大鑑巨人主義!前編

ここはとある巨大テレビ局の仮眠室。取材続きの疲れの中、俺はぐっすり寝ていた。が…

ドーンッ!!

「な、なんだなんだ!!」

俺は、大きな揺れに飛び起きた。そのゆれは地震のように長く続かず、すぐに収まった。俺が寝ていた仮眠室に、編集長が飛び込んできた。

「おい、スクープが取れるぞ、早くヘリに乗れ!」
「は!?」
「いいからはやく!」

俺は編集長に怒鳴られるままに、取材ヘリが収容してある屋上へと向かった。ヘリコプターはすでにローターを起動し、すぐに飛び立てる準備がしてあった。

「お、渡辺!お前つい3時間前まで徹夜の取材してたのに大丈夫か!」

パイロットの岡部が、ヘリコプターの方に走ってくる俺を見て笑った。あいつだって、同じ取材で疲れきってたはずなのに。

「編集長に言われたんだよ、それで、なんだよスクープって、さっきの揺れと関係有るのか?」
「あ?なんだお前、知らないのか。まあ離陸すればすぐ分かるさ」

俺が寝ている間に多くのことが起きたかのように言われた。地震か?それとも火山の噴火?疑いながらも、ヘリのカメラの後ろに腰を下ろし、ヘッドセットに喋った。

「いいぞ、さっさと終わらせよう!」
「ふん、きっと驚くぞ」

ローターの回転数が上がり、ヘリはヘリパッドを離れた。テレビ局の屋根が離れていく。

「な、なんだありゃ……!」
「すげーだろ」

隠れていたテレビ局の下の風景が一気に広がったが、見えたのはいつもの港や町並みだけではなく、なにかすごく大きいもの。いや、明らかに人間なのだが、そのスケールは俺の常識をはるかに上回っていた。こんなの、テレビの特撮もの以外で見たことがない。

「あれは……女性か……?」

そこには、東京タワーより少し背が低めで、体型的には長身、緑なす黒髪は、中層ビルほどの高さにある腰まで伸びている。弓を持ち、矢筒を背中に抱えていることから、射手なのだろうが、あの矢は高層ビルすら貫き通すだろう。全体的に赤を貴重とした射手の服の上に、黒い大きな胸当てを当てている。足の方は、何やら下駄のような、はたまた軍船の艦首のような、何かを履いている。それに、何だろう。肩から下げている盾には、まるで旧型の航空母艦のような……

「お、おい、寝ぼけてんのかよ!さっさとカメラを回せ!」
「はっ!俺としたことが……」

俺がぼーっと「ソイツ」を眺めているのを見かねて、岡部が言ってきた。といっても、どこを撮ればいいのやら。そのものすごく戸惑っている顔か、胸当てがあってもわかるようなふくよかな胸か、それともニーソックスに包まれた健康的な脚か……どうにもこうにも、全身が大きすぎてカメラに収まりきらない。身長が250mはありそうだ。

「こ、ここは東京、ですよね……?多分、あれが陛下のおわします所で……じゃあ南に行けば……」

少し動くだけで何もかも破壊してしまいそうな大きな体とは裏腹に、汚れのない、どこかにプライドを漂わせる声で、彼女は独り言をつぶやいた。どうやら、東京を破壊しに来た無慈悲な生物では、少なくともないらしい。

「南って……どっちです……?」

なんだろう、何かかわいそうになってきた。半分涙声になってきたその巨人に、俺は話しかけてみることにした。

「おい、岡部、もう少し近づけるか?」
「大丈夫かよ、あんな大きいのに近づいて……」
「スクープを取りたいんだろ、俺が独占インタビューしてやるからさ!」
「なにバカなこと言って……ああもう、近づきゃいいんだろ!?」

岡部は機体を動かし、彼女に近づいていった。200mくらいになったところで、あちらもこちらに気づいたようだ。

「な、なんですか?この飛行機……?何で浮いてられるんですか……?すごいです!」

こんな状況でも好奇心いっぱいなのか、顔を近づけてきた。おかげで、喋りやすくなった。俺は拡声器の電源を入れ、巨人に向かって叫んだ。

「あの!!お名前をお伺いしても!?」
「ひゃっ!?」

いきなり声を出したせいで、巨人がたじろいだ。それで一歩後ろに退いてしまい、その足からドーンッ!という轟音が聞こえてきた。みると、下のビルが粉砕され、跡形もなく消え去っていたのだ。

「ああ……大丈夫ですよね……?」
「ああ!!この地帯は避難命令が出て誰も居ないはずだから!!それよりもお名前!!」
「あ、私は、連合艦隊、第一航空戦隊の赤城と申します。母港を探していたら……いつの間にかここに……」

赤城?ミッドウェー海戦で喪失したことで、連合艦隊の能力が大きく低下してしまったという、あの赤城?

「あの、赤城は航空母艦のはずで、こんな大きな人間女性ではないですよね?」
「……信じられないとは思いますが、私も信じられないのです。人間の形を持つことになるなんて、夢にも思っていませんでした。だけど、現にこうなってしまったのです。横須賀に、横須賀に帰らないと……」
「横須賀、ですか……」

神奈川の大きな米軍基地がある、今の横須賀。もし彼女が旧日本軍の空母であったとして、母港のほとんどが敵国の基地になっていると知ったら、どうなることだろうか。

「あ、そうですよ、あなたならどちらにあるかご存知ですよね?」
「うっ」

本当に案内すべきか迷った。日本に現れた巨大女が、米軍の基地を壊滅させる、なんて、とんだ大事件だ。しかし、横須賀まで飛んでいける燃料はあるし、他の海上自衛隊の基地を見せても納得しないだろうし……今さらこのネタを逃すわけにも行かない。

「いいでしょう、ただし、できるだけ市街地に被害は出さないようにしてくださいね!」
「え、ええ、それはもちろん……」

俺は岡部の方にアイコンタクトをした。岡部は肩をすくめて、横須賀に進路をとった。

「では、ついてきてください」
「はい、ってうわぁ!!」

いきなりのハプニングだ。赤城は低層ビルにつまづいてしまい、天王洲アイル駅の真上に倒れてしまった。東京モノレールの線路はポキッと折れ、埋立地の弱い地盤はえぐられ、手を突いた先の首都高の橋桁は破壊されて下の運河に落ちていってしまった。

「あいったたた……」

本人は痛がっているが、真下の人の安否が心配だ。それにどう転んでも、この地帯の修復には何週間もかかるだろう。だが、それは俺の知ったことではない。コミュニケーションが成功した今、赤城自体のことをまともに取材できる一員になったのだ。下の被害は誰か他の奴らがやってくれるにちがいない。

「すみません……本当に……」

すぐに立ち上がった赤城のスカートにはモノレールの車両がひしゃげてくっついていたが、赤城が払うとぺろっと落ちていき、地面に激突して粉々になった。

「多分、大丈夫ですから……」
「気をつけます……」

赤城は履物を運河の水面に付けた。すると履物は沈むこと無く赤城の体重を支え、赤城はスケートをするように運河の上を流れ始めた。

「じゃあ、行きましょうか」

赤城はそのまま、東京湾のほうに滑っていった。(つづく)

変身描写だけ書きたい!(TS1)

「やっぱり偽物だったのかなー、あんなに安い薬で、1000円もしない錠剤で性転換できるわけなかったんだ」

薬を飲んで10分しても、効果は現れなかった。結局、夜が来てしまいベッドに横たわる尊(たける)。

「女の子になってたらどうなってたんだろう」

そう考えている彼は、自分の脈拍が早くなってきているのに気づいた。

ドキドキドキドキ……

「どうしたんだ、僕……なんか、変……」

自分の胸を見てみると、その心臓の動きがはっきりと見えるほど大きな脈を打っている。

「はぁ……はぁ……まさか、今頃……うぅっ……!!」

その鼓動の大きさは、一回ごとに尊に衝撃を与えるほどになっていた。彼の意識は朦朧としていたが、その痛みで身を捩ってしまう。

「くるし……いたっ……ああっ!!」

今やドクドクと動いているのは胸だけではなかった。その腕、足、そして顔すらも、定形を失って、ときおりボコッと何かが浮き上がっては沈んでいくようなうごめき方をしている。それに、全身の骨からギシギシメキメキときしむ音が聞こえ始めている。髪は下に引っ張られるように毛根が痛み出し、伸長を始めていた。

