らんだり、逆に赤ん坊のそれと同じほどに縮んだりしている。Bカップに落ち着いていた胸のサイズも、左右バラバラに膨張収縮を繰り返している。

《ボワンッ!!》
「んぐぁぁああっっ!!!」

一瞬、彼女の体全体が爆発するように膨らんだが、いつもように体が抵抗しているのか、ギュギュギュッと痙攣しながら元に戻る。

「んんんんっっ!!!っ!!」

筋肉が不規則に痙攣し、手術台の上で彼女の体は暴れた。よく見ると、右腕が最初のサイズを下回って、小学生のようなサイズに落ち込んでいるのが分かる。逆に左腕はかなり大きくなって、大きく発達した筋肉で鎖を引っ張るせいで拘束具が悲鳴を上げている。

《ムクムク!ブワンッ!ミチミチッ!!》
「んはっ!!ふぁああっ!!」

アリサがエビ反りになったと思うと、その上で胸がブルンブルンと揺れながら大きくなっていく。そのまま左右が均等なまま成長していくとおもいきや左乳房が爆発的にバレーボールくらいに成長し、右乳房がコンマ数秒遅れてバスケットボールほどになった。それは彼女の心拍と連動してムクッ!ムクッ!とさらに大きくなろうとするが、さらに時間を開けて始まった収縮に追いつかず、10秒も経つとただの胸板に戻った。

《プルン!ボンッ!!》

もとの仰向けに戻ると、今度は臀部が左右別に張りを持ったまま急激に膨張し、彼女の体が持ち上がった。

《バキバキバキッ!!!》
「ああああっ!!」

それに合わせるかのように骨盤が大きく広がったのか、骨がきしむような音がして腰が横に張った。その幅は手術台からはみ出すほどになり、今さっき膨らんだ尻は引き伸ばされて厚さを失った。

《メキメキッ!ポキッ》
「くぅっ!あぅ!!」

骨盤から毒が骨伝いに伝わっていくように両足が伸びる。脂肪は発達しないのか、引き伸ばされてかなりガリガリな足の形が出来上がった。

《ググググッ……ムチィッ!!》

左足が震え始め、地響きのような音がして、その後すぐに骨が爆発したかのように脂肪が付いた。ほんの1秒で直径80cmほどになったそれは、太さが10cmくらいしかない右足に比べてかなり太い。

《ガクガクガクッ……ビチッ!!》

右足も左足に続き、太くなる。その中で何かが蠢いているように、足の形は一定にならず、加えてますます太く、長くなっていくように見える。目に見えてブクブクと膨れ上がるそれは、あまり成長していない上半身にかなり不釣り合いだ。と思っていると、

《ムギュゥウウッ!!ボワンッ!!》
「うわああッ!!はじけちゃうううう!!!」

足が何かに絞られるように細くなり、その反動と言わんばかりに乳房が上に飛び出した。足は縮み終わったあと、すぐにまた太くなり始めた。無理矢理急成長した乳房はかなりの張力を持っているようで、破裂直前の状態になっている。よく皮膚が持つなと思う。

《ブニュッ!!グキィッ!!》

その乳房自体も、脚と同じように、上からおもりが落ちてきて潰されたかのように一気に萎縮した。その分は、今度は右腕に詰め込まれ、中から腕を押し広げ、小学生のようであったそれは、ソーセージのようにパンパンに膨れ上がった。

《ムギュワッ!!!ボワァン!!》

再度かなり膨れていた足が一気に縮み、乳房が飛び上がるように膨張した。乳首が信じられない程に巨大化したが、すぐに乳房に吸収され、釣り合いの取れた大きさとなった。といっても、その乳房も手術台から1mの高さまでそびえる2つの山とも言えるほどの巨大なものになっていたが。腕の方は、太さを失うとともに伸び始め、かなり長く、肉感的なものになった。そこで体の不安定さは収まった。

「はぁ……はぁ……ちょっ……大きすぎ……それに……」
《ムクッムクッ……》
「まだ大きくなってる……!!」

私はスイッチを切っていなかった。毒は彼女の体に流れ続けている。手術台の上で、アリサの体はどんどん膨らんでいく。ジェニファーが大きくなった時の2mの身長を超え、毒が細胞に回るタイミング、心臓が血液を送り出すタイミングで、一回り、また一回り、断続的に大きくなる。

「いや、いやぁ……」

乳房は張りを保ちながら、すでに天井につきそうなバストが1サイズずつ上がっていく。もし、この私の体でも入りそうなサイズに名前が割り当てられていればの話だが。足の豊かな太ももも、ムチッ、ムチッと空気を入れられるように膨らみ続ける。注入量を見ると、ジェニファーに注入した500mlに対して、もう4倍の2000mlは投入していることがわかった。実験は十分だろう。私はスイッチを切った。

「どうですか?」
「も、もうお嫁に行けない……」
「この薬を飲めば元に戻れますよ」

アリサを手術台から開放すると、私はいつも手渡す薬を一錠、彼女に飲ませた。すると、彼女の体はある程度戻ったのだが、元のチンマリとしたものには戻らず、身長180cmほどの爆乳ムチムチな、わがままボディで止まってしまった。

「ふむ……興味深い。ある程度までしか戻らないか」
「興味深い、じゃないわよ!……でも、ちょっとアグレッシブだけど、この体も良さそう……」

アリサは手術台に座り掛け直し、ギリギリ自分の手で持てるほどになった、Zカップほどの豊満な乳房を抱きしめた。元々深い谷間がもっと深くなった。そのムニュムニュと変形する様からも、その素晴らしい質感がうかがえる。これからも被験者を増やしていくべきかもしれない。おっと、あの少年のことを忘れていたな……明日で薬が切れる彼のことを。