「くぅっ……こんなに痛い……なんてぇっ!」

ついに筋肉や骨から来る痛みに耐え切れなくなった尊は、ベッドの上でバタバタと身悶えてしまう。服で隠れて見えないその男としての小さな乳頭も、他の部分と同じように普通の女性よりも大きくなったり、はたまた赤子よりも小さくなったりと、左右バラバラに膨縮を繰り返すようになっている。指の長さすらも元からかなり逸脱している。まるで、尊の中で薬が暴れ回り、そこらじゅうを中から蹴ったり、殴ったりしているようだった。

「ああっ……あああああっっ!!!」

そして突然胸が盛り上がり始め、丸い膨らみがパジャマを引っ張り、引きちぎらんばかりに押し上げていく。その上で成長と萎縮を繰り返すことを止めない乳首がビクンビクンと暴れ回り、パジャマはそのせいでギチッギチッと悲鳴を上げる。膨らみは尊が激しく体を動かす慣性の力で、ブルンブルンと揺れている。

「うぐっ……ううううっ!!」

パジャマが上に引っ張られて見えていた、腹筋が発達した腹部が変形していく。その割れた筋肉はグキリグキリと、見えない力に潰されるように、部分部分が消滅していく。それと同時に、横からもギュッと腰が握られるように幅を縮め、一気にくびれる。生えていた体毛はスッと中に吸い込まれ、あとにはきめ細かい肌が残った。

「あぅっ……ぐぎゅぅうううう!!」

高くなっていく声で尊は叫び続ける。その尻が、胸と同様丸く膨らみ始め、パジャマの尻の部分を一杯にしていく。ブクッブクッと左右がそれぞれに大きくなって、キュッと張力が出る。腿の部分にも十分すぎるほどの脂肪がついて、その縫い目からブチブチッと糸がほつれる音が聞こえた。

「はっ……はっ……」

叫びすぎて酸素が不足し、もう声が出なくなっているが、それでも全身のうごめきは止まらず、先程から胸を圧迫する乳房も、大きくなり続ける。が、一瞬で引っ込んだ。

「はぁ……はぁ……むね……が……」

尊は苦悶の表情のままだが体を動かすのをやめ、胸を押さえた。

「あ、ああっ……」

平になっていた胸が、最初の心臓の動きのように鼓動する。そして、

「ああああああっ!!」

尊の叫びと同時に、ぼぎゃんっ!!と内部で爆発が起こったようにバスケットボール大まで瞬時に爆膨した。パジャマはそれに耐えきれるはずもなく、乳房がバインッと外に飛び出し、さらに一回り急拡大して、バランスボール並みのサイズになってしまった。そうなったところで、激しい脈拍は元に戻り、体のうごめきも止まった。

「おわ……った……のか……」

尊は身長はそのまま、男の特徴は失い、逆に女の特徴が過激なほど存在している全く別の人間になっていた。着く所に付き過ぎた脂肪と、かなりくびれた腰。それに、爆乳を超えた「超乳」と呼ばれるほどの大きさの、体にのしかかるような乳房。やすい薬で済ませようとした代償として、移動の自由をほぼ根こそぎ奪われてしまったのだった。

白い惑星(天彦コテさんから白扇さんをお借りしました)

天彦コテさん(http://www.pixiv.net/member.php?id=2570859)に許可をいただきこの方のオリキャラである爆乳狐っ子の白扇さんを、私の書ける範囲まで巨大化させてみました。


日本のある日本家屋。そこに、二人の女性が住んでいた。

「そろそろお帰りかしら…」

時計を見ながら呟く、銀白色の長い髪を垂らしている、身長190cmほどの、背の高い女性は、白扇(びゃくせん)。女性といっても、その髪からはスッと一対の狐耳が立ち、腰からはふかふかした尻尾が生えている。白扇は狐の神なのだ。ただその彼女を狐たらしめている特徴の他にも、着ている振り袖の胸の部分を、大きく押し上げる乳房はそれ一つ一つがビーチボールが入りそうなほど大きい。

「とーさま遅い…」

白扇に寄り添う、小さな女の子は九音(ここね)。二人が待っている男性の人間、天彦と、白扇の間に生まれた人と神のハーフである。母親の外見とかなり似ているが、白扇の豊満で長身な体型は受け継がれていないのか、華奢だ。それに、白扇がアメジストの瞳と銀色の髪を持つのに比べると、九音は全体的に桜色が混じり、髪も肩までしかとどかない、フワフワとした内巻きのくせ毛だ。

そんな二人に、呼び鈴が父親の帰宅を知らせた。

「とーさま!」

九音はすぐに玄関に駆けていき、引き戸を開けた。

「とーさま!とーさまおかえり!」

白扇も微笑みをたたえながら九音に遅れて玄関に脚を運んだ。

「おかえりなさい」

九音に抱きつかれ、頭を撫でている天彦に、声をかける。

「白扇さん、ただいま帰りました」

その顔は、冬の冷気で熱を奪われたのか、すこし青ざめているようだった。白扇は、用意しておいた夕食を告げる。とっておきの、秘密の材料をふんだんに使ったものだ。

「お疲れでしょう。今日はお手製のクリームシチューですよ」
「そうですか!それは楽しみですね」
「さ、上がってください」

白扇は天彦の部屋についていき、服を着替えるのを手伝う。乳房がむにむにと当たり、天彦の耳が赤くなっているのをみて、白扇はクスッとしながら言った。

「今日も、お疲れ様です」
「いいえ、そんなことは…」

一連のことがすむと、二人は共に食卓についた。

「じゃ、いただきます!」
「どうぞ召し上がれ」

天彦は食器を手にとって、シチューをゆっくりと口に入れると、すぐに満足そうな表情になった。

「おいしい…」

彼の褒め言葉に、白扇の心は浮き上がった。

「あなたの言葉、嬉しいです……頑張って作った甲斐がありましたね、九音」
「とーさまの為に二人で作ったんだよねっ!」
「そうなんですか。じゃあちゃんと味を確かめて食べないと」

天彦はシチューを一口一口、ゆっくりと食べていく。そうするごとに、目を閉じ、味を確かめているようだ。食べ終わると、天彦は惜しそうに言った。

「ああ、もうなくなってしまった。美味しかったなあ、もっと食べたいですね…」
「あら、それではミルクをもっと沢山お作りしないと」

実は、シチューの秘密の材料とは、白扇自身からでた母乳だったのだ。

「えっ、白扇が作ったんですか…通りで」
「ええ…また、余計なことをしてしまいました?」
「いえいえ、これ以上の満足感はどうやっても得られませんよ…」

白扇の綺麗な尻尾がパタパタと勢い良く動く。よほど嬉しいらしい。

「では、今からでもお作りしますね!」
「え、ちょっと…」

自分の能力で乳房を膨らまし始める白扇。肌色の部分が振り袖からムクムクとその姿をのぞかせ始める。だが、天彦はそれを制した。

「なんですか?」
「今日は、大丈夫ですよ…」
「そ、そうですか…」

少しシュンとして、耳が垂れてしまう。天彦は申し訳無さそうな顔をしているが、それ以上なにか言う前に、白扇は異変に気づいた。

「あ、あれ?あ、あなた…ちょっと…」
「どうしたんで…あ!」
「母さま!」

膨らますのを止めようとしても、胸の双丘は隆起を止めない。

「ど、どうしましょ…止まらないわ!」

ムギュムギュと育っていくそれは、不思議な力で支えられているように垂れること無く、どんどん大きくなる。食卓の上を覆い尽くしてしまったそれを、身長が高く、豊満な体を持つ白扇も支えきれなくなっていく。

「白扇!」
「お、重いー!あ!」

ついに白扇がバランスを崩し前に倒れてしまった。食事用の机をぶち壊して、床にドタプーン!と胸の洪水が起こる。

「大丈夫ですか!」
「発情期でも無いのに、こんな、はしたない事を…でも胸に飛び込んでくる神通力が止まらないんです…それに、気持ちよくって、もう、なんて言ったらいいのか……」

今や白扇の体は胸の上に乗っかっている。不定期に訪れる発情期にはこれくらいの大きさにして天彦を誘ってくることもあるのだが、今の彼女は涙顔で、とても恥ずかしそうだ。

「とーさま、母さまを励ましてあげて!」

九音がすがるように天彦の脚にくっつく。すると天彦は少し考え、決心したようにその柔らかい膨らみに抱きついた。

「ひゃうっ!?あ、あなた一体どこを……」
「俺の大好きな白扇……俺を包み込んでくれ!」
「九音も母さまのこと好き!」

それは部屋を満たしていく。

「ああ、それでも、止まりません……」
「いいさ、俺はついていくよ……」
「九音もついてく!」

白扇の膨らみ続ける乳房に、二人は掴まっていた。ついには、家をいっぱいにした2つの球体は、家の構造を歪ませていく。家中の柱や梁がギシギシときしみ、ベキッと折れたりバキッと破断する。

「もう、もう、わたしっ!」

家の木材を吹き飛ばすように、ドンッと大きくなった。建材が粉々に砕け散り、家は一瞬で瓦礫と化した。

「はぁっ……あ、あらあら……直すのが大変……あら?」
「どうしたんです……?あっ!」
「母さま、大きくなってる!」

今や大きさを増しているのは胸だけではない。白扇の豊満な体全体がムクムクと大きくなっていた。しかし、敷地を満たし始めた、直径が20mはある肌色の柔球に乗っている状態は、全く変わらない。

「確かに、全身が熱くなってる……どうしましょう……」

その落ち着いた声と裏腹に、乳房はドドドドと庭にある井戸や納屋、とにかく全部のものを押しのけ壊し、自分の存在する場所を増やしていく。

「これは、すぐには収まりそうにありませんね」

天彦も、もうどうにでもなれ、と言った感じに落ち着いている。白扇は神であるし、神通力が体の中に溜まっていっているなら全て元通りにできると踏んでいたのだ。

「そうですね……」

庭の塀と生け垣をバサッとなぎ倒し、道に溢れ出す乳房。天彦たちがいるところは、もはや10階建のビルより高い。それに、膨張のスピードは加速度的に上がって、直径が30mから50m、50mから100mとドンッドンッと毎回何かが爆発するかのように大きくなり、どんどん周りの土地をえぐり返し、吹き飛ばしながら侵食していく。隣の家などはもう潰されてしまった。そして、今は3階建てのマンションに圧力をかけ始めたと思ったら、次のボワンッとした胸の爆発で、倒壊するというより飲み込まれてしまった。

「わぁい、母さまのお胸ふかふかー!」
「こら、九音……」

肌色の文字通り丘の上ではしゃぐ娘を諌める白扇の声は、今は街中に響く。身長はもう10mを超え、小さな九音の声をどうやって聞いたのか、わからないほどだ。

「俺も気持ちいいですよ」
「あなたまで……」

街の明かりに照らしだされる2つの球体の上で、白扇は半ば困ったように微笑んだ。

「もう、しかたないですね…ひゃぅっ!?今何かピリッと……」

ついに近くの高圧電線に達した、東京ドームにも収まらないであろう乳房が、それをプチッと切ってしまったのだ。

「はうっ!……気持よかった……ハッ……」

その電撃が、白扇の体に伝わっていた。電源を失った街は、フッと暗くなった。暗い中で、ゴゴッゴゴゴゴッと膨張を続けるそれは、頑丈な鉄筋コンクリートで作られた町役場や学校をいともたやすく飲み込み、押しつぶしていく。

「わたしのお胸が……コリコリするっ……ひぃっ!?」

コンクリートが立てるゴロゴロという音が、雷嫌いの白扇の耳に伝わったようだ。何が起こっているか察しがついていた天彦は、そんな彼女をからかうように言った。

「雷神様を、怒らせてしまったかもしれないですね」
「えっ!お助けを!」
「くわばらくわばらー!」

白扇に加えて九音もそのピンっと立った耳を手で押さえて震える。その身長が1kmになっている、巨大な体の震えは10kmを超える乳房にも伝わり、大地震を巻き起こしていたが、そこまでは気づかない天彦だった。

「あはは、冗談ですよ。雷では、無いと思います」
「え?もう……あなたったら……」
「とーさまの意地悪!」
「あら……?」

白扇は遠くに見える港町の明かりを見て、目を輝かせた。

「綺麗……」
「そうですね……」
「ひゃっ!冷たい!」

30kmを超えるようになった乳房が海にも入り込み、冷たい水に浸かっているのだった。段階的にボワンッと大きくなる巨大な質量のせいで、船舶は転覆を免れず、津波が起きてしまうほどだった。

「ね、ねえあなた、あなたったら!」

白扇が天彦を見ると、なんと凍りついていた。高度はもう対流圏から抜け、成層圏の真ん中。気温は今は上がっているものの、マイナス40℃で、人体が耐えられるわけがなかった。

「とーさま、大丈夫!?」
「わたしとしたことが、今治してあげますからね」

白扇は天彦にふーっと息を吹きかける。すると氷はすぐに溶け、天彦は元に戻った。

「結構、高くまで来ましたね……富士山もあんなに下に……って、どうしたんです?」

凍っていた時の記憶がないようだ。心配そうに見つめる巨大な白扇の顔――今はそれだけで1kmくらいの大きさがあるが――を見て、きょとんとする。気が緩んだのか、白扇は吹き出してしまう。

「だ、だからなんですかって!」
「いいんです、それに、いい景色ですよ」

高度は200kmに達していて、雲の上から日本列島の形がくっきり見えていた。同時に、地表では肌色の巨大な何かに飛行機は衝突し(というより飛び込んで包み込まれ)、地面はえぐられ、山は削られ、街は潰されて、とどめを刺すように、それがゴゴゴッと大きくなる度に衝撃波が生まれて、何もかも破壊されつくされていた。

「んっ……!ちょ、ちょっと冷たいですけどっ!それに、またピリピリっ!」

ほぼ真空で凍りつかないほうがおかしい高度にある体の方は耐えられているのに、胸の方は感度が高いらしく、太平洋の冷水で白扇は刺激を受け続けているようだ。それに今度は本物の雷が繊細な肌に襲いかかっていた。白扇は少し顔を赤らめている。

「段々、収まっては来ていますけどね……!」
「あはは、そうですか……」

それも白扇の体熱が海水に移るのに加え、地上にあるもの全部を足しあわせても追いつかないほどの大きさの胸が、爆発的に膨張する衝撃で、海水が撹拌されて温まっていたのだ。もうその大きさを図れるものといえばどこかの小惑星程度だろう。それでも、止まること無く成長していく。

「あら、月が……気持ちいい……」

白扇の体に、沈んでいた月の月光が当たり始めていた。すると、成長の度合いがこれでもかというくらいに高まり、白扇の乳房は一気に日本列島と日本海を覆い尽くし、大陸プレートが、偏って掛かった重さに耐え切れず折れてしまった。

「ひゃっ、あついっ!」

その下から出てきたマントルが白扇に仕返しするように刺激する。返しうちするように白扇の球体はユーラシア大陸と太平洋をあっと言う間に覆い、地球の形が歪んでいく。

「今度は、太陽が……あら……」

当たり始めた太陽光に呼応するように先端からピューッと白い液体が出始める。しかしピューッというのは白扇から見た母乳の出方の例えであって、地表では地殻を削り取るドリルのようにゴゴゴゴッッッ!!!という音を出して地面に当たっているのだった。あっと言う間に地表は白い液体で満たされ、地球の裏側まで、真っ白に染まってしまった。今や地球は白い惑星だ。

「ちょ、あ……!」

乳房の巨大化も衰えを知らず、地球を3分の2は覆っている。もはや地球にそれを支える力はなかった。グシャッという音を立てて、地球は白扇の乳房に潰された。

「あらあら……」

今となっては地球は乳房が発する重力に引きつけられる、白扇の母乳に混じったただのケイ素の塊だ。

「どうしましょうかね……」

天彦の声が乳房の上から聞こえてくる。体の大きさは何億倍も違うが、白扇はその声が聞こえてきた方にニコッと笑って言った。

「もとに戻すのは簡単ですよ、でも、今は3人だけの時間を楽しみましょ……」
「ふふ、そうしましょうか」

白扇と、彼女の力で大きくなった天彦と九音は、太陽の光を浴びながら、しばらく宇宙を舞うことにした。地球の10倍、100倍、1000倍とますます拡張していく白扇の乳房は、その大きさに対して石粒程度しかない月を、さも液体であったかのようにクシャッと潰してしまう。

「かーさま、お月様が!」
「まあ……どうしましょ……」

太陽系の中で一番大きな惑星である木星のサイズまで膨らみ、今なお膨らむことを止めない乳房は、火星を吸い寄せて飲み込み、ついに太陽に近づいた。

「すごい力を感じます……!……んあっ!」

太陽の何万倍にも膨張した肌色の双球は、いとも簡単に太陽を破壊し、吸収した。それに呼応するように白扇の体がほのかに光りだした。

「おっぱいからすごい力が……これは……わたしが太陽に取って代わってしまったんですね!」
「さすが白扇です」
「うふふ」

太陽系の真ん中を埋め尽くす白扇の乳房は、他の星系に近づくまで大きくなった彼女が、さすがに辟易して全て元に戻すまで、周りの星々に淡い光を放っていた。

壁ドンしてみた2

「ね、ほんとにやるの?また?」
「こ、この前のは場所が悪かったんだよ…」

理科準備室の壁のそばで話す俺と菜美。あのあと俺達は夜が明けるまでイチャイチャしあった…というより、俺がいじられあそばれ、はたまた奴隷のような存在に成り下がって体も性格も大きくなった菜美に好き放題されていた。少なくとも菜美が言うにはそうらしい。俺にはその時の記憶は一切残っていない。というわけで、今回は仕切り直しだ。

「じゃあ、行くぞ」

ドンッ!

俺は壁を叩いた。そして、すぐに俺は後悔した。俺の体は見えない力で前にギュッと引っ張られ、菜美にピッタリとくっついてしまった。

「いたい!ねえ、どうしたの!」
「わ、わからない、けど…」

それだけではなかった。俺の体の中に、菜美の体から何かが移ってきていた。俺の皮膚が何かを吸い込む強い感覚が伝わってきているのだ。空いている片方の手をそこにあてると、信じられないことが起きていた。

「俺達、くっついてる……?」
「そんなの、言われなくてもわかるよっ!」
「いや、本当にくっついてるんだって!!」

俺の腹と菜美の腹の皮膚がつながり、境界線がなくなっていた。そして、俺の腹が膨らんでいるのがわかった。菜美は、俺に吸収されようとしていた。それに、胸の部分がきつくなっているような気がする。

「これって、まさか……」
「孝康、胸が膨らんでるよ……!?」
「そんな、ばかな」

俺の胸の筋肉が成長しているとでも言うのだろうか。服を脱いでみると、それは全くの見当違いだということに気付かされた。成長しているのは筋肉ではなく、脂肪と肉のかたまり。ほとんど機能を失っているはずの授乳器官。それが、ムクムクと俺の胸の上で盛り上がってきていたのだ。

その胸は、すぐ前にあった菜美の顔を覆い隠してしまった。離そうとして引っ張るも、すぐに胸と顔が融合を始めたようで、そこから吸い込むような感覚と同時に、自分の体が押し広げられていく感触も感じられ始める。そして、菜美の頭が占有していた空間は、急激に巨大化した乳房に取って代わられ、髪すらも吸い尽くされてしまった。

「な、菜美……!」

俺は、自分の声がこの前のように変わっていくのを聞いた。段々と高くなっていくそれは、前回とは違って、子供のようではなく大人の女性のものである。菜美の体と足もズブズブと俺の体の中に入ってくる。時を同じくしてズボンが小さくなっていき、かなりの圧迫感を感じたが、すぐにビリビリという音がして、その圧迫感はなくなった。

吸い込む感覚が消えたとき、俺は壁に一人手を突いてたたずむ俺であって俺でない何かになっていることを実感した。頭が重く、胸が重く、とにかく全身が重い。服が破れてしまったことで全身が肌寒い。腕を見てみると、ムダ毛は全くなくなっていて、すべすべした肌になっていた。乳房もこれまでみたことのないほどのものだが、この前子供になったときにみた、大人の菜美のものよりはインパクトが薄い。手を伸ばして尻を触ると、もちもちとした柔らかく、それでいて弾力のある触感が伝わってくる。

それに、周りのものが小さい。菜美を吸い込んだ分身長も大きくなったということだろうか。

「これからどうしよう……」

呆然とする俺。おっぱいが大きい女性は好きなことは好きだが、自分がなった所で……

「今日の帰りゲーセンいかねー?」

ドクンッ!

外からオトコの声が聞こえてきて、おれの中に衝撃が走った。なんだろう、このキモチ……

「あー、今日カネないんだよなー」

ドクンッ!

……ピチピチで美味しそうなオトコ……いけない、何を考えて……わたし……おれ……あれ、なんなの……これ……

「んなケチなこと言わなくてもいいだろー減るもんじゃなし」

……うふ、もう……耐えられないぃ……

ドアを開けると、そこには思った通り若くて未熟な男の子たちがいた。ワタシの大好物……!

「えっ、お姉さん、誰です……」
「そんなこと、どうでもいいじゃないの……」

一人に不意打ちの口づけをすると、バタンと倒れちゃった。ワタシの色気にヤラレちゃったのかなっ?股がすごく盛り上がって、ジッパーが悲鳴を上げてる。ほとんど本能でそれを開けると、ビンっと立った肉棒が飛び出てきた。

「あらあら、童貞さんなのね」

ワタシのおっぱいで、挟んで揉みほぐしてあげると、中に溜まっていたモノがピュッと飛び出してきた。あつくて、おいしいモノ。横で呆然としてる子は、後のお楽しみにしておこうかな。あはっ、楽しい夜になりそう……

質問バトン

1.アイデアとかどうやって出してますか?

ツイッターをボーっと眺めたりするときに、目に止まったシチュに変身描写を入れるにはどうしたらいいかなとか考えて、それが良かったらSS化します。逆に変身描写を先に決めておいてシチュを後から考えるときもあったり。つまりテキトーです。

2.アイデアが出やすい場所は?

ベッドの上。目を閉じて寝っ転がってる時が一番出やすいです。でも電車の中で思いつく時もあります。他の場所でも多々。

3.作品を仕上げるのにどれくらいかかる?

書き始めたら3時間以内に終わらせます。ネタが腐る前に。

4.今までで一番嬉しかった感想は?

「捗る」ですかね。結局そっち方面の欲求を満たすために書いてるので。。

5.尊敬する人は?

尊敬というより興味の対象になる人が多いのです。本当に尊敬している人はここでは名前出せないです。偉人も知らないので。

6.目標とかありますか?

変身描写をイラストでも映像でも、視覚化する技術がほしいです……は、願望、なので、とりあえず作品数100とでも言っておきます。

7.描きたいジャンルは?

体型変化ならなんでも書きたい~!けど、やっぱり急成長モノの長編……あ、頭が痛くなってきた。

書き終えてないのがいっぱいなのでまずそこからですね。

8.回してくれた人の作品をどう思う?

TSFをほぼエロ無しで書いて・描いている人で、その感性には少し憧れています。方向性は違いますが、TSF創作では大先輩です。

9.お疲れ様でした。

うわぁ何も答えられてないって感じがします。考えをまとめるのにも一苦労するくらいいつもテキトーに生きてることがわかりました。

壁ドンしてみた1

体育館の倉庫で、俺と、恋人の菜美は壁のそばに近寄りこそこそと話していた。

「孝康、本当に、やるの……?」
「ああ、俺らの愛が禁忌になんて負けないってことを、みんなに分からせるんだ」

この学校には禁忌、タブーがある。本当に馬鹿馬鹿しいが、その馬鹿馬鹿しさと同じくらい恐ろしい……ものらしい。それは……

「壁ドン、するぞ……!」
「うんっ……!」

壁ドン。昔はこの行為には別の名前があったようだが、今の流行語の意味と同じで、男が壁に背中で寄りかかっている女と話している最中に、壁を叩いて女に格好よくみせる行為だ。それが、この学校では禁止されている。風紀を重んじるため、とは言われているが本当は呪いとか何からしい。まあ、今のは一回くらいなら何も起こらないだろうという余裕を、格好良く言って見せただけだ。

「じゃあ……」

ドンッと壁を叩くと、菜美は小さな叫び声を上げた。

「きゃっ」
「俺のこと、見てくれ……」
「孝康、かっこいい……」

恐れを出さなかった俺の顔を見て、菜美が讃えてくれる。ああ、上目遣いのその可愛い顔をなでて、そのまま……

「ん?」
「ど、どしたの……?」
「いや、なんか……」

俺を大きな違和感が襲った。まるで、俺が立っている場所が下にしずんで行くような……逆に菜美は上がっているような、菜美をまえにたたせてエスカレーターで上がり始めたときと同じ感覚がする。

「ん……っ!体が……熱くなってるよう……」
「菜美っ……!?」

菜美が急に苦しみだし、喘ぐ。すると、突然シャツがギチギチと言い出した。見ると、それなりの大きさだった菜美の胸の膨らみが、数倍の大きさになって、シャツの中をいっぱいにし、それでも足りないらしくボタンを破って突き出してこようとしていた。

「んあっ……!!」

ボタンはその勢いに数秒しか耐えることができなかった。ブツブツというより、バババッ!!という音を出して飛んでいってしまい、中にあった豊満なおっぱいが、ぶるんと飛び出してきた。その下半分を抑えている下着のせいで、少し歪な形になっているそれは、紛れもなく本物だ。空気で膨らましたとかではなく、みっちりと脂肪がつまったものだ。しかも、ムクリムクリと菜美の心臓の鼓動に合わせるようにさらに大きくなっていく。

「あぅ……!!」

それは、だんだんと俺の顔に近づいてきた。大きくなると同時に、上昇してきているのだ。俺は、自分の体にも違和感を感じて、その胸よりもさらに視線を下に向けた。

「な、なんだ……これ!?」

地面がものすごく近くなっている。それが最初に思ったことだ。つぎに気づいたのは、ズボンがぶかぶかでいまにもずり落ちそうなこと。ここから出した結論。

「俺が、小さくなってる……?」
「あぁんっ……!」
「えっ……?」

いままで聞いたこともないような淫らな喘ぎ声が聞こえて、頭を上に向け直した。すこし華奢で背は女子としては普通だった菜美が、大きくなっている。元の俺よりも背が高く、いまや胸の部分だけでなく、全身の服がぴっちりと輪郭がそのまま出てしまうほど体に密着している。ついさっき可愛らしいと思った顔には、艶やかさがついてきて、口の緩み具合はその成長を楽しんでいるようだ。

「お尻……あつい……大きくなるぅっ!」

菜美の様子を確認している間に、俺の背の高さは菜美の腰のあたりまでのものとなってしまった。スカートは腰からビリビリと破け始めていたが、その菜美の声と同時に裂け目が急拡大し、尻の部分ががムクッと太くなった。服の丈が合わず出ているウエストが、同時にグギュッと絞られるようにくびれて、一層の女性らしさを醸し出した。

「な、菜美……?」
「たかやすくぅん……?もうちょっとまっててね……?んっ……!」

尻に対して少し細すぎる足に、ムチッと脂肪がついた。

「この体、最高ね……!」

菜美は自分の体を愛でる、撫でる。元の純粋な菜美からは考えつきもしない、妖艶なその表情は誘惑的どころか、俺に恐怖を与えるほどのものだ。

「ど、どうしたんだ菜美」

俺は、自分の小学生並みの高さになった幼い声は気にせず、恋人に問いかける。すると、菜美の瞳が、じっと俺が何かの獲物であるかのように見つめてきた。

「孝康くん……かわいい子ね……食べちゃおうかなぁ」
「ひっ!?」

逃げる。その一言が、頭の中に浮かんだ。しかしそれを行動にうつそうとしたときには、もう遅かった。菜美の手のひらは、俺の腕をつかんでいた。いつもなら、菜美の手のひらは小さく俺の腕は自分で言うのも何だがたくましい。腕を掴まれることも、戯れの一つだ。しかし今は違う。それは、もはや束縛、捕獲だ。

「逃げちゃダメよ……?うふふっ……」
「や、やめてぇ!」

俺は食われる餌、もてあばれる獲物だ。口で抵抗はできても、行動は菜美の言う通りにしか許されなくなっていた。

「もぷぅっ」

俺はもう一方の手で体を持ち上げられ、顔をおっぱいに突っ込まれてしまった。その顔いっぱいに、何とも言えない柔らかさと、暖かさと、プルプルした触感が伝わってくる。

「私のおっぱいで、いっちゃいなさい……」
「は、はぅ」

小学生程度の小さな体の中で、俺の精神は最後の抵抗をした。無駄で、短い最後の抵抗を。

「菜美さん……俺……あそんでください……」
「なぁに……?もう一回言って……?」
「俺の体を、もうどうにでもしちゃって……!!」
「ぼ、く。でしょ?それに、私のことはお姉ちゃんって呼びなさい」

そのとき、菜美の調教は始まろうとしていた。

「おねえ……ちゃん!」
「うふふ、よぉくできました……かわいいかわいいたかひろちゃん……」

城プロ妄想

「城主様、城主様!」
「ん……?」

小さな声で、目が覚めた。立ち上がると、周りは緑一色。俺は野原の上で寝てしまっていたようだ。

「って!?どこだよここ!」

周りには田園風景が広がっている。家や学校の周りには、こんなに開けた場所はない。それに、見える家は全部みすぼらしい木造建築で、まるで中から時代劇に出てくるお百姓さんが出てきそうだ。と思ったら本当に出てきた。

「ごめんなさいなの!適格者を見つけたのに寝てたから無理やり連れてきたの!」
「連れてきた!?どこに……」
「そんなことは今はどうでもいいの!」

どうでもいいはずがない。俺は反論しようとしたが、地平線になにか奇妙なものが見え始めた。それは、甲冑。甲冑だけなら奇妙でもなんでもないが、そのサイズが、明らかにおかしい。はるか遠くにあるはずなのに、それより近くにある家々よりとても大きく見える。山すらその大きさにかなっていない。

「なんだ……あれ」
「兜なの……早くしないとやられるの!」

しかし考えてみれば、俺に話しかけてくる声の主もそうだ。奇妙、というよりは見えてないだけなのだが。

「お前は誰なんだよ。どこにいるんだよ」
「千狐のことが見えないの?ここにいるなの!」
「ここって……あ。」

いた。足元に小さい女の子が。狐の耳と尻尾が生えている。

「城主様、こんなことにうつつを抜かしている暇はないの!」
「なんだよ、さっきから城主様、城主様って……俺は城どころか家すら……」
「あ、城主様。おなかすいた、なにか食べるものない?」
「は!?」

俺と小人の会話に横槍が入った。見ると、今度は小人ではないが小学生ほどの小さな女の子が喋りかけてきた。

「……?」
「三木城なの!あなたの城娘なの。寝てる間に築城したの!」
「ちく……じょう……?」

このボブカットの和服を着た可愛い子と、『築城』という言葉が全く吊り合わない。俺の混乱はさらに加速していっている。

「そんなことどうでもいいの!早く三木城に指示を出すなの!」

先ほどの兜はどんどん近づいてきている。この子にはそれを倒す能力があるのだろう。

「指示って、どうやって……」
「三木城に手を伸ばして、城娘が敵を攻撃しやすい所に配置するようにどらっぐあんどどr……念じるの!」

どうやら三木嬢ではなく三木城らしい。『城娘』。もう全く訳がわからない。それに、今こいつコンピュータ用語言いかけた!?

「ねえねえ、おなかすいたー!」

上目遣いでねだってくる『三木城』。なにかあげたくなるのはやまやまだが、兜もすぐそこまで迫ってきていた。俺は意を決して、三木城の方に手を伸ばした。

「うぎゅぅー……!」

すると、女の子はビル10階くらいの高さに舞い上がる。何かに掴まれているかのように、結構苦しそうにもがく。

「じゃああそこの道の上に……」
「道の上はダメなの!他の場所を選ぶなの!」
「はぁ!?じゃあそこの隣で」

道の隣には家があるが、あの華奢な子が何か害を及ぼすとは考えづらい。千狐に言われたとおり、そこに三木城を配置するようにむんっと念じた。

「え、えっ!?」

次に起こったことは、俺の想像を超えていた。なんと、女の子の体が大きくなり始めたではないか。人が大きくなる、という時は小学生から中学生へとか、12歳から14歳へとか、そういう年齢の変化を表すのだが、今は違う。着ている和服をビリビリに引き裂きながら、三木城の体が、そう、巨大化していくのだ。

「はっ!?どうなって……」
「あの敵と戦うには、それなりの体の大きさが必要なの」

幼いもちもちとした肌が、遠くからも分かるくらいに拡大していく。先程はあまり気づかなかった金色に輝く瞳が見える。俺なんかの大きさはとうに超え、下にある家の大きさにも達しそうである。……待てよ?

「あー、言い忘れたけど城娘の力を使うには資源が必要なの……」
「まさか、それって……」

三木城の体はさらに巨大化を続け、体の位置が下がったわけではないのに、足が地面にぐんぐんと近づく。丸裸の幼い少女の足は、ついに……

バキバキ……!!バーンッ!!
「ひぇっ!」

家の屋根を突き破り……というより、家全体を押しつぶした。三木城が小さく叫び声を上げるが、持ち主は阿鼻叫喚だろう。

「ちょ、なんでこんなに大きくなってるの!?あっ……」

三木城は巨大になった自分の体を見て、ものすごく戸惑っている。彼女自身も予測していなかった変化らしい。そのビル20階くらいの身長の体が、先ほどとは違う、動きやすそうな和服に包まれ、手にはその体にしても大きな木槌が出現した。

「これって、戦えってこと?おなかすいてるのにー!」
「ほら、なにか言ってあげてなの」

駄々っ子のようにゴネる三木城を見て、千狐が俺に問題の解決責任をぶん投げてきた。

「……お前……」
「やーだ、ご飯が先にして!」

三木城は俺を見ながら大声を出し、今にも泣き始めそうである。仕方ない。

「あー、戦ってくれたらご馳走にしてあげるから!」
「今ご馳走にしてよ!」

信じられないほど大きな声で叫ばれる度、鼓膜が破けそうだ。

「倒さないと、あの敵がご馳走を持ってっちゃうんだよ!だからあげられなくなるんだ!」
「そ、そうなの……?」

お、手応えありか。このまま押し通すか。

「ああ!だから精一杯やるんだ!」
「うん!」

三木城は、木槌を構えた。どうやら戦闘準備は整ったみたいだ。そこに、ついに兜が到着した。

「えーい!」

三木城は思い切り木槌を振り、兜にぶち当てた。すると、兜は粉々になり、光の粒になって消えた。

「これでごちそう……あ、まだくる!」

兜は20体ほど押し寄せてきていた。三木城は攻撃できる範囲に敵がくるたび、木槌を振り回して破壊していく。彼女は周りへの被害を考えてか、一歩たりとも動かず、自分から敵の方に突撃などはしなかった。しかし、15体目ともなると大分へばってきたようで、はぁはぁと息を荒らげている。ときおり、腹の虫が鳴く音も聞こえる。

「この、この……!あぁ、もう……」

三木城の表情が険しい。そして、ある時、三木城の何かがプツッと切れた。

「お、お前らなんか……」

木槌を高く据える彼女の顔は、鬼の形相であった。嫌な予感がした。

「大っ嫌いだぁああ!!!」

ドォオオオン!!

勢い良く地面に振り下ろされた木槌。それは地響きを起こすと同時に謎の光を発した。その光は辺り一帯を覆い尽くし、残り数体の兜を一気に吹き飛ばしてしまった。それだけならよかった。吹き飛ばしたのは敵だけではなく、家や道、田んぼや畑などとにかく生活に必要なものまで全部だった。

「はぁ、はぁ……」

三木城は武器を振り下ろしたまま、それに体重を少し預ける形で、顔を下に向け息を整えている。

「じょ、城主様……」

戦慄する俺に、話しかけてくる彼女。

「なんだ……?」
「おなか、すいたぁ……」

俺に向けられた彼女の表情は、罪悪感を引き出すような、それはもう崩れたものだ。ほとんど白目を剥き、口はだらしなく開いている。ついさっきまで勇敢に戦っていた少女とは思えない。

グギュルルル……

彼女の空腹をこれでもかという感じで俺に実感させる音が、街中に響いた。いっぱい食わせてやろう、と思うが……

「これ、どうしよう……」
「だから言ったの、資源が必要だって……」
「やっぱり、再建用の資源かよ……」

荒れ地と化した村を作り直すには、たくさん仕事をしなければならないようだ。三木城にも、手伝ってもらうしかないんだろうな……

女体化体操第一

日曜のジョギング前に、ラジオ体操第一をする男性。薄手のランニングウェアを着て、準備は万端だ。

「背伸びの運動から、いち、に、さん」

腕を高く上げ、横に倒して下に付ける。いつもの体操だ。そう、この時点までは。

「腕と足の運動です、いち、に、さん……」

腕を体の前で振り、スクワットをする。それにつれて、男性の体は上下する。が、1回スクワットするごとに頭の位置が下に下にと下がっていく。男性は目を閉じて体操をしていて、変化に気づかない。8回も繰り返すと、175cmと少し高めの彼の身長は、165cmになってしまった。

「腕を回します。体の外側と、内側に」

大きく腕を回すと、その遠心力で筋肉が流れ去っていくかのように、キュッキュッと細くなっていく。2回繰り返してかなり細くなった腕に、次は脂肪が少しつき、丸っこい、しかし太っているというほどではない腕となった。

「胸の運動です。斜め上に大きく」

胸を後ろに反らすと、最近大きくなり彼の小さな自慢になっていた胸筋が、すぅっと薄くなっていく。4回めが終わる頃には、胸板はすっかりまっ平らになってしまった。

「横曲げの運動」

体を横に曲げる。腹に少しついていた贅肉が、引っ込んでいく。

「前後に曲げの運動」

前に体を曲げると、後ろに突き出された尻がムクッ、ムクッと丸みを帯びて大きくなり、短パンを押し上げていく。逆に後ろに体を反らすと、彼の股間の膨らみがスッスッと小さくなっていった。

「ねじる運動です」

体を左に右に、大きく小さく捻ると、それにつれて腰がギュッギュッとくびれて行く。

「腕と足の運動です」

腕を勢い良く突き上げ、同時に足を伸ばす。そうするごとに、脚がプルンと揺れる。今起きている、ももの脂肪の増殖を物語るようである。

「上体を斜め下に曲げて、正面で胸を反らせます」

体を下にまげて、男の顔が下を向く。次に上がってきた時には、そこには中年男性のものに差し掛かっていた、できかけのシワの多い顔ではなく、すべすべとした肌の、10代後半のみずみずしい女性の顔があった。

「体を大きく回します」

体につれて大きく回る頭の、髪がさらさらと伸び、最後には髪が振り回されるのを男性が感じるほど長くなった。

「両足とびの運動です」

小刻みに飛ぶ男性の肩が、なで肩へと近づく。飛ぶ度に、肩甲骨がガタガタと下がっている。

「腕と足の運動」

最初にした運動の繰り返しだ。それに伴う変化も同じで、ついに男性の身長は女性であっても平均以下の155cmになってしまった。長めに伸びていた髪が相対的に更に長くなった。

「最期に深呼吸です」

男性が大きく息を吸うと、平らだった胸板がムクムクと盛り上がっていく。息を吐いても元に戻らず、次に息を吸うとDカップ、次はFカップ、最後にはGカップとなって、ランニングウェアの胸の部分はパンパンになってしまい、その先の突起が上からでも確実に見えてしまっている。

「よーっし今日も……ってなんだこの声!?」

その声は今の姿にふさわしい、若々しい女性の声だった。

「なんじゃこりゃあああ!!!」

無意識に胸を鷲掴みにしながら、男性は叫ぶのであった。

変身描写だけ描きたい(TF1)

「魚……さかな……さかなさかな!!」
「どうしたんだ根古(ねこ)!」

根古に流れる化け猫の血が、彼女の体を作り替え始めていた。

グキュッ……!
「ああっ!」

その変化は足から現れた。少し細めの、さらけ出された足が、内側に萎んでいくように細くなり、短くなっていく。筋肉も萎縮してしまい、足だけでは体重を支えられなくなってしまった。結果、根古は前に倒れてしまい、四つん這いになった。異様に細くなった足は、下に行くほど更に細くなっていて、その代わりのように体毛が太く長くなり綺麗だった肌を覆い隠していく。

グキキキ!!
「ふにゃっ!」

彼女の体とは不釣り合いに小さくなった足から、変化が伝わっていくように、真っ直ぐな背骨が前に湾曲していく。そして、元々高校生としてよく発達していた乳房が縮み、入れ替わりに、6つの斑点が腹に見え始めた。ぷっくりと盛り上がっていくそれは、乳房の先端についていた器官と全く変わらない。乳首が、2つから8つに増えたのだ。

その変化が住む頃になって、体が尻の方から何かに絞られるようにグギュギュギュと細くなり、足と同じようにブワッと毛が生えて、体を覆い尽くした。時を同じくして、小さくなった尻からパキパキと音を立てて、尻尾が飛び出す。いつの間にか細くなって、毛に覆われた腕も合わせて、根古の体はまさに黒猫。そこにこれも体毛に覆われているにしろ、人間の顔が付いている。

パリッ!メキッ!
「にゃ、にゃああ!」

人間では考えられないほど高い声で叫ぶ根古。その顔は小さく圧縮され、上顎が割れ、鼻が潰れていく。目の瞳孔は丸い形だったのが、一回のまたたきで縦に割れているような物に変化した。耳は見えない力にに引っ張りあげられるように、ビリビリと痛々しい音を発しながら頭の上の方に動いていき、ぴんと三角形に立った。中からは白い毛がふわっと生えて、耳の穴をふさぐようになった。

「ね、根古……」
「にゃん!」

変身の発端になった魚を口に咥えて、根古だったネコはクラスメイトを置き去りにして、その場を立ち去ったのだった。

トリックアンドトリート

夕焼けに赤く染まる街。その裏路地を、スマートフォンを触りながら歩く一人の人影。突然立ち止まる彼女は、近くの大学に通う生徒のようだ。カジュアルに決めた服には、近頃では太めではあるが、若々しさが滲み出るような健康的な体が包まれていた。

「あれ?私、いつの間にこんな所に?さっきまで駅に続く道にいたのに」
「私めが呼び寄せたのですよ、かわいい子羊さん」
「え?」

その女子大生の目の前にはローブをかぶった、声から察するに30代ほどの男が立っていた。のぞき見える口は微笑みをたたえている。

「ハロウィンの仮装ですか?」
「似合ってるでしょう?トリックオアトリート、お菓子をくれなければ…」
「ちょっと待って、あれって大人が子供にお菓子をあげるイベントでしょ?何で私が大人のあなたにあげなくちゃいけないんですか?」

それを聞いて、落胆するでもなく、はたまた怒るわけでもなく、ニヤリ、と歪む男の口の形。

「交渉決裂ですね。では、あなたにお菓子になってもらいましょう…」
「な、なにを…」

身構える女子大生。男はおもむろにローブから筒のようなものを取り出し、彼女に向けてフッと筒の中に入った何かを飛ばし、それは右腕に突き刺さった。

「いたっ!?ふ、吹き矢?」
「ふふふ、魔法薬入りのね」
「ま、魔法…?あなた、どんな時代錯誤してるんですか……っ!?」

女子大生は、矢の刺さった腕を見た。すると、服に茶色のシミが広がっている。

「何してくれるんですか!?服を弁償してください!」
「服?それだけでいいんですか?ちゃんと見てみてくださいよ」
「え……なにこれ!?」

そのシミは、どんどんまわりに広がっている。それに、袖から出ている手のひらも、茶色に染まっていく。

「きゃあ!!な……体が動かなくなってく……!?」

その茶色に染まった部分は全身を食い尽くすように拡大し、染まった所は固まって動かなくなり、表面がすべすべで、まるで……

「チョコレート……みたい……?いや、やだぁあ!!」
「ふふ、やっと気がつきましたか」

腕から広がり始めたそれは、体や足にもどんどん広がり、女子大生の体を固めていく。体の芯はもはや完全にチョコレートになり、彼女が逃げようとしても、もはや遅すぎた。

「おいしそうですねー、私めは食べませんがね」

髪も根元から固まり、一房一房がまとまっていく。

「わ……わたし……こんな所で……しに……た……」

顔にも侵食が広がり、口も動かなくなってしまった。そして、最後に残った目の輝きが消えたとき、彼女は完全に、チョコレートでできた彫像となった。

「さて、と……このままずっと見ているのもいいんですが……《砕けろ》」

ローブ男が、日本語ではない何かの言語を口走ると、人型チョコレートの至る所に亀裂が入る。

「おっと、入れ物を用意しておかないと……」

男はピキピキと音を立てて壊れ始めたチョコレートを、どこからともなく現れた大きな釜に、ヒョイッと投げ入れた。元々女子大生だったそれは、その衝撃でバラバラに崩れ落ちてしまい、鍋の中にゴロゴロと転がった。

「ふむ、いい材料になりそうですね……ほぼ完璧だ」

満足げな声を出す男。釜は独りでに熱くなり、中のものに熱を加え始めた。そしてあっというまにチョコレートは溶け、釜の中でぐつぐつと泡を立てる。

「ううむ、これまでにないいい香り……あとはこれを加えれば」

これも、何もないところから現れた瓶の中身を液状のチョコにふりかける男。見た目は変わらないようだが、香りが一層濃くなったようで、むせ返ってしまった。

「げほっ……これで配る準備はできましたね……《分かれ、固まれ》」

男の呪文で、釜の中の液体が小分けになって飛び出し、瞬時に固まって、男が持っていたいくつもの袋に、それぞれ10個ほど飛び込んだ。

「ふむ……よし……」
「おじさん、トリックオアトリート!」
「と、トリート!」
「おや?」

男に声がかかり、振り返る。二人の1年生くらいの男子小学生が、かごを男の方に差し出して立っていた。一人はやんちゃそうで、元気がその笑顔から溢れているが、もう一人は連れ合いに寄り添うように、もじもじとして、髪も男子としては長く、その服がなければ男と分からないくらいの中性的な体格と顔立ちだ。

「お菓子をくれなきゃ……ほら、荘治(そうじ)……」
「あ……い、いたずりゃしちゃう……ぞ!」

二人のあまり足の揃わないコンビネーションに、考える素振りを見せる男。

「ふむ……いたずらされるのは困りますね。ですから、これをあげましょう」

そして、先ほどのチョコレートが入った袋を1つだけ渡す。

「一袋だけ!?」
「量が少ないんです、二人で分けてもらえませんか?」
「ふ、二人で……英太(えいた)くんとなら……」
「もう、仕方ないな……」

英太と呼ばれた少年が男からチョコを受け取ると、荘治と呼ばれたもう一人はペコリと頭を下げた。

「ありがとう、ございました」
「あ、ありがとうございました」

英太もそれに渋々続くのをみて、男は微笑んだ。

「行儀のいい子たちですね、きっといい大人に成長できますよ」
「えへへ……」

ニコニコと笑う荘治だが、英太は待ちきれないようだ。

「ほら、荘治行くぞ!まだ二つしか集まってないんだから!」
「あ、まって!」

その二人の背中を見る男の微笑みは、一瞬で歪みに歪んだ。

「そう、いい大人に……ふふふ……」

それから1時間後。英太の家でジュースを飲む二人は、あまり多くのお菓子を集められなかったようだ。特に英太はものすごく不満そうな顔をしている。

「もっと集まると思ったんだけどな……」
「でも、どれもおいしそうだよ?それに、このチョコレートなんか、すごくいい香りがするよ?」
「あ、おい!!勝手に食べるなよ!」

荘治は袋を開けて一つ頬張るのを見て、英太の不満が爆発したようだ。

「んー、おいしい……んぎゅっ」
「何個入ってるかわかんないんだから!」

荘治の首根っこをつかむ英太だが、ある異変に気がついた。荘治の顔が、ありえないほど紅潮しているのだ。

「え……荘治、どうしたんだ……?」
「ああ……英太くん……大好き……!」

荘治は突然、英太を床に押し倒した。

「あいったっ!なにす……るんだ……よ?」
「英太くんの……おちんちん……」

顔が真っ赤になっている華奢な少年は、もう一人のズボンのジッパーを下ろし、中のブリーフから、まだ小さい男の象徴を取り出し、そして……

「ペロ……」
「ひゃあっ!?」

なんと、コーンに乗ったアイスを少しずつ食べるときのように、舐め始めたのだ。英太は、その未知の快感のようなものに襲われ、体がガクガクとふるえてしまう。

「や……やめ……ろ……!!」
「英太くんは……かっこいいのに……ペロ……」
「んんっ……!」
「こっちは……小さくて、かわいいんだね……」

英太は、また別の事にも衝撃を受けた。足に当たる荘治の胸の部分に、自分の母親のそれと同じような柔らかさが生まれていたのだ。

「おまえ……まさか……!」
「え……なに……?」
「その、胸!」
「僕の……胸?」

男根に近づけていた顔を離し、座りなおる荘治。そして、おもむろに着ていた服を脱いだ。その胸には、大きく膨らんだ乳頭と、それと比較すると小さな盛り上がりがついている。

「女の子……みたい……」
「おかしいよ、きっとあのチョコの……」
「それだったら……ちょうどいいよね……」
「は……?」
「僕が女の子で、英太くんが男の子。ちょうどいい……ふぷ……」
「ふにゃ!」

今度は、荘治はソレを舐めるどころではなく、完全にくわえてしまった。

「ぼきゅが……えいたくんのこと……きもちよくさせて……あげるんだから……」
「や、やめろぉ……!気持ちよくなんか……ないって……!」

英太は、胸に当たっている柔らかい何かの厚みが、徐々に増してきているのを感じていた。自分のモノを咥えているその口も、時が立つごとに大きさを増し、顔立ちも幼さをだんだんと失っている。それに、荘治が自分にしていることが、自分に快感を与えていることを否定できなくなってきていた。逃げようとしても、自分の本能がそれを許さないのだ。彼は、最後の理性を振り絞って、言葉を発した。

「そろそろやめないと……ひどいぞ」

だが、それを聞いて荘治が口を離し、胸をなでおろしたのもつかの間、荘治は英太が思いもかけないことを口走った。

「英太くんも、僕のこと気持ちよくしてくれるの……?」
「は?」
「僕だけにやらせるのが、ひどいんでしょ……?」

その一言一言に、妖艶さが混じる。もはや、そこに元々の荘治はなかった。胸がぷっくりと成長して、Aカップはありそうなくらいの膨らみがついたその体からは、フェロモンのようなものが発せられ、目つきも、餌を求めている獣のそれになっている。

「これ、食べて」
「むぐっ!?」

その容姿に愕然としていた英太の不意をつくように、チョコレートが口に突っ込まれた。思わず英太は、飲み込んでしまう。と同時に、彼の体が異常なほどの熱を帯びはじめ、感覚が麻痺していく。

「あ……あ……」
「僕の……おちんちん……気持ちよくして……ね?」
「うん……荘治の……舐める……」

今の英太には、目の前にいる荘治を、愛でることしか頭に浮かばなくなっていた。

「かわいい……荘治の……アレを……」

そして、荘治がしたと同じように、彼の小さなソレを引きずり出し、

「ペロ……」
「あんっ……」

舐めた。それだけで、英太の中の何かが満たされていくような感覚が湧き上がってきて、彼は、自分を止められなくなった。

「ペロ……ペロ……チュパ……」
「いいよ……いいよ、英太くん……」

英太は、体が内側から外側に押し出されるような感覚を覚えた。そして、自分の胸を触ると、そこに、荘治と同じようにふっくらとした膨らみができているのを感じた。

「俺も……女の子に……なるのかな……チュパ……」
「一緒になっちゃお……ほら……」
「ん……」

荘治は、袋から二つのチョコレートを取り出していた。そして、二人はそう命令されたかのように、何も言わずにパクリとそれを口にした。一瞬にして、チョコレートの甘味は口いっぱいどころか体全体に熱として広がり、二人の体を火照らせた。

「これで……もっと女の子に……」
「んぐ……もっと、気持ちよくなれる……」

控えめだったその胸が、ムクク……と脂肪を蓄え、水風船に水が入るときのようにフルフルとふるえながら、何倍にも大きくなる。それだけでなく、全身の皮下脂肪が発達して、輪郭から角がとれ、丸みを帯びていく。髪、特に短かった英太のものはファサッと伸びて肩を被う。ほぼ完全に、18歳ほどの女性の体になった二人の、男性器は逆に発達し、数倍にも膨れ上がった。

「すごい……おっきい……」
「僕のおっぱいも……大きいよ……ほら……」

荘治は、いきり立った英太のソレを、今できたばかりの胸の谷間で挟み込み、Fカップはあろうかという大きな胸全体を使って揉みしだいた。

「んあっ……すごいよ……んんっ!……俺……こんなの……初めてだ」
「僕……英太くんと……一緒にいられて……すごく幸せ」

二人のアルトの声は、チョコレートを食べる前の無垢な子供と同じ二人が出しているとは普通なら思えない、性欲と快感に満ちたものだ。

「ん……!何か……出ちゃう……!!ううっ!!」
「うぷっ……なんだろ……これ……?」

保健の授業をまだ受けていない小学生が知り得ない、白く濁った液体が英太のソレの先端から飛び出した。

「でも……熱くて……英太くんが……直接感じられる……みたい」
「それなら……もっと……」
「もっと……!!」

そして迎える二度めの射出。荘治の顔はドロドロとした液体まみれになってしまった。ペロリとソレを味わうように舐める彼は恍惚の表情を浮かべた。

「あのチョコレートと同じ……あったかい……」
「チョコレート……もっと食べよう……」
「うん……」

そして、二人は一つずつ、さらにチョコレートを摂取した。すると、すでに巨大になっていた乳房はそれほど成長することはなかったが、全身の皮下脂肪がさらに増殖して、肉感的なムチムチとした身体になった。そして……

「あ……俺のこれ……止まらなくなっちゃった……」
「僕も……」

怒張していた男性器からは、白濁液の放出が止まらなくなり、同時に、ソレは体積をどんどん減らしていく。しまいには、股の間に新しくできた溝の、小指よりも小さな突起になってしまった。

「俺たち……女の子に……」
「そんなことより……続き……しよ……?」
「ああ……」

英太は、本能にしたがって、荘治の巨大な双丘の先端をつまんで、コリッと動かす。

「ひゃうっ……もっと……もっとお願いぃ……」
「それなら……そうじも……」
「うん……」

二人はお互いの突起をつまみあい、快感と興奮を分かち合う。

「あん……はう……」
「やっ……んくぅ……」

いつしか、お互いの足を絡み合わせ、股を打ち付けあっている二人。

「えいた……くん……!……僕の……赤ちゃん……!……つくってぇ!!」
「それを……言うなら……っ!そうじが……!!」

その動きは激しさを増して、互いの肉体同士でパンパンと音が出るようになっていた。

「ふたりで……!つくろ……!!」
「うん……!これからも……!!!」
「ずっと……!いっしょにぃ……!!」

二人の息は荒く、熱くなりきった二人の身体からは、汗の湯気が出ている。

「ぼ、ぼく……!な、なにか……!くるぅぅ!!」
「お、おれも……!!」
「「いくぅぅぅうううう!!!!」」

ついに、絶頂に達したのだった。

二人が気がつくと、何もなかったかのように、身体は元に戻り、二人が大いに汚していたであろう絨毯や家具も元通りになっていた。しかし、体を交えた記憶だけは残っていて、互いの顔を見た瞬間、二人共顔が真っ赤になってしまい、うつむいた。

「でもまた……」
「またやりたい、かも……」